第五十一話 ベータ復興計画
ベータ基地は大破していた
そのため、重工作器具が使用できないでいた
だが、第五滑走路の発見により、設営隊を第五滑走路に向かわせたため、第五滑走路への着陸が可能となった
そんな第五滑走路へ、一機の輸送機が着陸してくる
RB−1コネストガだ
合衆国の航空隊が、二日に一度、一機のRB−1に補給物資を搭載させて向かわせているのだ
現在ライトウォーターにはこのRB−1が数機ほど配属されている
以下、ライトウォーターに配属される主要航空隊である
Qシュタイン連邦
第145航空隊
隊長:ボイス大佐(車種:U号自走榴弾砲ヴェスペ)
メッサーシュミットBf109戦闘機:四十機
日戦軍団
第360航空隊
隊長:天道大尉(車種:三式中戦車)
他主要航空兵
島崎中尉(車種:一式中戦車)
局地戦闘機「雷電」:三十機
第370航空隊
隊長:山村大尉(車種:特三式内火艇)
局地戦闘機「紫電」:三十機
第381航空隊
隊長:島少佐(車種:四式中戦車)
一式戦闘機「隼」:十五機
二式単座戦闘機「鍾馗」:十五機
第81航空隊
隊長:川井少佐(車種:特四式内火艇)
零式輸送機:二十機
一式輸送機:十六機
九六式陸上攻撃機:二十五機
一式陸上攻撃機:二十機
プロトン合衆国
第1085航空隊(注:プロトン合衆国の輸送航空隊は4桁になる)
RB−1コネストガ:八機
現在最大級の第八一航空隊は以前の空襲で十機ほどを失ったが再び配属されたのである
日本戦車軍団の技術力は凄まじい
無論、これ以外にも複数の航空隊が存在する
ベータ基地 第五滑走路
ホーポス大佐「よし、総員、荷降ろしかかれ!」
着陸したRB−1から次々と荷物を降ろしていく
搭乗員のプロトン兵士が言う
プロトン兵士A「これで修理が早まってくれれば、こちらとしてもありがたいんですがね」
副操縦士も降りてくる
プロトン兵士B「後は、大物が来てくれますからね」
ホーポス大佐「大物?一体どこの大物かね?」
プロトン兵士A「来てのお楽しみですよ。あと2週間ほどすればこちらに向けて発進するはずです」
Qシュタイン設営隊士官「大物となると、楽しみですな」
Qシュタイン設営隊兵士「隊長!荷降ろし完了しました!」
Qシュタイン設営隊士官「よし、次は補給だな」
Qシュタイン補給兵「了解!」
数両ほどの補給兵が給油ホースを持ってくる
しばらくして、燃料は満載になった
Qシュタイン補給兵「補給、完了しました」
プロトン兵士A「では、また今度」
ホーポス大佐「気をつけてくれ。最前線だからな」
プロトン兵士A「了解!」
2両は操縦席に戻り、すぐにエンジンを始動させる
プロトン兵士A「発動機回せ!」
そして、機は加速し、離陸していった
ルナツー司令部
松井元帥「平岡、ベータの状況は?」
平岡上等兵「補給によりよくなっているようです」
藤田上等兵「次は、我々ですね」
勝山一等兵「しかし、そろそろライトウォーターに艦隊を送らないとクラシス大佐が不憫ですね」
松井元帥「仕方ないだろう。あんなデカブツ連れてきたんだから。第七艦隊のスペースがなくなるだろうが」
ドニゲッテル少将「そのうち戦闘が起こってライトウォーター沖に展開するでしょう」
松井元帥「だろうな。ロドリグの艦艇の実力が見たいものだ。でかいからさぞ強い船だろうな」
藤田上等兵「第一設営隊より入電『整備はほぼ終了。ベータ出撃準備は完了す』以上です」
松井元帥「よし、そろそろ設営隊を出さねばな」
ようやく、設営隊の整備が完了したようだ
ライトウォーター基地では輸送機に多数の兵士が乗り込んでいく
例によって日の丸ドアだ
一式陸攻の機体をほぼ流用した一式輸送機は当然、日の丸部分の丸い扉から乗り込むのだ
十機の一式輸送機が次々とプロペラを回し始める
島村兵長「そろそろ発進だな、高田」
高田上等兵「ベータでは我々を待っているはずです。あっちでも頑張りましょう」
島村兵長「そうだな。ただ、山岡大佐はここに残るって言うからなぁ・・・」
西条中佐(設営隊副司令。車種:四式中戦車)「俺が不満か?」
島村兵長「いや、そういうわけではありません」
西条中佐「なら良いが。今度の任務では斎藤技術中佐も参加する。彼の指揮のもと、地底戦車の操縦を頑張ってくれ」
島村兵長「ここでの訓練も上手くいきましたからね。後は実戦です」
そして、十機の一式輸送機が一斉に離陸していった
それから数分後、ベータに十機の一式輸送機と定期輸送のRB−1が飛来した
RB−1が着陸し、続いて一式輸送機が着陸する
ホーポス大佐「大物とは、まさかこれかね?」
プロトン兵士A「はい、日本戦車軍団、第一設営隊です」
降りてきたのは、設営隊副司令西条中佐と、見覚えの無い一両の九七式中戦車改(ドーザー付)であった
Qシュタイン設営隊士官「そちらの方はどなたですか?」
斎藤中佐(車種:九七式中戦車改(ドーザー付)「斎藤技術中佐です。本日は設営隊特務士官として派遣されました」
西条中佐「工具類の扱いは、陸軍では彼がトップでして、そのため我々と同行しました」
Qシュタイン設営隊士官「・・・斎藤?前に、どこかで聞いたような・・・」
西条中佐「そういえばあの新兵器を、降ろさなければな」
斎藤中佐「そうですな。村山大尉!訓練どおり、地底戦車を発進させてください!」
村山大尉(車種:九七式観測戦車カソ)(通信)「了解!」
一式輸送機に続いて着陸した「蒼空改」から、一両の巨大な戦車が現れた
操縦席からは村山が降りてきた
村山大尉「六三式地底戦車です」
六三式地底戦車、全長20m、全幅3m、武装は90mmレーザー砲二基と、ミサイル発射機一基。ただし、重装甲に包まれており、一部では「怪獣とも互角に戦える」という
島村兵長「理論上、ほとんどの兵器を撃破することが出来ます。理由は単純、潜ってしまえばほとんどの兵器が通用しませんから。奇襲攻撃で撃破することができるんです」
高田上等兵「実はこいつ、蒼空のように巨大な輸送機でないと輸送できないんです。何せ全長20mですからね」
村山大尉「申し遅れました。自分が戦車長の村山です」
島村兵長「砲手兼操縦手の島村です」
高田上等兵「通信手の高田です」
斎藤中佐「さて、新兵器の紹介を行なったところで、西条副司令、例のものを頼みます」
西条中佐「了解。よし、次はあれだ!」
そう言って取り出したのはレーダーのようなものであった
斎藤中佐「こんなこともあろうかと、超音波探信儀を作っておきました」
西条中佐「・・・なんだ?その妙な科学車口調は・・・」
斎藤中佐「いや、やってみたかったので・・・」
西条中佐「まあいい、使ってみるとしよう」
超音波探信儀、いうまでも無く超音波を用いたソナーの一種である
村山大尉「・・・意外と、大規模な崩落危険地域は確認できませんね」
西条中佐「重工作器具が使えそうですな。よし、村山、戦車に戻って作業を開始せよ」
村山大尉「了解!」
村山達が六三式地底戦車に戻り、前進した
全長20m、全幅3mの戦車が動き出す
続いて設営隊が進む
斎藤の指示の下、修復作業が行なわれた
斎藤はベータ建設に関わった日戦軍団の技術士官である
そのため、要塞の内部に関しては全て熟知していた
作業は順調に進んだ
しかし、中心部は酷く破壊されており、非常に難航することとなった
六三式地底戦車とQシュタイン輸送班による共同作戦を行なった
輸送班により土を運び出し、あまりにも堅い岩は六三式地底戦車のレーザー砲で破壊する
しばらくすると消灯時刻となった。つまり「夜」である
キュワールの時間に合わせられている
デヴォリアの場合もう少し複雑なシステムになっているが、キュワールに近いためキュワールの時間に調整されている、はずである
無論、キュワールも惑星なのでどこの国の時間かは不明なのだが・・・
兵舎には負傷したホーポス大佐がいた
まだ負傷した傷が治らず、補修痕が残っている
設営隊の士官が入ってきた
彼の話によれば、日戦軍団設営隊副司令西条中佐以下日戦軍団設営隊と、日戦軍団技術士官の斎藤中佐が、十機の一式輸送機と一機の蒼空改で到着。新兵器等を用いて修復作業にあたっているとのことである
ホーポス大佐「・・・斎藤?」
Qシュタイン設営隊士官「はい、斎藤です。ここ、ベータ基地の施設の設計、建設を担当した方で、第一滑走路から第五滑走路の設計も担当されたそうです」
ホーポス大佐「で、その方はどこへ?」
Qシュタイン設営隊士官「日戦軍団の兵舎だったと思いますが」
ホーポス大佐「分かった、ありがとう」
そういうと、ホーポス大佐は日戦軍団兵舎の士官棟へ行った
そこにいたのは六三式の操縦手、村山大尉と、設営隊副司令である西条中佐、技術士官の斎藤中佐だった
西条中佐「ホーポス大佐!」
ホーポス大佐「斎藤中佐・・・」
斎藤中佐「どうかしましたか?」
ホーポス大佐「フレイ中佐の件は貴方のお陰で、無事パレンバンに搬送することが出来ました。ありがとうございます」
斎藤中佐「いや、自分もまさかあの資料が接収されずに残っていたとは思いませんでしたので・・・」
西条中佐「有り難き物とはこのことだったかな?」
村山大尉「そうかもしれませんね」
しばらく談笑した後、ホーポス大佐はQシュタイン連邦兵舎へと戻っていった
斎藤中佐「なかなか、いい方ではないですか」
西条中佐「そうだな。しかし、良くあの資料が残ってたものだな」
斎藤中佐「そうですね。そういえばそろそろ、第二滑走路の修理が済むそうですね」
西条中佐「ああ、これで戦闘機隊の正規配備が可能になる。まだ小規模だからな」
斎藤中佐「また練習が大変そうですな」
村山大尉「自分は潜ることは出来ますが飛ぶことは出来ません。飛行機は、やはり島さんに任せますか」
西条中佐「そうだな」
さて、舞台はパレンバンへと移る
かつて第五滑走路より飛び立ち、キュワールの航空機で最長飛行記録を成し遂げたパイロット、ノイン上等兵とルドルフ曹長は、航空教習所にいた
ノイン上等兵は、超大型航空機免許取得のために勉強していた
そしてルドルフ曹長は大型航空機免許取得のために勉強していた
あの事件以来、二両は親友になったのだ
そして、二両は図書室で航空資料を読んで勉強していた
そこに、基地司令のボルナソス大佐がやってきた
ボルナソス大佐「諸君、今日はどうかね?」
ルドルフ曹長「ボルナソス大佐!」
ボルナソス大佐「君達がここにいることを聞いてね。俺も昔、鉄道の教習所行ってたからな。懐かしいなぁ、あれは」
ノイン上等兵「確かボルナソス大佐は特急の運転ができると聞きましたが」
ボルナソス大佐「その通りだ。あれ以来良く鉄道シミュレーターをやってるな。っておい、話をそらすな」
ノイン上等兵「そうでしたね。上手くいってますよ。何しろ一度は操縦しましたからね。正規免許取得のために頑張らなくては」
ボルナソス大佐「そういえば、何で陸戦のルドルフ曹長がこんなところに?」
ルドルフ曹長「本日付けで航空兼任になりました。勉強、あまり好きではなかったんで、学生時代に戻ったみたいです」
無論、この理由だけではなく、ノインに勧められたのが大きな理由である
ボルナソス大佐「そうか。航空兼任か。ノイン上等兵もそうだったな。二両とも、がんばれよ」
ルドルフ曹長「はい!」
その後、二両は筆記試験に挑んだ
ノインは勉強熱心なので凄まじい速度で全ての項目に答えを書き入れた
そして、合格したのだ
負けじとルドルフ曹長も大型機免許筆記試験に合格。二両とも、実習期間に入ったのだ
司令室から、飛行場を眺めると、滑走路に並ぶ彼ら練習生の姿が見えた
ボルナソス大佐「あいつら、成長したな・・・」
ガランタン大尉「我々も戦場から離れて長くなりますね」
ボルナソス大佐「だな。敷島に乗ってた頃が懐かしい・・・」
ガランタン大尉「ここでの期間が長いですからな」
すると、司令室にT−35大統領が入ってきた
輸送作戦成功を記念してやってきたのだ
T35「ボルナソス君、久しぶりだな」
ボルナソス大佐「大統領閣下!」
T35「ルドルフ君達の件だが、無事任務が完了してよかったものだ。何しろ、二両とも超大型機免許は取ってなかっただろ。よくやったもんだよ」
ボルナソス大佐「いや、それは彼らに直接言っていただきたいですね」
T35「そういえば、ルドルフ君達は?」
ボルナソス大佐「あそこですよ。あの滑走路に・・・」
見るや、Fw−200の練習機型が発進していく
続いてJu−390が離陸していく
T35「そうか、航空教習所か。そういえば、あれらの機体は日戦軍団も使っているそうだな」
日戦軍団も、多目的飛行機としてFw−200を使っている。もっとも、ほとんど東海を使っているそうだが
ボルナソス大佐「そういえばあのBv238C、陸軍航空部隊に配属されることになったそうですね」
T35「ああ、数週間前の会議でそう決定された。何しろもともと所属不明だったからな。一緒に置かれていた戦闘機群は空軍第151航空隊所属になったそうだがな」
ボルナソス大佐「また、忙しくなりそうですな」
T35「そうだな。次はルナツーのほうに行く予定だ」
ガランタン大尉「最近、また色々とあったそうですね」
T35「さすがに、前みたいに敵機来襲は無かったがな」
ボルナソス大佐「・・・はたして、今度はどうなるのやら・・・」
彼らの見る先、滑走路では、無数の練習機が飛び立っていった・・・
第五十一話 終わり