第六十七話 奇襲錫蘭沖艦隊決戦
ラファリエス沖、四隻の戦艦が航行していた
その旗艦「シルヴァートン」。以前、第一独立艦隊と交戦した船である
この日は、護衛の小型艦も無く、同型のシルグノーム級三隻を連れて、艦隊で航行していた
艦長「・・・そろそろだな。亜空間移動システム始動!」
副長「亜空間移動システム始動!」
「シルヴァートン」が動き出す
僚艦三隻も続く
速力が上がる
操舵手「亜空間移動、開始!」
そして、四隻の戦艦は、消失した
潜宙艦「伊−168」の司令室では、浦塩が指揮を執っていた
その脇で直立する鎌田、そして、少し離れたところに立つ浦山
唐沢大尉(水測長。車種:87式偵察警戒車)「艦長、敵船団を捕捉しました!」
数はあまり多くない。輸送船が五〜六隻、駆逐艦が八隻程度だろう
新型探信儀にもしっかり記されている
ミンスク級駆逐艦八、大型輸送船六だ。船籍はカルオス
浦塩少佐「ミンスク級の対潜兵装はおそらく対潜噴進砲だ。深く潜れば当たらない」
そのとき、ミサイルが放たれた
唐沢大尉「噴進弾接近!」
浦塩少佐「よし、深度300まで潜れ!」
現在深度は250。魚雷発射可能深度ギリギリである
一旦、深度300まで潜ってやり過ごすことにした
もはや、なれたことであった
全弾、回避成功した
未熟な僚艦が被弾したそうだが、たいした問題はない
浦塩少佐「深度250まで浮上!」
最後の一発が消滅した途端に、浮上指示を与えた
水測員「深度250!」
浦塩少佐「今だ、浦山!撃て!」
浦山大尉「テーーーッ!」
いっせいに魚雷が放たれた
魚雷はカルオス軍の輸送船に向かっていく
いや、二本が駆逐艦へ向かっていく
「MINSK Class」の表示は八隻。その一隻に、「Torperdo」表示が二つ向かっていく
2つが、舷側に命中した
そして、表示は消滅した
唐沢大尉「命中!撃沈です!」
残りの四本も、輸送船に向かっていく
僚艦からも複数の魚雷が向かっていく
上に居る輸送船の船橋では、皆が唖然としていた
一隻の駆逐艦が、突如火を噴いて沈んだのだ
船長「・・・一体、どういうことなんだ・・・」
日戦軍団の魚雷は、ほとんど見えないのだ
そのとき、音波探信儀が魚雷の反応を掴んだ
水測員「魚雷です!二本、四本、六本・・・数え切れません!」
向かってくるのは二本だけだ
しかし、二本だけでも大変である
一応、輸送船は装甲を有しているが、魚雷二が命中すればひとたまりもない
船長「面舵一杯!」
回避運動を取るが、無駄なことであろう
距離は、どんどん狭まる
水測員「魚雷接近!」
もはや、よけられようが無い
船長「衝撃に備えろ!」
水測員「50、40、30、20、10、0!」
そして、命中
爆発が、船を襲った
他の船も、それに続いた
報告が入った
唐沢大尉「一隻、二隻、三隻、四隻。四隻撃沈です!」
八隻の潜宙艦から放たれた、四十八本の魚雷は、ことごとく輸送船や駆逐艦に命中した
輸送船四、駆逐艦三撃沈である
浦塩少佐「よし、引き上げるぞ」
浦山大尉「残りは、どうするんですか?」
浦塩少佐「残しておけ。輸送船二と駆逐艦五じゃ、どうしようもないだろう」
こちらの損害は、先のミサイル攻撃による、潜宙艦二隻が軽損傷、それだけであった
総旗艦「ドロス」の艦橋では、その報告を聞き愕然とした
輸送船六、駆逐艦八の艦隊が、一瞬にして壊滅したというのだ
そして、戦果を挙げたのが、あの潜宙艦隊だったのだ
艦隊司令「潜宙艦隊か・・・」
艦長「これは、厄介な戦力が来ましたな」
参謀長「次にまた十隻、同じ航路で進むはずですが・・・」
艦隊司令「同じ航路だって!?」
艦長「何とか変えられないんですか!?」
参謀長「既に出航しています。どうしようもありません」
艦隊司令「・・・よし、第十哨戒艦隊を追いつかせろ」
出航した十隻の輸送船に、第十哨戒艦隊を護衛に付かせた
護衛の駆逐艦は、代わりにガンドルフへ後退した
第十哨戒艦隊、戦力は空母二、軽巡八である
そして同時刻、四機の大型機がガンドルフの滑走路を発った
ベータ司令部では、上陸した松井元帥が総指揮を執っていた
松井元帥「・・・また、厄介なことになりそうだな・・・」
哨戒中の陸軍特殊潜航艇が、大型機四を発見したとのことだ
おそらく対潜哨戒機であろう
大型機は特に攻撃は行わなかったようだ。おそらく、相手が潜航艇だったからだろう
米沢大将「現在潜宙艦『U−1831』『U−1832』が展開中です。『伊−65』以下第二三潜宙隊および『U−2300』『U−2301』『U−2302』も展開中」
松井元帥「よし、念のため第一特務潜宙艦隊および第二潜宙艦隊も展開準備」
現在展開しているのは十一隻。第二潜宙艦隊は八隻、第一特務潜宙艦隊は十二隻である
日戦軍団通信兵「司令、通信が入りました。『U−1831』です」
アゾレス少佐(U−1831艦長。車種:ヴェスペ)(通信)「こちらU−1831。現時点で異状なし」
定時連絡だ。とりあえず、待機地点までは順調に進んでいるようだ
索敵網を潜り抜け、待機地点へと向かう二隻の潜宙艦
「U−1831」と「U−1832」は、通商破壊作戦のために、待機地点へと向かっていたのだ
まだ、航路の変更報告はない
日戦軍団特務潜宙艦隊の戦闘能力は凄まじいと聞く。支援が期待できるならば、心強い
アゾレス少佐「定時連絡終了。もうすぐ待機地点だな」
副長「一旦、浮上しましょう。敵艦隊の姿も見えませんし」
確かに、探信儀には艦艇の姿はない。一応、駆逐艦が数隻確認できるが、旧式の駆逐艦なので心配は無用だろう
アゾレス少佐「よし、浮上!」
一旦、浮上することにした
艦艇の姿は確認できない
航空機も居ないようだ
そして、ようやく浮上が完了した
アゾレス少佐「・・・周辺、異状なし。後は、敵の船団が向かってくるのを、待つのみだな」
水測長「艦長!敵航空機、四機飛来!」
直後、プロペラ音が響いた
アゾレス少佐「急速潜航!」
航空機は四機。二機はとてつもなく大きい
その二機が、降下を始めた
二隻はゆっくりと潜航を開始する
艦長もすぐに、司令塔内へ降りる。そしてハッチを閉めた
急速潜航は、無事完了した
水測長「爆弾投下!」
爆弾が投下された。もっとも、潜航していたので、効果はない
しかし、二機が反転上昇し、再び降下を始めた
水測長「爆雷投下!」
今度は爆雷だ。こいつが、結構恐ろしいのだ
カルオス帝国軍の爆雷は深度280に調定されるのが普通である。しかし、この船の安全潜航深度は250なのだ
アゾレス少佐「限界まで潜りつづける。そうするしかない!」
260・・・270・・・280・・・
直後、爆発音が響いた
これは外してはいない。命中である
「U−1832」が被弾したのだ
水測長「『U−1832』被弾!大破!」
潜宙艦はたった一発の爆雷の命中が命取りである
一発が命中したところで、艦内に水に似た亜空間空気が流れ込むのだ
そうなれば、船は内部から沈没しかねない
何しろ、潜る船なのだから、沈みやすいのも当然であろう
水測長「・・・・『U−1832』・・・沈没・・・」
僚艦が沈んだ。そうなれば、必然的に本艦に爆雷攻撃が集中する
アゾレス少佐「通信長、本部に救難信号だ!」
通信長「了解!」
まずは、待機している友軍潜宙艦隊を、こちらに呼び寄せるのだ
突如入ってきた報告は、とてつもない物であった
四機の大型機が飛来、「U−1832」が沈没。「U−1831」も総攻撃を受けている。ということであった
小沢中将「大型機ですか・・・おそらく二機は対潜爆撃機、残りは偵察機でしょうな」
松井元帥「『U−2302』を向かわせろ。友軍を助けるんだ」
潜宙艦隊の指揮を執るのは、松井元帥である
以前から潜水、潜宙艦に関しての知識は高かったのだ
元陸軍指揮官でありながら、艦艇に関しての知識に詳しく、さらに航空指揮にも長けている。いわば「万能司令官」と言った感じだが、常に互角の戦力で挑もうとするため、一部の指揮官から反感を買っている
また、窮地に陥った友軍の処遇に関する際にも、一部の戦略家は「あんな戦力、見捨てればいいじゃないか」と言うのに対し、松井元帥は「なんとしてでも救出せよ。同胞を見殺しには出来ない」の一点張り。これも反感を買う理由であろう
当然、この指示も松井元帥ならではの技だ。これがグリシネ本国の海軍指揮官だったら「たかが潜宙艦一隻、そんなものにかまっていては・・・」と言うように、見捨てるであろう。もっとも、グリシネ本国にも例外は居るが
まあ、元々は反逆車だ。仕方ない話だ
最近はグリシネも宇宙艦隊を配備してきたそうだ。プロトンから譲り受けた小型艦艇だそうだ。どのみち、造船所の大半を日戦軍団が抑えているので、自国生産は困難だろう
しかし、最近は造船所ごと作っているというのだから、感心する物だ
そこまで日戦軍団の活躍を妬んでいる、ということか
松井元帥「・・・もっとも、『U−2302』で、『U−1831』を曳航したところで、一気に二隻が脱落する、ということになるんだがな」
つまり、これが先の「たかが潜宙艦一隻・・・」というものに至るのである
「U−1831」はかなりの損傷を受けていた
爆雷の煽りを受け、外郭部に多数の損傷があった
副長「艦長、一旦浮上し、救助を待ちましょう!」
アゾレス少佐「敵機が去るまでの辛抱だ。今浮上したら・・・」
そのとき、大型機が去っていった
水測長「艦長、敵機、撤退していきます」
アゾレス少佐「・・・よし、浮上!」
ようやく、浮上が出来た
しかし、先の大型機は、一体・・・
浮上直後、探信儀に反応があった
「U−2302」。友軍の潜宙艦だった
そして、「U−2302」は近づいてくる
甲板に艦長と思しきチョロQが立っている。どうやら、助けに来てくれたようだ
通信長「『U−2302』より通信、『これより貴艦を曳航し、ベータへ寄港する』。以上です」
通信機を取り、アゾレスが言う
アゾレス少佐「こちら『U−1831』。救援感謝する」
ようやく、「U−2302」が、「U−1831」の前方に到達する
曳航索具を装着し、「U−2302」が「U−1831」を曳いて動き出した
「U−1831」は、ベータへと後退した
司令室に直立する兵士たちは、ほとんど「戦場」を知らない
グリシネ本国の艦隊は、ほとんど戦ったことが無いのだ
まして、「潜水艦」という特殊な船とあれば・・・
探信義を見て直立する、九五式軽戦車、パナイ少佐は、敵艦の接近を待ちつづけた
先ほど、第一潜宙艦隊から、通商破壊任務を譲り受け、友軍の潜宙艦「U−2300」「U−2301」と共に、この宙域を移動している
水測長「敵艦隊接近!」
数は二十隻。そのうち、輸送船は十隻である
しかし、残りは空母二、軽巡八。普段のミンスク級駆逐艦の姿はない
二隻の空母はいずれも護衛空母だ。ということは、対潜攻撃機が発進するはずだ
パナイ少佐「浮上して対空戦闘準備だ!急げ!」
甲板上に露天配置された機関銃を用いるのだ
異例の事態である
もっとも、改潜特型ならば、25mm三連装機銃が六基搭載(特指揮型の場合十基搭載)なので、このような手段も普通なのだが・・・
次々と投下される爆弾を、回避しつづける「伊−65」
そもそも、日戦軍団の潜宙艦は、他国が考えつかない設計である以上に、凄まじい機動性能を有しているのだ
さらに、敵のいない宙域から艦載機を放ち、偵察を行うこともできる
これは以前から潜水艦、潜宙艦の性能に目をつけていた、日戦軍団海軍による研究であった
高速性能試験用にわざわざ潜宙艦「第71号艦」を建造し、機動性の試験を行ったこともある
銃座が旋回し、次々と敵機に銃撃を与える
飛来した敵機は二十機。防弾性はかなり有りそうだ
次々と命中する銃弾。しかし、撃墜はまだ無い
連装機銃二基では、確かに困難であろう
一方で、「U−2300」と「U−2301」は敵船団に接近しつつあった
「U−2300」艦長、ベンガジ少佐は雷撃命令を出した
ベンガジ少佐(車種:W号a型対戦車自走砲)「目標敵船団、雷撃初め!」
計八本の魚雷が放たれた
水雷長「全弾、雷撃完了!」
ベンガジ少佐「よし、後続にまかせて、後退だ。面舵一杯!」
二隻の潜宙艦は、魚雷八を放った後、撤収した
敵機が、煙を上げた
ようやく、撃墜に成功したのだ
「伊−65」の甲板で、歓喜の声が上がっている
また一機が、火を噴きながら墜落していく
パナイ少佐「よし、雷撃を行え」
先任士官「浮上したままですか?」
パナイ少佐「ああ、この状況では潜航は困難だ」
確かに、これほどの攻撃では、急速潜航を行っても、被弾するのは見えている
パナイ少佐「艦首魚雷、テーーーッ!」
次々と魚雷が放たれた
総数、二十六本
直後、「呂−157」が火を噴いた
司令塔が大破している
パナイ少佐「やられたか!?」
向こうではムサイ級が攻撃を行っている
先任士官「巡洋艦の攻撃です!『呂−157』、辛うじて航行は可能!」
パナイ少佐「よし、『呂−157』は『呂−105』で曳航。このまま帰還する」
そして、潜宙艦隊は反転、帰還した
輸送船一が沈没、軽巡一が中破、対潜攻撃機三が墜落。今回は相手が相手なので、敵に与えた損害は少なかった
元々ムサイ級は装甲が厚いのだ
以前拿捕した「マスカランジ」からある程度の情報は得ていたのだが、どうやら、最近になって装甲をさらに強化したようだ
司令部で、その報告を聞いた際に、松井元帥は驚いた
松井元帥「・・・よりによって、ムサイ級の装甲が強化されているとは・・・」
米沢大将「そういえば以前の『マスカランジ』はどうなってるんですかね?」
松井元帥「一応、元はカルオスの軍艦だ。今はリゾニアの軍港でリゾニア艦隊に囲まれて待機してる。所属はヴァイナーなんだがな。何でも、カイオグル君が研究対象にするとのことでな・・・」
米沢大将「あの方ですか・・・」
松井元帥「あいつ、出身はQターレットだとよ・・・」
Qターレット出身のグリシネ系チョロQであるカイオグル元帥は、第二次キュワール大戦時に当時は中立国だったカルオス帝国へ亡命。第五次キュワール大戦ではレイオガル軍と激戦を繰り広げるが、ある日QQQQの奇襲で多数の部下を失ってしまう。たった一両の生き残りであるジオン大尉を守るために、彼はQQQQの大軍に一両で立ち向かったのだ
たまたま、QQQQの空襲で破壊された基地の確認に来て、「負傷車を攻撃している」QQQQ軍と交戦した日戦軍団の部隊と共闘し、QQQQ軍を撃退したカイオグル元帥は、カルオス帝国皇帝に就任、その後いずこかへと消え去ったという
しかし、終戦後ひっそりと帰還、日戦軍団によって保護されていたジオン大尉と再会し、現在はリゾニア合衆国軍総司令官の座を、かつての宿敵、レイオガル国王から賜っている
松井元帥「奴も部下を大事にしている。今の性格は、奴の影響を受けたんだろうな・・・」
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CQ暦237年、当時のレイオガル・カルオス国境
1両の戦車が突き進んでいる
どこかに向かっているようだ
それを追う、QQQQの大軍
QQQQ兵士「喰らえ!」
次々と砲撃を始めるQQQQ軍
辺り一体に爆風が広がる
ジオンは、それでも進みつづけた
最強兵ジオン「くっ!しかし、なんとしてでも『あれ』を・・・」
そのとき、近くで物凄い爆発が起こった
至近弾だ
砲身が、使用不可能となった
最強兵ジオン「チッ!武装が・・・」
QQQQ兵士「クソッ!止まらんか!止まれば命ぐらい・・・」
直後、多数の戦車がやってきた
九七式中戦車、九五式軽戦車、一式中戦車、三式中戦車、四式中戦車、五式中戦車
QQQQ将校「誰だ!増援か!?」
???「貴様!負傷した兵士を袋叩きにするとはなんて奴だ!」
QQQQ将校「な、何だと!?」
???「貴様ら、止まれ!」
QQQQ将校「何!?貴様はまさか・・・」
チリ元帥「連合民兵組織『日本戦車軍団』のチリ元帥だ!」
日本戦車軍団の主力であった
しかも、参謀長のチリ元帥である
QQQQ将校「貴様、裏切る気か!?」
チリ元帥「裏切るつもりはない。負傷兵を救出するだけだ!」
QQQQ将校「そいつは敵だぞ!」
チリ元帥「敵であろうと味方であろうと、負傷車は救出する。赤十字だ。貴様らにはそんな団体は無いんだろ。病院を丸ごと吹き飛ばしたからな」
そう、カイオグルの部下は、病院の防衛に当たっていたのだ
そこをQQQQの爆撃機が、跡形も無く吹き飛ばしたのだ
QQQQ将校「何故それを知っている!?」
チリ元帥「優秀な諜報部を持っているからな」
そう、既に日戦軍団諜報部は無数の戦力を持っていたのだ
QQQQ将校「だがそれを知ったからには、連合とはいえ生かすわけにはいかん!」
司令官の高杉元帥までもが叫ぶ
高杉元帥「そうだ!やってやれ!」
・・・交戦は、やむを得なかった
チリ元帥「なるべく戦いは避けたかったんだが・・・ん?」
そのとき、1両の90式戦車がやってきた
チリ元帥「そ、総帥!?」
チト元帥「いや、あれは・・・」
チヌ元帥「カ、カルオス帝国の優秀な指揮官・・・」
ガイオグル元帥「・・・・・・てめーら・・・・よくも・・・」
チリ元帥「カ、カイオグル元帥・・・」
カイオグルは、誰の目にも怒っているように見えた
いや、むしろ「激怒」であった
そのとき、彼は若干、装備が変わった
「カイオグル陸軍元帥」から「カルオス帝国皇帝」へと変身したのだ
リョウ少将「な、なんだられは!」
リョウ少将(現:ヨウ元帥)は、驚きのあまりに噛んでしまった
高杉元帥「おそれるなー!潰してしまえー!」
凄まじい攻撃がカイオグルと日戦軍団を襲った
いや、ほとんどの弾幕がカイオグルに向かっていた
しかし、その全てをはじき返していたのだ
チリ元帥「高杉の攻撃を跳ね返している!?」
チヌ元帥「そ、総員退避!」
日戦軍団は一旦戦域から退避した
そのとき、波動砲を思わせるチャージ音が響いた
ヒロ大将「ガイオグルが攻撃の準備をしている!今がチャンスだ!新兵器!9999京9999兆9999億9999万9999連発ロケットランチャー!」
さすがに、一回しか使用できない兵器だが、天文学的な数値のミサイルを発射するのは凄まじいことである
この際「どこに積んでるんだ?」という突っ込みは入れないでおこう
無数のミサイルがカイオグルを襲う
一部が空中衝突し、物凄い爆発を起こした
しかし、その爆風による砂塵が収まった後も、カイオグル元帥、いや、カルオス皇帝は健在であった
ヒロ大将「!?く、くらってないぞ!」
高杉元帥「なに!?」
そして、遂にその波動砲を思わせる超兵器が、作動した
物凄い爆風が、QQQQ軍を襲った
QQQQ軍全員「うわーーーーーーーーーーーーー!!」
QQQQ軍は全滅した
幹部達を、残して・・・
高杉元帥「総員後退!」
そして、QQQQ軍は撤退した
チリ元帥「・・・・・・・・・・あの大軍を・・・・」
唖然とする日戦軍団
それを見たカイオグル元帥は、話した
カイオグル元帥「その旗は・・・連合軍だな。だが、何故高杉と戦った?」
無論、理由は一つである
チリ元帥「・・・そこで倒れているタンクを、助けるためです」
カイオグル元帥「・・・貴様も、部下を思う者か・・・」
チリ元帥「・・・敵であれ味方であれ、怪我をしたものは助けて手当てをするだけです」
カイオグル元帥「・・・敵にも、俺のような奴が分かる奴がいるとは・・・」
チリ元帥「どの国にも、そんなものはいるんです」
カイオグル元帥「・・・QQQQにはいないみたいだな。病院を吹き飛ばしたんだから」
チリ元帥「・・・急に、変身しましたが・・・」
カイオグル元帥「うむ。これから俺は皇帝を引き継ぐ。さらばだ、連合のもの・・・そうだ、名前はなんだ?」
チリ元帥「チリ元帥です。こちらは部下のチト元帥です」
チハ大佐「チハ大佐です。日本戦車軍団の者です」
カイオグル元帥「そうか。覚えておく。さらばだ」
そして、カイオグル元帥は、去っていった
チリ元帥「・・・話のわかる皇帝だ。彼のような国家元首なら、滅ぶことはないだろう・・・」
チハ大佐「そうですね」
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松井元帥「チリ元帥からこの話を聞いた時に、俺は感動したよ。敵にも似たような奴が居る、とは思わなかったからな」
米沢大将「さて、後はオルキス沖ですな」
松井元帥「・・・帝国の行動が、気になるな・・・」
松井元帥が「帝国」と呼ぶのは、一国しかない
そう、「大日本帝国」である
米沢大将「・・・確かに、彼らが、どこに艦隊を展開するかは、分かりませんからな」
松井元帥「・・・これは、今までにない戦いになりそうだ・・・」
負傷車たちが運び出される中、彼らは、戦局について語っていた
第六十七話 続く