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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上、さくらがちる頃に。

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Re:短編小説 栄光を求める者
 松井一真  - 2009/7/20 23:32 -
  
後半。個人的にもややグダグダ感があると思ってたり。

「栄光」を求める者

ふと、藤田は吊り下げられた時計を見た
まだ、五分強の時間を残していた
「・・・しかし、何もあなたまで辞めることは、無かったんじゃないですか?」
「レーサーってのは、ただ走るだけじゃないんですよ。強い奴がいないと、張り合いが無いんです」
以前出会った強豪レーサーも語っていた。彼も張り合いが無くなってレースの表舞台を去ったという
だが、彼とは勝手が違っていた気がする
「戦うにも、戦い甲斐のある相手が・・・いなくなってしまったんですよ」
「・・・戦い甲斐のある相手が、後にも先にも、一台だけというわけではないでしょう」
規則的なジョイント音が鳴り響く
その音が、ほんの数秒だけ大きくなる
向かい側のホームに、反対方向へ行く列車が到着する
「・・・そうかもしれませんが、あれから、そいつがどうなったのかを、知りたいんです。過去の栄光を、求めているだけかもしれませんが・・・」
「それが知ってよかった内容なら、いいんですがね」
「・・・どういうことですか?」
元レーサーのチョロQが聞く
「以前会ったレーサーから聞いたんです。『栄光は儚い。強豪の末路ってのは、悲惨な物だ』・・・」
藤田は、以前ある国の強豪レーサーに会っていた
前の大戦の最中のことであった
「三〇数年前」に起こった事故で引退したが、その後も後進レーサーの指導にあたっていたという
引退からしばらくの間、やけになってレーサー時代に通っていた喫茶店で酔っ払っていたところ、当時の理事に過去の経歴を見抜かれ、指導員として働くことになったらしい
「理事の娘がレーサーを志していたそうです。理事は『世相が許さん』と反対しましたが、そのレーサーは、無理を通して世相を覆した。しかし、その『世相』はそのレーサーにとっては敵の一つだった・・・」
その後指導員を辞めた彼は、故郷の街を離れてひっそりと暮らしていたが、たまたま街中で暴走族を捕まえた時に、からまれていたらしいチョロQを見て驚いた
街で噂になっていた暴走族にあっさりと勝利したその実力。磨けばきっと自身をも超えられる、そう確信した
そうして彼は、そのチョロQの指導をすることとした
一年後、彼はそのチョロQを一人前のレーサーに仕立て上げた
自身の果たせなかった夢、グランプリ優勝を、そのチョロQは果たした
かつての自身のライバルとも、再会に成功した。しかし・・・
「・・・そのチョロQが優勝した当日、しのぎを削って争っていた最大のライバルで、親友だったというチョロQが・・・病死した」
「・・・・・・」
「優勝の式典の翌日、最強のレーサーとなったチョロQは、親友の葬儀を行った。まだ優勝の余韻が残る辺りの紙ふぶきが、妙に悲しげだったそうです。最も、指導員だった元レーサーは、その模様を見てなかったそうですがね」
彼は、その日には飛行場にいた
「チョロQのあり方」を考えるためだった
その旅の途上で、この駅に立ち寄ったのだ
「レースを生き甲斐としないチョロQが住む、ここいらの国々を見て回ってたそうです。その後は、ミリーガーという、『レースや戦いを生き甲斐としないチョロQが住む国』に行ったそうですがね」
「・・・そんな国が、あったんですか?」
「キュワールは広いですからね。そんなチョロQがいたっておかしくない。私もチョロQというのは、走ることや戦うことに関わる物だと信じていたので、彼からその話を聞いた時には驚きました」
レース日和の青空を、白い筋が通っていく
「空軍の国」であるグリシネだから、そろそろサーキット上空を飛ぶ戦技飛行隊がスタンバイをする頃だろう
「・・・そして、これは別の国の話ですが・・・その国ではトップクラスの実力を持っていたレーサーが、マスコミから追及されて引退に追い込まれた、なんて話もあるそうです。その原因は・・・ボディだったそうです」
ここから少し離れた小さな島国で、普通はレースをしないであろうチョロQがレーサーになった
そのレーサーはレースチームのサブリーダーとなり、リーダーのチョロQと共に次々とレースで好成績をたたき出した
しかし、強豪レーサーとして称えられていくうちに、そのボディが枷となった
強豪レーサーとしてふさわしくないボディは、まさに「醜い強豪」であった
挙句の果てに、そのレーサーの出場したレースで観客に急病車が発生した。原因は定かではないが、なぜかそのレーサーがバッシングされたという
「さっきあなたが言ったように、レースってのは戦場みたいです。我々・・・いや、私は駅員でしたな。私の周りのQタンクたちは、前の大戦での出征経験があるものもいます。空軍の国ですから空軍の話をしますと、エースパイロットというのはそう呼ばれてしばらく経つと撃墜される、なんてこともあるそうです。落とされない奴もいるんですがね」
「・・・一体、あなたは何故、そんな話を?」
「軍事主体の国家であるグリシネでも、レースの情報ってのは入ってくるもんです。新聞の隅ですがね」
「いや、何故知っているのかではなく・・・僕にそんな話をしたのか、と」
「・・・例え強豪がいたとしてもそれは過去の話です。せっかくレースを観に行くのなら、未来の強豪に注目するべきだ・・・そういうことです」
奇しくもその日のレースは、ややランクが低めの物であった
流石に高レベルな競走は見られないが、きっといずれは強豪となるものもいるはずだ
「過去の栄光を求めるより、未来の栄光を探したほうが良い。私はそう思います。レースという物を知らない私が、こういうのもなんですがね」
「・・・なるほど、そう言う意図がありましたか・・・ところで」
警報音が鳴り響く
続いて、遠方から規則的なジョイント音が響き始める
「何でしょうか?」
「さっきの話に出てきた『指導員をやっていた元レーサー』って・・・」
轟音と共に、列車がやって来る
「・・・ご想像に、お任せします」
やや不満そうに、客は列車に乗る
だが、その後座席に座り、窓を開けた客は言った
「・・・車種、オレンジ色をした、葉巻型のレーシングカーじゃ、ありませんでした?」
どうやら想像は、藤田の会ったチョロQそのものになったようだ
何も言わず、藤田はホイッスルを吹き、旗を上げた
一〇三〇、定刻通りに、列車は出発した
それから数分後、後を追うように戦技飛行隊のジェット機が、五つの飛行機雲を残して飛んでいった

終わり

引用なし
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短編小説 栄光を求める者 松井一真 2009/7/20 23:32
  Re:短編小説 栄光を求める者 松井一真 2009/7/20 23:32
   短編小説 栄光を求める者 あとがき 松井一真 2009/7/20 23:35
   Re:短編小説 栄光を求める者 あとがき ダークスピリッツ 2009/7/28 21:20
   Re:短編小説 栄光を求める者 あとがき 松井一真 2009/7/29 11:16
   短編小説 二両の提督 松井一真 2010/2/22 22:01
   Re:短編小説 二両の提督 松井一真 2010/2/22 22:02
   短編小説 二両の提督 あとがき 松井一真 2010/2/22 22:22

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んー、スパムとか面倒なんで勘弁。


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