■BBS - Bulletin Board System
掲示

ホーム > BBS > チョロQ小説板

雑談板 チョロQ小説板  

どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

  新規ツリースレッド一覧トピック番号順検索設定  
279 / 5244 ←次 | 前→


宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:34 -
  
サブタイトルを考えるのに一週間もかかった第七十三話、ついに完成です。

第七十三話 燃ゆる艦隊
乗員達の誠意に口下手ながらもお礼を述べた松井元帥は、改めて作戦命令を伝えなおした
松井元帥「今次作戦、すなわち『菊』号作戦は、第一特務艦隊から『鳥海』以下重巡洋艦三、『磯風』以下駆逐艦四、及び『紀伊』からなる奇襲部隊により、パレンバン沖合いに駐留するラファリエス艦隊を攻撃する」
それを聞いたティーガー元帥は驚いた
ティーガー元帥「・・・全力出撃では、ないのですか?!」
松井元帥「言ったはずだ。これは特攻ではない。それに全力で出撃したところで、あの大艦隊をどうして殲滅できよう。我々の任務は後方撹乱だ。すなわち、機動性に優れるこの八艦を単従陣で航行させ、一気に敵に殴りこむ。その後は極力損害を抑えるように、一撃離脱を図る。困難な任務だが、我々なら出来る。出撃は明日だ。以上、解散!」
乗員達が散り散りになり、ブリーフィングルームには松井元帥とティーガー元帥だけが残った
ティーガー元帥「・・・司令は、この任務が特攻ではないと言いました。しかし・・・」
松井元帥「分かっている。戦場にいる以上死ぬことももとより覚悟の上。帰る希望があるだけマシだ」
ティーガー元帥「・・・・・」
松井元帥「自由のために決起を起こした奴が、何を言うかと思えば。『ドロワル事件』もその覚悟で起こしたんだろう」
ティーガー元帥「・・・はい。殆どあいつに引っ張られてましたがね・・・」
彼の言う「あいつ」とは総本部直属の将校である
「ドロワル事件」の首謀車であり、現在は消息を絶った「帝國の不死鳥」。それこそが彼だった
松井元帥「・・・これが最後かもしれん。せめて出撃前だ、楽しんでおけ。楽しむ施設もないけどな」
ティーガー元帥「はっ!」
そういうと、ティーガー元帥もブリーフィングルームを出て行った

キュワール連合軍、ルナツー宇宙基地
既に補給線は途絶え、完全に孤立していた
停泊する船も、殆どが動いていない
動かすのも無駄なのだ
だが、その中で活発な船が、数隻いた
日戦軍団の誇る戦艦「紀伊」以下、計八隻の特務艦隊である
それを眺めつつ、一両だけになった松井元帥は、ふと考え事をした
松井元帥「・・・あいつ、無茶をするな」
以前日戦軍団を助けた、ある将校のことであった

話は数日前、ベータ出港前にさかのぼる
軍港において、巡洋戦艦「アナポリス」の艦橋を見上げる一両の五式中戦車
そう、厚木准将だ
彼は数分前、グリシネの閣僚から叱責されていた
別に作戦に失敗したわけではない
「叛乱軍」に加担したからである
厚木准将「・・・謹慎処分か。友軍を助けたのなら、悪くない」
陸海の閣僚達は反対したが、空軍長官の鶴の一声により処分が決定したのだ
すると、そこに松井元帥がやってきた
松井元帥「やはり、ここだったか」
厚木准将「・・・聞きましたか?」
松井元帥「ああ、謹慎処分だろ。陸海の閣僚は何をやってるんだ」
厚木准将「いえ、かなり反対されたそうです。特に普段は受け流すだけの原田陸軍参謀長が『有能な物は積極的に戦場に出さねばならんだろう!』などと言ったそうですから」
松井元帥「・・・あいつ、積極的に出たな」
かつての戦友が珍しく能弁を揮った。あの会議室の状況でよく言えたものだ。松井元帥はそう思った
松井元帥「・・・ところで、俺はこれからある任務のためにルナツーに行く」
厚木准将「・・・『ある任務』?」
松井元帥「パレンバン沖に停泊する敵艦隊に対し、一撃離脱の奇襲攻撃をかける。生きて帰る保証はない。生きて帰れなかったらこれを今生の別れとしよう、と思ってな」
厚木准将「・・・でしたら、自分もお供します!」
松井元帥の予想通りであった。彼のことだからやはりついていこうとするだろうと思っていたのだ
松井元帥「厚木准将、気持ちは良く分かる。だが、本作戦は機動作戦だ。機動力に劣る第三巡洋艦隊では無理がある。さらに君は謹慎中の身だ。勝手な行動は禁じられている。それに・・・君のような奴は、生きてあの国を変えなければならんのだ」
それを聞いて、厚木准将は沈黙した
厚木准将「・・・分かりました」
直に補充が来る。それから改めて攻撃作戦を考えよう。厚木はそう思った
数日後、補充が届いた
だが、それは・・・
厚木准将「・・・レイスト級?」
当初の予定では最新鋭艦一〇数隻と聞いていたのだが
参謀長「・・・この前の処分の影響らしいです。『逆賊に最新鋭艦は無用』。空軍の参謀が・・・」
そこまで言って、参謀長は沈黙した
厚木准将が、静かながらも怒っていた
くだらないプライドのために、自国のチョロQを死なせる。そんな軍隊があってなるものか
厚木准将は、走り出した
参謀長が呼び止める
参謀長「・・・司令、どちらへ?」
厚木准将「第五主力艦隊司令部だ。それと・・・参謀長。後で会議室へ」
そういうと、再び厚木准将は走っていった
それから数分後、会議室に第三巡洋艦隊の閣僚が集結した
厚木准将「グリシネ軍作戦本部からの指示では、我が第三巡洋艦隊はしばらく活動が出来ない。だが、友軍部隊が生きて帰る保証のない奇襲攻撃をしようとしている。勿論、それを見殺しにすることは出来ない。本艦隊は、作戦本部の指示を無視し、独断により同作戦を支援しようと思う。それに加え・・・必要ならば、本国政府を転覆させる」
参謀長「・・・すばらしい作戦計画ですな。連中の指示に従うよりも、我々は我々の道を進むまでです」
作戦参謀「機動性重視の一撃離脱。今度の補充艦にピッタリじゃありませんか。やってやりましょう」
航海参謀「燃料は満載です、いつでもいけます!」
以下、閣僚全員の支持を受けた
元々人望に厚い厚木准将だ。第五主力艦隊の司令部に行ったのも、このクーデター計画のためだったのだ
参謀長「参加艦艇は?」
作戦参謀「『ライズナ』以下補充の四隻で行きましょう。機動力が最も優れていますし、元々空軍所属艦です。体のいい厄介払いをしたつもりでしょうが、それを使って戦果を挙げてやるんです!」
作戦計画はスピーディーに進み、第三巡洋艦隊の「ライズナ」以下駆逐艦四隻は、全速で日戦軍団艦隊に追いつくべく航行を開始した
そして、ルナツー近辺で日戦軍団艦隊へと追いついた
厚木准将「こちら、グリシネ軍第三巡洋艦隊。補充の駆逐艦四を用いて援護します」
松井元帥(通信)「・・・全く、止めても聞かんな」
厚木准将「『補充』がこれだったんです。あの件で相当上に嫌われたみたいなんで、いっそのこと、嫌がらせでもしようかと思いましてね・・・覚悟は出来ています。これはその意思表示です」
松井元帥(通信)「・・・旧式の駆逐艦四隻で、一撃離脱の奇襲作戦の援護か。分かった、そこまで言うなら止めはしない。だが・・・無茶はするな。生き残ってこそ英雄と呼ばれるんだからな」
そういって、松井元帥は援護作戦を了承した
第一特務艦隊に続いて、旧式駆逐艦四が付随していたのは、こういう経緯があった

ルナツー基地に設けられた私室で、先の考え事の続きをしていた松井元帥の許を、一両のチョロQが訪れた
松井元帥「入れ」
入ってきた五式中戦車は、厚木准将だった
厚木准将「第三巡洋艦隊、厚木准将。支援作戦のためただいま着任しました!」
松井元帥「・・・ちょうどいい、話があったんだ」
厚木准将「・・・なんでしょうか?」
松井元帥「支援に関しては感謝するが、ただでさえ謹慎中の身。上からは相当嫌われていよう。あの時は戦闘中のゴタゴタだったからまだマシだったとしても、今度は計画にない作戦参加だ。もし生きて帰ってこられたとしても、君に関しての命の保証は無いぞ」
松井元帥は厚木准将の今後を気にしていた
松井元帥自身もたびたびグリシネ国内で更迭されていた。自身の関わらなかった作戦の失敗の責任を取らされたこともあった
厚木准将「承知しています。今次作戦が終了した後、軍法会議にかけられ、処刑されることは分かっています。しかし・・・空軍の腐った連中の命令を聞くことなど出来ません。そうなれば、勿論グリシネにはいられません。そのときには・・・ある計画を考えています」
松井元帥「・・・まさか、君は・・・」
厚木准将「はい。軍事クーデターを起こすつもりです。第三巡洋艦隊及び第五主力艦隊より、自分の意思と自国に対する不信感を、グリシネ国陸海軍の各前線部隊に発信、呼応した部隊とともにベータ近辺の小惑星に集結、そこで軍を再編成します」
そう、かつての「日戦軍団事件」を再現しようというのだ
松井元帥は、これまで記したようにグリシネ国軍に嫌われていた
決起の直前には空軍参謀長黒田中将の横暴な発言に腹を立てて、喧嘩になりかかっていた
その直後の会議。第四次キュワール大戦の戦略会議の真っ只中、松井元帥の更迭が発案された。会議が恐ろしく白熱する中、「貴様らに言われずとも、こんな腐った軍部、辞めたほうがマシだ!」と叫んで会議室を後にし、チリ元帥に「潮は満ちた。予定通り作戦を決行せよ」と指示、チリ元帥以下陸海の前線部隊の面々が一堂に会し一斉に「大和」以下海軍の各艦艇を占拠、Qシュタインめがけて出港したのだ
これにより戦力の四割を喪失したグリシネ陸海軍は、事実上空軍の支配下に置かれることになる
その後戦力は陸海空ともに平均化されたが、空軍主体の軍事姿勢は変わらなかった
厚木准将「そして、そこを拠点とし、キュワールを独自にて防衛します」
松井元帥「しかし、補給は・・・」
日戦軍団のときはQシュタイン帝国が協力した。第四次キュワール大戦では中立国を決め込んでいた国だった
もっとも、開戦の翌年に中立状態にあったQグリーンに裏切られ、連合陣営に参加することになったのだが
厚木准将「補給は・・・松井元帥、ご協力をお願いします」
松井元帥「やはり、そうか。分かっていたよ。君の計画を、可能な限り支援する」
厚木准将「ありがとうございます!」
厚木准将は、何度もお礼を繰り返した
その後は、改めて作戦計画に関する雑談を交わした
松井元帥「・・・あの日、空軍は多数の犠牲を払ってまで、俺を殺そうとした」
その中には、かつて自身が経験した、グリシネ国軍の生んだ凄まじい悲劇の話もあった
第七十三話 続く

引用なし
パスワード
361 hits
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)@ntaich032065.aich.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp>

宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:34
  Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:35
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:37
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:38
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:40
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:41
   宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき 松井一真 2008/12/24 1:12
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき ダークスピリッツ 2008/12/25 0:12
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき 松井一真 2008/12/25 0:57

  新規ツリースレッド一覧トピック番号順検索設定  
279 / 5244 ←次 | 前→
ページ:  |  記事番号:
49,067
(SS)C-BOARD v3.3.10 is Free.

んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


"Tamashii no Katamari" is created...