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後編。矢矧少佐は言うまでも無く軽巡「矢矧」に由来。溝口分隊の各員は全員生還させる予定です
第四十二話 爆撃と銃弾との間で
一方、溝口分隊の通信により、日本戦車軍団の揚陸艦「国東」と、プロトン軍の揚陸艦「イオー・ジマ」が接近、航空隊がいないのを見て接舷した
矢矧少佐「溝口大尉!」
溝口大尉「矢矧さん!」
矢矧少佐「簡単に陥ちるとされていたライトウォーターでここまで苦戦するとは・・・」
溝口大尉「敵の新型機です。双発の戦闘爆撃機が襲い掛かってきたんです」
矢矧少佐「・・・それで、九龍少佐は?」
フレイ中佐「ああ、医務室へ運ばれた。富岡軍医大尉と成田衛生兵が診ているが・・・」
矢矧少佐「医務室?!」
溝口大尉「敵の爆撃機の攻撃を受けて重傷を負っているんだそうですよ」
矢矧少佐「重傷!?」
田辺曹長「少佐殿!まだ手当てが・・・」
田辺がそう言ったときには、すでに矢矧は医務室へと向かっていた
溝口大尉「矢矧さん・・・」
佐藤中尉「隊長、無理ないでしょう。矢矧さんは九龍少佐の親友なんですから」
萬屋中尉「しかし、ソミュール伍長から聞いた話では、周りで無数のタンクが死んでいたというのに、九龍少佐だけ生き延びていたそうですが・・・」
宇野沢少尉「そりゃそうでしょう。九龍さんは増加装甲つけてますからね。一般的に我々日本戦車は、防御装甲が他の追随を許さぬ薄さを誇りますから」
溝口大尉「宇野沢・・・それは誇るべきところか?」
寺島曹長「多分そこは誇るべきところではないかと思うんですが・・・」
宇野沢少尉「そうでしたね。しかし九龍さんも、よく帰還できましたね。そりゃニビリア軍第215中隊に曳航されて帰還したそうですが」
一方、矢矧少佐は、医務室のドアを勢い良く開けた
変わり果てた九龍少佐がそこにいた
矢矧少佐「九龍少佐!」
すると、富岡軍医大尉がやってきた
富岡軍医大尉(車種:軽装甲機動車)「矢矧さん、まだ手当てが終わってませんよ」
矢矧少佐「九龍少佐は、一体どうなんですか?!」
富岡軍医大尉「大丈夫ですよ。損傷率八割五分。確かに重傷ですが、命に別状はありません」
成田衛生兵「大尉殿!そこの方は一体どなたですか?」
富岡軍医大尉「第113中隊の矢矧少佐だ。どうやらフレイ中佐に九龍少佐の現状を聞いて、驚いて飛んできたらしいな」
矢矧少佐「しかし、一体何故こんなことに・・・」
富岡軍医大尉「どうやら、機銃掃射でやられたらしいですな。矢矧さん、まだ治療中ですから、しばらく外で待っていてください」
矢矧少佐「・・・確かに、そのほうがよさそうですな。了解しました」
そういうと、矢矧少佐は医務室を後にした
上陸部隊本部(大型レイドルキャリアーで輸送したプレハブ小屋数棟で構成)
溝口大尉「しかし負傷車の数が多い。富岡さんも九龍少佐の手当てで忙しいからな」
田辺曹長「九龍少佐はどうやらパレンバンの軍事病院で手当てを行ったほうがよさそうですね」
宇野沢少尉「そのためには、なんとしてでもここを抑えねばならん」
溝口大尉「矢矧さんがいるとはいえ、苦戦を強いられそうだな・・・」
ルナツー司令部
松井元帥「致命的だな・・・九龍少佐がやられるとは・・・」
ティーガー元帥「二個中隊が増援として到着しましたが、こちらに関しては?」
松井元帥「確かに矢矧少佐は強力だ。だが、当初は九龍との共同作戦で行く予定だったんだ。まあ、守備隊の数が減ったのは事実だ。敵さんが引いてくれればいいが・・・」
ティーガー元帥「そう簡単に、撤退しますかねぇ?」
松井元帥「それが疑問な所だが・・・」
ドニゲッテル少将「彼らだって、無益な戦いは好まないでしょう。だとすれば、損害が出れば引いてくれると思いますよ」
松井元帥「少将にしては、消極的な案だな」
ドニゲッテル少将「だって、九龍少佐をも倒す勢いの部隊ですよ!」
松井元帥「確かに強力な相手だが、途中までは戦わなければならん。航空隊が厄介だな。第117航空隊は出せないし・・・」
ユゴス少佐「しかし内部に入ってしまえばこちらのものです。内部へ突入させましょう」
松井元帥「・・・よし、内部へ突入させる。すぐに出撃準備を整えさせる」
矢矧中隊を初めとする援軍とともに、残存部隊は出撃準備を行うこととなった
反撃の準備は整いつつあった・・・
第四十二話 終わり
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