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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

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宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:34
  Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:35
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:37
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:38
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:40
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 松井一真 2008/12/24 0:41
   宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき 松井一真 2008/12/24 1:12
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき ダークスピリッツ 2008/12/25 0:12
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき 松井一真 2008/12/25 0:57


宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:34 -
  
サブタイトルを考えるのに一週間もかかった第七十三話、ついに完成です。

第七十三話 燃ゆる艦隊
乗員達の誠意に口下手ながらもお礼を述べた松井元帥は、改めて作戦命令を伝えなおした
松井元帥「今次作戦、すなわち『菊』号作戦は、第一特務艦隊から『鳥海』以下重巡洋艦三、『磯風』以下駆逐艦四、及び『紀伊』からなる奇襲部隊により、パレンバン沖合いに駐留するラファリエス艦隊を攻撃する」
それを聞いたティーガー元帥は驚いた
ティーガー元帥「・・・全力出撃では、ないのですか?!」
松井元帥「言ったはずだ。これは特攻ではない。それに全力で出撃したところで、あの大艦隊をどうして殲滅できよう。我々の任務は後方撹乱だ。すなわち、機動性に優れるこの八艦を単従陣で航行させ、一気に敵に殴りこむ。その後は極力損害を抑えるように、一撃離脱を図る。困難な任務だが、我々なら出来る。出撃は明日だ。以上、解散!」
乗員達が散り散りになり、ブリーフィングルームには松井元帥とティーガー元帥だけが残った
ティーガー元帥「・・・司令は、この任務が特攻ではないと言いました。しかし・・・」
松井元帥「分かっている。戦場にいる以上死ぬことももとより覚悟の上。帰る希望があるだけマシだ」
ティーガー元帥「・・・・・」
松井元帥「自由のために決起を起こした奴が、何を言うかと思えば。『ドロワル事件』もその覚悟で起こしたんだろう」
ティーガー元帥「・・・はい。殆どあいつに引っ張られてましたがね・・・」
彼の言う「あいつ」とは総本部直属の将校である
「ドロワル事件」の首謀車であり、現在は消息を絶った「帝國の不死鳥」。それこそが彼だった
松井元帥「・・・これが最後かもしれん。せめて出撃前だ、楽しんでおけ。楽しむ施設もないけどな」
ティーガー元帥「はっ!」
そういうと、ティーガー元帥もブリーフィングルームを出て行った

キュワール連合軍、ルナツー宇宙基地
既に補給線は途絶え、完全に孤立していた
停泊する船も、殆どが動いていない
動かすのも無駄なのだ
だが、その中で活発な船が、数隻いた
日戦軍団の誇る戦艦「紀伊」以下、計八隻の特務艦隊である
それを眺めつつ、一両だけになった松井元帥は、ふと考え事をした
松井元帥「・・・あいつ、無茶をするな」
以前日戦軍団を助けた、ある将校のことであった

話は数日前、ベータ出港前にさかのぼる
軍港において、巡洋戦艦「アナポリス」の艦橋を見上げる一両の五式中戦車
そう、厚木准将だ
彼は数分前、グリシネの閣僚から叱責されていた
別に作戦に失敗したわけではない
「叛乱軍」に加担したからである
厚木准将「・・・謹慎処分か。友軍を助けたのなら、悪くない」
陸海の閣僚達は反対したが、空軍長官の鶴の一声により処分が決定したのだ
すると、そこに松井元帥がやってきた
松井元帥「やはり、ここだったか」
厚木准将「・・・聞きましたか?」
松井元帥「ああ、謹慎処分だろ。陸海の閣僚は何をやってるんだ」
厚木准将「いえ、かなり反対されたそうです。特に普段は受け流すだけの原田陸軍参謀長が『有能な物は積極的に戦場に出さねばならんだろう!』などと言ったそうですから」
松井元帥「・・・あいつ、積極的に出たな」
かつての戦友が珍しく能弁を揮った。あの会議室の状況でよく言えたものだ。松井元帥はそう思った
松井元帥「・・・ところで、俺はこれからある任務のためにルナツーに行く」
厚木准将「・・・『ある任務』?」
松井元帥「パレンバン沖に停泊する敵艦隊に対し、一撃離脱の奇襲攻撃をかける。生きて帰る保証はない。生きて帰れなかったらこれを今生の別れとしよう、と思ってな」
厚木准将「・・・でしたら、自分もお供します!」
松井元帥の予想通りであった。彼のことだからやはりついていこうとするだろうと思っていたのだ
松井元帥「厚木准将、気持ちは良く分かる。だが、本作戦は機動作戦だ。機動力に劣る第三巡洋艦隊では無理がある。さらに君は謹慎中の身だ。勝手な行動は禁じられている。それに・・・君のような奴は、生きてあの国を変えなければならんのだ」
それを聞いて、厚木准将は沈黙した
厚木准将「・・・分かりました」
直に補充が来る。それから改めて攻撃作戦を考えよう。厚木はそう思った
数日後、補充が届いた
だが、それは・・・
厚木准将「・・・レイスト級?」
当初の予定では最新鋭艦一〇数隻と聞いていたのだが
参謀長「・・・この前の処分の影響らしいです。『逆賊に最新鋭艦は無用』。空軍の参謀が・・・」
そこまで言って、参謀長は沈黙した
厚木准将が、静かながらも怒っていた
くだらないプライドのために、自国のチョロQを死なせる。そんな軍隊があってなるものか
厚木准将は、走り出した
参謀長が呼び止める
参謀長「・・・司令、どちらへ?」
厚木准将「第五主力艦隊司令部だ。それと・・・参謀長。後で会議室へ」
そういうと、再び厚木准将は走っていった
それから数分後、会議室に第三巡洋艦隊の閣僚が集結した
厚木准将「グリシネ軍作戦本部からの指示では、我が第三巡洋艦隊はしばらく活動が出来ない。だが、友軍部隊が生きて帰る保証のない奇襲攻撃をしようとしている。勿論、それを見殺しにすることは出来ない。本艦隊は、作戦本部の指示を無視し、独断により同作戦を支援しようと思う。それに加え・・・必要ならば、本国政府を転覆させる」
参謀長「・・・すばらしい作戦計画ですな。連中の指示に従うよりも、我々は我々の道を進むまでです」
作戦参謀「機動性重視の一撃離脱。今度の補充艦にピッタリじゃありませんか。やってやりましょう」
航海参謀「燃料は満載です、いつでもいけます!」
以下、閣僚全員の支持を受けた
元々人望に厚い厚木准将だ。第五主力艦隊の司令部に行ったのも、このクーデター計画のためだったのだ
参謀長「参加艦艇は?」
作戦参謀「『ライズナ』以下補充の四隻で行きましょう。機動力が最も優れていますし、元々空軍所属艦です。体のいい厄介払いをしたつもりでしょうが、それを使って戦果を挙げてやるんです!」
作戦計画はスピーディーに進み、第三巡洋艦隊の「ライズナ」以下駆逐艦四隻は、全速で日戦軍団艦隊に追いつくべく航行を開始した
そして、ルナツー近辺で日戦軍団艦隊へと追いついた
厚木准将「こちら、グリシネ軍第三巡洋艦隊。補充の駆逐艦四を用いて援護します」
松井元帥(通信)「・・・全く、止めても聞かんな」
厚木准将「『補充』がこれだったんです。あの件で相当上に嫌われたみたいなんで、いっそのこと、嫌がらせでもしようかと思いましてね・・・覚悟は出来ています。これはその意思表示です」
松井元帥(通信)「・・・旧式の駆逐艦四隻で、一撃離脱の奇襲作戦の援護か。分かった、そこまで言うなら止めはしない。だが・・・無茶はするな。生き残ってこそ英雄と呼ばれるんだからな」
そういって、松井元帥は援護作戦を了承した
第一特務艦隊に続いて、旧式駆逐艦四が付随していたのは、こういう経緯があった

ルナツー基地に設けられた私室で、先の考え事の続きをしていた松井元帥の許を、一両のチョロQが訪れた
松井元帥「入れ」
入ってきた五式中戦車は、厚木准将だった
厚木准将「第三巡洋艦隊、厚木准将。支援作戦のためただいま着任しました!」
松井元帥「・・・ちょうどいい、話があったんだ」
厚木准将「・・・なんでしょうか?」
松井元帥「支援に関しては感謝するが、ただでさえ謹慎中の身。上からは相当嫌われていよう。あの時は戦闘中のゴタゴタだったからまだマシだったとしても、今度は計画にない作戦参加だ。もし生きて帰ってこられたとしても、君に関しての命の保証は無いぞ」
松井元帥は厚木准将の今後を気にしていた
松井元帥自身もたびたびグリシネ国内で更迭されていた。自身の関わらなかった作戦の失敗の責任を取らされたこともあった
厚木准将「承知しています。今次作戦が終了した後、軍法会議にかけられ、処刑されることは分かっています。しかし・・・空軍の腐った連中の命令を聞くことなど出来ません。そうなれば、勿論グリシネにはいられません。そのときには・・・ある計画を考えています」
松井元帥「・・・まさか、君は・・・」
厚木准将「はい。軍事クーデターを起こすつもりです。第三巡洋艦隊及び第五主力艦隊より、自分の意思と自国に対する不信感を、グリシネ国陸海軍の各前線部隊に発信、呼応した部隊とともにベータ近辺の小惑星に集結、そこで軍を再編成します」
そう、かつての「日戦軍団事件」を再現しようというのだ
松井元帥は、これまで記したようにグリシネ国軍に嫌われていた
決起の直前には空軍参謀長黒田中将の横暴な発言に腹を立てて、喧嘩になりかかっていた
その直後の会議。第四次キュワール大戦の戦略会議の真っ只中、松井元帥の更迭が発案された。会議が恐ろしく白熱する中、「貴様らに言われずとも、こんな腐った軍部、辞めたほうがマシだ!」と叫んで会議室を後にし、チリ元帥に「潮は満ちた。予定通り作戦を決行せよ」と指示、チリ元帥以下陸海の前線部隊の面々が一堂に会し一斉に「大和」以下海軍の各艦艇を占拠、Qシュタインめがけて出港したのだ
これにより戦力の四割を喪失したグリシネ陸海軍は、事実上空軍の支配下に置かれることになる
その後戦力は陸海空ともに平均化されたが、空軍主体の軍事姿勢は変わらなかった
厚木准将「そして、そこを拠点とし、キュワールを独自にて防衛します」
松井元帥「しかし、補給は・・・」
日戦軍団のときはQシュタイン帝国が協力した。第四次キュワール大戦では中立国を決め込んでいた国だった
もっとも、開戦の翌年に中立状態にあったQグリーンに裏切られ、連合陣営に参加することになったのだが
厚木准将「補給は・・・松井元帥、ご協力をお願いします」
松井元帥「やはり、そうか。分かっていたよ。君の計画を、可能な限り支援する」
厚木准将「ありがとうございます!」
厚木准将は、何度もお礼を繰り返した
その後は、改めて作戦計画に関する雑談を交わした
松井元帥「・・・あの日、空軍は多数の犠牲を払ってまで、俺を殺そうとした」
その中には、かつて自身が経験した、グリシネ国軍の生んだ凄まじい悲劇の話もあった
第七十三話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:35 -
  
松井元帥の回想。第七十二話執筆段階で考えていた物を改変。

第七十三話 燃ゆる艦隊
あれは、第五次キュワール大戦が終わった頃、日戦軍団が安定してきた時期だった
グリシネ国、空軍学校。グリシネ国王の「誉れ高き空軍」の施設
文字通りの「誉れ高き」時代から、受け継がれてきた施設、だった
俺は珍しくも、そこで行われた公開飛行訓練に呼ばれたのだ
相変わらずのジェット機の轟音。キュワール各国の、軍民問わず多数のチョロQが、「誉れ高き空軍」を取り戻そうとする若きパイロットたちの勇姿を見ていた
クーデター以来の戦友、ティーガー元帥も、そこにいた
ティーガー元帥「あっ、松井元帥!」
松井元帥「ティーガー元帥か、久しぶりだな。第五次キュワール大戦以来だったか?」
ティーガー元帥「確か、そうだと思いますよ」
あの戦いから数ヶ月、キュワールは平和を取り戻しつつあった
勿論、北方の地では内戦が勃発しつつあり、既に「次の大戦」の準備は整っていた
松井元帥「・・・なかなか、うまい飛び方だと思わんか?」
ティーガー元帥「地域紛争時の松井元帥には及びませんが、確かにうまい飛行ですね」
訓練の割には、ずいぶんと派手に飛んでいる
プロトンやニビリアの士官たちが、飛び回る多数のジェット機を眺めていた
同盟国のためか、彼らは時折、歓声を上げていた
もっとも、ロドスシルト少佐やビスカイト中将は、沈黙を守ったままだ
・・・まさか、あんなことがあるとは、誰も思わなかっただろう
松井元帥「・・・ロドスシルト少佐」
ロドスシルト少佐「松井元帥!」
機影を眺めていたロドスシルト少佐に、俺は話し掛けた
忠告をしておきたかったのだ
松井元帥「『あれ』と我々が、ライバル、いや、宿敵同士であることは、知っているな?」
ロドスシルト少佐「そういえば、そんな話も聞きましたね」
松井元帥「特に、今、上で飛行機を駆っている『ことになっている』参謀たちと、俺は仲が悪い」
ビスカイト中将「・・・『ことになっている』?」
松井元帥「確かに飛んではいるが、どうせ複座機の後部席にでもいるんだろ、ってことだ」
ビスカイト中将「・・・なるほど、そんなことを言うほど、仲が悪いということですな」
ロドスシルト少佐「それで、何故その話を我々に・・・」
松井元帥「忠告だよ。飛行機を見る時は、施設からなるべく離れたほうがいい」
ロドスシルト少佐「・・・どういうことですか?」
松井元帥「今に、分かるよ。・・・ボアン大尉は?」
ビスカイト中将「ああ、大尉なら格納庫に」
松井元帥「分かった、すぐに行く。・・・それと、手近なところにいるチョロQに、『施設から離れるように』と伝えておけ」
ビスカイト中将「・・・了解しました!」
・・・俺は、格納庫の壁面に、見慣れない黒い物体が置いてあったのを見た

ビスカイト中将の言ったとおり、ボアン大尉は、格納庫にいた
展示されている飛行機を見ていたのだ
なぜか、駐機しているのは旧式機ばかりであった
ボアン大尉「・・・松井元帥?」
松井元帥「皆に伝えておいてくれ。なるべく施設から離れろ、って」
ボアン大尉「・・・テロでも起こるんですか?」
松井元帥「似たようなもの、とだけ言っておこう。校舎のほうまで行って来るよ」
とにかく、早く向かわなければならない、と思った・・・

ロドスシルト少佐は、歓声を上げている士官に向かって言った
ロドスシルト少佐「大尉、あまり建物の近くで見ると危ないって、松井元帥が言ってたぞ」
副官「・・・司令、それはどういうことですか?」
ロドスシルト少佐「特に聞いてないから分からんが、自分の命に関わるかもしれんぞ」
副官「・・・了解。おい、お前ら!なるべく離れて見ろってよ!」
プロトン将校たち「どういうことだ!?あんなに上を飛んでいるんじゃ、近くでないと見えないだろ!」
副官「遠くから見ねぇと、自分の命に関わる!」
副官の大尉がいつに無く物騒な口調で叫ぶ
プロトン将校「そんな話あるわけないだろ!」
ビスカイト中将「とにかく、離れるんだ!」
ティーガー元帥が、駆けつけてきた
ティーガー元帥「あっ、ビスカイト中将!松井元帥が『グリシネ空軍が恐ろしい陰謀を実行に移そうとしている』って・・・」
ビスカイト中将「グリシネ空軍!?」
ティーガー元帥「とにかく、離れてください!」
中将を始め、多数の士官たちは、施設を離れた
しかし、話を聞かない者たちもいた
確かに、信じられない話だろう
・・・だが、それは本当だった
ビスカイト中将「・・・それで、松井元帥。一体どういうことですか?」
松井元帥「空軍は俺を抹殺しようとしている。この場でな・・・」
プロトン将校「・・・まさか、あの飛行機に爆弾が・・・」
直後、空軍学校の校舎が、轟音を立てた
ロドスシルト少佐「何だっ!?」
続いて、格納庫、滑走路、地上駐機していた戦闘機、爆撃機、それだけではない。施設のほとんど全てが、爆炎に包まれた
松井元帥「・・・やはり・・・」
ティーガー元帥「施設が、一瞬で・・・」
ボアン大尉「・・・爆弾テロ、でしょうか?」
松井元帥「・・・奴らは俺を狙って、大量の爆弾を敷地内に仕掛けておいたんだ。だが、俺はこの場にいる大勢のチョロQと共に生き延びた」
大勢の、といっても、公開飛行訓練にいたチョロQはもっといたはずだ。残りは、いまや炎に巻かれているだろう
もしくは、爆発した施設の瓦礫の下敷きにでもなったか・・・
それだけではない、飛んでいた飛行機から、容赦なき機銃掃射が襲い掛かった
大方、「テロリストの掃討」のつもりだろう
こちらにも、数機ほどやってきた
松井元帥「・・・どうやら、強行手段らしいな」
対空ミサイルを構え、撃った
飛来した数機、おそらく「対地攻撃訓練」のつもりだったのだろうが、それらの機体は、全機撃墜された
副官「・・・一体、何故ここまで大掛かりなことを・・・」
松井元帥「・・・全くだ。何故ここまでして、俺の抹殺を試みたか・・・」
それだけではなかった。確か空軍には事故対策に消防車が配備されていたはずだが、それらが一台も出動せず、民間の消防車が出動することになった
そのため、救助が遅れ、相当数のチョロQが犠牲になった
ただ訓練を見に来ただけの、軍民問わないチョロQたちや、「誉れ高き空軍」を目指していた若きパイロット達も・・・
空軍の恐るべき陰謀によって・・・

松井元帥「・・・奴らは、俺一両殺すためだけに、罪も無きチョロQを大量虐殺した。しかも、この翌日の報道と来たら、ほとんどデタラメが書いてあった。まともに書いたのは他国メディアと、我が『日戦軍団広報』だけだった」
厚木准将「・・・聞いたことがあります。反政府テロリストによる凶行である、などと書いてあったような・・・あの事件にそんな話が」
松井元帥「仕組まれたテロだったんだよ。しかも、目標を取り逃がした」
厚木准将「では、自分はこれで。・・・あっ、後々、そのテロに関する資料を下さい。クーデターの役に立てるんで」
厚木准将は部屋を出て行った
松井元帥「・・・やはり、『あの時』から変わらんか。『祖国』でもない国だがな」
グリシネ国は相変わらずだ。自身が離脱してから酷くなったとも聞くが・・・

同時刻、Qタンク王国第十五巡洋艦隊がデヴォリアを出港、第一特務艦隊の作戦支援のため、セイロン沖を迂回して航行している
電探手「現時点で、レーダーに敵艦艇の姿はありません」
ライズドール大佐「分かった。警戒を続けろ」
電探手「了解!」
迂回航路を取るため、日戦軍団艦隊よりも先に出港していた
ライズドール大佐「このまま、見つからなければいいがな」
参謀「おそらく、見つかることはないと思いますがね。敵さん、どうも重要基地の位置を間違えたらしい」
ライズドール大佐「だといいんだがね・・・」
旗艦「サレックス」以下八隻、順調に航行中である
これ以外にも、Qタンク王国軍第111航空隊が出撃準備を整えている
最新鋭爆撃機カリバーンと最新鋭戦闘機ホワールウィンドで編成された航空隊である
準備は万全。後は日戦軍団艦隊と合流するだけである
単調な、しかし油断が許されない航海が、続いた

ルナツー基地、軍港
出航の準備をするため、弾薬などの積み込みを行っている
松井元帥は、それを眺めていた
そこに、通信士として「紀伊」乗り組みとなった藤田上等兵がやってきた
藤田上等兵「・・・司令」
松井元帥「どうした?」
藤田上等兵「何故、自分を『紀伊』に配属したのですか?」
松井元帥「・・・この船にいる限りは、貴様は死なん。そう思ったからだ・・・艦内を見てくる」
そう言って松井元帥は、「紀伊」へと乗り込んでいった
藤田上等兵「・・・司令、やはり・・・」
藤田上等兵は、そこまで言いかけて止めた
これからの戦い、あのようなことがまだ続くかもしれない

クリーク王国軍、サーロイ基地
撤退命令が下ったため、燃料補給を終えた連合軍機は直ちに出発準備を整えていた
ノイン上等兵「・・・負傷車は、どうするのですか?」
クリーク将校「治療が終わり次第、改めて搬送させていただきます」
これまでのクリーク軍の行動には疑問があった。しかし、負傷車に対する医療体制や、基地内での対応に関しては満足の行くところであった。こちらに関しては信頼できそうだ
京城少佐「では・・・あそこに駐機してある連合軍機と、その搭乗員の方を返していただきたいものですが」
クリーク将校「・・・搭乗員の方は認めますが・・・」
京城少佐「・・・機体のほうは?」
クリーク将校「ダメなんですよ。理由は分からんのですが、司令からの指示で」
その後も粘ったが、やはりダメであった
やむなく、彼らは整備が終わった機体へと戻った
菱沼少佐「結局、連中について分かったことは、なんだか良く分からん武器を持ってることぐらいか」
京城少佐「搭乗員の解放は許可したが機体の受け渡しは認めないって、どういうことだろうな。連中の機体は少なくとも一〇〇式司偵やらBv141やらには勝ってるはずだろ」
菱沼少佐「確かにそうだよな。まあ、とりあえずはベータに戻って、総司令官殿にこれを伝えるまでだな」
そういうと、菱沼少佐は機体へと乗り込んだ
負傷車がいなくなった代わりに、連合軍機搭乗員が数両ほど乗り込んだBv238C
操縦席に、ノイン上等兵が座る
副操縦士「変な奴らだ。何で機体を返さないんだ」
彼らの目の前を、多数の連合軍機が離陸していく
ノイン上等兵「どれだけ粘ってもダメなんです。一体何があるんでしょうかね?」
副操縦士「やっぱり、他国の飛行機を参考に新型機を開発しているとか、そういうものだろうか?」
ノイン上等兵「しかし、あのP−38みたいな機体、エンジン配置が独特すぎますが」
副操縦士「日戦軍団が試験中の新型機が、ああいう形をしてるんだ。何か関係があるかもしれんぞ」
まだ基地配備には至っていないが、日戦軍団海軍の新型局地戦闘機「閃電」の形は、間違いなくクリーク軍の新型戦闘機にそっくりだ
一体、何の関係があるのだろうか
京城少佐に聞いてみたところ、良く分からないものの「閃電」はP−38を参考にしているらしいという
あの飛行場にP−38、あるいはその偵察型のF−4の姿は無かったが、もしかしたら本国にはあるかもしれない
副操縦士「その内、連中にもBv141みたいな変な形した奴が現れるだろうよ」
ノイン上等兵「あれは偵察限定の設計ですから、それはないと思いますがね。一〇〇式司偵の方がありえるような」
副操縦士「だから、そういう偵察機が配備されるかもしれないってことだよ」
雑談をしていると、滑走路上に機体の姿は無くなった
ノイン上等兵「さて、今度はこっちの番だ。エンジン始動!」
エンジンを始動させ、滑走路上へ移動する
続いて、加速。ゆっくりと操縦桿を引き起こし、離陸する
そして、上空を旋回していた友軍機と合流する
目指すは、ベータ基地だ
それから数分後、三機の戦闘機がサーロイを離陸していった
第七十三話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:37 -
  
出港。月面哨戒基地についても言及してます。

第七十三話 燃ゆる艦隊
翌日、ルナツー基地
全十二隻の艦艇が、出港準備を整えた
ライズドール大佐(通信)「こちら、第十五巡洋艦隊。現在位置は月面哨戒基地近郊、二五〇浬」
松井元帥「了解了解、これよりパレンバンへ向かって出港する」
作戦に参加する第十五巡洋艦隊の通信を受け、日戦軍団第一特務艦隊及びグリシネ国海軍第三巡洋艦隊独立部隊は、ルナツー基地を出港した
松井元帥「現時点をもって作戦を決行する。全艦出港せよ!」
作戦参加部隊が、出港を開始する
全艦が出港を完了させた後、戦艦「紀伊」を先頭に、十二隻の艦艇が単従陣を組む
そして、第十五巡洋艦隊との合流地点を目指し、航行を開始した

同時刻、月面哨戒基地近郊二五〇浬
Qシュタイン軍が建設した月面哨戒基地は、元々航空機専門の基地である
だが、戦局の悪化に伴い、急遽港湾施設を建設、小規模ながらも宇宙艦隊の停泊地として機能するようになっている
その基地の近郊に、第十五巡洋艦隊が停泊していた
対潜警戒のため、輪形陣を展開している
通信士「主力部隊、ただいま出港との報告です」
ライズドール大佐「一旦休憩だが、油断は出来んな」
勿論、戦闘配置は維持している
それから数分後、予定の時間が近づいた
ライズドール大佐「よし、再びパレンバンへ向けて航行を開始する。陣形を単従陣に変更せよ」
八隻の艦艇が、一斉に増速する
そして、単従陣を展開する
決戦の時は、近い

パレンバン近郊、ラファリエス皇国南方第一艦隊
旗艦はシクロール級巡洋戦艦「テルミール」。火力、速度重視の典型的な巡洋戦艦である
数分前から、同艦以下南方第一艦隊のレーダースクリーンに、異変が生じていた
通信士「第二艦隊応答していますか?第二艦隊?!」
司令官、ギュスター少将は、念のため第二艦隊に連絡を取ろうと思ったが、通信機さえも動かない
ギュスター少将(車種:パンターG型)「・・・一体どういうことなんだ?ジャミングか?」
航海長「いえ、これは・・・磁気乱流ですな。前にどこかで聞いたことがある。レーダースクリーンが真っ白に染まり、外部への通信が一切出来なくなる。稀に発生する現象です」
ギュスター少将「・・・仕方が無い。目視索敵に切り替えろ!いくら連合軍がやって来る可能性が薄いとはいえ、索敵ぐらいはしておかんとな」
とは言ったものの、連合軍がわざわざこのパレンバンの奪還に乗り出すことはしばらくないだろう
この第一艦隊指揮下にあるのは二十九隻だが、他に第二艦隊三十九隻。西方艦隊を含めればさらに多数の艦隊がいるのだ
連合軍には名将が多数いるといわれるが、技術面で劣っている艦艇で編成された部隊を、この大部隊へ差し向けることなどないだろう
が、彼らは気づいていなかった。連合軍の小規模艦隊が、こちらへ近づいていることを・・・

同時刻、日戦軍団第一特務艦隊
電探手「・・・おかしいなぁ・・・」
電探手がレーダースクリーンを眺めている
灰田大佐「・・・どうした?」
先任将校、灰田大佐が聞く
電探手「レーダーが変なんです。数分前から真っ白になってまして・・・」
灰田大佐「・・・ジャミングか?」
通信長「その筋がありそうですね。他艦との通信も不能になっています」
話を聞いていた航海長、伊原少佐が口を挟む
伊原少佐「・・・あるいは、磁気の異常が生じているのかもしれません。ジャミングの場合は意図的にそれを発生させるんですが、自然現象でもありうるそうです」
ティーガー元帥「いずれにしても、ジャミングのような現象が起こっているんだったら、敵さんはこっちの存在を掴むことは困難だな」
松井元帥「・・・戦場では運とかそういうものはあまり期待しないが、これは幸運だな。よし、このまま突っ切る」
そういうと、松井元帥は艦内電話機を取った
松井元帥「機関長、速力を巡航25ktから、33ktへ上げろ!」
機関長(通信)「了解!」
松井元帥「これを全艦に、発光信号にて通達せよ!」
艦橋脇の張り出しに乗員が駆け込み、探照灯のスイッチを入れる
そして、遮光スイッチを巧みに動かし、発光信号を発する
艦隊はパレンバンへと近づきつつある

輸送船というものは、とかく暇である
軍艦と比べると鈍足。武装も無く、非戦闘地域を突き進むのみ
兵隊たる天城としては、どこか釈然としなかった
怪我は治っているのに、どうしてパレンバンに残らなかったのか。若き曹長、田辺が戦死してから、そう考えるようになった
野末曹長「・・・天城?」
かつての戦友、野末だ。確か憲兵隊所属だったはずだが
天城大尉「・・・野末か。久しぶりだな」
野末曹長「見たところ元気そうじゃないか。パレンバンが壊滅状態になったというのに、外国の負傷兵運んでたから無傷ってのも、運がいいな」
天城大尉「運がいいとか言えねぇよ。この状況じゃぁな」
野末曹長「・・・どういう状況なんだよ?」
天城大尉「・・・俺の戦友、溝口の部下が死んだ」
野末曹長「溝口隊の奴が?!・・・一体、誰が?」
野末も陸軍所属だ。溝口隊の戦闘技能は陸軍随一であることは知っている
若手隊員を鍛え上げる精鋭。平時では教導隊を務めたこともあった
天城大尉「田辺だよ。隊の中では、若い方の・・・」
それを聞いた野末は、申し訳なさそうであった
野末曹長「・・・悪いな。とんでもねぇことを聞いちまった気がする」
それを見た天城は、改めて話を持ちかけた
天城大尉「なあ、野末。俺たちが殺した敵兵たちにだって身内がいる。敵兵に殺されるかもしれない俺たちにだって身内がいる。恐ろしい話じゃないか。お互いが身内を守るために殺しあってるなんでよ」
野末曹長「そして、そいつらにだって『戦友』はいる。家族だけじゃねぇ、前線で出会った仲間達のために、戦うんだ」
天城大尉「・・・たった一台のチョロQでも、そのつながりは恐ろしく大きい。それが一両でも欠けた日には・・・」
そこまで言って、天城は沈黙した
野末曹長「・・・もう何も言うな。分かってるんだ。俺も憲兵だ。戦時下における銃後の悲しみは恐ろしいほど分かる」
天城大尉「・・・すまねぇ、野末」
野末曹長「・・・この船、デヴォリアに向かってるそうだ。敵さんはセイロンを押さえたから、デヴォリアはしばらく安全だ。だが・・・いつ襲われるかは分からん」
天城大尉「・・・そのときは、一緒かもしれんな」
野末曹長「・・・何か暗いから、話変えようか?」
天城大尉「このご時世、明るい話があるというのか?」
野末曹長「いや・・・グリシネよりはマシだってことぐらいしか」
天城大尉「ああ、そうか・・・考えてみればまともな将校のもとで、まともに敵に撃たれて散ったのはマシかもしれんな」
野末曹長「・・・とにかく、俺たちは、これまで散った奴らの分も生きるんだ。それが・・・奴らへの報いだ」
輸送船は、ゆっくりとデヴォリアへと向かっていた・・・

数分後、パレンバン沖
艦橋付近にある防空指揮所には、いくつかの双眼鏡が並んでいる
現在、そこには多数の兵士が、双眼鏡越しに遠方を眺めている
目視索敵に切り替えたため、普段は使わない双眼鏡を使っているのだ
すると、右端に待機していた兵士が叫んだ
遠方の景色に、敵艦の姿が見えたからだ
見張り員A「右舷前方、国籍不明の敵駆逐艦接近!」
敵艦は、真っ直ぐこちらへ向かってくる
レーダースクリーンは、相変わらず白いままだ
報告を受けたティーガー元帥は直ちに指示を下した
ティーガー元帥「了解!砲撃準備急げぇ!」
直後、ティーガー元帥は言った
ティーガー元帥「以後、戦闘指揮は松井元帥に委任します」
松井元帥「了解。主砲攻撃用意、目標、前方の敵駆逐艦!」
大嵐少佐「測距、始めぇ!」
速距手(通信)「照準よし!」
射撃手(通信)「射撃準備、よし!」
上部砲塔及び右舷砲塔、計六基が旋回する
大嵐少佐「撃ち方、始めぇ!」
六基の砲塔が一斉に咆哮する
そして、一二発のレーザーが敵艦へ向かって行く
敵艦は突然の攻撃に慌てふためきつつも、必死に回避運動を取る
だが、九発が直撃。敵艦は爆発、炎上した
そのまま敵艦は惰性で動いた後に停止、再び大爆発を起こし沈没した
見張り員B「左舷前方、敵駆逐艦接近!・・・先の艦と同型です!」
松井元帥「主砲攻撃用意、目標、前方敵駆逐艦!」
上部砲塔と右舷砲塔が旋回、照準が定まる
大嵐少佐「撃ち方始めぇ!」
砲撃、見事命中
敵艦は炎上、直ちに大爆発を起こし、轟沈する
見張り員A「敵、主力艦隊、遠方より接近中!」
松井元帥「どうやら今度は本隊らしい。全艦、総員戦闘配置!」
再び発光信号が発せられる
全艦が戦闘配置に付き、改めて戦闘が開始された

同時刻、ラファリエス軍南方第一艦隊旗艦「テルミール」は混乱状態に陥っていた
見張り員「現在駆逐艦二隻が轟沈!敵艦隊が接近中との報告!」
艦長「何っ!?敵艦隊だと!?」
ギュスター少将「全艦に通達、総員戦闘配置!」
急いで見張り員が探照灯へと駆け寄る
そして、発光信号を送る
だが、直後に軽巡洋艦が火を噴いた
見張り員「『ランドロメド』、沈没!」
艦長「もうやられたのか!?」
見張り員「左舷前方、敵艦と思しき艦影!艦種は不明!」
なんと敵艦隊は全速で突入してきたのだ
通信もままならない状況。指揮系統は事実上寸断され、乱戦となった

個艦戦闘を余儀なくされているラファリエス艦隊とは異なり、日戦軍団艦隊は単従陣を維持していた
バラバラに繰り出される敵艦の砲撃をかわしつつ、各艦艇は砲撃を開始した
敵駆逐艦、レーザーが直撃し炎上する
敵軽巡の主砲塔にレーザーが直撃、大爆発を起こす
後方より随伴する駆逐艦「磯風」が、宇宙魚雷を発射する
魚雷は見事敵重巡に直撃、大爆発を起こす
その煙の影から駆逐艦が現れる
だが、外れた魚雷が直撃、爆発する
見張り員B「前方、敵戦艦一及び重巡二を捕捉。どうやら旗艦のようです」
すると、随伴していた敵重巡が増速、こちらに接近してきた
そして、砲撃を浴びせてきた
しかし、砲撃は当たらなかった
松井元帥「面舵一杯、敵艦と同航戦を取る!『鳥海』、『摩耶』、『白鳥』はそのまま随伴し砲撃戦へ移り、他の艦は別部隊を叩け!」
「紀伊」が右へ旋回、それを見た「鳥海」、「摩耶」、「白鳥」の三隻の巡洋艦が続いた
敵艦二隻もほぼ同時に旋回、同航戦となった
敵艦は砲撃を開始する
しかし、砲撃は一切当たらない
どうやら指揮系統が混乱しているようだ
第二射が来る
だが、各砲塔ごとにバラバラの射撃で、一定していない
斉射が困難らしい
錬度もそれほど優れていないようで、「紀伊」以下四隻は砲撃をことごとくかわしつづけた
そして、「紀伊」の放った砲撃が、重巡の艦橋に直撃した
艦橋が火を噴いて吹き飛ぶ
その爆風で甲板上の砲塔が次々と爆発する
さらに一発は機関に命中した
大爆発を起こし、炎上する敵重巡
見張り員B「敵重巡、大破!減速しています!」
ティーガー元帥「機関室が火を噴いたな。ありゃ、数分と持たんな」
「鳥海」、「摩耶」、「白鳥」の三隻が、敵重巡に砲撃を開始する
砲撃、ことごとく命中
見張り員B「敵重巡、大破航行不能!」
続いて「鳥海」が魚雷を発射した
舷側に魚雷が直撃、敵重巡は大爆発を起こした
残るは、敵の巡洋戦艦だ

僚艦二隻が、一瞬にして炎上、轟沈した
「テルミール」の閣僚達は愕然とした
参謀長「・・・そんな、馬鹿な・・・」
だが、ギュスター少将、未だ戦意旺盛。断固交戦するつもりだ
ギュスター少将「・・・大丈夫だ。本艦がある限り第一艦隊は不死身だ。ガロックを発射する!」
艦長「ガロック発射用意!」
副長「ガロック発射よぉ〜ぃ!」
VLS発射管が開く
艦長「発射!」
轟音を立てて、ガロックが発射された
第七十三話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:38 -
  
激戦。そういえばこれほど多数の艦に名前をつけたのは第一話以来だろうか。

第七十三話 燃ゆる艦隊
噴煙を立てて、敵巡洋戦艦からミサイルが発射された
噴煙から察するに、あれはAD兵器だ
見張り員B「敵巡洋戦艦、AD兵器を発射!」
松井元帥「面舵、五〇度!」
「紀伊」が急旋回を開始する
敵AD兵器、「紀伊」を掠め、遠方へと飛び去っていく
回避成功だ
松井元帥「『鳥海』、『摩耶』、『白鳥』の三隻は一時退避、本艦のみで敵旗艦と交戦する!」
敵艦の主砲塔が、バラバラに撃ち始める
三隻の巡洋艦は急旋回で退避する
残った、「紀伊」は敵巡洋戦艦と交戦を開始した
敵巡洋戦艦、砲撃を開始する
しかし、まだ艦内の統制が取れていないようで、相変わらず各砲がバラバラに砲撃していた
大嵐少佐「奴さん、まだこっちの戦力を掴み切れちゃいないらしい。『敵艦は化物か』とでも震え上がってるだろうな」
まぐれ当たりのような弾も、松井元帥の指示でかわしつづけていた
松井元帥「よし、今度はこっちの番だ。主砲射撃用意!」
照準手(通信)「照準、既によし!」
砲撃手(通信)「射撃準備、既によし!いつでもどうぞ!」
大嵐少佐「撃ち方始め!」
六基の主砲塔が、斉射を開始する
敵巡洋戦艦、回避運動を取る
だが、間に合わない
十発は辛うじてかわしたが、残る二発が直撃、敵巡洋戦艦は炎上した
だが、その主砲塔はなおも撃ちつづけていた
松井元帥「第二射、射撃用意!」
敵巡洋戦艦、相変わらず当たらない砲撃を続けている
砲撃手(通信)「射撃準備よし!」
大嵐少佐「撃ち方始め!」
「紀伊」の第二斉射が始まる
数発が命中する

どういうわけか、こちらの砲撃は一切当たらない
だが、向こうの砲撃はほぼ必ず命中する
一体これは、どういうことなんだ
機関員A(通信)「くそっ、全然消えないぞ!」
機関員B(通信)「そんな事はない、何とか消火するんだ!」
機関員C(通信)「この艦がある限りラファリエス南方艦隊は不死身だ!」
機関員A(通信)「馬鹿、こんな状況じゃ消せるわけがないだろう!」
機関長(通信)「・・・機関室大破!もうダメです!」
既に所々で火の手が上がり、艦内は凄まじい事態となっている
副長「・・・やむを得ません。総員退艦しましょう」
艦長「・・・全艦放送へ・・・総員、退艦!」
「テルミール」は既に炎上し、航行不能となっていた
撃ちつづけていた砲塔も殆どが沈黙し、炎上していた
ギュスター少将以下、数十両のチョロQが甲板に集結する
そして、内火艇へと乗り込んだ
それから数十秒後、「テルミール」は大爆発を起こした

それは、近辺の重巡洋艦からも確認できた
艦長「・・・『テルミール』が沈んだ・・・」
艦長以下、幹部全員が沈黙した
副長「・・・くそっ、艦隊の指揮は誰がとるんだ!?」
見張り員「『シュミット』より発光信号!ただいまギュスター少将を収容!」
艦長「何とかするんだ!指揮系統を復旧させろ!」
艦内の混乱は、増すばかりであった

一応司令官は別の艦に救出された物の、指揮系統の混乱は収まらないようだ
一旦「鳥海」以下巡洋艦、駆逐艦隊を合流させ、隊列を組む
それに対し、指揮系統が未だ混乱しているらしい敵艦は散り散りになっていく
その向こう側に、敵の別働隊が見えた
松井元帥「よし、針路を西へ変針、敵別働隊を叩く」
全艦が変針、敵の別働隊へと向かっていく
艦数から察するに、ここまではまだまだ前哨戦。今度こそ本隊だろう

同時刻、ラファリエス軍西方第一機動部隊旗艦、空母「エルバス」
司令官「何っ、やられた?!」
見張り員「はい、帰還した偵察機からの連絡では、同第一艦隊は巡洋戦艦『テルミール』他、重巡『シェンク』以下三隻、軽巡『ランドロメド』、駆逐艦『フェンネル』以下八隻が沈没。『シュミット』を旗艦に陣形を組みなおそうとしている物の混乱状態になっているとのことです」
西方第一機動部隊は、無線が使えなくなってから、偵察機を飛ばして周囲の状況を確認していた
敵艦隊から離れていた「シュミット」から送られてきた発光信号をもとに、ようやく掴んだ情報である
参謀「司令、これは内惑星軍の奇襲です。敵艦隊を撃滅しましょう」
司令官「・・・よし、発艦準備!」
艦長「発艦準備ぃ!」
発艦準備命令が下り、艦内は慌しくなる
乗員達が一斉に機体の点検を行い、搭乗員達は格納庫に集合する

双眼鏡越しに見える艦影は、駆逐艦らしき艦影だ
その向こうには、巡洋艦らしき艦影が見える
おそらく、輪形陣を展開している。敵の機動部隊だ。こんなところにいたのか
見張り員「敵、機動部隊と思しき艦隊を発見!」
ライズドール大佐「よし、敵艦隊に突入する。両舷前進全速!」
「サレックス」以下八隻の艦が、単従陣を組んで敵艦隊へと突撃する
見張り員「前方、敵駆逐艦、射程圏に突入!」
ライズドール大佐「射撃用意!」
砲術長「目標、前方の敵駆逐艦。測距始め!」
砲塔が一斉に旋回する
測距手(通信)「照準、よし!」
砲撃手(通信)「射撃準備、よし!」
砲術長「撃ち方、始めぇ!」
各砲塔が咆哮する
敵駆逐艦、被弾して炎上する
随伴する重巡「デアリング」から魚雷が発射される
魚雷は反対側にいた二隻目の敵駆逐艦に命中、爆発する
見張り員「敵駆逐艦二、撃沈!」
ライズドール大佐「よし、全速を維持して敵艦隊に突っ込むぞ!」
炎上する二隻の間を潜り抜け、第十五巡洋艦隊は敵機動部隊へと迫った

外周に位置していた四隻の駆逐艦が、突然大破、轟沈した
撃沈された駆逐艦の一隻「ヘイドン」が残した電文では、巡洋艦四、駆逐艦四の小規模水雷戦隊であった
艦長「・・・本艦隊の戦闘能力を持ってすれば、撃退は可能です」
司令官「だが、その場合は南方艦隊の支援を放棄することになる・・・」
参謀「今は自部隊の安全が優先でしょう!」
司令官は迷っていた。発艦を優先させるか、一旦中止して退避するか
だが、直後に見張り員が叫んだ
見張り員「敵艦発見!」
司令官「・・・発艦中止!急速反転だ!」
艦長「取舵一杯!」
「エルバス」の巨体が突然旋回する
僚艦もそれに続く
だが、その判断は遅かった

西方第一機動部隊所属、重巡洋艦「シャンテクリア」、「シャトラン」は、「エルバス」の撤退を支援するために敵艦隊の前に立ちはだかった
艦長「目標、敵巡洋艦、砲撃用意!」
砲術長「砲撃用意!」
砲塔が旋回する
照準、定まる
直後、後方に布陣していた、「シャトラン」が爆発した
見張り員「・・・『シャトラン』沈没!」
艦長「何いっ!?」
「シャトラン」は大爆発を起こし、炎上、沈没した
砲術長「撃ち方始めぇ!」
残った「シャンテクリア」も、前方の巡洋艦に対して撃ち始める
だが、後方を見張っていた兵士から再び連絡が入った
見張り員「後方より巡洋艦一、駆逐艦四!」
艦長「・・・さっき『シャトラン』をやったのはこいつだったか!」
直後、「シャンテクリア」の甲板に砲弾が命中した
大爆発を起こす「シャンテクリア」
艦長「総員、退艦!」
乗員達が、急いで内火艇へと乗り込んでいく

二隻の重巡洋艦が、呆気なく火を噴いた
退避行動を取っていた「エルバス」に、敵巡洋艦が接近しつつあった
艦長「応戦始め!」
砲術長「主砲砲撃用意、目標は敵重巡!」
艦橋脇の砲塔郡が、一斉に旋回する
そして、射撃を開始する
こちらは横っ腹を見せている。弾数では間違いなくこちらの方が上だ
だが、逆にそれは、当たりやすいことを意味している
重巡洋艦三隻の猛砲撃が行われる
そして、ついに飛行甲板が炎上した
司令官「両舷前進全速、離脱しろぉ!」
だが、重巡の放ったレーザーが、飛行甲板エレベーターに直撃した
格納庫内の艦載機が、搭載していた爆弾、魚雷、そして周辺に待機していた搭乗員達を巻き添えに、大爆発を起こす
艦長「総員退艦!」
直後、甲板の各所から爆炎が噴出した
数両のチョロQが、甲板脇の内火艇へと駆け寄る
しかし、数分後、機関室から大爆発が起こった
その爆発により「エルバス」は沈んだ
艦隊司令官と艦長は、「エルバス」と運命をともにした・・・

眼前の敵航空母艦が、大爆発を起こし炎上した
退艦も殆どままならなかったようで、退避に成功した内火艇はほんの僅かのようだ
見張り員「敵空母の撃沈を確認!」
ライズドール大佐「・・・よし、針路を南へ変針。友軍部隊と合流する」
艦長「・・・司令!?」
ここから南には、敵の別働隊が確認されている
それを突破しない限り、友軍部隊との合流は不可能だ
ライズドール大佐「忘れたか?もうすぐ支援攻撃が来るはずだ」
艦長「・・・そうでしたな」
第十五巡洋艦隊は、針路を南に変針、敵艦隊を突破して友軍部隊との合流を図った

同時刻、セイロン沖上空宙域
500kmの速度を保ち、六機の機影が飛んでいる
その内二機は、最新鋭爆撃機「カリバーン」
「空中要塞」とも呼ばれる八発の超大型爆撃機で、全長84m、最高速度700km、航続距離28000kmの化物である
武装は20mm機関砲十六丁と30mm機関砲十二丁。爆弾は最大50tまで搭載可能だが、今回の任務では250kg爆弾を計二〇〇発搭載している
現在デヴォリア基地に二機が配備されており、今回作戦に参加しているのはこの二機である
護衛に当たる四機の戦闘機は、試験運用中の双発戦闘機「ホワールウィンド」
最高速度584km、航続距離2300km、武装は20mm機関砲四丁、250kg爆弾二発。重武装の重爆護衛機である
この最新鋭機で編成された航空隊を指揮するのは、ヤナギハラ中佐。グリシネ系の将校である
操縦士「もうすぐ、セイロン沖を通過します」
ヤナギハラ中佐(車種:五式中戦車)「うむ。予定通りだな」
操縦士「セイロンさえ残っていれば、真っ直ぐに通れた物ですがね」
ヤナギハラ中佐「だが、代わりにデヴォリアが陥ちていれば、この機体は存在しなかったぞ」
電探士「確かに、そうですな。電探には敵は確認できないので、このまま乗り切れれば大丈夫でしょう」
現在、セイロン基地は大日本帝国軍の占領下にあるため、その沖合いを迂回して通っている
第十五巡洋艦隊が通ってきた航路をそのままなぞっているような物である
あと数十分で目標地点に到達する。幸い、電探に敵の姿は見えなかった
第七十三話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:40 -
  
連携攻撃と猛爆撃。ある意味サブタイトルはこの場面のためにつけたようなものです。

第七十三話 燃ゆる艦隊
同時刻、日戦軍団第一特務艦隊
見張り員A「右舷前方、新たな敵艦隊捕捉!」
先ほどまで発見していた敵の別働隊である
磁気乱流は未だ続いており、指揮系統の混乱も収まらないようだ
その点においては、事実上各艦ごとに指揮を任せ、単従陣を維持している第一特務艦隊に分があった
大嵐少佐「撃ち方始めぇ!」
砲撃を受け、駆逐艦が一隻、吹き飛ぶ
もう一隻が、発光信号で連絡を取る
直後、「白鳥」の砲撃を受けて炎上、大破した
反転して、さらに一隻が向かってくる
「紀伊」の主砲射撃が命中、一撃にして轟沈する
大嵐少佐「潜水艦相手だったときはあんなに強く感じたのに、水雷戦隊は張子の虎だな」
灰田大佐「いや、これは向こうさんが大規模な混乱状態に陥っているためだ。全力で相手した場合はこちらの方が圧倒的に不利だ」
大嵐少佐「全く、魚雷艇乗員がよく言うよ」
あまりの戦勝ムードに、大嵐少佐も冗談を言う
松井元帥「先任の言うとおりだ、砲術長。今までラファリエス軍が凄まじい戦闘能力を誇ったのも、その連携のおかげだ。それは同時に、こちらにも通じる話だ。今回の勝利も訓練に訓練を重ねた結果だぞ」
勿論、松井元帥が抑えるのも忘れない
見張り員B「新たに敵駆逐艦四隻、高速で近づく!」
敵の新型駆逐艦が高速で接近してくる
松井元帥「主砲攻撃用意!目標敵駆逐艦、測距始めぇ!」
すると、敵駆逐艦が砲撃してきた
砲撃は「鳥海」に命中した
見張り員C「『鳥海』被弾!」
松井元帥「高雄型は駆逐艦の砲撃一発でやられるような船じゃない。しばらくは大丈夫だ」
「鳥海」の反撃を受け、先頭の一隻が炎上する
その脇からもう一隻が現れ、砲撃を続ける
砲撃は「摩耶」に命中。こちらも戦闘に支障は無いようだ
「鳥海」、「摩耶」の反撃を受け、一隻の敵駆逐艦が轟沈する
そして、真正面から近づいてきた一隻は、「紀伊」の砲撃により炎上した
松井元帥「面舵一杯!」
八隻の艦は、単従陣を維持したまま駆逐艦を回避する
だが、先に回避していたグリシネ艦隊は、面舵ではなく取舵で回避していた
見張り員C「友軍艦隊、隊列を離れました!」
ティーガー元帥「合流できるか!?」
見張り員C「無理です!敵艦が多すぎます!」
松井元帥「・・・35ktに増速、敵旗艦に突入をかける!」
再合流が困難と見た松井元帥は、速力を増速、第一特務艦隊のみで敵旗艦「フレイバー」以下巡洋戦艦一、重巡五、軽巡一、駆逐艦六の旗艦直属戦隊に突入をかけた
「鳥海」、「摩耶」、「白鳥」が搭載する最後の魚雷を発射する
魚雷は敵重巡洋艦に命中、炎上する
敵軽巡洋艦、主砲攻撃を開始する
砲撃は「浜風」に命中、中破した
だが、「磯風」以下僚艦が猛反撃を開始する
砲撃は軽巡に随伴する敵駆逐艦郡に直撃する
一隻が火を噴き、轟沈する
敵駆逐艦の反撃を受け、「磯風」、「野分」が損傷するも、戦闘に支障なし
そして、敵駆逐艦三隻が大破、戦線を離脱した
一方で、先の魚雷を受けて損傷を受けていた重巡に対し、「鳥海」、「摩耶」、「白鳥」は主砲射撃を敢行した
先の雷撃で速力が落ちていた二隻は、砲撃を受けて轟沈、残った一隻も損傷を受けて戦線を離脱した
測距手(通信)「敵旗艦、射程圏内に突入!」
大嵐少佐「撃ち方始めぇ!」
そして「紀伊」も敵旗艦をの砲撃戦を開始した
敵副砲弾が艦首甲板に命中する
測距手(通信)「一番主砲塔、砲身損傷!使用不能!」
大嵐少佐「大丈夫だ!まだ主砲はたくさんある!」
敵旗艦は旋回し、同航戦の準備に入る

前方に見えた敵艦は、内惑星軍の奥の手と呼ばれる戦艦であった
既に二線級の性能となりつつあるが、指揮官の卓越なる指揮により、過去の戦闘においてほとんど損害のないまま勝利しているという
また「キュワール唯一の独自開発AD兵器」を積んでいるとのことで、必中の猛攻で多数の我が方の艦を撃沈した
今回の戦闘でも、一個艦隊に壊滅的打撃を与えた
艦隊司令官、グロウセ少将は、敵旗艦の戦闘能力を理解した上で、同航戦の準備をした
第一斉射は、こちらに数発が被弾。敵艦には副砲弾十数発が命中、うち艦首甲板に命中した一発が主砲身をへし折ったようだ
射撃手(通信)「射撃準備よし!」
砲術長「撃ち方始めぇ!」
しかし、その直後に見張り員から、新たな敵を発見したとの報告が入った
見張り員「新たな敵艦隊捕捉!駆逐艦四隻!」
グロウセ少将(車種:パンターD型)「何っ!?」
砲術長「射撃中止!回避運動だ!」
だが、そのときには既に、多数の魚雷が発射されていた
艦長「取舵一杯!」
「フレイバー」は左へと旋回する
だが、間に合わない
一〇本もの魚雷が、「フレイバー」の左舷へと命中した
グロウセ少将「被害報告!」
直後、艦尾甲板が跳ね上がった
弾薬庫に引火したのだ
「フレイバー」は瞬く間に大爆発を起こし、轟沈した・・・

同時刻、ラファリエス軍西方第一艦隊、旗艦「エレスペル」
近辺にいた西方第一機動部隊が壊滅したとの報を受け、戦闘準備を整えていた
見張り員「敵艦隊は当艦隊を迂回、突破を試みている模様」
司令官「よし、第一機動部隊の二の足は踏まんぞ。敵艦隊に集中砲火を敢行、撃滅せよ」
艦隊に所属する各艦が、敵艦隊へと向かっていく
見張り員「敵艦隊、砲撃の兆しは見えません」
司令官「おかしい・・・迂回している以上、こちらには気づいているはずだが・・・」
そして、全艦が砲撃準備を整えた
そのとき、見張り員が叫んだ
見張り員「左舷上空、敵超巨大爆撃機、高速で接近中!」
司令官「爆撃機だと!?」
上空に、巨大な機影が見えたのだ
そして、それは胴体下の巨大な爆弾層を開けた
無数の爆弾が、艦隊に向かって投下される
それらは、凄まじい爆炎を上げる
艦長「対空戦闘だ!」
高角砲が咆哮する
しかし、全く当たらない
辺りは強烈な爆音と炎に包まれた

飛来したのは、Qタンク王国軍第111航空隊の超巨大爆撃機「カリバーン」であった
投下されたのは、250kg炸裂弾頭弾である
威力は通常爆弾に劣るものの、その爆発範囲は絶大で、大音響とともに凄まじい爆風を発する
ホワールウィンド四機の護衛がついていたが、事実上無用であった
敵艦隊が対空戦闘を行っている隙を突いて、Qタンク王国軍第十五巡洋艦隊は、敵艦隊を突破した
第七十三話 続く
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話
 松井一真  - 2008/12/24 0:41 -
  
シルグノーム級との決戦。狂喜する幹部の面々を描写するのにある意味苦労しました。

第七十三話 燃ゆる艦隊
その凄まじい状況を、第一特務艦隊の面々は遠めに眺めていた
松井元帥「・・・あれが、Qタンクの新型機か・・・」
ティーガー元帥「あれなら、敵艦隊は航空隊だけで充分ですな」
松井元帥「Qタンク艦隊と合流したら、任務は終了だ。ある程度敵艦隊を叩きつつ、ルナツーに帰還する」
すると、前方に異様な空間のゆがみが発生した
松井元帥「・・・シルグノームか!?」
そして、そのゆがみが消えた後、十隻の艦が出現した
見張り員A「・・・新たな敵艦隊出現!」
ティーガー元帥「・・・やはり・・・」
十隻の艦隊の中心には、シルグノーム級戦艦の姿があった
松井元帥「主砲攻撃用意、目標は敵戦艦!」
各艦の砲塔が、シルグノーム級戦艦に向けられる
大嵐少佐「撃ち方始めぇ!」
「紀伊」以下全艦が、一斉に発砲する
無論、光学兵器が殆ど通用しないことは分かっている
だが、魚雷はあいにく撃ち尽くしていた。よもやシルグノームが現れるとは想定していなかったのだ
「震風」は現状においては命中精度が低く、その他誘導兵器は照準システムの改良のために一旦取り外していた
グリシネ軍の四隻の駆逐艦にはそれぞれ一斉射分ずつが残っていたが、装填中であった

ラファリエス軍南方第三艦隊、旗艦「シルヴァウス」
輸送船団の護衛任務を終えて、パレンバン沖まで亜空間航行を行っていた同部隊だが、眼前に突如内惑星軍の艦隊が現れたことに気づき、動揺した
既に磁気乱流は収まりつつある物の、突然出現した敵艦隊の前に、一瞬対応が出遅れた
そのため、「シルヴァウス」には数十発のレーザー攻撃が命中した
ファルス中将(南方第三艦隊司令。車種:パンターII型)「全艦、目標は敵戦艦。攻撃初め!」
全艦の砲塔が、敵旗艦へ向けられる
艦形から察するに、キュワール連合軍では最強クラスの戦闘技能を持つ日戦軍団の戦艦であろう
そして、全艦艇から砲撃が浴びせられた
だが、その大半は回避される
軽巡の放ったレーザーが命中するも、効果は薄いようだ
双方ともに、互角の戦いを続けていた
そのとき「シルヴァウス」の放ったレーザーが、敵旗艦に直撃した

艦は激しく動揺する
ティーガー元帥「被害報告!」
受話器に寄りかかりつつ、ティーガー元帥が叫ぶ
日戦軍団兵士(通信)「右舷高角砲、被弾!」
ティーガー元帥「消火急げ!」
右舷で煙が上がる
松井元帥は艦橋で直立している
松井元帥「・・・よし、『震風』を使う。発射用意!」
灰田大佐「司令、敵艦の機動力から考えれば・・・」
松井元帥「構わん。奴を沈められるのは『震風』しかない。ここは賭けだ」
ティーガー元帥「・・・『震風』発射用意!」
大嵐少佐「『震風』発射用意!」
艦橋後部の発射管が開く
管制員「発射用意、よし!」
大嵐少佐「撃ち方ぁ始めぇ!」
管制員が発射釦を押す
轟音とともに、「震風」が発射される
だが、敵戦艦は旋回し、かわす
続いて第二射。真っ直ぐ敵戦艦に向かっていく
しかし、土壇場で回避され、「震風」は敵戦艦の舷側を掠めて消えていった

そのとき、グリシネ第三巡洋艦隊旗艦「ライズナ」では、ようやく魚雷の装填作業が完了した
水雷長「魚雷、装填完了。いつでもやれます!」
小泉少佐(「ライズナ」艦長。車種:四式中戦車)「よし、全弾撃ち尽くすまでやる。目標は敵戦艦!」
厚木准将「目標敵旗艦、全艦ともに魚雷発射用意!」
魚雷発射管が旋回する
そして、敵シルグノーム級戦艦に向けられる
小泉少佐「てぇーっ!」
計十六本の魚雷が、放射状に発射される
そして、敵艦隊へと向かっていく

突如、「シルヴァウス」の見張り員が叫んだ
見張り員「敵艦より魚雷、多数!」
ファルス中将「面舵一杯!」
「シルヴァウス」が急旋回を開始する
引き連れていた軽巡洋艦「ホルクーム」に魚雷が命中、炎上する
続いて駆逐艦「ホイムブレル」、「コンボルブルス」に魚雷が命中する
見張り員「『ホルクーム』、『ホイムブレル』、『コンボルブルス』、被弾!本艦にも魚雷近づく!」
そして、「シルヴァウス」にも三本の魚雷が命中した

敵旗艦の艦尾が炎上したのは、そのときであった
見張り員A「・・・敵旗艦の艦尾に友軍艦の魚雷が命中!・・・機関が損傷した模様!」
速力が徐々に遅くなっていく
大嵐少佐「よし、第三射、撃ち方始め!」
響き渡る轟音
噴煙とともに、「震風」は速力の落ちた敵戦艦へと向かっていく
再び急旋回でかわそうとするが、間に合わない
そして、「震風」は敵戦艦の舷側に直撃した
大爆発を起こし、炎上する敵戦艦
そして、船体が真っ二つに折れた
残存する艦艇は、一斉に旋回していく
見張り員A「敵旗艦・・・沈没!敵艦隊は撤退を開始しました!」
その報告の直後、艦内は、歓声に包まれた
伊原少佐「やったぁ!シルグノームを沈めたぞぉ!」
歓声を上げる伊原少佐
大嵐少佐「ぃよっしゃぁぁーー!」
大声を張り上げて喜ぶ大嵐少佐
灰田大佐「これで連中も、でかい顔できないな。キュワール連合軍甘く見るなよ!」
撤退する敵めがけて叫ぶ灰田大佐
藤田上等兵「・・・通信長」
通信長「・・・どうした?」
藤田上等兵「連中が驚く顔が見られないのが、誠に残念ですな」
通信長「そうだな。奴さん今ごろ急いで司令部に『キュワール連合軍によって「不沈戦艦」が撃沈された』とでも報告しているんだろうな」
通信が使えなかったので、全く出番が無かった通信班の面々
だが、彼らも戦闘に参加した乗員である
藤田上等兵は戦闘経過の記録を握り締めていた
そしてその歓声の中でただ一両、沈黙を守る松井元帥
ティーガー元帥「・・・司令、こういうときぐらい喜びましょうや。『仇敵』を倒したんですから」
松井元帥「・・・そうだな。よし、諸君!我々はついに長きに渡る仇敵『シルグノーム級』を撃沈した!それも我が方は全艦健在だ!これは我がキュワール連合軍における大きな一歩だ!」
艦内無線の受話器を取り、松井元帥が叫ぶ
松井元帥「・・・さて、任務は完了した。これより本艦隊は、ルナツーに帰投する!」
全艦が、ルナツーへ向けて旋回する
磁気乱流も収まっていた
松井元帥「通信長、ようやく仕事だ。『ライズナ』に電文を送ってくれ。『本日の雷撃見事なり。不沈戦艦の撃沈も諸君のおかげだ』・・・以上」
通信長「・・・了解!」
日戦軍団第一特務艦隊を初めとするパレンバン奇襲部隊は、一隻も喪失することなく、敵艦隊の戦艦三、空母一、重巡五、軽巡一、駆逐艦十八を撃沈、その他多数の艦に損害を与えた
これはキュワール連合軍において初の快挙であった

同時刻、ベータ沖上空
Bv238Cを初めとするパレンバン航空隊残存勢力は、連合軍艦隊によるパレンバン奇襲作戦の功もあってか、敵に襲撃されること無くベータに近づいていた
左側機関銃手「・・・航空機、三機が近づく」
ノイン上等兵「敵機か?」
左側機関銃手「いえ、あれは・・・クリーク軍機です」
副操縦士「何だ?気でも変わったのか?」
グロウス少佐(通信)「・・・こちらクリーク軍第110航空隊。まもなく貴部隊はベータへと到着する。短い間だったが、久々の来客で楽しかった。我々はこれにて帰投する。これからの諸君の健闘を祈る」
三機の戦闘機は、通信を終えると反転、サーロイの方角へと戻っていった
副操縦士「・・・なんだか、よく分からん奴らだ」
ノイン上等兵「・・・あれが彼らなりの流儀ではないでしょうかね?」
パレンバン航空隊残存勢力は、ベータへと近づきつつあった
菱沼少佐(通信)「・・・そういえば、ベータにはお前の兄貴がいたよな」
京城少佐「ああ、『天城』艦載の搭乗員だ」
菱沼少佐(通信)「ライトウォーターからでもどりとは、総司令官も粋な真似をする」
京城少佐「どういうことだか分からんが、一つだけ言える。ルナツーに行った連中もその内ベータに集まる」
菱沼少佐(通信)「・・・ということは、決戦はベータか?」
京城少佐「・・・分からん。だが俺たちは、与えられた任務を尽くすだけだ」
飛行場へめがけて、航空隊は進む
受け入れの準備も、整いつつあった

同時刻、ロドリグ
司令官「本部隊の任務は、窮地に陥っているキュワール連合軍を、救出することである!」
ロドリグ軍の大規模艦隊が、キュワール方面に向けて進軍を開始
その任務は、キュワール連合軍の救援である・・・

ルナツー基地には、多数の艦艇が集結していた
松井元帥「・・・また出港に時間がかかりそうだな」
作業兵「まあ、それも歴戦の証でしょう」
沈没艦こそ無かったものの、多数の船が損傷を受けた
特に「紀伊」は右舷高角砲三基が大破、第一主砲塔が損傷を負っており、船体の各所にも損傷が多数見られた
勿論この程度の損害に抑えられたのは松井元帥を初めとする「紀伊」乗員の奮闘があってのことである
藤田上等兵「・・・平岡。俺は近いうちに、お前の仇を討てるかもしれない・・・」
埠頭には、普段どおりに藤田上等兵が直立していた
付近に停泊する艦艇は、修理する工具が上げる火花が輝いている
松井元帥「・・・また、ここだったか」
藤田上等兵「・・・司令!」
松井元帥「・・・デブリーフィングが待ってる。行くぞ」
藤田上等兵「はっ!」
そういうと、松井元帥は反転して司令部へと走り出した

友軍艦は一隻の沈没も無く、敵艦隊に大損害を与えた
その情報は、瞬く間にキュワール各国にもたらされた
だが、その陣容に関しては、「キュワール連合軍の精鋭艦隊」とされ、グリシネ海軍の参加については明言されなかった
しかし・・・
参謀A「全く、海軍の連中は何をやってるんだ!」
参謀B「パレンバンが占領されたというのに、今度は艦隊が独断行動だと!?」
空軍の参謀達が悪口を言いながら通路を通っていく
どこからか情報を傍受したのだ
今回の艦隊独断行動に関しては、海軍情報部に逐一情報が入っていた
会議室に陸海空の閣僚が次々と入っていく
そしてその扉の前に、海軍情報部将校、湊川少佐が立っていた
その後を、情報参謀、高沢少将が通る
高沢少将(車種:三式砲戦車)「・・・くれぐれも、無茶はするなよ」
湊川少佐(車種:特五式内火艇)「はっ!」
二両は扉を開けて、会議室に入った
これから始まる「戦い」は、グリシネの命運を左右することとなる
第七十三話 終わり
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宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき
 松井一真  - 2008/12/24 1:12 -
  
あとがき:「やらない」と書いたくせに、「あれほどまで苦労して本編を書いたんだからやっぱり書くべきだろう」と思ったので結局やります。
サブタイトルは勿論「燃ゆる大空」に由来してます。最初はパレンバンに引っ掛けて「宇宙の神兵」にでもしようかと思ったんですが何かいまいちだったので考えていたところ「同じ軽快な曲調の軍歌なら」ということでこうしました。
かなりの長編とあって、纏めるのに苦労しました。第七十一話も長かったですが自分のやりたいことで長くしていたので今回のように元々長い話では流石に大変。サブタイトルも思いつかないという事態で。
冒頭でティーガー元帥が語っている将校。以前アンタXさんのサイトで言及したマッドタンクそのものです。いずれはドロワル事件を描いた短編を書く予定なのでそちらで登場させる予定。
第三巡洋艦隊によるクーデター計画。他の閣僚達まで本国政府に翻意を見せているあたりでグリシネは滅亡一歩手前だったようです。まあ南北が事実上分断されているような国(北方地域の一部都市が日戦軍団の管轄下にある)ですし。
日戦軍団の決起。そういえばこれに関してはあまり描いてなかったような。重要な組織なのに何も設定してなかったからなぁ。
空軍学校爆破テロ。松井元帥が決起してから空軍が完全に腐敗するまでの経緯として発生した事件です。これにより空軍内の「不穏分子」は一掃されたようです(真の目標である松井元帥は逃しましたが)。
ちなみに執筆当初このパートにロドスシルトの副官は登場していませんでしたが、「青き名将(仮題)」で出てきたので追加しました。
藤田上等兵。「紀伊」配属が決まったのに無線封鎖状況下では通信兵の出番はない。ということで今回は戦闘以外の場面で出しました。
クリーク軍。相変わらずのノイン上等兵と副操縦士のコンビ。京城と菱沼もそうですが、彼らに関しては今まで「ただいるだけ」だった搭乗員達に個性を出してみようと試みてます。そういえば今回はルドルフ曹長出し忘れた。

敵艦隊。今回は敵艦隊についてもいくつか描写してます。そのため敵艦隊の所属艦名もいくつか表記されてます。
「紀伊」の幹部。久々の登場なので全員出してみようと思いました(艦載飛行隊の角田少佐はいませんが)。
天城と野末。これまた元ネタがマニアックな仮想戦記です。天城はたびたび現れて前線から引き上げていく陸軍兵士ですが、野末は日戦軍団都市警備隊(通称「憲兵」)所属という設定です。そのため「戦時下における銃後の悲しみは・・・」と語っています(史実の憲兵のイメージとはえらい違いだ、とも思えますが)。
大乱戦。これまでの戦いで乱戦というのは発生していなかった気がするので少し苦労した部分でもあります。
第一機動部隊。この艦隊は幹部の名前が設定されておらず、艦名のみが設定されています。地味にこの艦隊だけ明らかになっている艦名が多いです。
第一一一航空隊。指揮官のヤナギハラ中佐、グリシネ系のようなので一応明記してあります。

誘導兵器に関して。今回は「誘導装置の都合で取り外している」という設定です。その内艦艇設定を新たに書くのでそちらでも言及する予定。
「震風」発射。誘導兵器を取り外している事情と同じく誘導装置に改良の余地があるのでまだまだ動いている船には当たりにくいようです。
ちなみに発射合図、砲兵装各種は「撃ち方初め!」、魚雷は「てぇーっ!」で統一してあります。書いてから気づいたんですが「震風」は後者のような気が。「亡国のイージス」でもハープーンは「てぇーっ!」だったし。

戦闘記録を書いている藤田上等兵。やっぱり無線封鎖状況下だとこれぐらいしかやることないだろうということで。戦闘記録は基本的に水測兵か通信兵の担当のようです。

ラストシーンに登場したグリシネ海軍情報部の面々。勿論、この後の会議で第三巡洋艦隊と日戦軍団を弁護する側のチョロQです。圧倒的不利な状況下彼らは如何にして与えられた資料を使うか。

次回はロドリグ軍によるキュワール救出作戦、となるのでしょうか。勿論グリシネ政府の動向も気になる次第。
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき
 ダークスピリッツ  - 2008/12/25 0:12 -
  
> あとがき:「やらない」と書いたくせに、「あれほどまで苦労して本編を書いたんだからやっぱり書くべきだろう」と思ったので結局やります。
> サブタイトルは勿論「燃ゆる大空」に由来してます。最初はパレンバンに引っ掛けて「宇宙の神兵」にでもしようかと思ったんですが何かいまいちだったので考えていたところ「同じ軽快な曲調の軍歌なら」ということでこうしました。
サブタイトルに関しては僕は軍歌にかなり疎いので元ネタはわかりませんでした
> かなりの長編とあって、纏めるのに苦労しました。第七十一話も長かったですが自分のやりたいことで長くしていたので今回のように元々長い話では流石に大変。サブタイトルも思いつかないという事態で。
自分でも色々まとめてたのですが意外にもかなり長くなってしまいました。敵艦隊を個別にして尚且つそれぞれの戦闘を描写してみたためこうなってしまったのかなぁ
> 冒頭でティーガー元帥が語っている将校。以前アンタXさんのサイトで言及したマッドタンクそのものです。いずれはドロワル事件を描いた短編を書く予定なのでそちらで登場させる予定。
ドロワル事件・・・・実に興味深い・・・
> 第三巡洋艦隊によるクーデター計画。他の閣僚達まで本国政府に翻意を見せているあたりでグリシネは滅亡一歩手前だったようです。まあ南北が事実上分断されているような国(北方地域の一部都市が日戦軍団の管轄下にある)ですし。
ぶっちゃけ僕はグリシネは一度滅ぶべきだと考えています(今のところの考えでは外惑星連合軍に攻められる→海空軍出撃するも壊滅→外惑星連合艦隊の鮮烈な艦砲射撃による地上爆撃・・・・ぐらいですまだ)
> 日戦軍団の決起。そういえばこれに関してはあまり描いてなかったような。重要な組織なのに何も設定してなかったからなぁ。
確かに決起した結果は伝わっていますが詳細な経過はまだ設定してませんなぁ
> 空軍学校爆破テロ。松井元帥が決起してから空軍が完全に腐敗するまでの経緯として発生した事件です。これにより空軍内の「不穏分子」は一掃されたようです(真の目標である松井元帥は逃しましたが)。
かなり無謀無茶なテロ計画ですね空軍の奴ら・・・
> ちなみに執筆当初このパートにロドスシルトの副官は登場していませんでしたが、「青き名将(仮題)」で出てきたので追加しました。
そういえば大尉がちろっと出てきてましたね
> 藤田上等兵。「紀伊」配属が決まったのに無線封鎖状況下では通信兵の出番はない。ということで今回は戦闘以外の場面で出しました。
今回の無線封鎖&磁気乱流は北極海等の高緯度の場所だとたまに起こるようですね。(まあそれを利用したわけですが)
> クリーク軍。相変わらずのノイン上等兵と副操縦士のコンビ。京城と菱沼もそうですが、彼らに関しては今まで「ただいるだけ」だった搭乗員達に個性を出してみようと試みてます。そういえば今回はルドルフ曹長出し忘れた。
そういえばいなかった。僕が設定したのに自分が忘れていた・・・
>
> 敵艦隊。今回は敵艦隊についてもいくつか描写してます。そのため敵艦隊の所属艦名もいくつか表記されてます。
今回はかなりの数の艦名が表記されてますね。特にラファリエス艦隊は沈没艦も含め名前が表記されてる艦が多かったですね
> 「紀伊」の幹部。久々の登場なので全員出してみようと思いました(艦載飛行隊の角田少佐はいませんが)。
まあ今回は艦隊戦メインで航空隊の出番はありませんでしたからね
> 天城と野末。これまた元ネタがマニアックな仮想戦記です。天城はたびたび現れて前線から引き上げていく陸軍兵士ですが、野末は日戦軍団都市警備隊(通称「憲兵」)所属という設定です。そのため「戦時下における銃後の悲しみは・・・」と語っています(史実の憲兵のイメージとはえらい違いだ、とも思えますが)。
どうも日戦軍団の憲兵は史実の日本軍の憲兵のイメージとは違うようですハイ。
> 大乱戦。これまでの戦いで乱戦というのは発生していなかった気がするので少し苦労した部分でもあります。
僕の頭の中には奇襲=大乱戦の構図が・・・・
> 第一機動部隊。この艦隊は幹部の名前が設定されておらず、艦名のみが設定されています。地味にこの艦隊だけ明らかになっている艦名が多いです。
ぶっちゃけ幹部の名前は思いつかなかったからorz
> 第一一一航空隊。指揮官のヤナギハラ中佐、グリシネ系のようなので一応明記してあります。
ヤナギハラ中佐の元ネタは僕が知ってるマニアックな仮想戦記のキャラですね(それだと階級は中将ですが)
>
> 誘導兵器に関して。今回は「誘導装置の都合で取り外している」という設定です。その内艦艇設定を新たに書くのでそちらでも言及する予定。
まあ現在の各国の艦艇はほとんど誘導兵器を搭載していませんね僕の趣味で(オイ
> 「震風」発射。誘導兵器を取り外している事情と同じく誘導装置に改良の余地があるのでまだまだ動いている船には当たりにくいようです。
そのため魚雷攻撃→敵艦の機関部に都合よく命中→そして艦速の遅くなった敵艦に「震風」命中みたいな強引な運びにしました(リアルにありえそうですけれどね)
> ちなみに発射合図、砲兵装各種は「撃ち方初め!」、魚雷は「てぇーっ!」で統一してあります。書いてから気づいたんですが「震風」は後者のような気が。「亡国のイージス」でもハープーンは「てぇーっ!」だったし。
「震風」は一応大型ミサイルですからね
>
> 戦闘記録を書いている藤田上等兵。やっぱり無線封鎖状況下だとこれぐらいしかやることないだろうということで。戦闘記録は基本的に水測兵か通信兵の担当のようです。
やはり今回は通信兵の出番は無かったですね^^;
>
> ラストシーンに登場したグリシネ海軍情報部の面々。勿論、この後の会議で第三巡洋艦隊と日戦軍団を弁護する側のチョロQです。圧倒的不利な状況下彼らは如何にして与えられた資料を使うか。
そこに期待。一応設定には俺なりに簡略化していれておきます
>
> 次回はロドリグ軍によるキュワール救出作戦、となるのでしょうか。勿論グリシネ政府の動向も気になる次第。
え〜次の第七十四話ですがベータ沖での小戦闘の連続となる予定です。ロドリグ軍はその次になりそうです。
グリシネ政府はまた大論争・・・ですかねぇちなみに伏線を引きますけど厚木准将の軍事クーデターは第七十五話に予定しております。
少しだけ予告を入れておくと次にQW連合軍の敵となるのは新国家として機能を始めたグリシア帝国です。そしてかの「ビストロイ」も登場予定。
引用なし
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Re:宇宙戦艦紀伊 第七十三話 あとがき
 松井一真  - 2008/12/25 0:57 -
  
> > あとがき:「やらない」と書いたくせに、「あれほどまで苦労して本編を書いたんだからやっぱり書くべきだろう」と思ったので結局やります。
> > サブタイトルは勿論「燃ゆる大空」に由来してます。最初はパレンバンに引っ掛けて「宇宙の神兵」にでもしようかと思ったんですが何かいまいちだったので考えていたところ「同じ軽快な曲調の軍歌なら」ということでこうしました。
> サブタイトルに関しては僕は軍歌にかなり疎いので元ネタはわかりませんでした

ちなみに同名の映画も製作されています。その映画の主題歌となったのがこの軍歌です。

> > かなりの長編とあって、纏めるのに苦労しました。第七十一話も長かったですが自分のやりたいことで長くしていたので今回のように元々長い話では流石に大変。サブタイトルも思いつかないという事態で。
> 自分でも色々まとめてたのですが意外にもかなり長くなってしまいました。敵艦隊を個別にして尚且つそれぞれの戦闘を描写してみたためこうなってしまったのかなぁ

今見ると昔の話が非常に短く感じます(プロローグを除いてもっとも短いのは第二話)。

> > 冒頭でティーガー元帥が語っている将校。以前アンタXさんのサイトで言及したマッドタンクそのものです。いずれはドロワル事件を描いた短編を書く予定なのでそちらで登場させる予定。
> ドロワル事件・・・・実に興味深い・・・

ティーガー元帥が除隊される一因となった事件で、ドニゲッテル少将が決起する遠因となった事件。キュワールシリーズでは五島戦争や日戦軍団事件ともども重要な要素です。

> > 第三巡洋艦隊によるクーデター計画。他の閣僚達まで本国政府に翻意を見せているあたりでグリシネは滅亡一歩手前だったようです。まあ南北が事実上分断されているような国(北方地域の一部都市が日戦軍団の管轄下にある)ですし。
> ぶっちゃけ僕はグリシネは一度滅ぶべきだと考えています(今のところの考えでは外惑星連合軍に攻められる→海空軍出撃するも壊滅→外惑星連合艦隊の鮮烈な艦砲射撃による地上爆撃・・・・ぐらいですまだ)

気が付けばグリシネは「連合の膿」のような存在になってますな。第五次キュワール大戦時のQQQQみたいだ。

> > 日戦軍団の決起。そういえばこれに関してはあまり描いてなかったような。重要な組織なのに何も設定してなかったからなぁ。
> 確かに決起した結果は伝わっていますが詳細な経過はまだ設定してませんなぁ

元々あやふやな設定だったのでここまで苦労したわけです。元々はQシュタインの独立部隊という設定だった気がするのですが、グリシネが設定されてからは「グリシネから離反した将校たちによる独立民兵組織」という設定になっています。実はグリシネのほうが後から設定されています(松井元帥の出身地がQターレットなのもそのためだったり)。

> > 空軍学校爆破テロ。松井元帥が決起してから空軍が完全に腐敗するまでの経緯として発生した事件です。これにより空軍内の「不穏分子」は一掃されたようです(真の目標である松井元帥は逃しましたが)。
> かなり無謀無茶なテロ計画ですね空軍の奴ら・・・

過激派勢力によるテロ事件であるというのはある意味であっています。何しろ軍部ですから爆薬には事欠かない。

> > ちなみに執筆当初このパートにロドスシルトの副官は登場していませんでしたが、「青き名将(仮題)」で出てきたので追加しました。
> そういえば大尉がちろっと出てきてましたね

改めて気づいたんですが空軍の式典なのに陸軍しか集まっていない。まあ日戦軍団にもプロトンにも当時空軍は存在しませんでしたが(プロトンの空軍が独立するのは第六次キュワール大戦前後)。

> > 藤田上等兵。「紀伊」配属が決まったのに無線封鎖状況下では通信兵の出番はない。ということで今回は戦闘以外の場面で出しました。
> 今回の無線封鎖&磁気乱流は北極海等の高緯度の場所だとたまに起こるようですね。(まあそれを利用したわけですが)

当初は大和特攻のイメージ(作戦名が「菊」号なのもそのため)でしたが、むしろビスマルク追撃戦のほうが近かったですな。

> > クリーク軍。相変わらずのノイン上等兵と副操縦士のコンビ。京城と菱沼もそうですが、彼らに関しては今まで「ただいるだけ」だった搭乗員達に個性を出してみようと試みてます。そういえば今回はルドルフ曹長出し忘れた。
> そういえばいなかった。僕が設定したのに自分が忘れていた・・・

現場のチョロQというのは最も個性を発揮すべき存在なのでもう少し個性を意識しようと思います。溝口隊も今度出てきたらさらに個性の多い存在になりそう。

> > 敵艦隊。今回は敵艦隊についてもいくつか描写してます。そのため敵艦隊の所属艦名もいくつか表記されてます。
> 今回はかなりの数の艦名が表記されてますね。特にラファリエス艦隊は沈没艦も含め名前が表記されてる艦が多かったですね

今回は基本的に欧州の中小艦(主にフランスやイタリア)から艦名を取っています。聞きなれない感じで。
日戦軍団艦隊。今回唯一名前が明かされなかった陽炎型は無論「雪風」だったりします。

> > 「紀伊」の幹部。久々の登場なので全員出してみようと思いました(艦載飛行隊の角田少佐はいませんが)。
> まあ今回は艦隊戦メインで航空隊の出番はありませんでしたからね

機動部隊がいるので若干は発生するかと思いきや一つは発進前に殲滅、もう一つは奇襲攻撃により大混乱となり発進どころじゃない、という事態でしたな。

> > 天城と野末。これまた元ネタがマニアックな仮想戦記です。天城はたびたび現れて前線から引き上げていく陸軍兵士ですが、野末は日戦軍団都市警備隊(通称「憲兵」)所属という設定です。そのため「戦時下における銃後の悲しみは・・・」と語っています(史実の憲兵のイメージとはえらい違いだ、とも思えますが)。
> どうも日戦軍団の憲兵は史実の日本軍の憲兵のイメージとは違うようですハイ。

というか日戦軍団全体が史実の日本軍と結構イメージ変わってます。モチーフが「紺碧の艦隊」だったので(「紺碧の艦隊」はSCQ執筆当初は好きでしたが今見ると「史実の日本軍全否定じゃないか」と思えてきたので何かいまいちです。トンでも兵器がたくさん出てくるのにどれも一発屋だし)。
ただ、全般的に「紺碧の艦隊」のイメージとは異なり、如何なる戦闘においても正面からぶち当たるのが通例です。というか設定当初のポリシーが「如何なる敵が相手であれ正面からぶち当たる」というものだったので。後々ちょっと変わった感じにもなりますが。

> > 大乱戦。これまでの戦いで乱戦というのは発生していなかった気がするので少し苦労した部分でもあります。
> 僕の頭の中には奇襲=大乱戦の構図が・・・・

どちらかというとソロモンなどの夜間水雷戦的な感じでしたかね。

> > 第一機動部隊。この艦隊は幹部の名前が設定されておらず、艦名のみが設定されています。地味にこの艦隊だけ明らかになっている艦名が多いです。
> ぶっちゃけ幹部の名前は思いつかなかったからorz

単発出演ですから、それ程重要でもないですし。

> > 第一一一航空隊。指揮官のヤナギハラ中佐、グリシネ系のようなので一応明記してあります。
> ヤナギハラ中佐の元ネタは僕が知ってるマニアックな仮想戦記のキャラですね(それだと階級は中将ですが)

結構マニアックなネタがたくさんありますな、今回の作品。

> > 誘導兵器に関して。今回は「誘導装置の都合で取り外している」という設定です。その内艦艇設定を新たに書くのでそちらでも言及する予定。
> まあ現在の各国の艦艇はほとんど誘導兵器を搭載していませんね僕の趣味で(オイ

というか今までの戦闘で生かせてませんからね、誘導兵器。

> > 「震風」発射。誘導兵器を取り外している事情と同じく誘導装置に改良の余地があるのでまだまだ動いている船には当たりにくいようです。
> そのため魚雷攻撃→敵艦の機関部に都合よく命中→そして艦速の遅くなった敵艦に「震風」命中みたいな強引な運びにしました(リアルにありえそうですけれどね)

映画「ローレライ」の劇中で(索敵装置があれとはいえ)ほぼ確実にスクリューシャフトを狙い撃つという場面がありましたが、あれみたいですな。当初の脚本では後の潜水艦戦で「敵艦が発射した魚雷が伊−507を掠め、そのまま前方の敵艦に直撃」という展開も予定していたそうな。

> > ちなみに発射合図、砲兵装各種は「撃ち方初め!」、魚雷は「てぇーっ!」で統一してあります。書いてから気づいたんですが「震風」は後者のような気が。「亡国のイージス」でもハープーンは「てぇーっ!」だったし。
> 「震風」は一応大型ミサイルですからね

ミサイルは水雷兵装に代わる武器なのである意味後者でしたな。今後使う際には「てぇーっ!」の方を使うつもりです。

> > 戦闘記録を書いている藤田上等兵。やっぱり無線封鎖状況下だとこれぐらいしかやることないだろうということで。戦闘記録は基本的に水測兵か通信兵の担当のようです。
> やはり今回は通信兵の出番は無かったですね^^;

何かせっかく「紀伊」まで連れてきたのに意味がない感じが。そういえば例の平岡二等兵はどうなるんでしょうか。

> > ラストシーンに登場したグリシネ海軍情報部の面々。勿論、この後の会議で第三巡洋艦隊と日戦軍団を弁護する側のチョロQです。圧倒的不利な状況下彼らは如何にして与えられた資料を使うか。
> そこに期待。一応設定には俺なりに簡略化していれておきます

ちなみに湊川、高沢ともに映画「ローレライ」の登場人物に由来してます。ネタが無かったので。

> > 次回はロドリグ軍によるキュワール救出作戦、となるのでしょうか。勿論グリシネ政府の動向も気になる次第。
> え〜次の第七十四話ですがベータ沖での小戦闘の連続となる予定です。ロドリグ軍はその次になりそうです。
> グリシネ政府はまた大論争・・・ですかねぇちなみに伏線を引きますけど厚木准将の軍事クーデターは第七十五話に予定しております。
> 少しだけ予告を入れておくと次にQW連合軍の敵となるのは新国家として機能を始めたグリシア帝国です。そしてかの「ビストロイ」も登場予定。

今後の戦線はベータ沖へ。グリシネにおける大規模な(会議室の)激戦、帝国の統一、次々と巻き起こる小規模戦闘。激戦の中でキュワールはどうなるのか。
引用なし
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んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


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