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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上、さくらがちる頃に。
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今回もっともこだわった会議室の攻防。
第七十四話 第二の初陣
会議室には、多数の幕僚が集結している
空軍参謀A「第三巡洋艦隊が派手にやらかしたそうですよ」
空軍参謀B「ああ、その件については既に聞いているよ」
空軍参謀A「奴を更迭したのは正解だったが、更迭した先がまずかったな・・・」
空軍参謀C「しかしね、謹慎中の身だというのに、たかだか四隻の駆逐艦で出撃したばかりか、挙句の果てに逆賊と同一行動とは、全く何ということだ!」
空軍参謀D「そうだ!あいつはとんでもない国賊だ!」
こうもなると、空軍はとてつもなく騒ぎ始める
特に意味も無いようなことを絶叫するのが彼らである
空軍参謀B「海軍第五艦隊は何故止めなかったのかね?!」
やはり矛先は海軍に向けられた
海軍作戦参謀である西郷中将が言う
西郷中将「そうは言ってもですね、ベータは補給線が途絶していて通信もままならないんですよ!」
空軍参謀B「通信どうこうの問題じゃないだろう!大体パレンバンが占領されたのは貴様らが頑張らなかったからだろう!」
空軍参謀A「そうだ!第三艦隊司令の処分はどうなっている!?」
空軍参謀C「そうやって馴れ合いばかりしているのが貴様らの悪いところだ!」
空軍参謀B「俺たちに責任を押し付けようとでも言うのか!?石田と厚木の処分はどうなっていると言っているんだ!」
第三巡洋艦隊が活動を開始してからというもの、海軍の株は急激に下がりつつある
このままでは海軍が真っ先に「犠牲者」となりそうだ
海軍参謀「ですから、本日は彼らの処分について・・・」
空軍参謀B「こうなればね、あの国賊の権威と階級を全て剥奪し、本国に連行して即刻銃殺刑にするべきだ!」
一式中戦車が叫ぶ
その言葉を聞いて、他の参謀達も同じことを叫び始めた
空軍参謀C「谷村の言うとおりだ!あの国賊をさっさと殺せ!」
黒田中将「国家の膿を始末しろ!」
その会議の中で、海軍情報部所属の将校、湊川少佐は思った
この将校の言っていることは支離滅裂だ。空軍はパレンバンに一機もよこさなかったくせに、パレンバン防衛に失敗した第三艦隊を咎めている
挙句の果てに大戦果を上げた艦隊司令官を抹殺しようとしている
空軍参謀C「大体だな、逆賊どもの無謀な特攻作戦に同行するということが間違いなのだよ!」
大柄な車体に中将の階級章と無数の勲章を付けた九五式重戦車が叫ぶ
さっきから随分とやかましい奴だ
湊川少佐「お言葉ですが、藤沢中将。彼らは絶対的に生還できると見て、作戦を遂行しています!過去の松井元帥の功績、知らないはずがないでしょう!」
自身の立場を省みずに、湊川少佐は言った
情報士官として事実を言うことは当然だ。何が悪いか
空軍参謀A「貴様、逆賊の肩を持つ気か?!」
空軍参謀C「絶対的に生還できる!?そのような話があるか!?」
湊川少佐「あなた方はQトルック紛争の折、絶対的に勝利できると確信した作戦を幾度か立案した!それと似たような物と思ってください!」
高沢少将「湊川君!」
海軍情報参謀の高沢少将が制止する
大河内元帥(車種:特四式内火艇)「・・・いや、湊川君、続けてくれ」
海軍長官、大河内元帥が言う
既に腹は決めた。ここで言わずしていつ言うか。これが最後の会議となるかもしれないのだから
湊川少佐「はっ!・・・この作戦・・・彼らは『菊』号作戦としたそうですが、この作戦計画には精鋭部隊である日戦軍団第一特務艦隊のほか、Qタンク第十五巡洋艦隊、同第111航空隊が参加予定とあります!」
彼は日戦軍団から渡された作戦計画書をしっかり握っていた
「『菊』号作戦計画書」と題されたそれには、そのときに起こったことの全てが書かれていた
空軍参謀C「たかだか巡洋艦隊一つと航空隊だけで、奴らに勝てたのかね?」
空軍参謀B「いずれにしても、ラファリエスの大機動部隊には勝てないではないか!」
湊川少佐「全艦無事で帰ってきたのです!」
空軍参謀D「それは結果論でしかない!」
殆ど追従しかしていない九二式重装甲車が言う
湊川少佐「結果論で考えれば、あなた方の作戦は間違いなく馬鹿の産物です!」
湊川少佐は知っていた。第三次キュワール大戦時に並行して勃発したQトルック紛争において、グリシネ国軍は精鋭空軍の発案した作戦が全くもって効果が無く、さらに陸海軍との連携が一切取れていなかったために所詮で敗退を続け、プロトン王国の援助を受けて辛うじて持った、ということを
その時代から、空軍の作戦指揮能力は欠けていたのだ
空軍参謀C「・・・作戦のことはいい、あいつをさっさと処刑するんだ!とんでもない国賊だぞ!」
相変わらず、自分達が不利な状況に立たされると、状況を上手く持っていこうとする奴らだ
それに対し、原田大将が立ち上がろうとする
モントレー元帥「参謀長、無茶はよせ」
陸軍長官、モントレー元帥が制止する
原田大将「長官、いずれこの国は滅びます。せめて、一度だけでも正しいことをさせてください」
モントレー元帥「・・・分かった。好きにしろ」
それを聞いて、原田大将は立ち上がって言った
原田大将「彼のやったことは間違いなく命令違反だ。しかし『菊』号作戦への参加自体は間違いではない。日戦軍団及びQタンク王国軍と共同で作戦を展開し、敵戦艦を撃沈せしむるという、今までのグリシネ軍では考えられないほどの大戦果を挙げているのだぞ!」
空軍参謀A「陸軍参謀長、今日は海軍の会議のはずだろう!貴様ら陸の連中は関係が無いだろう!」
あまり口を開いていなかった三式中戦車が叫ぶ
確か空軍技術本部長、斎藤中将の片腕と呼ばれた参謀だったか
彼も例に漏れず、中将の階級章と無数の勲章をつけている
今日は介入できる話ではないのか、斎藤中将が沈黙している分、彼がしきりに叫んでいる
原田大将「森中将!これは軍全体の不祥事だ!国が傾くかもしれないのに、まだ縄張りを主張するか!・・・大体、この事件は貴様らが引き起こしたといっても過言ではないんだぞ!」
西郷中将「そのとおりだ!あいつと俺の戦友をここまで追い詰めたのは貴様らだろうが!・・・森、貴様はとんでもなく狂っちまった!」
駆逐艦「ライズナ」の艦長、小泉少佐は西郷中将の戦友であった
彼を前線部隊へと更迭し、自身は空軍参謀本部のポストに収まった「卑怯者」は二両の同期の桜、森中将であった
原田大将「貴様らは自分たちこそが正義だと思っているが、それは間違いだ!貴様らは壁にぶち当たったことが一度も無いからそう言える!俺はここまで生きてきて、どれほど苦渋を嘗めさせられてきたことか!俺も松井元帥も、Qターレットの士官学校時代から幾多もの苦難の壁を乗り越えてきたんだ!」
今までに無く原田大将が熱弁を揮う
西郷中将「森、貴様はあの時に誓った事を忘れたか!」
空軍参謀A「黙れぇっ!」
そう言うと、中将の階級章をつけた三式中戦車が発砲した
その砲弾は、熱弁を揮っていた湊川少佐に命中した
湊川少佐「・・・口に対して、鉄砲で答えますか!?」
高沢少将「まずい!・・・落ち着け、湊川君!」
高沢少将が言った時には遅かった
既に湊川少佐の砲身には硝煙が立ち昇っていた
そして、湊川少佐は森中将へと掴みかかっていた
高沢少将「しまった・・・」
湊川元帥「偽善車はいつもそうだ!文句だけは美しいけれど・・・!」
それに続けとばかりに、陸海の幕僚達が一斉に飛び掛ってきた
陸軍参謀「湊川に続けぇっ!この国を支配する悪党どもを締め出してやる!」
直ちに応戦しようと空軍の幕僚達も一斉に机を押し倒して飛び掛った
黒田中将「黙れっこの国賊が、皆殺しにしてくれる!」
会議室は一瞬にして戦場と化した
大河内元帥「・・・高沢君」
高沢少将「・・・申し訳ございません」
大河内元帥「いや、こうなることは分かっていたよ。だから湊川君を進めた」
あるものは止めるため、あるものは支援するため。押しも押されもしない壮烈な内乱が始まった
もはや会議どころではない
グリシネ国王「諸君、落ち着け!」
陸軍参謀「寄生虫め!」
空軍参謀D「国賊がぁっ!」
国王は必死に落ち着かせようとするが、発言権など無いに等しい国王の言葉に誰も耳を貸そうとしない
数では陸海の方が単純計算で二倍はある。軍事会議だったので民事の閣僚は誰一両とも居らず、先の二発の弾丸を除いては発砲することこそ無かったものの、積年の恨みとばかりに飛び掛る陸海の幕僚は、空軍の幕僚をたこ殴りにしていた
普段は落ち着き払っている西郷中将も、このときは狂気の塊と化していた
西郷中将「森ぃっ、これで目を覚ませぇ!」
脚をたたんだ長机を取り、西郷中将が叫ぶ
斎藤中将「この国賊どもめ!」
海軍参謀「石頭技術屋は黙っていろ!」
自身が座っていた椅子を取り、一撃を加える参謀
あるものは椅子を持って殴りかかり、あるものは机を振り回す
一瞬にして戦場と化した会議室で、それまで黙っていた統合幕僚長、木原元帥が叫んだ
木原元帥(車種:TK−X)「落ち着け!落ち着け!・・・・諸君、落ち着くんだ!もういいだろう!」
ただ一つだけ立っている彼の前の机を叩いて、木原元帥は言った
木原元帥「・・・もういいだろう・・・彼の処分は保留ということで・・・自国民の殺し合いなんか見たくない・・・!」
陸海空、如何なる軍に対しても強力な発言権を有する統合幕僚長の発言とあっては、強権的な空軍の幕僚も従わざるを得なかった
厚木准将に関する処分は、保留することとなった
偵察艦、「ビストロイ」。宇宙大戦争開戦以来、幾多もの戦場に駆け出して偵察に活躍した偵察艦である
現在、同艦はベータ方面の偵察作戦に参加している
艦長、シュパーギン少佐は開戦時からこの艦に乗り組んでいるベテランである。こちらは索敵圏内に敵基地を捉え、敵情を観測している
索敵開始から一時間、電探に妙な光点が光った
電探士「艦長、対空電探に反応あり。数は一機、哨戒機と思われます」
シュパーギン少佐(車種:T−60)「よし、旗艦に知らせろ」
普段どおり、通信士が旗艦「アウグスト」へ打電する
しかし、この艦の所属する艦隊は、「Qグリーン連邦軍第4偵察艦隊」ではない
実はQグリーン連邦がウルタンク帝国を併合、グリシア帝国として再編成されていたのだ
従って、「ビストロイ」が所属するのはグリシア帝国軍第8偵察艦隊である
前任務まで同行していた僚艦「スメルチ」は重巡一とともに別部隊に引き抜かれ、同部隊に所属する偵察艦は再び「ビストロイ」一隻となっている
電探に写る一機の機影は、徐々に第八偵察艦隊に近づきつつある
しばらくすれば、「アウグスト」の電探にも写るだろう
偵察艦「ビストロイ」からの通信を受け取った重巡洋艦「アウグスト」は、対空戦闘の用意を整えていた
ヴィノクール中佐(「アウグスト」艦長。車種:T−27)「司令、対空戦闘準備完了です」
ヤルヌイ大佐「こちらには航空機は無い。艦隊戦は免れないな・・・よし、哨戒機を撃墜したら戦闘配置を維持、対艦戦に切り替える」
ヴィノクール中佐「了解!」
電探に機影が写る
哨戒機が一機。報告どおりである
艦隊は前進を開始、敵基地への接近を図った
キュワール連合軍、エラム基地。ベータ方面の前進基地として建造された基地の一つである
ニビリア共和国軍哨戒飛行隊所属のC−600哨戒機は、同基地を飛び立って定時哨戒任務に当たっていた
遠方に見た不審な艦影を追って接近したが、その艦隊は識別表には見られない編成だった
しかし、塗装こそ違う物の、そこにはドライザ級偵察艦の姿があった
通信士「こちら哨戒機、こちら哨戒機。グリシア帝国軍と思しき艦隊を発見!グリシア帝国軍と思しき艦隊を発見!」
パラシュートを背負って、脱出の準備を整える
そのとき、眼下に敵艦の姿が見えた
敵艦隊に近づきすぎていたのだ
脱出直後、敵艦隊が発砲を開始した
まだ機体からあまり離れていなかったため、搭乗員は爆風を受け負傷、そのまま接近した敵駆逐艦に収容された
第七十四話 続く
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