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第100話 逆転の太平洋
空母「飛龍」甲板
ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!
艦攻機長「新型機が出るなら出るって言えばいいのにな」
艦攻機銃手「全くですよ。軍令部もとんでもないやつらです」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーー
同時刻、日本海軍潜水艦「伊−168」が、不審な艦船を探知していた・・・」
「伊−168」艦内
伊号聴音手「・・・前方に音響、大型艦船2、中型艦船2、小型艦船10」
田辺少佐「敵艦艇か?」←伊−168潜艦長。実在(実はこの話、やたらミッドウェイ海戦の資料を探して作った)
伊号聴音手「わかりません。しかし敵としても変ですよ。音響は聞きなれた翔鶴型空母と陽炎型駆逐艦です。音響不明なのは軽巡洋艦だけです」
田辺少佐「友軍か?・・・違うな。確かMI作戦には五航戦は参加できないはずだろ」
伊号聴音手「しかし米軍が我々と同じ音響を立てる空母を作りますかねぇ?陽炎型に至っては明らかにシルエットまで米軍駆逐艦とは違いますよ。それに、この深度なら見つかる可能性もあるのに・・・」
伊−168は海軍式大型潜水艦(略称海大型)の内の1隻で、かつては伊−68と呼ばれていた
1942年5月、新型の「巡潜型潜水艦」の登場により従来の海大型と艦番号が被る可能性が出てきたため、現役の海大型全ての艦の番号に「1」を付けた。したがって2桁が巡潜型、3桁が海大型となった。この海大6a型は最大水上速力23ktを記録した最速潜水艦であった
史実では飛龍攻撃隊の攻撃により損傷を負った「ヨークタウン」と駆逐艦の「ハンマン」を撃沈している
田辺少佐「潜望鏡で見てみるしかないか・・・」
伊号聴音手「そのようですね」
この「伊−168」は夕潮隊による山本艦隊接触前に転移艦隊の全貌を目撃したただ1隻の潜水艦だった
ウィーーーーーーーーーン!
田辺少佐「君の言う通りだ。翔鶴型だ。脇の駆逐艦は陽炎型。しかし巡洋艦は見る限り建造中の阿賀野型に見えるが・・・」
伊号聴音手「予想以上に早く竣工したようですね。2番艦まで・・・」
伊号水雷手「何か飛行甲板にいますが・・・新型機でしょうか?」
空母「瑞鶴」甲板
震電「ん?あれは潜水艦の潜望鏡だな・・・」
ブオオオオオオオオオオ!
零戦二一型「あれは海大型です。日本海軍所属の大型潜水艦です」
震電「とすれば、味方だな」
秋水「発光信号でも打電しますか?」
震電「別にいいだろう。阿賀野型を除く全てが当時竣工していただろう」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
震電「あれはさっきの航空隊ではないか!」
秋水「遂に攻撃作戦が始まったようです!」
伊−168艦内
田辺少佐「友軍航空隊が東方に向かっていくぞ!敵の位置が判明したようだ!」
伊号聴音手「音響多数!航空機の音響も聞こえます!」
伊号水雷手「予想通りの結果ですね」
伊号聴音手「だから敵の機動部隊がいると・・・」
空母「瑞鶴」甲板
震電「これはなかなかの大挙だな」
秋水「夕潮隊はどうなってるんでしょうか・・・」
零戦五二型「夕潮より入電!『戦艦大和以下ノ艦隊ト接触!きゅわーるノ者ト見テ友軍ト認メラレル』!」
震電「そういえば高杉が元帝国の侵略のことを知ったのは山本長官からの通信だったな・・・」
秋水「よりによって高杉によってこんなことになるとは・・・」
震電「まあ、いいではないか。友軍と認められたわけだから。それに伊−168潜がこの艦隊の近くにいるんだろう。もし我々がこの艦に乗っていなくて、ウルタンクやプロトンの艦に乗っていたとしたら轟沈だぞ」
ザバーーーーーーーー!
零戦五二型「『伊−168』、浮上!」
震電「発光信号で打電だ!『我々は友軍なり。ミッドウェイ攻撃を支援する』!」
軍団航空隊はこうも簡単に事が進むとは思わなかった
夕潮隊がたまたま特殊通信機(別世界に転移した状況でもグリシネの大本営と連絡が取れる最新型通信機)を積んでいたため松井元帥自らが文章を打てたためである。もちろん高杉の件もだが・・・
戦艦「大和」艦橋
山本長官(連合艦隊司令長官)「キュワールというと技術力がすばらしいそうだ。既にQQQQなる国家との関係があるからな」
宇垣少将(連合艦隊参謀長)「QQQQもキュワールでしたな。今度のはグリシネなる国家の民兵隊だそうですが、正規軍より強いとのことですね」
高柳大佐(「大和」艦長)「先ほど浮上した見た事のない形の潜水艦がそれを物語ってますね」
山本長官「これより本艦隊は敵機動部隊壊滅か、ミッドウェイ基地の壊滅後、ミッドウェイを攻撃する」
空母「鳳翔」格納庫
艦爆乗り「それにしても、キュワールってのは本当にあったんですね」
戦闘機乗り「まあ、艦隊内に広まってますからね。第3潜水部隊がキュワールの艦隊と接触してるそうですね」
艦爆乗り「建造中のはずの阿賀野型巡洋艦が2隻もいるそうですね。数は少ないながらも強力」
戦闘機乗り「そろそろ直援が交代するので」
艦爆乗り「では、頑張ってください」
空母「瑞鶴」甲板
零戦五二型「『伊−171』、『伊−169』、浮上!」
震電「よし、そのまま発光信号を打電。『本艦隊は友軍なり。敵航空艦隊は東方にあり』!」
数分後のことだった。浮上航行をしていた伊−168を始めとする8隻の潜水艦は、敵艦艇を発見、潜航を開始した
伊−168艦内
田辺少佐「危ないところだった・・・敵の艦隊だ。空母艦隊だろう」
伊号航海手「敵艦隊はおそらく日本海軍を攻撃すべく差し向けた艦隊でしょう」
田辺少佐「あれはヨークタウン級空母だな。ヨークタウンは大破しているから、エンタープライズかホーネットか」
伊号水雷手「雷撃準備完了しました!」
田辺少佐「よし。指示あるまで雷撃待て」
伊号水雷手「了解!」
かくして、八隻の潜水艦は、米フレッチャー艦隊を狙っていた・・・
第100話 続く
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