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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上、さくらがちる頃に。
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雷撃。今回はダメコンのほうに気合を入れました。
第七十五話 放浪の殲滅者
「フィフス・ルナ」近郊宙域での戦闘はいざ知らず、ベータ沖においては第四機動艦隊の航空演習が行われていた
空母「天城」、重巡「加古」、「奥入瀬」を初めとする艦艇は、厳重な対潜警戒の下、演習海域に展開していた
しかし、その警戒網を潜りぬけた艦が、一隻だけいた
その艦は、少し前に日戦軍団の駆逐艦に雷撃を敢行していた
あの時は取り逃がしたが、今度という今度は逃さない
そう言う思いで、その艦はベータ沖にいた
グリシア帝国海軍に属する潜宙艦「バリッラ」は、第四機動艦隊を追ってこの宙域に来ていた
以前の戦闘で同行した僚艦「アントニオ・シエサ」の姿は無い
別の方面で通商破壊活動を行っているからだ
最も、この前の駆逐艦隊との遭遇のように、キュワール連合軍の対潜警戒網は日々厳しくなっている。今までのようには行かないだろう
ラファリエスの潜宙艦隊が日戦軍団の船団を撃沈してからというもの、日戦軍団の潜宙艦対策は一段と強化された
このときも非常に強固な防備が築かれていたが、「バリッラ」はそれを辛うじて潜り抜けてきたのだ
いまだに気づかれていないのも、僥倖といったところだ
あの時必死になって逃がした僚艦は、果たして無事なのだろうか
しかし、僚艦の無事を願うのは、自分の艦が無事帰還できてからだ、と、艦長は思い直した
潜宙艦は、他の艦艇とは全く異なる運用方法の中にいる
基本的に単独で行動し、獲物を見つければ僚艦を呼び出して攻撃に移る
時には戦闘艦と戦うこともあるが、それはごく稀に起こる事態である
そういった戦闘において、「戦隊」という言葉は存在しない
書類上に存在する、ただそれだけだ
この「バリッラ」の艦長、イマノフ中佐は、歴戦の名潜宙艦乗りである
「バリッラ」はものの数日前、日戦軍団の駆逐艦隊と交戦し、「蕨」に損傷を与えた
副長「奴さん、まだ気づいてないみたいですね。遠回りした甲斐があった」
イマノフ中佐「相手はあの日戦軍団だ。油断は出来ない」
水測員「見つけるのは出来ても、沈めるのは難しいんじゃないですか?」
水測長「それを油断というんだよ。確かに日戦軍団は最近潜宙艦を撃沈できていないらしいが、必ず何かしら損傷を与えている。いずれの場合も、乗員の腕があってこその生還だ」
そのとき、追跡していた航空母艦が、突如旋回を始めた
どうやら機体の収容を終えたらしい
潜望鏡越しにそれを確認したイマノフ中佐は、直ちに指示を出した
イマノフ中佐「一番から四番、発射管開け!」
副長「一番から四番雷撃用意!」
水雷士(通信)「雷撃準備、よし!」
イマノフ中佐は改めて、潜望鏡越しに目標を確認する
見事に横っ腹を見せていた
あの日戦軍団がここまで気づかないことがあるのだろうか
とにかく、好機であることは間違いない
潜望鏡を下ろしてから、イマノフ中佐は発射を指示した
イマノフ中佐「一番、てーっ!」
発射音が、指令室内にこだまする
イマノフ中佐「二番、てーっ!」
続いて、二番発射管の発射を指示する
同じ要領で、全四本の魚雷の発射を指示した
イマノフ中佐「面舵一杯、艦尾発射管、雷撃用意!」
副長「面舵、一杯!」
その指示が飛ぶや否や、「バリッラ」は急旋回を開始した
潜望鏡を回し、艦尾方向に向ける
先ほどの航空母艦が、再び潜望鏡に映る
イマノフ中佐「五番、てーっ!」
今度は反対方向から発射音がかすかに響く
続いて、六番発射管にも発射を指示。計六本の魚雷が放たれた
イマノフ中佐「急速潜航!一気に潜るぞ!」
そう言って、イマノフ中佐は潜望鏡を下ろした
副長「急速潜航!」
乗員たちが一斉に艦首方向へ駆けて行く
古典的な手法だが、いつもこれで乗り切ってきた
水測員「敵駆逐艦のソナー音を感知!」
ようやく気づいたらしい。今ごろ気づいても遅いだろう
乗員A「本当に日戦軍団の対潜技術はキュワール最強クラスなんですかね?」
乗員B「本当だ。この前だって危なかったじゃないか」
砲術士「何話してるんだ!早く行けぇ!」
浮上砲戦ではないので出番の無い砲術士が怒鳴り散らす
駆逐艦がこちらに向かってくる
今度は振り切れるだろうか
艦内に警報が鳴り響いたのは、そのときだった
通信士「『夕凪』より入電!『潜宙艦一隻を捕捉!雷跡六近づく!警戒されたし!』」
艦長「面舵一杯!」
「天城」は、舷側に向かって放たれた魚雷をかわすべく旋回する
一本をかわすが、残りは舵の効きが悪い大型艦では無理があった
三本の魚雷が命中、右舷で大爆発を上げた
甲板から爆炎が吹き上がる
元山少将「被害報告!」
乗員A(通信)「右舷、二区画にて火災!」
艦長「消火急げ!」
艦長は急いで消火命令を出した
兵員達が慌てて甲板へと駆け込む
そのとき、甲板が再び激震した
機関長(通信)「機関室に魚雷が命中!火の回りが早い!応援を頼みます!」
敵は二派に分けて魚雷を撃ってきた
恐らくはQグリーン・・・もとい、グリシアの潜宙艦だろう
彼らの艦は艦尾発射管を採用している。日戦軍団の潜宙艦にもあるが、彼らの場合、艦首発射管から魚雷を発射した後、反転して第二派を放つために採用されているのだ
左舷側では「加古」も爆炎を上げている
どうやら回避した魚雷の一本が命中したらしい
「夕凪」以下、駆逐艦が潜宙艦を探知した付近に爆雷を投下する
しかし、撃沈の報は無い
一度ならず二度までも、してやられたか
元山少将は、炎上する「加古」を見て落胆した
その数分前、演習を終えた航空兵たちは格納庫へと降りてきていた
航空兵A「久々の演習、上々だったな」
航空兵B「しかし、なんでこの時期にやることになったんだろうな」
機体の格納も完了し、整備兵たちも一息ついていた
航空兵A「そりゃあ、大日本帝国がキュワールに攻め込んでくるからだろ」
航空兵C「ベータ方面はあまり関係ないと思うんだけどなぁ」
航空兵B「あとはあれだろ。グリシネ・・・じゃなかった、グリシアの潜宙艦がこのところ潜伏してるって言うから、連中との決戦に備えてか」
航空兵D「潜宙艦じゃあ俺達戦闘機乗りの出番は無いなぁ」
航空兵A「じゃあグンナだ。熱田さんが戻ってきたって、グンナには何とかって言う凄い提督がいただろ。あいつがまた大部隊率いてやってくるかもしれない」
航空兵B「色々考えられるなぁ・・・そういえば、大日本帝国が俺達の同族って、信じられるか?」
航空兵A「そんなわけ無いだろ。隊長の相棒を、あっさりと殺した連中だぞ」
京城大佐「ああ。それは全くだ・・・そういえば、藤岡の奴、出撃したって?」
傍らの副隊長、新竹大尉に聞く
新竹大尉「らしいですね」
京城大佐「断りゃよかったのになぁ、あいつ。司令だって分かってくれるはずなのに」
勿論、この日のグリシネ空軍艦隊との戦闘のことである
飛行第361戦隊の先代隊長、古田少佐は彼のかつての相棒だった
航空隊の部隊整理が行われた際に離れたが、その信頼関係は相変わらずだった
航空兵B「でも、ベータは部隊不足で大変だって、司令言ってましたよ」
航空兵A「陸攻隊は意気揚々と出てったって聞きますがね。それに引き換え、どうも我々戦闘機乗りは辛気臭い」
京城大佐「当たり前だ。あんなことが起こったってのに・・・」
そのとき、格納庫内に激震が走った
振動で航空兵たちが転倒する
格納庫一帯に警報が鳴り響く
起き上がった京城大佐は、急いで格納庫内にある弾薬庫へ向かった
航空兵A「・・・何があったんだ?!」
新竹大尉「雷撃だ!どこかの潜宙艦が、魚雷を撃ちこんだんだ!」
後を追って走り出す新竹大尉
航空兵A「おい、俺達も行くぞ!早く起きろ!」
倒れている同僚を助け起こして、続いていく航空兵たち
弾薬庫の付近に駆け込んだとき、周辺は火の海になっていた
京城大佐「おい、みんな大丈夫か!?」
多くの乗員たちが倒れている
航空兵の一両が、ホースを取り出して駆け込んでくる
航空兵C「隊長!ホースありました!」
京城大佐「ちゃんと繋いであるか!?」
航空兵C「はい!」
もう一両がバルブを回して、放水を始める
同じくホースを持った新竹大尉が、別の区画に向かって放水を開始する
京城大佐「弾薬庫の引火はなんとしてでも避ける!連中への復讐を果たすまでは、この『天城』を沈めるわけには行かないんだ!」
倒れている乗員たちを、残った航空兵たちが運び出す
辺り一帯で噴煙が巻き上がる
新竹大尉「隊長、持つんですかね、この艦?!」
京城大佐「持たせるんだ!」
機関長(通信)「機関損傷!」
副長(通信)「・・・機関がやられただと!?」
艦長(通信)「落ち着け。まだダメコンは動くはずだ。左舷側にバラストを入れてバランスを取るんだ」
艦橋や機関室でも、必死に火災と戦っている乗員たちがいる
なんとしてでも、格納庫の火災を止めるんだ
火災は収まる気配も無く、艦内各所が悲鳴を上げていた
床が傾き始める
どうやら艦が傾斜を始めたらしい
ダメコンも遂に限界を迎えたか
機関長(通信)「機関室、復旧の目処が立ちません!」
通信長(通信)「消防艇の出撃要請、出しましょうか?」
副長(通信)「ダメだ!まだ潜宙艦が潜んでいるかもしれない!」
乗員B(通信)「ということは・・・この艦は・・・」
全艦放送につなげられたスピーカーから、艦内の状況が伝えられる
京城大佐「・・・冗談じゃねぇぞ。乗艦を二度も捨てられるかよ!」
航空兵B「隊長!消火剤持ってきました!」
京城大佐「遅いぞ!何やってたんだ!」
航空兵B「各所で必要になってるみたいで、やっと手に入りました」
京城大佐「弾薬庫が近いんだぞ、優先してもらえるはずだろ!とにかく早く装填するんだ!」
航空兵B「既にやってますよ!」
もう一両の航空兵が、接続口付近に消火剤を装填する
航空兵D「準備完了です!」
軍医長(通信)「医務室が一杯です!士官室の使用をお願いします!」
艦長(通信)「分かった!空いてるところ、安全なら全部使え!」
乗員C(通信)「甲板の傾斜がさらに増しています!」
乗員D(通信)「落ち着けぇ!俺達さえ無事なら、『天城』は沈まん!耐えるんだぁ!」
艦内の各所から、連絡が飛び交っている
乗員たちが一丸となって、火災と戦った
第七十五話 続く
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