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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

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短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ Matsui 2016/8/9 23:48

   短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版 Matsui 2017/1/15 21:36
   Re:短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版 Matsui 2017/1/15 21:37
   Re:短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版 Matsui 2017/1/15 21:38


短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版
 Matsui  - 2017/1/15 21:36 -
  
戦闘シーン加筆修正版です。

漫画用書下ろし短編 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ
荒涼とした平原に建つ、一軒の小屋。
そこに詰めている数両の戦車。
荒川曹長(車種:九七式中戦車改)「敵はここに来る途中に出くわした連中だ。ヤツらもとんでもない猛者だぞ」
小屋の外を覗く荒川曹長が言う。
カンピオーニ一等兵(車種:L6/40軽戦車)「戦ったことがあるんですか?」
荷車を牽引するカンピオーニ一等兵が言う。
荒川曹長「前の隊にいたときに戦った連中だ。なかなか頭のキレるヤツでな、部隊長殿の隊はヤツらに叩き潰された」
彼らは独立第一混成小隊。リンケ部隊長以下、歴戦の猛者たちで編成されている。
荒川曹長「そのときに部隊長殿は敵にとっ捕まって、後送されてたところを俺たちが偶然助けたって訳だ」
彼を始め、部隊の構成員たちは壮絶な激戦をかろうじて生き延びたが、その際に戦死公報が出てしまったため原隊に復帰できず、同小隊への配属となった面々だ。
リンケ大尉(車種:III号戦車N型)「もういつの話か忘れたよ」
荒川曹長「あぁ確か・・・帝國軍がこの町まで進撃したときだったはずですぜ」
池上兵長(車種:八九式中戦車)「ならばざっと去年の秋ごろってところ、ですか」
荒川曹長「もう一年は経ってるわけか・・・早ぇもんだ」
遠方から土煙を上げて敵部隊が進んでくる。
カンピオーニ一等兵「敵部隊接近!」
こちらの戦闘能力を上回る強力なT−34中戦車。それも本部の主力部隊に在籍する重戦車の火力に匹敵する85mm砲搭載型まで含んだ部隊。
正面から戦って勝てる相手ではない。
うまくやり過ごして背後から脱出するか。
奇襲を仕掛けて強行突破するか。
すると敵の何両かが散開して偵察を開始した。
連邦軍将校「敵の警戒線はこの周辺だ!探せぇっ!」
どうやら敵の先遣隊のようだ。
荒川曹長「中戦車が見えるだけでざっと二十両・・・とんだ大物だな。さぁて部隊長殿、どうしますか?」
リンケ大尉「幡野、そっちはどうだ!?」
別働隊を率いる幡野伍長に聞く。
幡野伍長(車種:九七式中戦車)「こちら幡野!見える限りは全員乗った!いつでもどうぞ!」
彼らの受けた任務は、敵の大部隊が迫りつつある町へ突入し、反攻作戦計画に必要な機密文書の回収であった。
しかし町に取り残されている一般市民や守備隊を見捨てられないとして、急遽作戦内容を変更した。
町にある貨物ヤードに、強行軍で故障して放棄された機関車が一両残されていた。
この機関車を守備隊の有村大尉らが修理し、貨物ヤードに残されているありったけの貨車に一般市民と物資を載せ、機関車で牽引して避難させる。
彼らは避難完了までの時間稼ぎをも受け持つことになったのだ。
グランツ中尉(車種:III号突撃砲C型)「しかしこの作戦は少々無謀ではないでしょうか。我々の任務はこの機密文書の回収であり、一般市民の退去と駐留部隊の撤収の援護は含まれていません」
リンケ大尉「だが成功すれば、一般市民と友軍を助けて、おまけに機密文書も回収。勲章は割り増しだ」
グランツ中尉「しかしやられてしまっては、最大の目標である機密文書の回収は果たせなくなります」
この小隊で唯一の“真っ当な将校”がこのグランツ中尉だ。
元々は回収作戦を命じた司令部に属する将校だったのだが、作戦の補佐という名目で同行を志願したのだ。
一両でも戦力が増えるのはありがたいため同行を許可したのだが、どうやらこの作戦を利用して昇進を図っているらしい。
荒川曹長「中尉殿は作戦目的と勲章にこだわりすぎですよ。とにかく生き延びりゃ機密文書は持ち帰れるようになってる」
牽引用の荷車に載せられたコンテナには、問題の機密文書が入っている。誰かがこれを牽引して持ち帰れば作戦目的は達成できる。
幸いにもこの部隊には足の速いものが多い。それゆえの抜擢ともいえる。
敵部隊は徐々にこちらに近づいて来る。
連邦軍兵士A「隊長!不審な履帯跡が!」
連邦軍将校「何っ!?」
斥候のT−34/76・・・砲塔が大きな後期型がこちらに向かってくる。
それに続いていくつかのT−34/76が前進してくる。
池上兵長「よぉし、食いついた!」
荒川曹長「軍曹、俺が3つ数えたら撃て!」
グラツィアーニ軍曹(車種:M13/40)「了解!」
部隊一の射撃の名手であるグラツィアーニ軍曹が言う。
敵部隊は周囲を警戒しながら前進してくる。
しかしその進路上には先ほど敷設したグランドボムが大量に展開されている。
さらに部隊の側面に見える瓦礫の陰には爆薬が仕掛けられているのだ。
敵部隊がこちらに近づいてくる。
荒川曹長「よしっ、1・・・2・・・」
そろそろ向こうさんの有効射程だ。
荒川曹長「3っ!」
荒川曹長の合図とほぼ同時に、グラツィアーニ軍曹が発砲する。
砲弾は見事爆薬に直撃する。
爆発!
連邦軍兵士A「敵襲!」
連邦軍将校「前方の小屋だっ!撃てぇっ!」
敵もこちらに気付いたようだが、すでに部隊は小屋を飛び出していた。
荒川曹長「今だぁっ!撃ちまくれぇっ!」
カンピオーニ一等兵の機関銃が炸裂する。
あたりに敷設されたグランドボムが次々爆発し、敵部隊を覆う。
連邦軍将校「クソッ、地雷原だ!」
噴煙に紛れて、敵部隊を強行突破する。
ガリボルディ上等兵(車種:セモベンテM40)「よっしゃぁっ!まとめて吹っ飛ばすぞ!」
前面に固まっている六両のT−34に向かって発砲するガリボルディ上等兵。
砲弾は見事敵部隊の中央に着弾、衝撃で吹き飛ばされるT−34。
荒川曹長「どけぇっ!」
その隙間を縫って部隊は敵部隊を突破する。
大混乱に陥る敵部隊。
連邦軍将校「くそぉっ、やられた!各車反転!奴らを追えぇっ!」
指揮官のT−34/85が旋回する。
しかし前方に残っていたグランドボムを踏んでしまう。
グランドボムの連鎖起爆により、部隊の前方の瓦礫まで吹き飛ばされる。
連邦軍将校「・・・クソッ!各車散開!地雷に警戒しつつ奴らを追うんだ!」
包囲網を展開したはずだった連邦軍は、隙を突かれて突破されてしまった。

どこまで続くかわからない荒野。
その中を突き進む八両の戦車。
カンピオーニ一等兵「なんとか撒くことはできたみたいですね」
リンケ大尉「楽観はできんぞ。この先の丘あたりに斥候が待ち構えているかもしれん」
荒川曹長「あの部隊の指揮官だったらやってるかもしれないなぁ」
この辺りは荒涼とした荒野だが、この先の街道は小高い丘を切り崩したような地形になっている。
敵が待ち伏せているとしたらあのあたりか。
そのとき、部隊随一の古参兵である池上兵長が何かに気付いた。
池上兵長「曹長殿、少々お静かに」
荒川曹長「どうした!?」
池上兵長「妙な音がする・・・!」
だが辺り一面の荒野に敵の気配は無い。
荒川曹長「音・・・?」
何か金属音のような音が遠方から聞こえる。
しかし履帯の仰々しい摩擦音は聞こえない。
ということは戦車ではないということか。
カンピオーニ一等兵「装甲車じゃないですかね。だったら機関銃でもどうにか〜」
池上兵長「いや、これは装甲車の音じゃない・・・!」
丘の向こうから轟音がはっきりと聞こえ始める。
すると、丘の稜線を飛び越えて装甲車両が飛び出してきた。
池上兵長「BT(ベーテー)だっ!」
優れた機動性を誇る連邦軍の快速戦車だ。
カンピオーニ一等兵が機銃を掃射する。
機銃の射線に煽られるように退避するBT。
すかさず前進した池上兵長がBTの背後を捉える。
池上兵長「もらった!」
見事一両を仕留める。
急旋回して部隊の背後に回ろうとする別のBT。
しかしその横合いから荒川曹長と青木上等兵が突撃する。
青木上等兵(車種:九五式軽戦車)「曹長殿!」
荒川曹長「よっしゃぁっ!」
機動力に優れる青木上等兵がBTの前方に飛び出す。
あわてたBTが明後日の方向に発砲する。
その間に背後に回った荒川曹長がBTを撃破する。
それを見た残る一両のBTは反転、撤退を試みる。
しかしその前方にはリンケ大尉が立ちふさがる。
正面への直撃弾を受け、爆発するBT。
荒川曹長「・・・これで全部のようだな」
カンピオーニ一等兵「・・・いったい、どうなってるんですか?」
池上兵長「BTは履帯を取り外し、高速で移動することができる。“快速戦車”たる由縁だ」
荒川曹長「履帯の金属音も減るし、隠密行動にはもってこいだ。まさに伝家の宝刀ってぇ奴だな」
周囲を警戒しながら二両がいう。
池上兵長「曹長殿、気づかれているかもしれませんが・・・」
荒川曹長「ああ。指揮車がいなかったな」
基本的に敵の小隊長クラスは司令部との通信用の大型無線機を持っている。大型無線機を有するBTは砲塔に鉢巻アンテナがついているのが特徴だ。
しかし倒した三両のBTは、どれも大型無線機用のアンテナをつけていない。
どこかに指揮車がいて、こちらの気配を察して先遣隊を送り込んだという事か。
リンケ大尉「別動隊との合流を急がなければならんな」
有村隊の支援をしていた幡野伍長率いる別動隊も町を出発し、鉄道線沿いに進んでいる。
現時点で敵部隊と交戦したとの報告はないが、さっき撒いた部隊があちらに気付く可能性も考えられる。
荒川曹長「合流地点は予定通りで問題ないですね?」
リンケ大尉「ああ。この街道を突っ切って、一気に橋を突破する。そこで幡野たちと落ち合う」
荒川曹長「それじゃ・・・いっちょ飛ばしますか!」
急加速し、前進する小隊。
目指す橋まではまだ距離がある。それまでにさっきの大部隊に見つからなければよいのだが。

続く
引用なし
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Re:短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版
 Matsui  - 2017/1/15 21:37 -
  
漫画用書下ろし短編 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ

ほぼ同時刻、先の荒野から離れた鉄道線沿い。
砲声がこだまし、付近に砲煙が上がる。
幡野伍長「各車散開!」
先頭を往く別動隊指揮官・幡野伍長は付近のくぼ地に身を隠す。
カラブリア上等兵(車種:P40重戦車)「やっぱりこっちのほうが多そうですね」
別動隊随一の勇猛さを誇るカラブリア上等兵が言う。
幡野伍長「まあ汽車出してるってのはバレてるからな。しょうがねぇ」
敵は前方の丘を駆け下りてくる。
こちらが布陣するくぼ地は鉄道線を含めて切通しになっており、丘の左右を迂回すれば回り込まれる可能性がある。
部隊に所属するII号戦車F型が敵部隊へと機関銃を掃射する。
それに続いて部隊最大火力を誇るミューラー一等兵が発砲する。
ミューラー一等兵(車種:II号自走砲バイソン)「弾着まで5、4―――弾着、今ぁっ!」
着弾!
前進してきていた数両のT−34/76が吹き飛ぶ。
しかしそれを迂回して2両のT−34が別動隊に迫る。
その前方に立ちふさがる幡野伍長とカラブリア上等兵。
連邦軍兵士B「なにっ!?」
砲撃。爆発するT−34。
カラブリア上等兵「しっかし、こっちの攻撃は至近距離じゃなきゃ効かないって反則っすよね」
幡野伍長「まぁ、そう言うな。・・・ウェッセルス!」
2両に続いていた自走砲のウェッセルス一等兵が反応する。
急旋回し背後へ榴弾砲を放つウェッセルス一等兵。
付近の岩壁を飛び越えて着弾する砲弾。
吹き飛ばされるT−34の姿が見えた。
カラブリア上等兵「・・・すげぇ」
ウェッセルス一等兵(車種:ヴェスペ)「この連中は本隊を襲った奴らでしょうかね」
幡野伍長「だろうな。お互い足止め狙いってとこだな」
ミューラー一等兵が再び発砲する。
弾着とともに噴煙が上がる。
ミューラー一等兵「前方の敵部隊を一掃しました!」
幡野伍長「よぉし、後の火消しは有村隊に任せる!前進!」

先遣部隊からの報告を聞いた連邦軍の幕僚陣は、予想外の事態に困惑した。
参謀「あれほどの大部隊を、出し抜いたというのか?!」
ジレンコフ将軍(車種:KV−1)「・・・あいつらしいやり方だな」
参謀「いったい奴らは何者なんです?」
ジレンコフ将軍「帝國軍のはぐれ者だよ。戦死公報が出たのにひょっこり帰ってきちまった連中だ。なかなか死なないってんで最前線を転々としちゃいるが、一両たりともくたばる様子はない」
ジレンコフ将軍にとっても因縁の相手だ。リンケ大尉の原隊を壊滅させた際、大尉を後送させていた部隊を急襲、撃滅したのが彼らだった。
ジレンコフ将軍「また味方を助けに来たってところか。面白いことをするじゃないか」
参謀「しかし機密文書を手に入れるという我々の任務が達成できなくなります」
ジレンコフ将軍「その通りだ。なんとしてでも奴らを出し抜かなければならない」
そう言ってジレンコフ将軍は地図を眺めた。
ジレンコフ将軍「・・・ここだな」
将軍が指したのは、渓谷にかかる橋梁であった。

小高い丘に囲まれたこの橋梁は、帝國軍の勢力圏と連邦軍の勢力圏の境目にある。
丘から見下ろせば街道への砲撃は可能だが、橋梁自体は自走砲での砲撃でも破壊は困難だ。
橋梁の前後には帝國軍がかつて作った監視小屋があり、単線の線路と二車線分の道路が橋梁上に敷かれている。
この辺りでは典型的な併用橋だ。
橋梁を見下ろす丘には、リンケ大尉たち八両がたどり着いていた。
しかし彼らの視線の先には、案の定敵部隊の姿があった。
荒川曹長「・・・やっぱりね」
リンケ大尉「まだ友軍の列車はここを通っていない。何とかしてあの敵部隊を撃滅するしかないか」
しかし橋の周辺を警戒する戦車はT−34が見えるだけでも五〜六両。他にもいくつか控えているはずだ。
荒川曹長「・・・ずいぶん多いな。やっぱりさっきの斥候で感づいたか」
グランツ中尉「しかしもたもたしているとさっきの部隊に追い付かれる。強行突破するしかない」
リンケ大尉「落ち着け。ここで突撃するのは無謀というほかない」
すると、街道をトラックの一団が走ってきた。
先導するのはI号戦車だが、帝國軍の所属ではなさそうだ。
荒川曹長「おぉっ、ゲリラ隊か」
長らく激戦が続くこの大陸では、壊滅した小村の自警団などがゲリラ部隊となって活動している。
一部はどちらかの勢力に肩入れして“民兵”に昇格したりもするが、大半が山賊まがいのことをやっている輩ばかりだ。
有村隊が列車の直援に当たっているのも、そうしたゲリラに対応するためだ。
監視小屋からT−34とSU−85が出てくる。あの監視小屋は相当前に放棄されたはずだが、どうやら連邦軍が接収したらしい。
荒川曹長「よぉし、軍曹、カンピョウ。ゲリラたちに続いて橋を渡れ」
グラツィアーニ軍曹「了解!」
カンピオーニ一等兵「了解しました!」
二両が丘を駆け下りて街道へと走り出す。
グランツ中尉「・・・機密文書を護衛一両でどうするんです?」
荒川曹長「一両じゃない。ゲリラたちが守ってくれるさ」
グランツ中尉「では我々は?」
荒川曹長「慌てなさんな。軍曹の射撃技術をさっき見たでしょう?」
ゲリラ隊に続いて二両が橋を渡っていく。
グラツィアーニ軍曹「いやぁどうも」
衛兵A「今日はずいぶん荷物が多いな。どうした?」
カンピオーニ一等兵「帝國軍が撤退するってんでね。町の中に何か残ってないか漁ってたんですが、すっかりで」
グラツィアーニ軍曹は周囲を警戒する。
衛兵A「そうか。通れ」
衛兵のT−34の脇をすり抜けて、二両が通っていく。
すると、突然もう一両の衛兵が振り向いた。
衛兵B「待て」
カンピオーニ一等兵「はい?」
衛兵B「その荷車の中身は何だ?」
気づかれたか。
グラツィアーニ軍曹「いやぁ、妨害工作用の爆薬ですよ」
衛兵B「物資はさっきのトラックの分で全てじゃなかったのか」
衛兵A「追加のぶんってやつじゃないのか?」
衛兵B「いや、帝國軍の撤退を知っているあたりが怪しい」
グラツィアーニ軍曹「それなら一度開けて調べてみましょうか?」
そういってグラツィアーニ軍曹は荷車を開け始めた。
そのとき、どこからか砲声が轟いた。
衛兵A「なんだっ!?」
グラツィアーニ軍曹「走れっ!」
二両が急加速して走り出す。
衛兵B「あっ、逃げたぞ!」
衛兵A「敵襲!」
T−34が続々と現れる。
ゲリラ隊のI号戦車たちも次第に周囲を警戒し始める。
ゲリラ兵A「帝國軍かっ!?」
ゲリラ兵B「さっさとズラかるぞ!おいっ、最後尾!遅れるな!」
カンピオーニ一等兵「はいっ!」
ゲリラ隊の隊列に続いて脱出する二両。

砲撃をしたのはグランツ中尉だった。
二両、というよりは機密文書の危機に焦って発砲してしまったのだ。
リンケ大尉「なにやってんだ中尉!敵に気付かれたぞ!」
グランツ中尉「しかし、こうしなければ・・・!」
敵兵が周囲を警戒している。
衛兵B「砲撃はあの丘からだ!」
リンケ大尉「移動するぞ!」
八両が移動を開始する。
しかし街道上にはすでに多数のT−34が展開していた。
荒川曹長「中尉殿!落とし前つけちゃってください!」
グランツ中尉「くそぉっ!」
グランツ中尉とガリボルディ上等兵が発砲する。
前方に固まった三両のT−34を吹き飛ばす。
荒川曹長「突撃ぃっ!」
続いて荒川曹長と青木上等兵が突撃する。
前方に立ちふさがったもう一両のT−34が吹き飛ばされる。
池上兵長とリンケ大尉は監視小屋へと突撃する。
立ちふさがるSU−85を吹き飛ばし、小屋の真横に停車するリンケ大尉。
池上兵長は周囲の警戒に当たる。
池上兵長「こっち側の敵は一掃したようですね」
リンケ大尉「ということはあとは向こうからくる奴らか。渡った二両の援護もしないといけないな」

ゲリラ隊とともに渡り切った二両は、そのゲリラ隊に匿われていた。
物陰に隠れたゲリラ隊と二両は取引をすることになった。
ゲリラ兵A「どうもお前たちはワケアリのようだな。連邦軍に追われてるってことは・・・やはり帝國軍か?」
グラツィアーニ軍曹「そうだと答えたら?」
ゲリラ兵A「・・・我々はどっちの味方にもつかん。つまり・・・」
グラツィアーニ軍曹「・・・報酬は、向こう岸の隊長殿に談判するぜ」
ゲリラ兵A「・・・よぉし乗った!」
ゲリラ兵B「おっ、おい、いいのか!?」
ゲリラ兵A「あっちの連邦軍十両をあっさり片付けちまった隊長さんだ!乗らねぇでどうするってんだ!」
そういって二両のI号戦車が居残った。
グラツィアーニ軍曹「俺たちの任務はこれからやってくる帝國軍の列車が橋を突破するまで、ここを死守することだ」
ゲリラ兵A「そりゃいい。報酬はその列車に乗ってる物資の一部でどうだ?」
グラツィアーニ軍曹「よし、確約はできないがそこからにしよう」
カンピオーニ一等兵「いいんですか?そんなこと勝手に決めちゃって」
グラツィアーニ軍曹「俺たちがいちいち上にお伺い立てて判断したことがあったか?」
やがて敵の援軍が橋を渡り始めた。
グラツィアーニ軍曹「よしっ、今だっ!」
三両が一斉に機関銃を掃射する。
機銃弾を受けたT−34が慌てふためいたように反転する。
すると対岸から自走砲の砲撃が加わる。
連邦軍兵士C「軽戦車にかまうなぁっ!前方の本隊を攻撃!」
何両かのT−34が前進していく。
そこにすかさずリンケ大尉の砲撃が炸裂する。
すっかり旧式化したリンケ大尉の短砲身75mm砲でも、中距離での火力は抜群であった。
しかし敵軍は次々と押し寄せてくる。
荒川曹長「予想以上の数だな。こりゃ追っ手に追い付かれるかもしれん」
グランツ中尉「もし追いつかれたらどうするんだ?!」
池上兵長「そのときは・・・お手上げだな」
またも向こう岸から敵軍が現れる。
先頭には強力な自走砲・SU−122の姿がある。
荒川曹長「チッ、向こうの自走砲のほうがでけぇや」
リンケ大尉「でかいのは火力だけ、装甲はT−34とどっこいどっこいだ!」
SU−122の主砲が咆哮する。
リンケ大尉「退避っ!」
一同が小屋の陰から退避する。
直後、小屋が大爆発を起こす。
リンケ大尉「今だっ!」
ガリボルディ上等兵「喰らえっ!」
噴煙に紛れてガリボルディ上等兵が発砲する。
グランツ中尉「こうなりゃ意地だぁっ!」
グランツ中尉も次いで発砲する。
砲撃を受けたSU−122が吹き飛ばされ、橋から転落する。
荒川曹長「よぉし!このまま一気に突破するぞ!」
おそらく敵の追っ手もこちらに迫っている。幡野隊と有村隊が見えないのが気にかかるが、急いで突破するしかない。
荒川曹長「急ぐぞ!兵長、青木!」
池上兵長「了解!」
青木上等兵「待ってましたぁっ!」
三両が一斉に突撃する。
リンケ大尉「続けぇっ!」
リンケ大尉と自走砲二両も続く。
しかし橋の中間点に達したところで敵の砲声がとどろいた。
青木上等兵「追っ手が追い付いてきました!」
リンケ大尉「各車散開!なるべく散らばれぇ!」
車両二車線分に単線の線路が併設された橋梁は、多少余裕があるとはいえ狭い。
そうなるとやや広めの横隊を組んで前進してきた敵の追っ手は対処に時間がかかる。
そして岸から発砲した敵T−34の砲撃は、見事に前方を抑えようとした敵T−34に直撃した。
その隙を突いて突破する六両。
さらに側面からは軽戦車部隊が掩護射撃を行う。
グラツィアーニ軍曹「撃て撃てぇっ!」
その三両の側面から、橋を回り込んできた敵のBT−5が迫る。
すかさず急旋回し、一両をしとめるグラツィアーニ軍曹。
ゲリラ兵A「やるなぁ!」
もう一両のゲリラ兵が旋回し機関銃を撃つ。
残った二両のBT−5がそれにあおられて川岸を転落していく。
大混乱となる橋梁に、さらなる猛攻が待ち受けていた。
追撃部隊の後方に、続々と着弾する榴弾。
青木上等兵「おぉっ、ついに追いつきやがったか!」

続く
引用なし
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Re:短編小説 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ 改訂版
 Matsui  - 2017/1/15 21:38 -
  
ことのほか追加シーンが思いつかなかった。

漫画用書下ろし短編 ヤサグレ戦車隊吶喊せよ
ゲリラ部隊との交戦を経て、ついに橋までたどり着いた幡野隊は、橋の周辺に展開する敵部隊に対し榴弾砲での遠距離攻撃を開始した。
橋の上での本隊の攻防戦に集中していた敵部隊は、後方よりさらなる援軍が近づいていることに全く気付いていなかった。
ミューラー一等兵「第二射、用意よし!」
幡野伍長「てぇーっ!」
部隊最大級の15cm砲を有するミューラー一等兵は、橋の周辺に展開する敵部隊に砲撃を行う。
砲弾が着弾し、敵のT−34が吹き飛ぶ。
ウェッセルス一等兵「喰らえっ!」
続いてウェッセルス一等兵が砲撃を行う。
自走砲四両を含めた二二両で構成された幡野隊は、見事に本隊の橋梁突破を援護した。
幡野伍長「よぉし、突撃ぃっ!」
続いて幡野伍長らが一斉に丘を駆け下り、敵中へと飛び込んでいく。
カラブリア上等兵「俺に続けぇっ!」
カラブリア上等兵が先陣を務める。
体勢を立て直そうとする敵部隊は、幡野隊の前方に立ちふさがる。
しかし先陣を務める二両が立ちふさがる敵T−34を吹き飛ばし、橋梁へと突入する。
幡野伍長「自走砲部隊は対岸から砲撃支援!残りは橋の中間点で敵を食い止める!行くぞ!」
橋の上にいる敵部隊を攻撃しつつ、幡野伍長が言う。
幡野伍長とカラブリア上等兵を追い越していく部隊各車両。
続いて対岸へと渡り切った本隊も行動を開始した。
リンケ大尉「自走砲部隊を掩護する!回り込んできた敵部隊を叩けぇっ!」
監視小屋の陰まで飛び出し、迂回してきた敵別動隊を攻撃する。
それと同時にさらに別の部隊が橋へと飛び込んできた。
友軍列車の直援を務める有村隊である。
有村大尉(車種:特二式内火艇)「待たせたな!真打登場だ!」
大混乱となった敵部隊に、今度は有村大尉率いる六両が一斉に飛び込む。
連邦軍将校「くそっ、次から次へと、なんて奴らだっ!」
幡野隊に続くように一斉に突破する有村隊。
ようやく体勢を立て直し、有村隊と幡野隊を追う追撃部隊。
その側面を、避難する一般市民を乗せた列車が走り抜けていく。
有村大尉「よぉ、ご苦労!」
橋の中間点に停車し、幡野隊とともに敵部隊を迎撃する有村隊。
先頭を行く敵T−34が吹き飛ばされる。
それを避けるように前進してくる別のT−34。
そこにカラブリア上等兵の砲撃が直撃する。
そして列車が橋梁を突破したのを確認し、有村隊と幡野隊は橋梁を突破した。
榴弾砲部隊はなおも対岸を砲撃し、敵部隊をけん制する。
連邦軍将校「一時後退!本隊の合流を待てぇっ!」
ようやく追撃部隊は撤退。橋に静寂が戻った。

本隊はなおも反対側から迫りくる敵部隊を迎撃すべく待ち受けていたが、周囲に敵影は見当たらない。
どうやらこれで打ち止めのようだ。
荒川曹長「ふぅ、終わりか」
リンケ大尉「敵さん、ずいぶん大量に攻め込んできたもんだな」
カンピオーニ一等兵「まだ対岸にいっぱいいますけどね」
対岸の追っ手たち―――別部隊と合流したらしくまだ一〇数両が確認できる―――はこちらを攻撃してくる気配はない。
すると彼らの背後から轟音が鳴り響く。
また敵の援軍か。
先頭を行くのは重戦車のKV−1。
見慣れた奴だ。
リンケ大尉「ほぉ、いよいよ将軍さんのお出ましか」
この橋で部隊を待ち受けていた連邦軍の総司令官・ジレンコフ将軍だ。
ジレンコフ将軍「よぉ、久しぶりだな」
リンケ大尉「これでチェックメイト、ってとこですかね」
ジレンコフ将軍「まあそんなところだな。あの列車を逃がすためとはいえ、機密文書を持ったまま居残るとは、らしくない失策だったな」
荒川曹長「あれほどの戦力を機密文書の奪取のためにねぇ・・・」
これまで倒しただけでも斥候が三両、橋の見張りが一四両、対岸から回り込んできたのが自走砲一両含めて二〇両ほど。追っ手の部隊の倍以上はいる。
リンケ大尉は線路のほうを向いて返す。
リンケ大尉「だったらお前さんの負けだな。我々が持ってるのは偽物。そして本物は・・・あの列車の中だ」
ジレンコフ将軍「なにっ・・・!?」
荒川曹長「この先は、まだまだ我々の勢力圏ですからねぇ。そろそろうちの本隊さんがあの列車の護衛に向かってる頃でしょう」
またしてやられたか、ジレンコフ将軍は思った。
リンケ大尉「さて、我々については好きにしてください」
荒川曹長「もう一戦、今度こそ決着でも付けますか?」
ジレンコフ将軍「・・・各車両・・・空に向かって撃てぇっ!」
その合図を受け、周辺のSU−85やT−34が空包を放つ。
ジレンコフ将軍「各車後退!敵の援軍が迫る前に、体勢を立て直す!」
そういって、ジレンコフ将軍は去っていった。
グランツ中尉「・・・一体、なんだったんだ・・・?」
荒川曹長「・・・相変わらず、粋な敵さんだ」
有村大尉「リンケ大尉、救援感謝します」
リンケ大尉「なぁに、礼は本部に戻ってからにしてくれ。あぁそれと、あの列車の物資についてはどうする?」
もともと救援のお礼に、町から持ち出した物資を頂くという算段だった。
有村大尉「・・・仕方がないな、最後尾の貨車二両分を融通しよう」
リンケ大尉「分かった・・・おい、そこのゲリラ」
グラツィアーニ軍曹らとともに部隊を援護してくれた二両のゲリラのほうへと振り向くリンケ大尉。
その時、二両のゲリラ兵がリンケ大尉の正体に気付いた。
ゲリラ兵A「あっ、アンタが噂の流れ者部隊長か!?」
リンケ大尉「なんだ、知ってたのか。よし、あの列車に積載されている補給物資のうち・・・貨車一両分を進呈しよう」
ゲリラ兵A「本当か!感謝する!」
グラツィアーニ軍曹「なぁに無理して残ってくれたお礼だ!なんだったらうちの民兵に入ってもいいんだぞ」
ゲリラ兵B「それはちょっと儲けが悪い!」
青木上等兵「チッ、つれねぇ奴だぜ」
そういって青木上等兵は笑った。
リンケ大尉「よぉし、全車両、このまま本部へと帰還する!前進!」
総勢三八両の部隊が、一斉に前進する。
ヤサグレ兵士たちの向かう先には、荒涼とした平原と青空が広がっていた。

終わり
引用なし
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んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


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