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どうも、お久しぶりです。おすなのかたまりです。
スパムがひどいので、禁止語句を設定しました。
「http://」を禁止していますので、URL を記入する場合は「ttp://」とかにして下さい。
これでこのスパムがツールを使ったものかどうかよく分かると思います(笑
この掲示板は XREA.COM が生きてる限り多分あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上、さくらがちる頃に。
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藤田の通信。そして、勝山たちの現状
第五十九話 戦友、ベータに死す
ふと、気づけば、瓦礫の中であった
必死に這い上がった、上等兵の階級章を持つ、一両の九四式軽装甲車
藤田だ。
その傍らには、既に息絶えた特二式内火艇。平岡上等兵だ
藤田上等兵「・・・平・・・岡・・・」
数日前まで、冗談を言い合った、II号戦車c型。勝山の代役だったという。名前は確か・・・モヴァークだったか
藤田上等兵「・・・生きてるのは・・・俺、だけか・・・」
ふと、眼前には通信機のマイクがぶら下がっていた
スピーカーからは、聞きなれた声が聞こえた
藤田上等兵「・・・・・・総・・帥?」
松井元帥(通信)「ベータ司令部!応答せよ!応答せよ!藤田!平岡!」
藤田上等兵「・・・通信機が・・・動い・・・てる・・・」
1発の250kg爆弾、二十発ほどのロケット弾、2発のマーヴェリック。これほどの攻撃を受けたのに、なおも動きつづける通信機器
自分と同じく、タフな奴だ
藤田上等兵「・・・まだ、勝機はある!」
藤田は、力を振り絞り、通信機のマイクを手にした
ライトウォーター司令部
松井元帥「藤田!平岡!生きているか!応答しろ!呼ばれたら返事ぐらいするんだ!」
松井元帥の今まで以上に熱い叫びが、空しく響く
コピック中佐「司令、やはり、通信隊はやられてしまったんじゃないんですか?」
松井元帥「通信隊はタフな奴ばかりだ!たかがマーヴェリック二発・・・」
ふと、松井元帥はマーヴェリックの威力を確かめた
弾頭部は確か、強力な火薬だったはず
HMXオクトーゲンだったか。日戦軍団の艦艇が使用する下瀬式火薬とは、圧倒的に威力が異なっている
松井元帥「・・・・まずいな・・・」
藤田上等兵(通信)「・・・・・・・・総帥・・・・」
かすれた声で、必死に、藤田が呟く
松井元帥「・・・その声は・・・藤田か!状況を簡潔に説明してくれ!」
藤田上等兵(通信)「・・・・敵機の・・・・猛攻・・・ならびに・・・艦艇の・・・ミサイル・・・攻、撃を・・受け・・・司令部は・・・全壊・・・司令・・・ならびに・・・副・・・司令は・・・消息・・・不明・・・」
驚くべき情報であった。よりによってドニゲッテルとユゴスが行方不明なのだ
松井元帥「平岡は!?連邦のレーダー員たちは!?」
藤田上等兵(通信)「・・・自分の、目の前で・・・息を・・・引きとり・・・ました・・・」
松井元帥「・・・そんな・・・」
藤田上等兵(通信)「生存車は・・・自分、だけです・・・」
松井元帥「藤田、お前はどうなんだ!?」
藤田上等兵(通信)「・・・自分も・・・もう・・・持ちません・・・損傷率・・・九割・・・五分・・・もう・・・だめです・・・」
松井元帥「藤田!あきらめるな!お前だけでも生き延びるんだ!」
藤田上等兵(通信)「・・・九割・・・八分・・・突破・・・もう・・・やばいです・・・」
松井元帥「もう喋るな!あまり喋ると、富岡大尉が来る前に・・・」
藤田上等兵(通信)「・・・・・ベータは・・・まだ・・・諦めないで・・・くだ・・・さい・・・」
川島兵長「藤田!藤田!藤田ぁぁーーーーー!」
それまで口を開かなかった、川島が唐突に叫んだ
川島は、藤田の教官だった
川島兵長「俺が死ぬ前に、俺が死ぬ前に、貴様らが死ぬなど、何かの間違いだ!」
松井元帥「川島!これは紛れも無い事実だ!」
松井元帥も、心なしか、悲しげに叫んだ
直後、松井元帥は直立した
松井元帥「・・・・藤田も・・・平岡も・・・・戻っては来ない・・・」
泣いていた
ティーガー元帥「・・・司令・・・」
長い間、松井元帥の近くにいた、ティーガー元帥は、彼が泣くところを初めて見た
初めに彼に出会ったのは、叛乱に失敗し、国外追放された時だった
プロトン王国陸軍が、引き取ってくれる。そのことを、報告しにきた時であった
第四次キュワール大戦を前にして起こったクーデターで、T−35が政権を取り戻した
それを聞いた、彼は「ドニゲッテルが、やってくれたようだ。戦争が終わったら、君も国に帰れる」と、語っていた
大損害があっても、泣くことは無く、どこか冷酷な一面があるように見えた
軍人気質の、上層部らしい、冷酷な男。それが、ティーガー元帥が見た、彼の最初の印象であった
しかし、ライトウォーター司令部で直立し、微動だにせず、部下の名を呟いた彼は、部下思いの熱い将校であった
平岡の戦死を聞いたのは、パレンバンの司令部だった・・・
一両の九二式重装甲車が通信作業をしている
彼の名は、勝山だった
臨時通信員として働いていた勝山は、先輩であった平岡が、敵機の空襲で死んだということを、パレンバンで親しくなった連邦の兵士、ディール二等兵から聞いた
勝山上等兵「・・・本当に、本当に平岡さんが死んだんですか?!」
ディール二等兵(車種:II号戦車F型)「はい。たった今、ライトウォーターより通信が届きました。自分の戦友も、死にました」
彼の親友、モヴァーク二等兵も、ミサイルの爆発に巻き込まれ、死亡したのだ
勝山上等兵「モヴァーク?」
ディール二等兵「はい。モヴァーク二等兵。通信科所属で、数日前にライトウォーターに行ったばかりの若い兵士です。車種は、II号戦車のc型です」
勝山は悟った。自分の代役として派遣されてきた隊員だと
自分が重傷を負い、パレンバンに運ばれた。だから、代役としてモヴァークが派遣され、爆撃で死んだ。もし、自分が前の空襲で重傷を負わなければ、彼は死ぬことが無かったのかもしれない
勝山上等兵「・・・自分だけが・・・生き残って・・・自分より若い兵隊が・・・死んで行く・・・一体・・・この戦争は・・・」
ディール二等兵「・・・勝山上等兵・・・」
ボルナソス大佐「勝山!ディール!」
勝山上等兵「ボルナソス大佐!」
ボルナソス大佐「貴様ら、戦友が死んだことで悔やんでるんだろ。自分があの場に残っていれば彼らが死ぬことが無かったと」
彼にはお見通しであった。さすが、全ての大戦を経験した男だ
ボルナソス大佐「俺も悲しい経験なんかいくつもある。だが、それが戦争なんだ。戦場に赴くからには、こういうことも考えなければならないんだ」
勝山上等兵「・・・ボルナソス大佐・・・」
それが戦争だ、と割り切ってしまえる。ボルナソス大佐は語った
確かに、戦争では何度かそういうことがあるらしい
京城大佐の話では、名前も知らない機銃兵が、眼下で戦友の遺骸を抱え、何かを叫んでいるのを、ライトウォーター上空で見たそうだ
その機銃兵は、プロトン軍の爆撃機の、次の爆弾投下で見えなくなったらしい
敵味方で、こんなことが何度もある、それが戦争らしい
ボルナソス大佐「それに、あいつらも、自分達の思うように戦ってきた。あいつらの思う、未来のために。あいつらが、かなえられなかったことを、貴様らがかなえるんだ。あいつらの分まで、生き延びろ」
ボルナソス大佐は、何度も、いくつかの司令部で語った、この発言で、会話を締めた
その場の沈黙を打ち破ったのは、沈黙を作り上げた松井自身であった
松井元帥「・・・大西!」
直立を保ったまま、松井元帥は部下の名前を呼んだ
現在、ライトウォーター第一滑走路に着陸している、輸送機に乗り込んだ士官の名だ
大西准将(第319中隊司令。車種:五式中戦車)(通信)「はっ!」
松井元帥「・・・・搭載状況は?」
大西准将(通信)「全員、搭乗完了です!いつでもどうぞ!」
松井元帥「・・・平岡、いや、ベータで死んだ兵士の弔い合戦だ。ベータ基地は健在、これより救援に向かえ」
航空隊の司令、川井少佐が返答をする
川井少佐(第八一航空隊司令。車種:特四式内火艇)(通信)「了解!各機出撃!」
大西准将(通信)「・・・生きて帰ってきます!」
松井元帥「・・・健闘を祈る!」
川井少佐(通信)「発動機回せ!」
レシプロエンジン独特の轟音が響く
別の飛行場から、プロトン合衆国の輸送機が次々と発進していく
護衛は、第一独立艦隊の艦載機だ
Qシュタイン連邦、第345大隊の中で、航空機の操縦ができるノイン以下数名が、航空機を操縦し、離陸していく
あの時の、Bv283Cも、姿を見せている
そして第八一航空隊の、零式輸送機がゆっくりと発進していく
後を追い、指揮機を含め、一式輸送機が動き出す
そして、離陸。彼らの向かう先は、ベータ基地である
これまでの、犠牲車を、弔うために。そして、自分達が必死で奪還した、あの基地を、守るために・・・
第五十九話 終わり
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