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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

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宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:00
  Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:01
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:03
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:04
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:05
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:07
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/24 23:07
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 ダークスピリッツ 2007/10/25 23:15
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話 松井一真 2007/10/25 23:46
   宇宙戦艦紀伊 第七十二話 松井一真 2008/2/3 22:01
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話 松井一真 2008/2/3 22:02
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話 ダークスピリッツ 2008/2/4 20:40
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話 松井一真 2008/2/4 20:58


宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:00 -
  
作者もこれを待っていた。遂に公開、第七十一話です

第七十一話 名将たちの旭日旗
パレンバン基地、表面防御陣地、陥落
合衆国軍守備隊指揮官、スターク少佐、戦死
日戦軍団第一一五中隊、壊滅
基地司令、ボルナソス大佐は、全防護シャッターの閉鎖を指示した
ボルナソス大佐「大尉、これは時間稼ぎにしかならん。作業は早急に行わなければならんな」
ガランタン大尉「はい。負傷車と可能な限り回収出来た遺体を集めて、輸送機に乗せなければいけませんね」
現在、表面を防衛していた部隊の残存勢力は、市街地に集結している
敵襲に備え、負傷した面々は病院に集まっていた
無論、溝口少佐もである
佐藤大尉「・・・佐軒・・・生きているのだろうか・・・」
前回の戦闘で、敵部隊に特攻し行方不明となった佐軒准尉の行方は、未だに分かっていなかった
寺島曹長「・・・生きていればいいんですがね・・・」
宇野沢中尉「しかし、あの大軍に向かっていったとなると・・・」
萬屋大尉「絶望的だな」
その時、前線に展開していたグリーンアイランド軍第221小隊と、ヴァイナー連邦軍第197機動大隊から連絡が入った
エステルハー大佐(第197機動大隊司令。車種:パンターII)(通信)「こちら第197機動大隊、日戦軍団の重傷車を確保。佐軒准尉と思われます」
佐藤大尉「何っ!?」
萬屋大尉「佐軒は友軍に助けられていたのか!」
エステルハー大佐(通信)「一旦、本部に送ることにする」
Qシュタイン兵士「了解しました」
寺島曹長「佐軒准尉は、生きていたんですか」
萬屋大尉「そう簡単に、くたばる奴でもないからな」
病院で溝口を見守る隊員達は、安堵した

「紀伊」にも連絡は伝わった
松井元帥「そうか、佐軒は生きていたか」
佐藤大尉(通信)「はい。ヴァイナー軍からの連絡では、どうやら佐軒は第一防御陣地周辺で倒れていたとの事で」
松井元帥「敵軍を追撃して第一防御陣地までたどり着いた、ということか」
佐藤大尉(通信)「そうでしょうね」
松井元帥「ただ、ヴァイナーもその戦線を維持するのは困難らしいな」
佐藤大尉(通信)「大隊規模とはいえ、さすがに無理でしょう」
松井元帥「相手はその数倍もあるからな・・・」
佐藤大尉(通信)「自分も、いずれは・・・」
松井元帥「あきらめるな。君たちには、俺が町工場で手がけた『敷島』がある」
「町工場」とは、松井元帥ら日戦軍団司令部の面々と親交関係にあった、小さな工場のことである
元々鉄道車両を手がけていた会社だったため、「小さい」というのは単なる会社の規模としてのものである
松井元帥が後に「敷島」と呼ばれる重装甲列車の試作編成を発注したのが、その会社であった
試製四一式重装甲列車一号編成(後に「高島」の名が付けられる)は、Qシュタイン領内(グリシネ領内では参謀本部の圧力があるため)で試験が行われ、良好と判断、Qシュタイン陸軍参謀本部へ、設計図が提出された
結果、少量の改修のみで、「四一式重装甲列車『敷島』」として採用されたのである
なお、本土で用いられた計三〇もの編成は、「敷島」を始め、それぞれ異なる「島」の名がついている。それらの名は前方警戒車の側面に描かれている
松井元帥「連邦が認めた性能だ。宇宙からの侵略車へ、『キュワールの脅威』を見せてやるんだ」
佐藤大尉(通信)「はい!」
松井元帥「生きて帰って来るんだぞ!」
佐藤大尉(通信)「了解!」
そして、松井元帥は無線機を置いた
いずれは、「紀伊」も、パレンバンに僅かに残るであろう友軍を助けるべく、出撃するであろう
はたして、その時に残る「友軍」はいくつであろうか・・・

さて、重傷を負った佐軒が、ヴァイナー軍の潜宙艦に搬送され、遂に本格的に防護シャッターが閉鎖されることとなった
ボルナソス大佐「生きて帰って来るんだぞ!」
エステルハー大佐「無論です。生きて帰って見せます!」
カスター大佐(グリーンアイランド第221小隊司令。車種:T34重戦車)「敵部隊を食い止めて見せます!」
ボルナソス大佐「頼んだぞ!」
報告に来た、表面に居残りする部隊の指揮官たちは、そういい残して去っていった
そして、司令部を移行。民間の鉄筋コンクリート製の2階建て施設を臨時司令部として接収。この建物の管理車は、レジスタンスの指揮官であった
旧式ライフル銃を持つレジスタンス隊員たちは、遊撃部隊として活躍するのである
レジスタンス将校「我々は、第二の故郷を守り抜く。死ぬ覚悟は、出来ております」
ボルナソス大佐「奮戦に期待する。連中の度肝を抜いてやれ」
この臨時司令部の近くにある線路には、第八装甲列車隊が展開している
その主軸が、あの「敷島」である
指揮官は清水中佐。松井元帥の同期生である
工作員部隊に所属していた彼は、松井元帥らとは異なりあまり昇進が無かった
そもそも工作員部隊自体が、参謀本部の陰謀でめったに活躍しなかったのである
清水中佐(車種:四式中戦車)「総司令官、松井元帥から下された指示はただ一つだ。『生き残れ』、それだけだ」
敷島搭乗員「了解!」
そして、その線路のとおる踏切を、牽引車に牽引された戦闘機が通っていった
大柄なBv238は、街のメインストリートを使って、さらには主翼をたたんでまで通ったという
無論、指揮官は輸送機のエース、ノイン上等兵である
ボルナソス大佐「ノイン上等兵、我々のことは気にするな。君は多くのチョロQを生かして帰す任務を負うのだからな」
ノイン上等兵「今までありがとうございました。また生きて会える日を楽しみに待ちます」
ボルナソス大佐「ああ、奮戦するつもりだ」
ノイン上等兵は、司令部を足早に走り去っていった。機体に戻らなければいけないのだ
ボルナソス大佐「・・・生きて会える日、か・・・」
ガランタン大尉「来るんでしょうかね、そんな日が」
ボルナソス大佐「・・・さあな。今度は分からん」
無論、この基地が陥落することを考えていたのだ
もしかしたら、玉砕の可能性もある
今まで幾多もの激戦を乗り越えてきたボルナソス大佐たちも、生きて帰って来られるのだろうか・・・
辺りで地雷を散布する光景を見ながら、ボルナソス大佐はそう思った

一方、ラファリエス軍は更に戦力を投入することを決定した
輸送船団から兵力が更に上陸した
艦砲射撃が届かない内部地域を攻撃するため、75mmの対戦車砲を多数投入。さらに三個大隊を投入することとなった
前線に展開するグリーンアイランド軍と、ヴァイナーの機動大隊は、この大軍を前に戦うこととなった
ヴァイナー軍分隊長「増援が展開しているのか!?」
壮絶な砲撃が、前線部隊の前に展開した
ヴァイナー軍兵士A「いくら我々でも、これほどの戦力は・・・」
ヴァイナー軍兵士B「壊滅は時間の問題です!」
ヴァイナー軍分隊長「くそっ、一時後退だ!」
ヴァイナー軍兵士「後退!後退!」
グリーンアイランド将校「こんな大軍相手に、我々だけでは・・・」
カスター大佐「・・・やむを得ん、後退だ」
遂に前線部隊は後退。表面から連合軍は一掃されてしまった
進撃するラファリエス軍、その時、一両の兵士が爆発した
ラファリエス将校「どうしたっ!?」
ラファリエス兵士A「地雷です!」
ラファリエス将校A「何っ、地雷だと!?」
キュワール連合軍が散布した地雷を踏んだのだ
キュワール連合軍の最後の「時間稼ぎ」であった
ラファリエス軍兵士B「連合軍は既に地雷を廃絶した、というのは誤報だったんですね・・・」
ラファリエス将校B「・・・いや、目には目を、ということで復活させたかもしれんぞ」
また数両が地雷で爆発した
ラファリエス軍はこの地雷原を突破するのに苦戦することとなった
第七十一話 続く
引用なし
パスワード
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:01 -
  
市街戦。輸送潜宙艦のモチーフは「紺碧の艦隊」です

第七十一話 名将たちの旭日旗
その間に、キュワール連合軍は戦闘配置を完了させた
運の悪いことに、第115中隊副司令官砂原少佐は、撤退時に艦砲射撃の爆風で重傷を負った。そのため、現在の指揮官は溝口分隊の副隊長、佐藤大尉である
佐藤大尉の指示により、第115中隊は四個分隊(「分隊」とはいえ、普段の十数両の物ではなく、せいぜい4〜5両の部隊である)に分けられた
激戦で次々と少なくなっていった「数」を補うには、市街地という特性を生かしたゲリラ戦を行わなければならない
そもそも、日戦軍団は一斉突撃とゲリラ戦を主軸としている組織である
第五次キュワール大戦では特殊装備を施した部隊が市街地でゲリラ戦を展開し大戦果を上げたこともある
最初にラファリエス軍と交戦したのは、宇野沢中尉の分隊であった・・・
宇野沢中尉の指揮下には、普段の寺島、伊沢を初めとする一式中戦車が四両。現在、更に二分して、ビルの陰に隠れている
そして、彼らの前を、ラファリエスの大軍が通過した
寺島曹長(通信)「ラファリエス軍捕捉。相当でかいですね」
声を潜めて、寺島曹長が言う
ラファリエスの大軍は、彼らの前を次々と通り過ぎていく
宇野沢中尉「今だ、撃てっ!」
全五両の隊員が、一斉に発砲した

ラファリエス軍は、突然の奇襲に驚いた
ラファリエス将校A「今度は何だっ!?」
ラファリエス兵士A「敵の砲撃です!」
ラファリエス将校A「一体どこからだ!?」
ラファリエス兵士B「分かりません!」
どこから来るのか分からない砲撃
やはり、キュワール連合軍は只者ではなかった・・・

宇野沢中尉は、二、三発を撃った後、後退を指示した
発見されれば勝ち目は無い。直ちに後退しなければならないのだ
宇野沢中尉「こちら宇野沢、敵部隊の突入を確認」
佐藤大尉「了解、警戒を続けてくれ」
二分した戦力を合流させ、敵部隊の捜索に当たった
その時、敵一個分隊を発見した
宇野沢中尉「敵一個分隊を捕捉。さっきと同じようにやるぞ!」
再び、分隊は散開した
しかし、敵はただ一個分隊を展開しているだけではなかったのだ

宇野沢は敵部隊の接近を見計らって、ビルの陰から飛び出した
宇野沢中尉「総員、かかれっ!」
数ではなく、技量で勝負
宇野沢臨時分隊は、敵弾を避けつつ、敵兵の急所を狙った
一両、ターレットリングに命中、大破
もう一両、後部装甲に命中、弾薬庫直撃で炎上
また一両、砲身に命中、攻撃不能となったところにもう一発が側面装甲に命中、大破
さらに一両、履帯に命中、移動不能となったところにもう一発が後部装甲に命中、炎上
続いて一両、新型タ弾を正面装甲に受け大破
颯爽と、敵部隊の半数を撃破した
その時、宇野沢たちの背後に新たに敵一個分隊が現れた
宇野沢中尉「しまった!」
後退を指示しようとも思ったが、すぐに包囲されてしまった
反撃を開始するが、今度は数が多すぎる
もはや、これまでか・・・
その時、上から無数の銃弾が降り注いだ
その後に遅れて聞こえる発砲音は・・・
宇野沢中尉「対戦車ライフル?!」
弾丸はターレットリングや上面装甲に直撃、敵兵は次々と倒れる
寺島曹長「中尉殿!」
寺島曹長たちが戻ってきた。さっきの敵部隊を殲滅してきたのだ
上と手前からの攻撃を受け、敵部隊は一気に苦戦することとなった
ラファリエス将校C「くそっ、後退だ!」
敵部隊の残存戦力は、後退した
宇野沢中尉「助けられたな・・・」
伊沢一等兵「・・・あのライフルは一体・・・」
その時、近く伸びるから五台のチョロQがやってきた
宇野沢中尉「民間車両か?」
レジスタンス分隊長「我々はレジスタンスの隊員です」
彼らは、シャスポーM1886を持っていた。五島戦争時代に使用されたもはや骨董品に近い銃である。その後ニビリア陸軍で創設当初に用いられたというが・・・
そんな銃が、何故戦車の上面装甲を貫けるのだろうか
銃声そのものは対戦車ライフルのそれに近かったため、相当改造が行われていると思われるのだが、なにぶん旧式の銃ゆえに近場で見たことが無い。原型を知らなければ、如何なる改造が行われたかが分からないのだ
だが、彼らもゲリラ戦を行っている以上、目的は同じ。合流すれば相当の戦力になることが期待できた
かくして、彼らレジスタンスの分隊は宇野沢臨時分隊と合流することとなった。軍民混成の部隊が誕生した

同時刻、パレンバン沖。ヴァイナー軍の補給潜宙艦が二隻、潜航していた
ソナー員「現在、深度100。周辺に敵艦の反応無し」
艦長「全く、モグラ輸送は大変だな」
「デヴォリア・エクスプレス」という隠語が与えられた補給潜宙艦、輸送潜宙艦などを用いたパレンバン撤収作戦の第二段階(第一段階は市民及び通信兵、病院内の傷病車の撤収)は、ヴァイナー軍潜宙艦によるヴァイナー陸軍197機動大隊及びグリーンアイランド軍第221小隊、そして、ヴァイナー陸軍第197機動大隊が救出した日戦軍団第115中隊所属佐軒准尉を救出、デヴォリアまで後退するというものであった
副長「日戦軍団の兵士は無事だそうですな」
艦長「ああ。軍医長がさっきまで診ていたよ」
副長「しかし、被害が少なくてよかったですね」
艦長「・・・こうしている間にも、同盟国の兵士が次々と死んでいくんだがな」
航海長「・・・我々にはどうすることも出来ないんですがね」
艦長「こいつは補給艦だから、魚雷も無いしな」
ソナー員「艦長!敵駆逐艦6捕捉、探知されました!」
敵駆逐艦がこちらに気づいたようだ。武装が無いこの潜宙艦では、太刀打ちすることは出来ない
艦長「深度270まで潜るぞ!」
二隻の潜宙艦は深度を下げ始めた
ソナー員「敵駆逐艦、接近しつつあり」
潜航士官「深度160・・・深度170・・・深度180・・・」
ソナー員「敵駆逐艦、本艦周辺に到達」
潜航士官「深度200・・・深度210・・・深度220・・・」
ソナー員「敵駆逐艦、爆雷投下!」
潜航士官「深度230・・・深度250・・・深度260・・・」
ソナー員「爆雷、来ます!」
艦長「潜舵上げ、深度270維持!」
幸い、爆雷は深度180に設定されていた。爆雷は二隻の直上で爆発した
パレンバンを離れるまで、しばらくこの動きは続くであろう
潜宙艦乗りは、大変である

同時刻、サーロイ基地。中立国であるクリーク王国は、例のパレンバン沖での戦闘以来、他国の艦船、航空機の出入りを禁止。拡張工事を行っていた
完成すれば、パレンバンとほぼ同等の大要塞となるのだ
クリーク通信兵「ラファリエス軍、パレンバンに突入。現在市街地において戦闘が起こっているようです」
基地司令「・・・確か、日本軍がセイロンに向かっているそうだな」
クリーク通信兵「はい」
基地司令「第110航空隊にスクランブルの準備を」
クリーク兵士「了解」
クリーク空軍、第110迎撃航空隊。指揮官グロウス少佐。J22Iが九機、サーブJ21A−1が三機。合計十二機の航空隊である
彼らの目標は、果たして・・・

同時刻、戦艦「紀伊」司令室
松井元帥らはパレンバンの戦況を見守っていた
松井元帥は無線機を持っている。回線は「敷島」へつながっている
通信長「外惑星連合軍、パレンバン要塞内部に突入!パレンバン陥落は時間の問題です!」
松井元帥「・・・清水、出撃だ!」
清水中佐(通信)「了解!」
松井元帥「以後はボルナソス大佐の指示に従え!」
清水中佐(通信)「了解!よしおめぇら、行くぞぉっ!」
第八装甲列車隊、出撃
松井元帥「後は頼んだぞ・・・ボルナソス大佐」
通信長「司令、磯子大佐から通信です」
松井元帥「分かった」
再び無線機を取る。今度の回線は「伊−901」へつながった
磯子大佐(車種:三式中戦車後期型(佐藤、萬屋両大尉も同車))(通信)「こちら『伊−901』。現在パレンバンに向けて航行中」
定時連絡だ。現在、彼は「伊−901」及び「伊−902」、「伊−903」、「伊−904」の潜宙艦隊を指揮している
栄少佐(伊−901艦長。車種:一式中戦車)(通信)「現時点で敵艦の反応無し。といっても、この船には魚雷はありませんがね」
松井元帥「敵艦を見つけたらすぐに撃て、とは誰も言ってないぞ」
栄少佐(通信)「そうでしたな」
松井元帥「諸君が担っている任務は、鳴神中将が多大な功績を受けた救出任務だ。パレンバンに寄港し、生存車を全員救出したら、デヴォリアまで後退するんだ」
現在第四艦隊の指揮を執っている鳴神中将は、第六次キュワール大戦時に敵の包囲下にある基地に取り残された友軍を助けるべく、数隻の潜水艦を指揮して敵艦隊の直下を通過、見事友軍を救出し、多大な功績を受けた
戦闘が終われば、残存した友軍を彼ら潜宙輸送艦隊が救出する。そういう手筈となっている
果たして、どれほどの損害を与えられるのか・・・
第七十一話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:03 -
  
遂に起動、重装甲列車「敷島」。一部の設定を変更しました

第七十一話 名将たちの旭日旗
同時刻、重装甲列車「敷島」司令室
といっても、装甲列車ゆえにそんなに広い物ではない。だが、居心地だけは特急のグリーン車並みである
無線機を持っていた清水中佐は、無線機を置いた後、車内電話を取り、再び叫んだ
清水中佐「前進五速!」
敷島搭乗員A(通信)「前進、五速!」
若干の揺れと共に、「敷島」は動き出した
前回にも書いたが、この「敷島」は十三両編成の重装甲列車(なお「軽装甲列車」と呼ばれるものも存在する。Qシュタイン連邦軍のドライジーネ装甲列車や、日戦軍団の九四式装甲列車がそれである)である
先頭にある前方警戒車が、運転の中枢である。運転席そのものは通常の電車と大差なく、ツーハンドル式のマスコン、ブレーキとなっている。ブレーキそのものは自動空気式(本土には電気指令式のものも存在する)だ。第五次キュワール大戦時はここが指揮車を兼ねており、ボルナソス大佐が指揮を執っていた
上部の旋回砲塔に155mm加濃砲を搭載し、絶大な火力を発揮する
基本的にこれは敵の大型兵器などに対して使用するものであり、普段は下部に装備されている120mm加濃砲を主武装としている。こちらは限定旋回であり、正面もしくは左側へのみ発砲できる構造となっている
そして、ケースメイト方式で90mm滑腔砲が計二基装備されている。事実上の主武装だ
編成の主力となっている砲車は、独特の形状の砲塔が二基搭載されている
この砲塔には12cm滑腔砲一門と12.7mm重機関銃一丁が装備されている。日戦軍団の兵器には少ない同軸機銃だ
また、車体側面にケースメイト方式で90mm滑腔砲計二基が装備されている
砲車二両に続いて並んでいる貨物車(甲)。いわゆる有蓋車で、上部に高射機銃を備えた銃座がついているほか、他の車両と同等の装甲板が張られているのが、民間の有蓋車との違いである
それに続いて、二両背中合わせに連結されているのが機関車。正式名は「三八式液体燃料機関車」であり、ディーゼル機関を備えた車体に、更にケースメイト方式の90mm滑腔砲が計二基搭載されている。「機関車」とあるが、事実上の機関室だ。Qシュタイン製のディーゼル機関そのものは小型だが、馬力は絶大な物である。また、燃費が良いのも特徴である
再び砲車一両と貨物車(甲)が続いて、貨物車(乙)。こちらは無蓋車で、上部には補給物資もしくは地底戦車(ただし、六三式地底戦車は車両規格の都合でドリルを取り外して載せる必要がある)などの特殊戦車を搭載できるようになっている
砲車一両が続き、この指揮車が連結されている。武装は砲塔の75mm榴弾砲一門と、銃座の九二式重機関銃計二丁である
無線機などの指揮系統がまとめられており(なお、これが無かった第五次キュワール大戦時は155mm加濃砲塔にアンテナが備え付けられていた)、「敷島」の要となっている
その後方に連結されている貨物車(丙)。前部は貨物車(甲)と同一仕様となっており、高射機銃座(こちらは連装)が備え付けられているが、後部には十五糎榴弾砲一基が搭載されており、これを降車させて友軍陸上部隊を支援することが可能となっている
そして、最後尾に後方警戒車が連結されている。後部に大型の探照灯を備えた運転席がついており、その上部に7.7mm重機関銃を搭載することが出来る銃座が備わっている。それ以外は貨物車(乙)と同型である
司令室上部の砲塔で見張りをしていた兵士が叫ぶ
敷島搭乗員B「左側前方、敵部隊捕捉。十一時の方向!」
遂に敵部隊を見つけた。「キュワールの脅威」を見せつける時が来た

一方、敵部隊は装甲列車の恐ろしさを知らなかった
ラファリエス兵士A「あっ、あれはなんだ!?」
ラファリエス兵士B「装甲列車か!?」
ラファリエス将校A「あんな時代遅れの兵器など恐るるに足らん!突っ込め!」
将校を先頭に、数両の兵士が突撃する
ラファリエス兵士A「分隊長!?」
ラファリエス兵士B「そんな無茶な・・・」
残った兵士は、装甲列車に装備されている砲が、大口径のものであることに気づいていた
もっとも、残った兵士は僅かだったのだが・・・

前方警戒車の兵員は、それを発見した
敷島搭乗員C「目標左側、九時の方向、敵一個中隊!」
清水中佐(通信)「攻撃用意!」
指揮車に陣取る、砲術長も言う
砲術長(通信)「列車隊の最初で最後の出撃だ。派手にやるぞ!」
敷島搭乗員D「了解!」
敷島搭乗員A「減速、車両停止させます」
砲塔が一斉に旋回する
照準、敵部隊に合わさる
砲術長(通信)「テーーーーーッ!」
砲撃、一斉に敵部隊を襲う

敵部隊は、そのおびただしい砲火にさらされることとなった
ラファリエス兵士「うわぁぁーーー!」
ラファリエス将校A「そ、そんな馬鹿なぁぁーーー!」
敵部隊、砲弾の爆風に曝され、呆気なく壊滅する

指揮車の兵員はそれを見て大喜びした
敷島搭乗員B「よしっ!戦友の敵を取ったぞぉ!」
砲術長「油断するな、まだ次が来るかもしれん」
清水中佐「前進五速!急げ!」
敷島搭乗員A(通信)「前進五速!」
「敷島」、急加速する

貨物車(甲)には支援部隊が搭乗している。指揮官は川津大尉。陸上部隊の精鋭である
敷島搭乗員E「新たに敵部隊捕捉!」
銃座から報告が入る
川津大尉(車種:三式中戦車)「よし、そろそろ降車だ。行くぞ!転ぶんじゃねぇぞ!」
「敷島」が減速を始める
同時に、前後二両の貨物車(甲)から、一八〇両の兵員が一斉に飛び出す
先の砲撃で敵部隊も「敷島」を警戒すると見て、支援部隊が積極的に攻撃をすることとなった
川津大尉「突撃ぃぃ!」
「敷島」は援護射撃を主任務としているため元々射程の長い兵装を搭載している(機銃などの接近戦・対空戦に用いられる兵装もあるが)。そのため、遠距離の「敷島」、近距離の支援部隊で、次々と敵部隊を駆逐していった
砲撃が命中、次々と吹き飛ばされていく敵兵
本来、彼らより強いはずの戦車たちが、呆気なく倒されていく
「キュワールの脅威」は帰ってきたのだ

さすがに、その砲撃に恐れをなしたか、左翼方面部隊を指揮するホーヘン中佐は新たに命令を出した
ホーヘン中佐(第1211大隊司令。車種:パンターII)「装甲列車は予想以上の強敵だ!迂回路を使って司令部を目指すんだ!」
装甲列車はその特性上、線路の周辺のみが射程圏である
迂回路に引かれている線路は少ない。装甲列車の弱点は線路周辺なのだ

だが、左翼方面の防衛部隊は第八列車隊だけではない。Qシュタイン連邦軍もいるのだ
ボルナソス大佐の指揮の下、「敷島」の射程圏外にいる敵部隊を迅速に攻撃した
隊員たちは銃座に備え付けられたMG34を構えている
Qシュタイン将校「撃てぇ!」
一斉に射撃が開始された
銃弾、次々と敵兵に命中し、装甲を貫く
ビル街の陰に銃座を配置し、機動戦法を取る
第一次キュワール大戦時から、Qシュタイン軍が使っていた戦法である
各部署においては、突破されることもたびたびあったが、大半は彼らの防衛網によって壊滅した

そして、突破した敵部隊を、ファーネス少佐指揮するプロトン合衆国陸軍第366中隊が攻撃する
ファーネス少佐(車種:M4A3シャーマン)「総員、攻撃初め!」
こちら側の三倍の戦力が襲い掛かってくるとはいえ、「敷島」、Qシュタイン連邦軍、そしてこのプロトン合衆国軍の三段構造による防衛網で、左翼方面部隊は壊滅的打撃を受けていた
ファーネス少佐「こちらは善戦気味だな」
プロトン兵士A「・・・右翼方面部隊はどうでしょうかね」
ファーネス少佐「『敷島』がいない分、苦戦を強いられているだろうな・・・」
事実、「敷島」による損害を恐れてばらばらに行動している左翼方面部隊とは異なり、右翼方面部隊はまとまって攻撃を行っていた

右翼方面部隊と交戦したのは、ニビリア共和国陸軍第288中隊であった
軽戦車特有の機動戦法で何とか互角に戦ってはいるが、なにぶん敵はこちらの五倍。数の猛威である
ニビリア兵士A(通信)「よし、敵戦車一両を撃破!」
レザル少佐(第288中隊司令。車種:ソミュアS35)「40mm砲強化は正解だったな・・・」
指揮下の車両のうち、ルノーR40とFCM36は、本来のそれより砲塔が大きくなっている
主砲を40mm戦車砲に換装したためである
これにより主砲の威力が向上し、戦果を挙げることが出来たのだ
しかし、軽戦車ゆえに装甲は薄い
発見されるや、砲撃を受け撃破される
炸裂する砲弾を回避しつつ、兵士が叫ぶ
ニビリア兵士B(通信)「持ち堪えられそうに無いぞ!」
果たして、いつまで持つのだろうか・・・
第七十一話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:04 -
  
池内一等兵。溝口分隊はキャラクターの書き分けが難しいです

第七十一話 名将たちの旭日旗
戦闘地域から多少離れた住宅街。一両の三式中戦車が走っていた
彼の名は池内。第一一五中隊所属の一等兵である
数分ほど前まで杉山大尉指揮する臨時分隊と共に行動していたのだが、いかんせん方向音痴の彼(何しろ「非戦闘地域で隊員が一両足りないならそれは池内だ」と隊員たちに言われるほどだ。隊員同士の結束が硬い溝口分隊では冗談で通っているのだが)は迷ってしまったのだ
池内一等兵「くそぉ・・・みんなどこに行ったんだ・・・」
砲声は遠くで聞こえた
その時、砲声に混じって泣き声のような音が聞こえた
池内一等兵「・・・何だ?」
音のする方角に行ってみると、物陰にチョロQがいた
子供のようだ
怯えている
戦場の恐ろしさを知っているのだろう
戦場の恐ろしさを知っているのは、ある意味で、子供だ
「いつ殺されるか分からない」、その恐ろしさは、ある意味では子供が良く知っている
池内一等兵は、なだめながら言った
池内一等兵「・・・心配は、いらないよ」
子チョロQは、「敵兵ではない」と認識したのか、泣き止んだ
池内一等兵「・・・・・どうしたんだい?」
何でも、子チョロQの話によると、例の「デヴォリア・エクスプレス」第一段階の際に、はぐれてしまったのだという
池内一等兵「ここは危ないから、一緒に脱出しよう」
子チョロQは、嫌がることも無く了承した
池内一等兵「・・・とにかく、みんなを捜さなくては、この子を助けることも出来ない・・・」
池内一等兵は、子チョロQを助けるべく、そして戦友を見つけるべく、走り出した

一方、パレンバン基地臨時司令部
ボルナソス大佐「・・・さすが『敷島』。奮戦しているようだな」
ガランタン大尉「我々が乗っていたときと、変わりませんな」
――――――――――――――――――――――――――――
第五次キュワール大戦時 Qトルック本土 重装甲列車「敷島」
その時、我々が指揮を執る「敷島」は、Qトルックの首都に突入した
接近する敵部隊を駆逐し、司令部は目前であった
しかし・・・
突如、運転席が爆発した
ボルナソス大佐「な、何だ!?」
ガランタン大尉「レイザー!大丈夫か!」
運転席は床が無くなっていた。操縦士のレイザー大尉は、床にしがみついていた
レイザ―大尉「じ、地雷です!運転席が、やられました!」
ガランタン大尉によって、レイザー大尉は引き揚げられた
ボルナソス大佐「レイザー!怪我は無いか!?」
レイザ―大尉「履帯をやられました!」
ボルナソス大佐「畜生!なんという事態だ!」
「敷島」は操縦不能。後部車両は脱線し、我々の乗った前方警戒車も減速しつつある
ガランタン大尉「隊長!どうしますか?」
敵部隊の突撃は、時間の問題であった
ボルナソス大佐「・・・かくなる上は、バウンドボムを使う!ガランタン!車両指揮は任せた!俺は突撃する!」
ガランタン大尉「そ、そんな無茶な!」
ボルナソス大佐「ガランタン、砲戦指揮は簡単だ。現在こいつは動けない状況だ。ということは、要塞と同じだ。では」
俺は、そういうと、砲塔ハッチを開けて飛び出した
ガランタン大尉「隊長!」
車外の敵部隊めがけ、俺は突撃した
その後、ピクールガ中佐の指揮する「八島」の支援を受け、俺は接近しつつあった敵部隊を壊滅させることに成功した
―――――――――――――――――――――――――――
ボルナソス大佐「全く、無茶をした物だ」
ガランタン大尉「・・・そういえば、ピクールガ中佐ってあの後どうなったんでしたっけ?」
ボルナソス大佐「本土防衛部隊の指揮を執ってるそうだ」
ガランタン大尉「ナルマルガムさんの指揮下ですか」
ボルナソス大佐「そうなるな・・・」
Qシュタイン兵士「司令、大日本帝国艦隊が、セイロンへ向けて進撃を開始しました!」
ボルナソス大佐「何っ!?動いたのか!」
Qシュタイン兵士「はい。動き出しました」
溝口らを始め、重傷車は輸送機に載せている。もし大日本帝国艦隊が動き出したら、退路がふさがれてしまう
我々以上の犠牲は、避けたい・・・
ボルナソス大佐「第四飛行場へ、離陸準備を整えろ、と伝えておけ」
Qシュタイン兵士「了解!」
戦闘は、終局に向かいつつあった・・・

同時刻、パレンバン沖
爆雷の雨をかいくぐり、遂に到達した
潜宙艦「伊−901」以下四隻、パレンバン残存陸上部隊との会合地点へ到達
航海長「艦長、司令。予定された会合地点はここです。やりましたね」
栄少佐「ああ。やったな」
磯子大佐「・・・間に合ったか?」
通信長「今、パレンバンの臨時司令部へ回線を繋ぐところです」
磯子大佐「分かった、迅速に頼むぞ」
「伊−901」、浮上の時は近い

再び、舞台はパレンバン臨時司令部へ戻る
臨時司令部は、「伊−901」からの通信を受信した
磯子大佐(通信)「こちら日戦軍団第二潜宙輸送艦隊、予定された会合点へ到達」
ボルナソス大佐「・・・分かった」
磯子大佐(通信)「『紀伊』の松井元帥が話をしたいそうなので、回線を繋ぎます」
回線は、「紀伊」へとつながった
松井元帥(通信)「・・・ボルナソス大佐。そろそろ、戦闘も終盤だな」
ボルナソス大佐「・・・そうですね」
松井元帥(通信)「しばらくすれば、今度は俺がそっちに行っている」
ボルナソス大佐「・・・もっとも、その時には、自分はデヴォリア行きの潜宙艦ですけどね」
ガランタン大尉「・・・司令、指示願います」
ボルナソス大佐「よし、全部隊、撤収を開始せよ。また、時間稼ぎのために高層ビルに時限爆弾を仕掛けて置くように」
松井元帥(通信)「・・・撤収、か」
ボルナソス大佐「また、松井元帥に助けられました。それと・・・」
松井元帥(通信)「・・・どうした?」
ボルナソス大佐「・・・自分は、この撤収戦の陣頭指揮を執ります。生きて帰ってくる保証はありません」
松井元帥(通信)「・・・なに、君だったら何があろうが帰ってくると思っている」
ボルナソス大佐「松井元帥・・・最高の兵器を、ありがとうございます」
松井元帥(通信)「・・・生きて帰って来い!」
ボルナソス大佐「・・・了解!」
ボルナソス大佐は、周辺に置いてあった書類に火をつけると、臨時司令部を飛び出していった
第七十一話 続く
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:05 -
  
「敷島」の最後。とりあえず陸上戦闘は終わりました。

第七十一話 名将たちの旭日旗
遊撃部隊である日戦軍団第一一五中隊の指揮を執る佐藤大尉は、全部隊撤収の命令を聞いた
ガランタン大尉(通信)「この通信は送信のみで行われる。遊撃部隊全軍は直ちに会合点へ避難せよ。繰り返す、遊撃部隊全軍は直ちに会合点へ避難せよ!」
佐藤大尉「・・・ここまでか。全隊員に告ぐ。直ちに『伊−901』との会合点に急げ」
そこに、もう一つの遊撃部隊、第一一三中隊がやってきた
矢矧中佐「・・・佐藤、撤収だそうだな」
佐藤大尉「司令・・・我々が戦っても、キュワールの壊滅は免れないんでしょうか・・・」
矢矧中佐「・・・それは我々の、奮戦次第だろうな・・・」
佐藤大尉「いえ、そういう意味ではないんです。我々いずれ敵部隊を撃退しても、結局、次に襲来するのはもっと大規模な部隊のはずです」
矢矧中佐「・・・そうだな。今回の戦闘もそうだ。表面で敵部隊に大打撃を与えても、敵は更に増援を送ってくる」
佐藤大尉「・・・どうなってしまうんでしょうかね」
矢矧中佐「・・・俺にも、分からない。今は、とりあえず『伊−901』まで走るまでだ。皆が待っている」
レジスタンス将校「・・・そうですな。今日は生き残れただけで、満足です」
所々で爆発する榴弾の音を背に、彼らは後退を開始した

同時刻、居住区郊外
ガランタン大尉(通信)「・・・繰り返す、遊撃部隊全軍は直ちに会合点へ避難せよ!」
池内一等兵は、その通信を走りながら聞いた
「会合点」は「敷島」の待機地点の先にある。「敷島」は既にそこで待っているはずだ
池内一等兵「線路を探せば、いずれ『敷島』にたどり着く!」
池内一等兵は、郊外を走った
そして、踏切を見つけた。線路だ
池内一等兵は線路を辿り、「敷島」を探した
その時、背後から何か声が聞こえた
所属不明兵士「・・・敵兵捕捉!何か、チョロQを載せています!」
所属不明将校「よし、直ちに確保せよ!」
おそらく、敵兵であろう
池内一等兵「しっかり、掴まってて!」
池内一等兵はそういうと、加速した
敵もそれに気づいた。一斉に砲撃を開始する
それをかわし、「敷島」へ向かって走り出した

一方、重装甲列車「敷島」司令室
敵部隊は見られなくなり、待機地点に陣取る「敷島」は特別することも無くなった
後は道標としてここに立ち尽くすのみか
清水中佐「・・・目立つからって、これじゃやることねぇなぁ・・・」
その時、砲塔に陣取る兵士が言った
敷島搭乗員B「所属不明戦車、数両、こちらへ向かってきます!九時の方向!」
清水中佐「敵か?」
清水中佐は砲塔上部へと上がった
確かに、そうだ。日戦軍団兵士と思われる戦車が、敵兵と思しき戦車に追われている
清水中佐「砲術長、味方が敵に追われている、助けるぞ!一発で仕留めろぉ!」
砲術長「了解!」
前方警戒車の120mm加濃砲と、90mm滑腔砲が旋回する
砲術長「目標、左側後方、敵戦車!」
敷島搭乗員D(通信)「前部加濃砲、照準良し!」
敷島搭乗員F(通信)「後部左側滑腔砲、照準良し!」
砲術長「照準良し!・・・テーーーッ!」
二発の砲弾が放たれる
砲術長「次弾装填急げ!」
狙うは、敵部隊である

池内一等兵も、その砲火を確認した
急旋回し、回避する
砲弾は、敵兵に直撃した
徹甲榴弾だ
砲弾は大爆発、数両を巻き込んだ
所属不明将校「くそぉっ、追撃を放棄、撤退するぞ!」
敵兵は、撤退した

「敷島」司令室も、それを確認した
敷島搭乗員C(通信)「敵戦車隊、撃破!支援部隊が救出に向かっています」
清水中佐「・・・うむ」
砲術長「・・・やりましたな」
清水中佐「・・・これまで、良くやってくれたな」
砲術長「はい、司令の指揮のおかげです」
清水中佐「ここまで生き延びれたのは、砲術長たちの見事な射撃のおかげだ」
「敷島」の各員は、お互いの生還を喜び合い、その功績を称えあった

その後、川津大尉らによって、池内一等兵は保護された
池内一等兵「・・・内装、変わったんですね」
敷島搭乗員E「ここでだいぶ改装しましたからね」
そして、司令室へ到達した
池内一等兵「第一一五中隊、溝口分隊所属、池内一等兵です」
清水中佐「溝口隊か。総司令官が良く話をしていたもんだ」
池内一等兵はこれまでの行動を説明した
清水中佐「・・・つまりは、上官とはぐれて困っていたところに、少し前にこれまたはぐれて困っていた子チョロQを助けてきた、ってことか」
池内一等兵「そうですね・・・」
清水中佐「・・・得したな。総司令官から何か貰えるかも知れんぞ」
そういった後、清水中佐は少し考えた
清水中佐「・・・よし、お前はその子供を連れて、会合点へ向かえ。溝口・・・もとい、佐藤大尉にはこっちから伝えておく」
池内一等兵「了解しました」
清水中佐「川津、お前らもだ。敵が大軍連れてやってくるとなりゃ、外の方が損害が増えるだろう。こっちは安全だし、元々殿を任された部隊だ。お前らも行け」
川津大尉「そ、そんな!」
清水中佐「この戦争は、生き残る物も必要だ。総司令官のよく言っていたことだ」
川津大尉「・・・了解しました」
そして、川津大尉ら支援部隊と、池内一等兵は撤退した
清水中佐は、残った部下にこれからの作戦を説明した
清水中佐「諸君、今回の戦闘の最終作戦だ。弾薬は残り僅か。友軍が全員撤収した後、残った砲弾を撃ち尽くしてから撤退する!」
時間稼ぎと、敵部隊の損害を増やす、二つの意図を込めた戦法であった

数十分後、友軍残存部隊が到着。その数キロ後方には・・・予想通り、敵部隊がいた
砲術長「・・・よし、俺が命令したら撃て。それまで待つんだ」
友軍部隊は、「敷島」の脇をすり抜けていく
そして、全部隊の撤収が完了した
砲術長「今だ、テーーーーーーッ!」
一斉砲撃が始まった。壮烈な砲火が敵兵を襲う
そして、残存していた数斉射分の弾薬を使い果たした
清水中佐「総員、脱出!」
全隊員が、一斉に脱出する

残存する敵部隊、進撃を開始する
「敷島」には既に多数の爆薬が仕掛けられていた
砲術長「総員、退避完了です」
敷島搭乗員B「装備品もありったけ持ってきました」
敷島搭乗員A「全く、それは余計だろ」
清水中佐「よし、爆破ぁっ!」
そう叫ぶと、清水中佐は手元の爆破スイッチを押した
突如、「敷島」が業火に包まれた

装甲列車が業火に包まれ、大爆発を起こした
それを見た第1300大隊司令、ヴェスパ中佐は唖然とした
ヴェスパ中佐(車種:ティーガーI)「・・・なんてことだ・・・」
損害は、甚大であった
ヴァンガード少佐(支援部隊司令。車種:IV号a型10.5cm対戦車自走砲)「連中は装甲列車に自爆装置を搭載していたようですね・・・」
ヴェスパ中佐「想像以上に、恐ろしい奴らだ・・・」
業火は、留まる事を知らなかった

同時刻、潜宙艦「伊−901」。艦橋上部には磯子大佐がいた
磯子大佐「・・・よし、『敷島』の隊員だ」
「敷島」搭乗員を待っていたのだ
最後尾の清水中佐が飛び乗り、艦内へと降りていった
磯子大佐もそれに続き、ハッチを閉めて艦内へと降りた
磯子大佐「全艦、潜航開始!」
栄少佐「急速潜航!深度二〇〇まで潜れ!」
四隻の潜宙艦は、直ちに潜航、深度二〇〇を維持し、一路デヴォリアへ後退を開始した・・・
第七十一話 続く
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:07 -
  
サーロイ近辺の航空戦。副操縦士が実質上指揮官です

第七十一話 名将たちの旭日旗
同時刻、第四飛行場。各航空機の出撃準備が完了した
普段どおり、CPUを操縦席に装備し、操縦席後部に「本体」を配置する
今度は補給用の空母はいない。目的地までの長距離を飛べるのは我が零戦だけだ
連邦の精鋭飛行隊は、ここにはいない
足の短い機体は、これからの長距離に耐えられないのだ
京城少佐「菱沼・・・だいぶ指揮下の機体が少なくなったな」
菱沼少佐(通信)「仕方ないだろう。『デヴォリア・エクスプレス』の潜宙艦に潜特型はいないんだから」
京城少佐「潜特型がいても、搭載できるんだろうかねぇ・・・」
菱沼少佐(通信)「離着艦が出来なくても、乗っける事ぐらい出来るだろ」
京城少佐「そりゃ、そうだけどな。どのみち、これから先の戦闘に関わることは出来ないからな」
ノイン上等兵(通信)「『伊−901』から通信を受信、『離陸を許可』、以上です」
京城少佐「・・・出撃だってよ」
菱沼少佐(通信)「了解。にしても、ノイン上等兵って何で昇進しないんだ?」
京城少佐「確かに、上等兵って階級が似合う役職じゃないよな・・・」
機体のプロペラが回りだす
輸送機が次々と飛び立っていく
零戦、滑走路を走り出す
そして、離陸
Bv238C以外の、全機の離陸が完了した

最後に飛び立つことになった、Bv238C。なにぶん巨大な機体ゆえに、ここまで運んでくるのも、飛び立つのも大変である
既にプロペラは回りだしていた
駐機場を出て、滑走路へ到達する
その時、尾部銃座の当直兵が叫んだ
尾部銃座射手「後方、敵部隊発見!向かってきます!」
榴弾の爆発音が響く
副操縦士「離陸を急ぐぞ!」
ノイン上等兵「慎重かつ迅速に行わなければ・・・」
Bv238Cはゆっくりと速度を上げていく
敵部隊、それに追いつこうとする
尾部銃座射手「喰らえっ!」
尾部20mm機銃座、水平射撃をする
Bv238Cは速度を上げていく
敵の砲撃は続く
機体各所に装備された13mm機銃が迎撃する
そして、Bv238Cは徐々に高度を上げる
離陸は成功した
ノイン上等兵「離陸成功、これより目的地を説明します。目的地は、クリーク王国軍サーロイ基地です」
よりによって、目的地はサーロイ基地であった

各機の搭乗員は驚いた。何しろ、中立国として外惑星連合はおろか、キュワール連合軍さえも入港を禁じているサーロイである。下手をしたら撃墜されかねない
まして、サーロイ近辺では複数の偵察機が行方不明になっている
少し前も、日戦軍団で偵察を強行した一〇〇式司令部偵察機が行方不明になったばかりである
部内では「クリークの戦闘機に撃墜された」という噂まで流れているのだ
京城少佐「サーロイって、クリーク王国のサーロイ基地・・・」
菱沼少佐(通信)「なんで連合軍はあの周辺に基地を一つも作らなかったんだ・・・」
日戦軍団航空兵A(通信)「・・・大体、Qシュタイン連邦が月面基地を放棄したことに問題があるんだ」
日戦軍団航空兵B(通信)「あれは第一次キュワール大戦時に破壊されたって話を聞いたが・・・」
日戦軍団航空兵C(通信)「じゃあ、どうやってカリスト人を撃退したっていうんだ?グルンシュタット級といえど、どこかに補給施設が必要なはずだ。それにあの機動性の高いUFOをグルンシュタット級だけで撃退するのは困難だぞ」
京城少佐「・・・なんにせよ、俺達はそこに行かなければならない。仕方ない話だ」
航空隊は、サーロイへ向かって飛行を続けた

クリーク王国軍、サーロイ基地
パレンバンにおいて、航空隊がサーロイへ飛び立ったとの報告が入った
基地司令「第110航空隊へ、直ちに出撃せよ」
クリーク航空兵(通信)「了解!」
十二機の戦闘機が、一斉に飛び立っていく
彼らは、キュワール連合軍に銃を向けるのだろうか
それとも、迫り来るラファリエスの脅威から守り抜こうとするのだろうか・・・

同時刻、サーロイ近辺、Bv238C機内
離陸時の緊張も収まり、再び平時の状況となった機内。銃座の射手も一休みしていた
副操縦士「宇宙の飛行ってのも、暇なもんだな」
前部銃座射手「似たような星々が並んで、全く単調な景色だ」
尾部銃座射手「全く、これほど退屈な飛行任務が・・・んっ?!」
副操縦士「どうしたっ!?」
尾部銃座射手「敵機多数、後方より接近!」
ノイン上等兵「なにっ!?」
電探手「20・・・30・・・40・・・50・・・まだ増えます!」
尾部銃座射手「射撃準備良し!」
電探手「70・・・80・・・90・・・100!敵機、約一〇〇機!」
副操縦士「各機、迎撃準備急げ!」
事実上の副司令官である、副操縦士が指示した
そもそも上等兵であるノイン上等兵は、指揮権はあまり無いのである

副操縦士から指示が下った。もっとも、指示が下らずとも分かっていたことである
京城少佐「各機、迎撃態勢にかかれ!」
京城少佐は普段どおり、急上昇させた
敵、Gu−117の後方へ付く
パレンバン上空の航空戦と比べれば、楽な物であった
機銃を撃つ。敵機撃墜、機を急旋回させる
京城少佐「敵、Gu−117を撃墜!」
菱沼少佐(通信)「フォッケウルフもどきは、大した事ねぇな」
京城少佐「油断はするなよ!」
菱沼少佐(通信)「分かってらぁ!」
襲い来るロケット弾。これを回避し、急上昇、敵機の背後につく
強化型のGu−119であれど、京城少佐の手にかかれば零戦に対するF4Fのような物であった
ふと見れば、ラグラ中佐機が多数の敵機を撃墜していた
状況は互角である
第七十一話 続く
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/24 23:07 -
  
クリーク軍登場。菱沼少佐にようやくキャラクターとしての個性が見えてきました

第七十一話 名将たちの旭日旗
だが、徐々にサーロイ基地に近づきつつあった
事実上の鎖国状態にあるクリークの領空に突入する。恐ろしい事態が起こる
下手をすれば重傷車もろともこの空域で散ることになる
その時、一機のGu−119を始め、数機の機体が友軍He−111に近づきつつあった
操縦桿を握るルドルフ曹長は、側面より迫る敵機を見た
ルドルフ曹長「これまでか・・・」
右側銃座射手「畜生!」
その時、敵機が爆発した
ルドルフ曹長「何ッ!?」
副操縦士「ど、どういうことだ?!」
右側銃座射手「所属不明の戦闘機を発見!」
戦闘機は、P−38のような形状で、胴体後部にプロペラがついていた
日戦軍団の「閃電」に良く似ていた
翼部には、イギリスの識別記号に酷似したマークが描かれていた
クリーク王国の機体だった
ルドルフ曹長「クリーク王国機!?」
副操縦士「中立国の癖に、何かといちゃもん付けて来やがるな・・・」
所属不明航空兵(通信)「双方、直ちに戦闘を中止せよ!当空域はクリーク王国の領空である!」
その通信を聞いたのか、ラファリエスの航空機が撤退していく

数機、クリークの戦闘機めがけて飛んでいく
しかし、一機を残して撃墜された。残る一機は包囲され降伏した
Bv238Cの機内は騒然となった
副操縦士「畜生!連中め、自分達の領域だからって好き勝手やりやがって!」
所属不明航空兵(通信)「こちらはクリーク王国空軍第110航空隊のグロウス少佐だ。サーロイ基地への着陸意図を問いたい」
副操縦士「ずいぶん偉そうな・・・」
ノイン上等兵「重傷車を搬送しています。至急手当てをお願いします!」
グロウス少佐は少し黙った。途中で通信が一時途絶えた
司令部と話をしているのだろう
しばらくすると、再び通信がつながった
グロウス少佐(車種:Strv.m/42)(通信)「時間と、諸君の行動に関して制限をつけるが、着陸を許可する、とのことだ」
ノイン上等兵「了解!」
通信は切られた
副操縦士「全く、同じキュワールのチョロQだってのに、ずいぶんと偉そうな物言いだな」
ノイン上等兵「仕方ないですよ、鎖国状態なんですから」
副操縦士「だいたいなぁ、キュワール連合が出来てるってのに今ごろ鎖国状態なんて、『キュワールの警察』が黙っちゃいねぇぜ」
ノイン上等兵(・・・確かに、鎖国しているクリークに、プロトン合衆国は何らかの調査団を送るのが普通だが・・・)
尾部銃座射手「分かりましたよ、大尉!」
副操縦士「何だ?」
尾部銃座射手「何とかバスターっての撃ってたじゃないですか、この前の戦闘で」
副操縦士「ああ、そういえば」
尾部銃座射手「合衆国はあれを警戒してるんですよ!」
副操縦士「・・・もしかしたら、そうかもしれんな・・・」
輸送機隊は、ゆっくりとサーロイ上空へ到達した
眼下には見慣れない施設もいくつか見える
無数の対空火器に紛れて、巨大なレーザー砲と思しきものもある
いずれにせよ、以前見たときとは相当形相が変わったものである
滑走路が見えた
グロウス少佐(通信)「あの滑走路へ着陸せよ、とのことだ」
ノイン上等兵「了解!」
副操縦士「・・・全く、なんでもかんでも指図しやがって・・・」
ノイン上等兵「通信、入ってるかもしれませんよ」
副操縦士「・・・そうだったな」
そして、着陸。機体は停止した

数日経ったらまた離陸が待っている。それまでの休息だ
ふと、飛行場を眺めると、駐機場にBv141の姿があった
ノイン上等兵「Bv141?クリークには無い機体・・・」
副操縦士「連中がとっ捕まえた機体だな。全く、何で帰さねぇんだ・・・」
副操縦士の大尉は、どうやらクリークに何らかの不信感を抱いているようだ
空軍重爆飛行隊の出である彼は、ノイン上等兵とは異なり飛行機の道を突き進み、大尉まで上り詰めている
六発機操縦免許を持つ数少ないパイロットとして重用されていたが、ノイン上等兵がBv238Cの操縦を敢行してから二番手に成り下がっていた
そういう不満が、クリークの鎖国体制にぶつけられていたのだろう

菱沼少佐も、ある意味それに似たものを感じた
というのも、Bv141の近くに、一〇〇式司令部偵察機の姿を見たからだ
菱沼少佐「・・・同僚の機体だ・・・」
日戦軍団の識別マークである日の丸が描かれた機体。明らかに日戦軍団の機体だ
菱沼少佐「・・・連中は・・・どうして何も言いに来なかったんだ・・・」
京城少佐「おお、菱沼!」
菱沼少佐「京城、これを見ろ・・・」
京城少佐「陸軍の一〇〇式司偵じゃないか・・・」
菱沼少佐「連中、管轄は違えど日戦軍団の隊員をとっ捕まえて、総司令官に報告もしなかったんだ・・・」
菱沼だって、松井元帥に届けられた通信の全てを知っているわけではない
しかし、今まで基地の奪回により捕虜が釈放された際には、他国の兵士であっても会報である「日戦軍団通信」に載っていた。しかし、数日前に行方不明になったこの一〇〇式司偵の搭乗員に関しては「クリークの戦闘機に撃墜された可能性有り」と書かれていた当日の記事以来、何も書かれていなかった
京城少佐「・・・そんなこと言っても、連中にだって何か事情があるはずだぜ」
菱沼少佐「日戦軍団もQシュタイン連邦も、クリークの中立宣言の際には、前線の基地からクリークのチョロQたちを率先して引き上げさせたじゃないか。それなのにこの仕打ちって変だぜ?」
京城少佐「・・・この基地には、何か秘密がありそうだ・・・とにかく、用意された部屋にでも行くぞ」
菱沼少佐「ああ、そうだな」
二両は話し終えると、用意された宿泊施設へと向かった・・・

「宿泊施設」と言っても、用意されたのは重傷車がいるベットが並べられた部屋と、航空機搭乗員達のいる大部屋の二部屋だけだ
副操縦士「・・・機長、何かこの基地、変わっちまったな・・・」
ノイン上等兵「・・・そうですね。前に入った時は歓迎してくれたんですが・・・」
副操縦士「開戦前だからじゃないか?」
ノイン上等兵「・・・平時でも戦時でも、キュワールのチョロQたちは一致団結すべきだ、ってここの士官が言ってたんですがねぇ・・・」
副操縦士「・・・総司令部の諜報主任のシュラムって知ってるか?」
ノイン上等兵「ああ、第三次キュワール大戦時に暗躍したって噂の・・・」
副操縦士「開戦前にドガスデンに寄った時に、ドガスデンにいた士官に聞いたんだ。第三次キュワール大戦が膠着状態のまま長引いたのは、シュラムの暗躍の影響だってよ・・・」
ノイン上等兵「諜報主任とここの基地と、何の関係があるんですか?」
副操縦士「・・・諜報主任といってもな、シュラムは部内に相当のシンパを持ってる。なにかこの基地に根回しでもしてたんじゃないのか?って俺は思ったんだ」
ノイン上等兵「大尉の思い過ごしだと思うんですがねぇ・・・」
副操縦士「陸軍の若造には分からんかもなぁ・・・」
ノイン上等兵「あいにく、自分が飛んだのは最近のことですからねぇ・・・」
二両は、異様なまでの警戒態勢と、諜報主任との因果関係に関して考えていた
それをよそに、京城少佐はふと考えた
京城少佐(He−111を救ったあの最新鋭戦闘機・・・基地の大型レーザー砲・・・)
最新鋭戦闘機は「閃電」に良く似ていた。追従していた機体も見かけこそP−40に似ていたが、性能はその数段上であった
確かクリークには何機か零戦を研究用として輸出したことがあったが・・・
京城少佐「・・・クリーク王国は生産能力こそたいしたことは無いが、技術力そのものは我が日戦軍団のそれと同等、いやそれ以上。侮れない相手だな・・・」
クリーク王国と交戦することは無いだろうが、あの空域でのことや、菱沼の言動があったため、どうもクリークはキュワールに反旗を翻すのではないかと思ってしまうのだ

同時刻、ベータ基地。「紀伊」で無線を受信した松井元帥は、ドニゲッテル少将に事を報告すべく臨時司令室にいた
松井元帥「パレンバンでの撤退は、成功したそうだ」
ドニゲッテル少将「そうでしたか・・・」
松井元帥「いずれ、あの基地に再び旭日旗を揚げさせて見せるさ」
ユゴス少佐「・・・しかし・・・」
松井元帥「・・・俺達は、遂に帰る場所を失ったぞ」
ユゴス少佐「・・・補給線が途絶えましたね」
松井元帥「後は敵さんの兵糧攻めだな・・・」
その時、通信兵が駆け込んできた
日戦軍団通信兵「司令!大変です!」
松井元帥「どうした?!」
日戦軍団通信兵「大日本帝国の大艦隊が、セイロンに向かっています!」
松井元帥「セイロン!?」
ドニゲッテル少将「何故セイロン基地を!?」
日戦軍団通信兵「分かりません・・・」
何故デヴォリアではなく、セイロンなのだろうか
デヴォリアのほうが戦略的要所であるにも関わらず・・・
しかし、セイロンが陥落するとキュワールは完全に孤立する。敗戦濃厚となった戦局だが、最後の最後まで戦わなければならない
運がよければ戦局を打開できるかもしれない
松井元帥「・・・伊原、直ちに幹部を集結させろ」
一緒に司令室に来ていた伊原航海長に、指示を出した
伊原少佐「待ってましたぁ!」
数分後、第一特務艦隊全幹部が集結した
松井元帥「・・・諸君に、おそらく第一特務艦隊最後となるであろう作戦を説明する・・・」
「紀伊」は、果たしてどうなるのか・・・

同時刻、セイロン沖
第一艦隊旗艦「近江」の艦内で、大日本帝国連合艦隊の司令長官である小澤大将が、自身満々に叫んだ
小澤大将「まもなく作戦を開始する!これより、キュワール連合軍の一大拠点であるセイロン基地へ、総攻撃を開始する!」
・・・そう、彼らは勘違いをしていたのだ
デヴォリアではなく、セイロンをキュワール連合軍の要塞だと確信していたのだ
戦局は、外惑星連合優位に戻っていた・・・
第七十一話 終わり
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 ダークスピリッツ  - 2007/10/25 23:15 -
  
第七十一話お疲れ様ッス!^^
今回はパレンバン陥落という事で設定を作らせてもらいましたが終盤にチラッとセイロン攻撃宣言の場面やサーロイ基地寄港の場面も作りました

撤退時には「敷島」が最後の時間稼ぎをしましたねしかしそこで「敷島」は木っ端微塵になったわけですが^^;

あとクリーク軍の装備や兵士の車種は主に中立国であるスウェーデン(最近は西側に偏ってきているが)や枢軸国だったフィンランド等の中立国やあまり目立たなかった国からとっています。でも艦船は無きに等しいのでそこらへんは自作の予定です

中盤〜終盤で池内一等兵が子供チョロQを助けますがこの関係はまだ続く予定です

終盤で旧式となりつつあった零戦の出番が来ましたねまあ紫電改も参戦していますが・・・・菱沼少佐も個性が出てきていますね京城少佐共々今後の活躍を考えています^^

助けられたHe−111にはルドルフ曹長が乗っていたとは・・・考えてなかった;でも最近ルドルフ曹長の影が薄くなってきていますね(そりゃお前のせいだ
いずれ活躍させたいと思います
そしてBv238の副操縦士はなにやらクリークやノイン上等兵に不満を持っている様子。

次回ではセイロンが陥落。そしてベータからルナツーへ向かっていた輸送船団にデトロワの魔の手が・・・そして内惑星連合盟主であるオルキスが降伏。徐々に悪化していく戦局・・・しかし松井元帥はじめ「紀伊」のクルーはあきらめず攻勢に転じるっていうのがこれからのシナリオですハイ^^;

あと第六次キュワール大戦後から半分以上パラレルとして展開していますが今後グリシネ王国が崩壊するシナリオを描きたいのですがさすがにダメでしょうか?
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十一話
 松井一真  - 2007/10/25 23:46 -
  
> 第七十一話お疲れ様ッス!^^
> 今回はパレンバン陥落という事で設定を作らせてもらいましたが終盤にチラッとセイロン攻撃宣言の場面やサーロイ基地寄港の場面も作りました

セイロン攻撃は思いっきり勘違いですな。この勘違いが後にどうなるのか、気になるところです
サーロイのシーン・・・これは副操縦士等の話の時にしますか

> 撤退時には「敷島」が最後の時間稼ぎをしましたねしかしそこで「敷島」は木っ端微塵になったわけですが^^;

下の方のスレッドに「弥栄堂」なる方のレスがありますが、「敷島」の原案となった「試製四一式重装甲列車『敷島』」の登場する作品「甲鉄傳紀」シリーズの作者です

訂正。前方警戒車の120mm加濃砲、あらためて原案の「敷島」イラストを見ていたら、九〇度限定浅海ではなく一八〇度限定旋回(つまり、右側にも旋回できる)でした

ちなみに、「敷島」は相当数生産されているという設定で、本土にはいくらでもあるようです

> あとクリーク軍の装備や兵士の車種は主に中立国であるスウェーデン(最近は西側に偏ってきているが)や枢軸国だったフィンランド等の中立国やあまり目立たなかった国からとっています。でも艦船は無きに等しいのでそこらへんは自作の予定です

確かに、スウェーデンやフィンランドの兵器が所々に。しかし、シュラムってT−35改なんですよね。まあ、フィンランド軍には鹵獲した多砲塔戦車が配備されていたので良しとしますか。そうなるとブリテンが・・・
まあ、こういうことはQシュタイン大陸南方の国々にはよくあったことなので仕方ないんですが

クリークは今回の基地司令を始め、上層部は名前が出てないんですよね

> 中盤〜終盤で池内一等兵が子供チョロQを助けますがこの関係はまだ続く予定です

あまり個性が描けないまま戦死した田辺や平岡、それに対し、残存する溝口分隊や、よりによって「紀伊」へ配属された藤田は、うまいこと個性が描けるかどうか

ちなみに、清水中佐に関してはいわゆるアウトロー的指揮官として出す予定でした。「よしおめぇら、行くぞぉ!」はそこからです
砲術長なんかは事実上の副司令官といったところで。ちなみに、列車隊時代のガランタン大尉は副司令官兼無線士だったようです

> 終盤で旧式となりつつあった零戦の出番が来ましたねまあ紫電改も参戦していますが・・・・菱沼少佐も個性が出てきていますね京城少佐共々今後の活躍を考えています^^

京城少佐は単に空中戦が得意な若きパイロットとして、菱沼少佐は戦闘よりもむしろ戦局を読むベテランパイロットとしての登場を予定しています。階級は同じなので溜め口で話し合ってます

兄である京城大佐とその相棒新竹大尉など、飛行兵は登場数が多いので相当個性を出す必要があります
劇中で名前だけ登場した本郷や稲荷坂といった、四四式戦爆に乗っている面々はサーロイを出てどこか別の基地に配属されているはずなので、こちらも動向が気になる次第

> 助けられたHe−111にはルドルフ曹長が乗っていたとは・・・考えてなかった;でも最近ルドルフ曹長の影が薄くなってきていますね(そりゃお前のせいだ
> いずれ活躍させたいと思います
> そしてBv238の副操縦士はなにやらクリークやノイン上等兵に不満を持っている様子。

「一緒にパレンバンに来て、しかも航空免許を取得したくせに出ていないのは変だ」ということでルドルフ曹長を出しました。ボルナソス大佐が相当気に入っていたようですな
元々ルドルフ曹長の方がストーリー上出てくるのが先なのに、出番はノイン上等兵の方が多いので、そういうところから今回脇役での登場です

副操縦士は、ノイン上等兵が「上等兵」であるにも関わらず機長、しかも飛行隊隊長兼任までしているという「陸戦兵としての功績の癖に航空兵としての優遇がされている」ノイン上等兵や、「もともと同じキュワールの国であるにも関わらずやたらと偉そうな態度をとる」クリーク王国にやたらと不満をぶつけています。Bv−238Cは良く出てくるため、乗員に個性を出そうということで出しました
これ以外にも銃座の射手とか、通信士が乗っているはずです

大型航空機は(旅客機を含めて)機長が主操縦士を兼ねるので、副操縦士が事実上の副機長になっています


> 次回ではセイロンが陥落。そしてベータからルナツーへ向かっていた輸送船団にデトロワの魔の手が・・・そして内惑星連合盟主であるオルキスが降伏。徐々に悪化していく戦局・・・しかし松井元帥はじめ「紀伊」のクルーはあきらめず攻勢に転じるっていうのがこれからのシナリオですハイ^^;

ようやく「紀伊」が本格的に主役になります。松井元帥がここぞとばかりに大活躍しそうです
もはや藤田やティーガー元帥が合流したのもこのためのような物です

> あと第六次キュワール大戦後から半分以上パラレルとして展開していますが今後グリシネ王国が崩壊するシナリオを描きたいのですがさすがにダメでしょうか?

グリシネ国ですか。事実上崩壊寸前の国なので、「空軍軍閥側と陸海軍及び民事政権側の分裂」というものの方が作品的な面白さが出そうですが
実は僕も既にグリシネ国が分裂するというプロットを書いていたので、ちょうど良かったです
参謀本部の面々はある意味「初めて個性らしき物が出てきた面々」だったりするので、重要な役どころだったりするとうれしいのですが
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宇宙戦艦紀伊 第七十二話
 松井一真  - 2008/2/3 22:01 -
  
ものすごく久々になった気がする第七十二話。本年度初の作品です。

第七十二話 崩落の始まり
キュワール連合軍、セイロン基地
元々はQタンク王国軍の観測所だったところだ
しかし、この方角に「アマティス」という惑星が発見されて以来、それまで駆逐艦隊数個が配備されていたに過ぎなかったここに、大規模な艦隊が配備されたり、近辺には「デヴォリア」という要塞が建設されたりと、戦争により大発展したところである
ただ、「大規模な艦隊」といっても、その主軸は軽巡洋艦で、かつての哨戒艦隊の性格を大きく残す物であった
その大艦隊さえも、大半はデヴォリア方面に移行しており、かつての静けさを取り戻したようでもあった
しかし、「彼ら」はここを重要な基地と「勘違い」し、襲撃したのだ
Qタンク通信兵「敵艦隊捕捉!数、戦闘艦らしきもの五〇〇以上、その他輸送船と思しきもの約二〇〇!」
セイロン基地司令「総員退避急げ!持っていけるだけの物資を持っていけ!」
過去の戦闘と比べると、ずいぶんと早い撤退である
それもそのはず、この基地はたいした武装も無く、停泊している艦隊も軽巡洋艦を主軸とした艦隊がいくつかいるに過ぎないのだ
その艦隊も、撤退する船団を護衛する物と、敵艦隊と交戦する「時間稼ぎ」の二派に分ける必要があるのだ
基地司令は残っていた機密文書を焼却すると、港へと走っていった

パレンバン沖、日戦軍団輸送潜宙艦隊
深度二八〇に潜航する四隻の潜宙艦は、爆雷の猛威に曝されていた
相手は幾多もの連合軍潜宙艦を葬ったラファリエス艦隊である
もっとも、日戦軍団の潜宙艦がラファリエスの通常戦闘艦艇に撃沈されたという報告は無い
磯子大佐「このまま乗り切れるだろうか・・・」
栄少佐「敵さんも馬鹿じゃありませんからね。仮にも連合軍潜宙艦を数十隻撃沈した相手です」
未だ、爆雷投下は続けられている

一方、ラファリエス艦隊も、爆雷攻撃での撃沈を不可能と見なし、対潜魚雷攻撃を実行に移した
艦長「雷撃準備急げぇ!」
高性能だがコストが高く、爆雷での撃沈を不可能と見なした際にのみ用いられる最終兵器だ
水雷長「深度三一〇に調定!」
ラファリエスの対潜魚雷は、深度三〇〇以上にも調定可能な新型魚雷である
しばらくして、全艦の対潜魚雷調定が完了した
通信長「全艦、魚雷調定完了です」
艦隊司令「・・・テーーーーーーーッ!」
数隻の駆逐艦から、対潜魚雷が発射された

敵駆逐艦から、対潜誘導魚雷が発射された
磯子大佐「全艦に通達、深度三二〇まで潜航!」
栄少佐「深度三二〇まで潜れ!」
四隻の潜宙艦は一斉に艦首を下げる
しかし、最後尾の「伊−904」は少し遅れていた
聴音手「『伊−904』、現在深度二九〇!」
磯子大佐「まずいぞ。このままでは間に合わない・・・」
航海長「現在深度三一〇!」
魚雷は徐々に接近しつつある
航海長「深度三二〇!」
水測長「『伊−904』、現在深度三〇〇!」
栄少佐「もっと急げないのか!?」
磯子大佐「904潜も全速で潜っているはずだ。しかし・・・」
水測長「魚雷、全部『伊−904』へ向かっています!」
聴音手「命中まで十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、今!」
その時、聴音機から爆音が響いた
急いでヘッドフォンを投げる聴音手
聴音機が壊れんばかりの爆音が鳴り響いた後、探信儀に「伊−904」の被害状況が表示された
水測長「『伊−904』・・・魚雷十四本命中、大破・・・」
通常の潜水艦なら、一瞬で圧壊していただろう
しかし、日戦軍団の大型潜宙艦は、巡洋艦との砲撃戦にも絶えうる装甲を有しているのだ
とはいえ、魚雷十四本は、戦艦でさえ撃沈はほぼ確定といっても良いぐらいの本数である
磯子大佐は通信機に駆け寄り、マイクを取った
磯子大佐「『伊−904』、応答せよ!」
しかし、応答は無い
磯子大佐「『伊−904』、応答せよ、応答せよ!繰り返す、『伊−904』、応答せよ!」
水測長「『伊−904』、沈下していきます・・・」
栄少佐「畜生・・・」
その時、探信儀に映る「伊−904」の深度表示が、徐々に止まっていった
聴音手「『伊−904』の舵が動いているようです」
栄少佐「何っ!?」
数十秒後、何かが回りだす音がした
専門用語で言えば「キャピテーション・ノイズ」。スクリューが発する音だ
その後、「伊−904」艦長、笠原少佐から連絡があった
笠原少佐(車種:三式砲戦車)(通信)「こちら『伊−904』、舵、機関共に復帰。一応、動けるぞ」
栄少佐「無事だったのか」
笠原少佐(通信)「気づいてみれば艦内が穴だらけでな。急いで乗員を起こして修理させた次第だ」
栄少佐「怪我してても、自分の命には替えられんからなぁ・・・」
磯子大佐「・・・しかし、デヴォリアへつくことは困難だろうな・・・」
通信長「パレンバン基地から電文です。『セイロン沖に大日本帝国軍の大艦隊が出現、セイロン基地に展開する連合軍艦隊と交戦せり』。以上です」
笠原少佐(通信)「先ほど言いそびれたので連絡します。先ほどの攻撃によりスクリュー及び機関を損傷しました」
栄少佐「セイロンに敵艦隊が現れたのでは、『伊−904』の修理もままならない。一旦、ルナツーに退避しましょう」
磯子大佐「うむ、そのほうがいいだろうな。通信長、すぐにチョロンネル中佐に打電してくれ」
通信長「了解!」
「伊−901」以下四隻は、針路を変更、ルナツー基地へと向かった・・・

キュワール連合軍、ルナツー基地。こちらも元々は補給基地だったところだが、幾度か前線基地として用いられたことから、かなりの発展を見せている
基地司令官もたびたび交代し、現在は開戦前から指揮を執っていたチョロンネル中佐が基地に戻っている
通信長「司令、日戦軍団の輸送潜宙艦隊から入電です。『こちら「伊−901」、僚艦が魚雷十四発を受け機関損傷、デヴォリアへの航行は困難と見なし、ルナツーへと寄港する』。以上です」
チョロンネル中佐「了解、すぐに受け入れ準備をする。それと、プロトン合衆国第三駆逐艦隊から、駆逐艦三隻を出迎えとして出すように、頼む」
駆逐艦隊司令、ベスレヘム大佐が応答する
ベスレヘム大佐「了解!」
チョロンネル中佐「戦闘宙域への航行は、メサイア戦以来だったか?」
ベスレヘム大佐「確かそうだったと思うな。何度も再編されてきたが、久々の出港だ。まあ、出迎えだけどな」
ベスレヘム大佐指揮の下、駆逐艦三隻が「伊−901」以下四隻の出迎えへ向かった・・・

同時刻、セイロン基地
基地内部は慌しくなっていた
飛行場からは無数の航空機が飛び立っていく
沖合いに展開する輸送空母に「着艦」するためだ
Qシュタイン連邦軍航空整備部の開発した「着脱式着艦フック」を装備した陸上機が、撤収のために飛び立っていく
その傍らでは兵士達が次々と輸送船に乗り込んでいた
Qタンク通信兵「司令!船が足りません!」
基地司令「止むを得ん。護衛艦艇にも乗せろ!」
Qタンク通信兵「了解!」
連合軍では初めての基地撤収作戦である

同時刻、セイロン基地沖合い
重巡「サレックス」以下第十五巡洋艦隊及び、軽巡「リアンダー」以下第二〇巡洋艦隊、駆逐艦「コンソルト」以下第十八駆逐艦隊、駆逐艦「コンダート」以下第一九駆逐艦隊といったQタンク王国艦隊は、重巡「ラージアル」以下Qレース第七巡洋艦隊、駆逐艦「春風」以下日戦軍団第一〇地方艦隊、軽巡「龍田」以下同第八地方艦隊と共に、セイロン基地撤収の「時間稼ぎ」を行っていた
第十五巡洋艦隊旗艦、「サレックス」。ライズドール大佐以下、艦橋要員は莫大な敵艦隊に呆然とした
戦艦八、高速戦艦四、軽空母二、重巡十二、軽巡八、駆逐艦三二の第一艦隊、戦艦二四、軽空母二、重巡二四、軽巡十六、駆逐艦四二の第二艦隊。この段階で、既に未曾有の大勢力だ
それだけではない。高速戦艦四、巡洋戦艦四、中型空母四、軽空母二、重巡三六、軽巡二〇、駆逐艦四〇の第三艦隊、戦艦二〇、空母六、中型空母四、重巡二四、軽巡十六、駆逐艦三〇の第四艦隊。傍目から見れば「哨戒基地に何故キュワール連合軍の艦艇全てを寄せ集めたほどの戦力を!?」とでも言いたいところだ
さらに、空母四、大型空母八、重巡十八、駆逐艦二六の第一航空艦隊までいる
これほどの大部隊を派遣しつつ、更に本土へも部隊を派遣するとは。大日本帝国は普通ではない
ライズドール大佐「・・・しかし、我々がここで踏み止まらなければ、多くの同胞が犠牲になる・・・」
艦長「両舷前進全速!」
第十五巡洋艦隊は、他のQタンク王国艦隊及びQレース民国艦隊と共に、敵第一艦隊へ接近した
測距手(通信)「距離、20000!」
艦橋員「敵艦、発砲しました!」
敵戦艦、十二隻が一斉に発砲した
光線、友軍艦を貫く
電探手「『シェブロン』、『シバルラス』中破!」
それでも、艦隊は止まることは無い
測距手(通信)「距離、15000!」
艦長「今だ!目標敵旗艦!」
ライズドール大佐「全艦、砲撃開始!」
巡洋艦三六隻が、一斉に火を噴く
全弾、直撃
電探手「・・・敵旗艦・・・損傷軽微の模様!」
艦長「損傷軽微!?」
ライズドール大佐「・・・電磁シールドか」
さすがは戦艦、三六隻の総攻撃を受けても、僅かに破片を撒き散らしながら突き進んでいる
敵艦隊は徐々に詰め寄ってくる
遂に敵巡洋艦も加わり、大規模な砲撃戦となった
敵第一艦隊とすれ違い、突破する
目前に、敵第二艦隊が近づく
艦橋員「敵艦隊、発砲を開始!」
友軍艦、敵艦のレーザーを受け、炎上、沈没する
だが、こちらも反撃する
艦橋員「敵巡洋艦、炎上!一隻・・・二隻撃沈!」
電探手「一隻大破!」
直後、レーザーが直撃した
艦橋に激震が走る
艦長、ようやく起き上がる
艦長「・・・被害報告!」
高射長(通信)「第五両用砲付近に命中!左舷両用砲は壊滅です!」
「サレックス」は炎上した
機関長(通信)「機関は異常ありません!至急撤退しましょう!」
ライズドール大佐「・・・輸送船団が当宙域を離脱するまでの辛抱だ」
通信長「司令!輸送船団から入電です!」
通信士「『宙域より退避完了、至急離脱せよ』、以上です!」
艦長「・・・助かったな。よし、面舵一杯、離脱する!」
ライズドール大佐「全艦に通達、至急当宙域を離脱されたし!」
キュワール連合軍は撤退した
被害は甚大であった
第七十二話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話
 松井一真  - 2008/2/3 22:02 -
  
輸送船団。結局船団司令の名前は出てません。

第七十二話 崩落の始まり
同時刻、大日本帝国第一艦隊旗艦「近江」
艦長「・・・敵艦隊、撤退していきます」
副長「司令、追跡しますか?」
小澤大将「・・・戦う意思の無い者とは戦えない。敗残兵を追いまわすほどの偽善は無いよ。我々は武士であるべきだ」
副長「司令?」
艦長「・・・司令の命令だ。追撃はするな。我々はセイロンを占領する」
小澤大将「退避している揚陸艦隊に連絡。敵艦隊は去った。直ちに上陸準備を行え」
大日本帝国の大艦隊は、それ以外特別抵抗も無く、セイロンに接近、占領した

ルナツー沖、プロトン合衆国籍、SP−87船団は、特に支障も無く航行していた
目的地、プロトンは目前である
しかし、見えない脅威は迫っていた
通信士「『発 偵察艦「ビストロイ」 宛 駆逐艦「ラーヌス」。敵輸送船団捕捉。数、大型輸送船四、中型輸送船六、小型輸送船六、護衛艦十四』・・・敵船団です!」
艦長「司令、来ましたな!」
ヴォルフ中将(車種:T−34/76)「よし、本艦及び『ウダロイ』以下三隻は砲撃準備!」
艦長「砲撃準備ぃ!」
艦体下から、巨大な砲塔が現れる
そして、非常に長い砲身が姿を見せる
その姿、スナイパーライフルの如し
ヴォルフ中将「全艦、砲撃始め!」
長い砲身から、光弾が発射された
その数、六発
通常のレーザーよりはるかに速い速度で、輸送船団へ向かっていった

SP−87船団、旗艦「オレアナ」。ルナツー寄港を前に、日戦軍団第三艦隊第五水雷戦隊に護衛を要請した。その時であった
電探手「船長、電探に光点・・・」
直後、すぐ横を進んでいた大型輸送船が爆発した
電探手「『ブリスク』、『フューリー』、『ハウェット』沈没!」
船長「一度に三隻だと!?」
船団司令「遠距離から一瞬で・・・」
電探手「あっ、また光点が!」
後方の中型輸送船がやられた。一隻、火を噴いている。小型輸送船も三隻が炎上している
それだけではない、護衛の駆逐艦までもがやられている
船団司令「周辺基地へ救援要請!第五水雷戦隊だけでは足りないぞ!」
このままではJT−18の二の舞だ。何としてでも救援を呼ばなければ・・・

ライトウォーター基地。通信席には宮下一等兵が座っていた
宮下一等兵(車種:九五式軽戦車北満型)「SP−87船団から救援要請!輸送船八隻と駆逐艦一隻が何者かに撃沈されたとのこと!」
川島兵長「パレンバンからやってきたのか?」
宮下一等兵「いえ、分かりません。長距離砲による攻撃だそうです」
川島兵長「付近に展開している艦隊は?」
宮下一等兵「護衛の駆逐艦及び小型戦闘艦計十三隻以外は、第三艦隊第五水雷戦隊のみです!」
鍋坂大尉「・・・司令!」
コピック中佐「無論だ。所属がどこであれ、我々は救援に向かわなければならない」
彩帆中将(通信)「第七艦隊は手空きだ。いつでもいけるぞ」
第七艦隊所属の重巡「那智」から通信が入った。彩帆中将だ。普段は「赤城」にいるはずだが
コピック中佐「・・・しかし、空母を出すわけには・・・」
彩帆中将(通信)「第十二戦隊だけで行く。相手はどうも、長距離砲を積んだ駆逐艦らしい」
「那智」に乗ったのはそのためのようだ
船山曹長「司令、速く行った方が」
艦長(通信)「両舷前進全速!」
彩帆中将(通信)「既に『那智』に移っている。出港許可を頼む」
コピック中佐「許可といっても、もう動いてしまってますからな。健闘を祈りますよ」
第七艦隊第十二戦隊が出港した。重巡「那智」「妙高」を始め、重巡二、軽巡二、駆逐艦十八の艦隊だ
二十二隻の艦艇は、一斉に港を出て行った

同時刻、ルナツー沖
第三艦隊第五水雷戦隊は、SP−87船団の護衛のためにルナツーを出港、そして同船団に接近していた
水城大佐(第五水雷戦隊司令。車種:四式中戦車)「救援要請?」
通信長「はい。既に輸送船八と駆逐艦一がやられているとのことで」
艦長「彩帆中将からの連絡では、長距離砲だそうです」
通信長「第七艦隊第十二戦隊が救援に出動したとのことです。それまでの時間、耐えましょう」
水城大佐「船団の護衛は十三隻。我々は駆逐艦『舞風』、『浦風』、『初月』、『若月』を護衛に残し、護衛艦隊の支援にかかる!」
四隻の駆逐艦を置いて、第五水雷戦隊は敵艦隊へ向かった

同時刻、デトロワ第一特科艦隊
駆逐艦「ラーヌス」を旗艦とするこの艦隊は、デトロワの最新鋭艦の実験部隊である
ヴォルフ中将「・・・本艦及び『ウダロイ』以下三隻は戦線を離脱。残りに任せる」
見張り員「敵艦隊接近!軽巡二、駆逐艦十七です!」
艦長「増援のようですな」
重巡が撃ち始める。戦闘は始まった

レーザーはプロトン軍駆逐艦に直撃した
爆発、炎上する駆逐艦
第五水雷戦隊旗艦、「川内」でもそれは見えていた
航海長「なんでオンボロを残しておいたんだ・・・」
艦長「合衆国はもはや張子の虎だ。俺達だけでやらなければいけない。目標敵駆逐艦、砲撃始めぇ!」
先任将校「撃ち方始めぇ!」
「川内」も撃ち始めた
砲撃は敵駆逐艦に命中。駆逐艦は炎上する
その時、敵艦の砲撃が直撃した
艦長「被害報告!」
日戦軍団兵士A(通信)「右舷に命中!戦闘に支障ありません!」
「川内」の乗員は日戦軍団創設以来のベテラン組である
末端の水兵さえも、入隊はCQ暦255年だ
何発ものレーザーを受けながらも、果敢に向かっていく
日戦軍団兵士A(通信)「右舷第三区において火災発生!」
日戦軍団兵士B(通信)「左舷第七区において火災発生!」
艦長「消火急げ!」
機関長(通信)「機関は異常ありません!まだいけます!」
水城大佐「巡洋艦をやるぞ。砲撃用意!」
艦長「砲撃用意!」
各部署で火災が起こっているが、それもあっさりと消し止め、駆逐艦三を撃沈、重巡一を大破させていた

電探を見ていた隊員が、光点に「DD NAGATSUKI」の文字を見て叫んだ
電探手「第五水雷戦隊です!追いついたようです!」
彩帆中将「間に合ったか・・・」
電探手「敵艦を捕捉。重巡四、軽巡二、駆逐艦十三・・・いや、十二です」
電探に見えた敵駆逐艦の表示が一つ消えた
彩帆中将「奮戦しているようだ。よし、一斉攻撃だ。攻撃用意!」
艦長「攻撃用意!主砲及び誘導弾を使う!照準は各々に任せる!」
砲手(通信)「第一主砲、攻撃準備良し!」
砲手(通信)「第二主砲、攻撃準備良し!」
砲手(通信)「第三主砲、攻撃準備良し!」
砲手(通信)「第六主砲、攻撃準備良し!」
砲手(通信)「第七主砲、攻撃準備良し!」
ミサイル手(通信)「誘導弾、攻撃準備良し!」
艦長「よし、砲撃始めぇ!」
一斉砲撃を開始。主砲弾、駆逐艦に命中、炎上する
ミサイルが軽巡に直撃、軽巡、火を噴く
第五水雷戦隊も撃ち始める
駆逐艦、もう一隻炎上する
その脇をすり抜け、重巡が撃った
見張り員「敵艦、発砲!」
艦長「取舵一杯!」
「那智」、急旋回で砲撃をかわす
その時、砲撃が僚艦の「妙高」に命中した
見張り員「『妙高』、被弾!」
艦長「こっちも油断できんぞ。面舵一杯!全主砲、目標は敵重巡、照準後砲撃始めぇ!」
砲塔、敵重巡に合わさる
そして一斉砲撃
重巡、爆発する
激戦続く
通信士「『妙高』、損害軽微とのことです」
艦長「よし、戦闘を続ける」
炎上する敵重巡に、ミサイルが直撃する
敵重巡、轟沈する
先の第五水雷戦隊の戦果をあわせ、重巡二、軽巡一、駆逐艦五を撃沈した
その時であった
見張り員「敵艦隊、円陣を組んでおります」
艦長「一旦敵艦隊から距離を置け。何かをするのかもしれない」
ベータ沖での実績からである
二個艦隊は一時退避した
電探手や見張り員が敵艦隊を監視している
その時、敵艦隊が突然動き出した
電探手「強力なエネルギー反応あり!」
直後、敵の光点が消失した
電探手「敵艦隊・・・消失!」
艦長「亜空間ドライブか!?」
彩帆中将「おそらくそうだろうな。それにしても、見慣れない船だった・・・」
艦長「・・・・デトロワとかじゃないですかね?」
彩帆中将「デトロワ・・・例の独立艦隊の報告にあった奴か。確かに、その可能性はありそうだ」
「妙高」は中破していた。無論、「那智」も無傷ではない
彩帆中将「これより本艦隊は、SP−87船団の護衛に移行、ルナツーに寄港する」
艦長「すっかり忘れてたな・・・」
日戦軍団艦隊と、残っていた十一隻のプロトン軍駆逐艦は、SP−87船団の護衛に戻り、ルナツーへと向かった
チョロンネル中佐(通信)「寄港を許可。よく生きて戻ってきましたな」
彩帆中将「全くだ。今回の実戦成績を生かしてくれよ」
チョロンネル中佐(通信)「了解です」
輸送船団の護衛さえも、実戦を考慮しなければならなくなった
非常に厄介なこととなった

同時刻、ロドリグ
司令官「我々は内惑星連合最後の希望として、キュワール連合軍と共同で反抗作戦を敢行する!」
派遣艦隊を編成し、キュワール連合軍と共に反抗の準備を整えていた
戦闘こそ起こっていないが、ファントムと共に軍事力は最強クラスである
防戦一方となっている内惑星連合だが、果たして反撃なるか

同時刻、メサイア沖
突如、二個艦隊が現れた
緑色だ。Qグリーンとデトロワの艦隊である
ヴォルフ中将「・・・侮りがたし、だな」
艦長「あれが、噂の日戦軍団ですか」
ヴォルフ中将「実戦試験で済んで、彼らも運が良かったな」
通信士「『アウグスト』から通信です。『ウダロイ級の実戦試験良好を祝す』、以上です」
ヴォルフ中将「彼らも損害を軽微に抑えられて良かったな。しばらくは一緒に戦いそうだ」
通信士「あの艦隊には伝説の偵察艦ってのがいるそうですね」
艦長「『ビストロイ』か。なんでも、ガンドルフ戦の頃から哨戒任務に参加していたそうだな」
ヴォルフ中将「ほほう、大戦初期の船か。長持ちした物だな」
艦長「だいぶ修復が入ってるそうですがね」
ヴォルフ中将「まあ、しばらくメサイアに寄港することになるな」
彼らは実戦試験に来ていたのだ
そして、しばらくはメサイアにとどまることとなった

同時刻、ルナツー基地
寄港した日戦軍団艦隊及びSP−87船団に続いて、見覚えのある大型艦が現れた
「紀伊」だった
彩帆中将「・・・松井元帥?」
水城大佐「新しい作戦でしょうか?」
第一特務艦隊の主戦力がルナツーへやってきたのだ。その中にはグリシネ海軍第三巡洋艦隊の駆逐艦の姿もあった
松井元帥は、司令部へとやってきた
松井元帥「第一特務艦隊、寄港いたしました」
チョロンネル中佐「改まる必要はありませんよ、松井元帥」
松井元帥「前任のドニゲッテル少将には世話になったよ。彼はベータで目下奮闘中だ」
チョロンネル中佐「・・・そういえば、何の任務なんですか?」
松井元帥「・・・後の訓示で説明しようか」
その後、「紀伊」の幹部が司令室に集結した
末端の士官さえもいる
その中には、藤田上等兵もいた
松井元帥「今回の作戦を説明する。今作戦は、パレンバン基地に展開するラファリエス軍艦隊に対する、奇襲攻撃だ」
ティーガー元帥「奇襲?!そりゃ事実上特攻・・・」
松井元帥「あくまで『奇襲攻撃』だ。生きて帰ってこられるはずだ。なお、今作戦では、Qタンク王国艦隊も参加する。・・・諸君、最後までついてきてくれるか」
ティーガー元帥「無論です!」
灰田大佐「先任将校、ついていきます!」
伊原少佐「航海長、無論です!」
大嵐少佐「砲術科、続きます!」
通信長「通信科、勿論です!」
角田少佐「艦載飛行隊、同じく!」
高射長「高射分隊、同じく!」
松井元帥「・・・諸君、感謝する」
相変わらず、こういうときには口下手だ
作戦の時は、近づいていた
第七十二話 終わり
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話
 ダークスピリッツ  - 2008/2/4 20:40 -
  
第七十二話お疲れ様です。ちなみにこちらは前期試験に落ちました;;;;

この話はデトロワ艦隊がQW星圏にまで来るのと大日本帝国がセイロンに攻め、そしてQW星内に侵攻する前兆としてシナリオを書きました。

また今回から艦隊全部を出動させるのではなく艦隊の一部隊が出動という形にしました。その方がリアル感があるかなと・・・

あと自分の設定としてはゆくゆくは大日本帝国がQW側に寝返り劣勢だった戦況を優勢にしていく・・・というシナリオがあるのですがどうでしょう?

現在第七十三話設定の投稿もそうですがプロトン合衆国宇宙軍艦艇というものを製作しています。これまで艦艇や航空機の設定が変わって大変申し訳ないんですが今回で多分本当に艦艇設定の大幅変更は無いと思いますのでご了承ください<(_ _)>
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十二話
 松井一真  - 2008/2/4 20:58 -
  
> 第七十二話お疲れ様です。ちなみにこちらは前期試験に落ちました;;;;

そうでしたか。こちらは来年、更に莫大な試験が近づくので、頑張らなくては。
後期のほうもあるのでしょうか?そちらはなるべく勉強に集中して、頑張ってください。

> この話はデトロワ艦隊がQW星圏にまで来るのと大日本帝国がセイロンに攻め、そしてQW星内に侵攻する前兆としてシナリオを書きました。

大日本帝国のセイロン侵攻、そしてデトロワ艦隊の襲来。デトロワは以前はたまたま周辺に迷い込んだプロトン第一独立艦隊と遭遇しただけでしたな。

今回、輸送潜宙艦の救援に第三駆逐艦隊が登場していましたが、あれは第一話で大損害を被った駆逐艦隊が再編成されたものです。「メサイア戦以来」という言葉はそこからです。

> また今回から艦隊全部を出動させるのではなく艦隊の一部隊が出動という形にしました。その方がリアル感があるかなと・・・

「第十二戦隊だけでいく」などと、珍しい戦術。今回は駆逐艦隊同士の小規模な戦闘なので、艦隊の一部が救援に出るという少々変わった展開ですね。
第一独立艦隊は毎回こういった出撃になるようですな。

> あと自分の設定としてはゆくゆくは大日本帝国がQW側に寝返り劣勢だった戦況を優勢にしていく・・・というシナリオがあるのですがどうでしょう?

大日本帝国が裏切るとは少々意外。ということは、寝返ったグリシネ空軍(の一部)はグンナ星に亡命する設定になりそうですな。
まさに先の読めない戦いとなってきました。

> 現在第七十三話設定の投稿もそうですがプロトン合衆国宇宙軍艦艇というものを製作しています。これまで艦艇や航空機の設定が変わって大変申し訳ないんですが今回で多分本当に艦艇設定の大幅変更は無いと思いますのでご了承ください<(_ _)>

プロトン合衆国は何度も設定変更が行われていますな。また活躍が増えそうです。
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んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


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