|
どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上、さくらがちる頃に。
|
戦闘。今回は非常に後ろめたい戦いにしました。
第七十五話 放浪の殲滅者
最新鋭のシステム戦艦「ホンゴウ」。その艦橋に、マクベイ中将はいた
この第7守備艦隊は、オルキスでは平均的な哨戒部隊である
戦艦「ホンゴウ」以下、戦艦「シラカミ」、装甲巡洋艦「アカツキ」、そして駆逐艦四で編成され、いずれも最高速度は80ktを越える
ただ、80ktは理論上であり、戦闘中に出せる最高速度は70kt、それも短時間。通常時は40ktが限界だ
見張り員「敵艦隊、分散して向かってきます!」
マクベイ中将「補給をしてもらった恩だ。なんとしてでも敵艦隊を撃滅する。砲撃用意!」
艦長「砲撃用意!目標、先頭の軽巡洋艦!」
機関長(通信)「速力はどうします?!」
艦長「戦闘速度、40ktまで落とせ!」
機関長(通信)「了解!」
七隻の艦は一斉に減速、空軍艦隊との交戦に備える
空軍艦隊、その数二〇隻。こちらは僅か七隻
しかし、艦隊の士気、いまだ衰えず
戦闘は圧倒的だった
数で勝るグリシネ空軍だが、やはり水雷戦に慣れていない、いや、敵艦の性能があまりにも高すぎる故に、魚雷も砲撃も一切当たらなかった
時折、まぐれ当たりに命中する砲撃や魚雷が確認できたが、それっきりであった
戦隊を指揮する軽巡洋艦「きたかみ」の艦内は、騒然となっていた
敵の戦艦が、後方の駆逐艦に向けて発砲する
命中、炎上するが、なおも戦艦の砲撃は続く
駆逐艦は大爆発を起こし、跡形も無く消失した
砲術士A(通信)「ダメだ、全く効果がない!」
砲術士B(通信)「早すぎる!照準が間に合わない!」
艦長「落ち着けぇ!まだ負けたわけじゃない!連中の艦にだって、弱点はあるはずだ!落ち着いて狙えば何とかなる!」
部下を落ち着かせるために叫ぶ艦長だが、実は艦長自身も焦っていた
民間船のような流麗なフォルムに、恐ろしいほどの高速。先ほど指揮下の駆逐艦が呆気なく撃沈された際に見た凄まじい命中精度
勝てない。彼らに殺される。司令官が予想したとおりだ
逆賊を討つために出撃したはずの我々が、逆賊に味方する異形の集団に殺される
そのとき、敵の旗艦の砲塔がこちらに向けられた
見張り員「敵艦の砲塔がこっちを向いた!」
砲術士B(通信)「もうダメだ!異形の連中に殺される!」
いや、砲塔を向けたのは、旗艦一隻だけではなかった
後続の戦艦と、装甲巡洋艦らしき大型艦も、こちらに砲塔を向けていた
同盟国から聞いたことがある。内惑星連合は例え相手が駆逐艦であったとしても、余裕があれば戦艦の主砲斉射、あるいはAD兵器掃射で敵艦を跡形も無く撃沈すると・・・
艦長「面舵一杯!」
艦長が稚拙ながらも回避運動を指示する
しかし、それは間に合わなかった
舷側に数発の主砲弾が直撃、大爆発を起こした
オルキス艦隊の砲撃はそれだけに留まらなかった
瀕死の「きたかみ」をいたぶるように、速射砲の容赦ない砲撃が始まる
艦内のそこかしこが炎上し、艦全体から損害報告が聞こえた
砲術士A(通信)「一番砲塔大破!」
砲術士C(通信)「おいっ、しっかりしろ!脱出するんだ!」
機関長(通信)「機関室がやられた!もうだめだ!」
水雷士(通信)「艦尾区画で火災!弾薬庫に引火します!」
艦長「総員、退艦!」
しかし、その命令さえも遅かった
副長が命令を全艦放送に流そうとした直後、艦橋全体が激震した
その直後、艦橋の床が崩落した
弾薬庫に引火したのだ
甲板に飛び出した乗組員が、慌てて内火艇を降ろそうとする
しかし、その内火艇さえも火に包まれる
無事な内火艇を探す乗組員達だが、残っていたのは僅かだった
あるものは火焔に包まれて倒れ、またあるものは爆発に巻き込まれて四散した
「きたかみ」の生存車は、僅か数両だった
その業火は、駆逐艦「ライズナ」からも目視できた
見張り員「・・・空軍軽巡洋艦、撃沈・・・」
しばしの沈黙の後、小泉少佐が呟いた
小泉少佐「・・・これでよかったのか?俺達は・・・」
厚木准将「我々の独立のためだ、やむを得ん・・・」
小泉少佐「やむを得ん!?・・・そう言って、彼らは数多くの罪なきチョロQを殺してきたのではないのですか!?このままでは我々は・・・」
そう言って、小泉少佐は厚木准将に詰め寄った
参謀長「・・・艦長。まだ戦闘中だ」
その間に入り、なだめる参謀長
厚木准将「そろそろ時間だ。全艦を退避させる」
壁の時計を見て、厚木准将は呟いた
小泉少佐「・・・本当にやるんですか?」
厚木准将「『民兵』も出撃準備を整えている。今更断るのもどうかと思うがね」
もはや返す言葉も無いと思ったか、小泉少佐は操舵室に向き直って言った
小泉少佐「取舵一杯!ただちに戦闘宙域から離れる!」
第三巡洋艦隊の各艦は、ただちに回頭、戦闘宙域から離れた
第五主力艦隊も、それに続いた
それまで砲戦を続けていた海軍艦隊が、突如反転した
一体如何なる意味があるのだろうか
橋本少将は、これまでの各国の戦術から、如何なる攻撃が来るかを考えた
艦隊が撤収するということは、同士討ちを避ける意味合いがあるのだろう
だとすれば、航空攻撃・・・
その予想は、見事に的中した
見張り員「左舷前方、航空機接近!・・・一〇・・・二〇・・・三〇・・・」
参謀B「そんなにいるのか!?」
参謀C「連中はそれ程の航空機を保有しているのか!」
見張り員「いえ、機種は陸上機です!グリシネ軍機ではありません!」
上空を見上げながら、見張り員が答える
橋本少将「大方、『民兵』だよ。海軍が叛乱を起こすといったら、大方彼らが協力しているだろうと思った。上はなんと?」
橋本少将は通信長のほうを向いて言った
通信長「いえ・・・まだ何も」
申し訳無さそうに通信長が答える
橋本少将「我々だけで戦えということか・・・」
橋本少将は参謀達の方を向いてから言った
艦長「全機発艦、敵航空隊を迎撃せよ!」
橋本少将「全艦に通達、艦載機をただちに発艦させろ!」
通信士たちが一斉に無線機を手にし、各艦に連絡する
ようやくおでましか、「民兵」。栄光あるグリシネ空軍の実力を見せ付けてやる
本来ならそう言いたいところだったが、そうも行かない理由があった
艦載機部隊の隊員達は新任で、ろくに演習もしていなかった
すなわち、本土に配備されているジェット機とミサイル空中戦のみの経験で、ドッグファイトに挑もうというのだ
同じ飛行機であっても、ジェット機とプロペラ機では操縦は全く異なる
上層部は、それを理解できているのだろうか
出撃した航空隊は、日戦軍団の誇る精鋭飛行隊、陸軍飛行第361戦隊と、海軍第762航空隊である
装備は現在も主力重戦闘機として配備されている「鍾馗」も含まれているが、主力機「隼」の姿は無く、九七式戦、九五式戦で占められている
海軍航空隊は九六式陸攻と九五式陸攻が混在しており、護衛機は九五式艦戦であった
数においてグリシネ空軍に大いに劣るはずだったが、厚木艦隊の攻撃で当初の半数近くにまで減っていた
既に航空戦は始まっていた
機種はF7CやF4B。優秀な複葉機であった
一機のF7Cが、九五式陸攻の背後に喰らいつく
しかし、そのまま戸惑っていたため、その背後に回っていた九五式艦戦に撃墜される
F4Bが、慣れない急旋回をしながら九七式戦とドッグファイトを展開する
しかし、背後に回っていたもう一機に気づかず、撃墜される
急上昇する九五式戦を、F7Cが追う
そのまま機銃攻撃をするが、九五式戦はそれを回避する
見越し射撃をしようとしていたF7Cだったが、側面から別の九五式戦の銃撃を受け撃墜される
錬度において劣るグリシネ空軍は、思いのほか呆気なく撃墜されていた
「なるべく落とすな」との指示だったが、図らずして撃墜してしまうことが多かったのだ
いくら錬度の高い第361戦隊であっても、流石に「落とさずに逃がす」やり方は苦手だったのだ
飛行隊長「・・・何故だ・・・何故同胞同士が戦わなければならない・・・!」
飛行第361戦隊の隊長は浮かない顔だった
亡き上官の復讐を誓って練習を重ねてきたというのに、復帰戦の相手がよりによって同胞とは
これでは同胞を守って散った上官に顔向けできないのではないか
出来れば戦いたくない相手だった
そのとき、一機の九五式陸攻が火を噴いた
撃墜されたのだ
そして、もう一機の九五式陸攻に、F4Bが迫る
仲間を守るために、同胞を撃つ。止むを得ない事情とはいえ・・・
自分は、亡き上官の仇と同じ存在となりうるのか
飛行隊長は、亡き上官と共に写った写真に目を向けた
藤岡少佐「・・・隊長・・・許してください!」
そう言って、飛行隊長、藤岡少佐は操縦桿を倒した
三機の鍾馗が、分散して降下する
急旋回し、九五式陸攻へと迫るF4Bを、照準に捉えた
そして、射撃釦を押した
20mm機関砲の斉射が数秒ほど行われた後、そのままF4Bとすれ違い、藤岡少佐は射撃を止めた
F4Bは煙を噴き、降下、爆発した
それを尻目に、九六式陸攻を狙うF4Bを捕捉する
直下から一斉射を放ち、見事撃墜する
三機のF7Cが、編隊を組んで九五式陸攻へと突撃する
すれ違いざまに、一機を撃墜
鍾馗はそのまま旋回し、二機目を狙う
射撃釦を押したそのとき、三機目が間に入った
慌てて藤岡少佐は射撃を止めようとしたが、遅かった
爆発、四散するF7C
もう一機のF7Cは、そのまま降下して僚機の爆発を見届けていた
改めて狙いなおす気にもなれなかった
藤岡少佐「・・・隊長・・・」
仲間を守るために犠牲になった同胞。そしてそれを撃ってしまった自分
犠牲になったF7Cが、亡き上官、古田少佐と被った
飛行隊副隊長(通信)「・・・隊長!攻撃隊は突入体勢に入りました!任務完了です!帰投しましょう!」
副隊長の無線の声が聞こえた
藤岡少佐「・・・よし、帰投する!」
一刻も早く、この場から離れたかった
奇跡的にも、損害は僅か二機。海軍第762航空隊は、二つに別れて攻撃態勢を整えていた
攻撃隊隊員(通信)「隊長、こちらも準備完了です!」
柴田少佐「よし、攻撃を開始する。突撃!」
四十六機の攻撃機が、一斉に敵艦隊へ突撃する
空軍艦隊からも壮烈な対空砲火が浴びせられるが、今のところ損害は無し
雷撃体勢のため、対空火器の死角に近いところを飛ぶ攻撃機を、空軍艦隊は撃墜することは出来なかった
一機の九五式陸攻が、魚雷を投下する
その前方には、重巡洋艦の姿があった
急旋回をするが、間に合わなかった
重巡洋艦に魚雷が命中、爆発する
駆逐艦めがけて投下された魚雷が、見事舷側に直撃
真っ二つになり、爆発する駆逐艦
炎上する重巡洋艦に、陸攻の対地爆弾が投下される
命中、轟沈する重巡洋艦
駆逐艦が果敢に対空砲火を張りながら前進する
しかし、その直上には九六式陸攻の姿があった
対地爆弾を受け、沈没する駆逐艦
そして、数機の陸上攻撃機が、「おうみ」へと迫った
第七十五話 続く
|
|
|
1,686 hits
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0; YTB720)@ntaich252142.aich.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp>
|
|
|
|