■BBS - Bulletin Board System
掲示

ホーム > BBS > チョロQ小説板

雑談板 チョロQ小説板  

どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

  新規ツリースレッド一覧トピック番号順検索設定  
221 / 5244 ←次 | 前→


Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話
 松井一真  - 2009/2/23 20:01 -
  
対潜戦闘、そしてベータの基地内部描写。

第七十四話 第二の初陣
敵潜と距離を詰めるため、3隻の駆逐艦は全速で向かっていた
聴音手「敵艦より魚雷音!数は・・・六本!」
熱田中将「取舵一杯!」
三隻の駆逐艦が一斉に回避運動を取る
魚雷は「呉竹」の舷側を掠めて艦尾方向へと消えていった
しかし、後方で爆発が起こった
「蕨」が被弾したのだ
通信士「『蕨』、右舷に一本が被弾!機関損傷!」
機関室が損傷、速力が半減したとの報告が入った
熱田中将「『蕨』に打電、『先にベータ基地へ寄港せよ』!」
敵潜は全速力で離脱しようとしている。こちらも全速で追いかけなければならない
指示を受けた「蕨」は転回後、ベータ基地へと向かった

命中したのは一発。三番艦が戦線を離脱したようだ
しかし残りの二隻は無傷でこちらへ向かってくる
水測長「敵艦、爆雷投下!」
イマノフ中佐「面舵!」
旋回をして、爆雷を回避する
イマノフ中佐「爆雷防御!」
直後、爆雷の爆風で艦が振動する
振動は幾度か続くが、命中弾は無い
しかし、たびたびある至近弾で、艦は損傷した
辛うじて、無事敵艦隊を振り切ることに成功した
それにしても思わぬ遭遇戦であった
やはり連合軍の対潜警戒は伊達ではなかった

爆雷の弾数が尽きるまで投下したが、撃沈には至らなかった
一応損害を与えることには成功したようだが、こちらは駆逐艦一隻が中破している
通信長「『蕨』より入電、『無事、ベータへ寄港せり』、以上です!」
熱田中将「・・・鳴神にどう顔向けすりゃいいかな・・・」
日戦軍団屈指の潜宙艦乗りである鳴神中将がこの戦闘を聞いたら、なんて言うだろうか。熱田中将はそう思った
草薙少佐「・・・いえ、我々は最善を尽くしました。復帰戦、それも慣れない対潜戦闘で、沈没艦は一隻もありません。立派な成功です!」
そういって、草薙少佐は励ました
着任してからというもの、彼に助けられっぱなしである
熱田中将「・・・そうだな。さて、ベータに行くか」
草薙少佐「面舵一杯!」
二隻の駆逐艦は再び変針、一路ベータへと向かった

ベータ軍港には損傷を負った「蕨」が停泊していた
追って僚艦の「呉竹」、「刈萱」が寄港するとの連絡が入り、さらに指揮官が熱田中将であると聞いた日戦軍団の将兵は、急いで港まで出向いた
勿論、京城少佐と菱沼少佐も、そこにいた
新竹大尉「三六二空の京城少佐か?」
京城少佐「はい!何でしょうか?」
階級は一応こちらの方が上とはいえ、兄の下で二番機を務めている隊員だ。つい敬語になってしまう
新竹大尉「あんたの兄貴・・・つまり飛行隊長だが、ちょっと用事があって来れなくなった」
京城少佐「えっ・・・一体何が?!」
新竹大尉「乗ってる電征の発動機がいかれてね。呆れながら整備士怒鳴りつけて見に行ってたよ。『どういうヘマをしたら発動機がいかれるんだ』って」
何でも、新米の整備士が第117航空隊隊長、京城大佐の乗る電征の整備に当たったところ、手違いでエンジンが故障してしまったということらしい
なにぶんお兄ちゃんっ子である京城少佐は、開戦以来兄に会っていなかったので愕然とした
そんな中、「呉竹」と「刈萱」が寄港した
菱沼少佐「熱田中将、無事帰還万歳!・・・あれ、京城、やけに落ち込んで・・・」
旗を振っていた菱沼少佐が、京城少佐の様子が妙なことに気づいた
菱沼少佐「・・・まさか、一一七空の隊長が来られないってことで落ち込んでるのか!?」
「呉竹」にタラップが連結され、多くの乗員達が降りてくる
菱沼少佐「日戦軍団屈指のエースも、精神的にはガキだなぁ」
京城少佐「な、何を言うかぁ!」
そう言って、京城少佐は菱沼少佐へ飛びかかった
軽くかわす菱沼少佐
群集を掻き分けながら、京城少佐から逃げ回る菱沼少佐
新竹大尉「全く、ほほえましいな・・・」
そのとき、タラップから熱田中将と草薙少佐が降りてきた
草薙少佐「あっ・・・飛行隊の連中・・・」
追いかけっこはなおも続いている
新竹大尉「ちょっとした喧嘩でして・・・上に、処罰でも下させておきましょうか?」
熱田中将「いや、構わん。実に結構なことじゃないか。孤立した最前線の者が、あれほど元気ということは」
元気な航空兵の姿を見て、熱田中将は内心嬉しかった
鳴神中将の姿はここには無いが、第四艦隊がライトウォーターから回航される予定なので、いずれは再開できるだろう
やはり、帰る場所はここだった。熱田中将はそう思った
その日、日戦軍団の機関紙「日戦軍団広報」の一面を飾ったのは、勿論この記事であった

それから数分後、ベータ基地兵舎
哨戒直についていた平岡二等兵は、自室に戻っていた
勿論、通信科平岡上等兵の影も、そこにあった
夜もふけたときだった。寝ようとしていた平岡二等兵に、平岡上等兵は唐突に言った
平岡上等兵「・・・何かが、近づいてくる・・・どうやら俺の同類らしい」
平岡二等兵「えっ?!ということは・・・」
平岡上等兵「とにかく、一緒にきてくれないか?」
こうもなっては、従わざるを得ない
廊下に出た二両は、そのまま廊下を進み始めた
そして、角を曲がったところに、見慣れないII号戦車の姿を見た
良く見ると、室内灯の光が透けていた
平岡二等兵「・・・遂に俺にも見えるようになったか・・・」
平岡二等兵は愕然とした。激戦地の幽霊騒ぎはあまりにも有名だが、よもや本当に見えるようになってしまうとは
一方で、平岡上等兵はそのII号戦車に見覚えがあった
平岡上等兵「・・・お前、まさかモヴァーク?!」
II号戦車「その声は・・・平岡さん?!」
どうやら、通信班の知り合いらしい
平岡上等兵「そうだ。まさかお前までここにいるとはな・・・」
モヴァーク二等兵「爆風に飲まれた時、死にたくないって思ったんです。そうしたら、こんな風に・・・」
平岡上等兵「・・・やっぱり、同類だな」
平岡二等兵「・・・もしかして、知り合い?」
話を聞いていた平岡二等兵が聞く
平岡上等兵「同じ班にいたモヴァーク二等兵だ。Qシュタイン連邦から派遣された奴で、俺の三つ下。二つ下の勝山って奴が怪我したんで、代わりに来たレーダー手だが・・・」
実に不幸な奴だ、とでも言うかのように平岡上等兵が言った
モヴァーク二等兵「ベータ基地通信班のモヴァーク二等兵です。といっても、平岡さんと同じで今は実体が存在しませんが・・・」
簡単な自己紹介を済ませた後、一旦二両はモヴァーク二等兵と別れた
自室に戻った二両は、少し沈んでいた
平岡二等兵「・・・まさか本当に見えるようになっちまうとは・・・」
平岡上等兵「多分俺やあいつ以外にもいっぱいいると思う。ここは激戦地だったからな。それを考えると、パレンバンの方が多そうだが・・・」
平岡二等兵「・・・そういえば、上等兵は何か能力とか無いのか?」
平岡上等兵「・・・無いことも、ないかな。ちょっと、あれを持ってきてくれ」
平岡上等兵が指差したのは、やや縮尺が大きめのラジコンだった
模型製作が趣味の平岡二等兵は、いくつかのラジコンを持っていた
平岡二等兵はラジコンの一つを選び、床に置いた
平岡上等兵「・・・少し小さいが・・・いけるな」
すると、平岡上等兵の姿が、ラジコンへと消えていった
その直後、ラジコンが動き出した
勿論、コントローラーには触れていない
平岡二等兵「動いた?!」
すると、ラジコンから再び平岡上等兵の姿が現れた
平岡上等兵「こういうことだ。俺のような奴は物体に憑依することが出来るんだ。まあ、あまり大きい物だと長時間は出来ないが」
それを聞いた平岡二等兵は、あることを思いついた
平岡二等兵「・・・待てよ。それってもしかして、ボディに入ることも出来るんじゃないのか?!」
平岡上等兵「・・・考えたことが無かったな。そうすれば俺は実体を取り戻すことが出来る!総司令官は俺がどうなったかを知っている。その気になれば日戦軍団に復帰できるかもしれないぞ!」
平岡二等兵「じゃあ、今度総司令官が来た時に試してみようじゃないか!」
意味があるのかどうかは分からないが、彼らに何か希望が生まれた
先ほどまで沈み込んでいたのが嘘のように、二両は大盛り上がりをした
しかし・・・
日戦軍団兵士「おい平岡!何騒いでんだ!今何時だと思ってるんだ?!」
隣室の同僚が大声に気づいて怒鳴り込んできたのだった
勿論、彼に平岡上等兵の姿は見えなかった

停泊する戦艦「紀伊」の艦内では、出港準備が行われていた
灰田大佐「戦局が逼迫しているんだ、いつでも出港できるようにしておけ」
灰田大佐が、艦内を回っている
松井元帥「・・・もうすぐだな」
ティーガー元帥「はい。いよいよ決戦ですな」
松井元帥「・・・あいつら、上手くやってくれればいいが」
現在、第一特務艦隊は、ベータに向けて出航する準備を整えている
その一方で、また別の準備を整える部隊が存在した
そう、グリシネ海軍第三巡洋艦隊である
第三巡洋艦隊及び第五主力艦隊は、このルナツー基地に集まっていた
作戦参謀「改めて、今作戦の説明をさせていただきます。五日後に、第一特務艦隊がベータに向けて出港します。我々はその護衛にベータへと向かいます。ライトウォーター近郊で一旦分散した後、第五主力艦隊が『叛乱艦隊の追撃』という名目で出港。港外に待機している艦艇数隻を撃沈した後に我々と合流する、ということになっております」
第五艦隊司令「・・・それで、合流後は一体どこへ?ベータに行くと不自然だが」
厚木准将「ベータ方面にある資源惑星『フィフスルナ』を拠点とする予定です」
第五艦隊作戦参謀「・・・ライトウォーターから撤収した際に一緒に撤収したところですな。隠れ家にはもってこいです」
「フィフスルナ」はベータ〜ライトウォーター間にある小規模な資源惑星である
民間企業が資源調達のために保有していたが、帝国軍のベータ侵攻の折に、ライトウォーターともども撤収した
ライトウォーター奪回後も、採掘作業は行われず、チョロQの姿は無い
そこを彼らの拠点とするのだ
勿論、日戦軍団の了承は得ている
厚木准将「キュワール最強の軍事組織がバックについています。作戦は必ず成功します」
作戦説明の最後に、厚木准将は付け加えた
両艦隊の士気は、異様なほど高かった

同時刻、ライトウォーター遠方宙域
青い艦隊が、ライトウォーター方面へと向かっていた
航海長「もうすぐキュワール連合軍の勢力圏に進入します」
艦隊司令「・・・遂にここまで来たな」
旗艦に乗る指揮官は、報告を聞いて安堵した
幾多もの激戦を繰り広げ、ようやくここまでたどり着いた
戦力も半数以下に減っている
ゲリラ戦を繰り広げていた彼らは、戦闘続行が困難と見てこの宙域へとやってきたのだ
彼らが向かうのは、資源惑星「フィフスルナ」
勿論、その惑星が放棄されていることも、グリシネ海軍の艦隊が向かっていることも、彼らは知るよしもない

同時刻、セイロン基地
大日本帝国軍の大艦隊が、そこに待機していた
小澤大将「次期目標はキュワール本土となる。各員は出撃に備えるように」
現在、ラファリエス軍の支援を得てパレンバンに到着した輸送船団が、セイロンへと向かっている
この船団が到着次第、彼らはキュワールへと向かう
遂に連合軍との決戦が始まるのだ
キュワールの危機は、迫りつつあった
第七十四話 終わり

引用なし
パスワード
685 hits
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)@ntaich071219.aich.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp>

宇宙戦艦紀伊 第七十四話 松井一真 2009/2/23 19:55
  Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 松井一真 2009/2/23 19:57
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 松井一真 2009/2/23 19:58
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 松井一真 2009/2/23 19:59
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 松井一真 2009/2/23 20:01
   宇宙戦艦紀伊 第七十四話 あとがき 松井一真 2009/2/23 20:04
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 あとがき あとがき ダークスピリッツ 2009/2/26 15:09
   Re:宇宙戦艦紀伊 第七十四話 あとがき あとがき 松井一真 2009/2/26 20:14

  新規ツリースレッド一覧トピック番号順検索設定  
221 / 5244 ←次 | 前→
ページ:  |  記事番号:
49,059
(SS)C-BOARD v3.3.10 is Free.

んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


"Tamashii no Katamari" is created...