第三話 ガンドルフの要塞
さて、前話で話したとおり、連合各国の宇宙艦艇はさまざまな戦闘で次々と沈んでいた
キュワール連合は帝国勢力が住む星の名をグンナ星と制定、宇宙大戦争は本格化した
後に宇宙大戦争は第一次宇宙大戦へと改名されることとなるのだが・・・
Qシュタイン宇宙艦隊総司令部
サウラー中将「・・・メサイアがやられた、となると・・・」
パラオ大佐「たとえ宇宙といえど、地理研究は重要ですね」
サウラー中将「そうだな。おそらく帝国は飛び石作戦を用いるはずだ。メサイアであれだけ戦力を削ったんだ。となると、次に襲われるのは・・・ガンドルフと、トノスの2箇所。この2箇所は離れており、同時に防衛をすることは現状では不可能に近い・・・」
パラオ大佐「日戦軍団はどうなのでしょうか?」
サウラー中将「現在唯一、連合軍で主力戦艦が所属している、『金剛』以下第一艦隊は本土に残っている。ガンドルフにつくことは難しいな。となると、『衣笠』以下第二艦隊だが・・・ベータ基地にいる」
パラオ大佐「ベータ基地は主力艦隊がメサイアから撤収した先の基地ですね」
サウラー中将「まだここが攻められる確率は低い。しばらくベータは安全だな。最悪、ガンドルフが陥落しても、ベータに逃げればしばらくは助かるだろう」
パラオ大佐「・・・負けることを考えなければならないとは・・・」
サウラー中将「もはや、大昔の間抜けな帝国は見る影も無し、間抜けだったのは連合本部のある合衆国だったとは・・・」
日本戦車軍団総司令部
松井元帥「・・・・・レンネル君!君はまだそんなことを言っているのかね!」
レンネル中将(日戦軍団海軍所属。車種:五式中戦車)「宇宙でならば大艦巨砲主義が通用するはずです!」
松井元帥「・・・それもいつまでもつか分からんのだぞ!まあ・・・現状ではそれが通用する、ミサイルは百発百中だが、まあよい。君には一つ、艦隊を預けてやる。君の念願の宇宙艦隊だ」
レンネル中将「はっ!」
松井元帥「・・・まだ完成しておらんのだが、貴官には第八艦隊を担当してもらう」
この時点で日戦軍団は第五艦隊まで完成しており、そのほとんどが巡洋艦を主体とした艦隊である。第一艦隊には戦艦「金剛」「比叡」が所属しており、連合国唯一、主力戦艦が所属している艦隊である
レンネルは朗報を授かり、総司令官室を退室した
松井元帥「・・・『霧島』及び『榛名』が竣工したら、第二艦隊に送るべきだな。熱田ならやってくれる」
チリ元帥「総帥、計画どおり『霧島』『榛名』の竣工は間近です。ガンドルフ、トノス戦には間に合わないながらも、その次では間に合うかと」
松井元帥「そうか、となると・・・ガンドルフとトノスは確実にやられるだろうな」
チリ元帥「・・・戦艦無くして、連合軍の勝利はありえない、ということですか?」
松井元帥「うむ。残念だが、敵に多数の戦艦がある以上、巡洋艦隊だけでは・・・連邦第二巡洋艦隊の二の舞になりかねん」
チリ元帥「・・・・・・・」
松井元帥「まあ、どこまで敵戦力を削れるか、だ。『紀伊』が竣工したら、思いっきりやってやるだけだ!」
チリ元帥「『長門』はその場しのぎですか?」
松井元帥「そういうことになるな。『長門』型は強力ではあるが、さすがにあれだけで三個艦隊を撃破できる力は無い。『紀伊』ならば可能であろう」
チリ元帥「現状では前線に近いのは第二艦隊ですね」
松井元帥「すぐに、ガンドルフに向けて出航せよ、と、熱田中将に伝えてくれ」
プロトン合衆国 軍事総司令部
ロッキード元帥(元プロトン陸軍元帥。車種:M60−2000)「・・・現状では、日戦軍団に頼るしかない、ということか・・・」
ロドスシルト少佐「まあ、そういうことになるでしょうね。敵が攻めて来る基地は判明しております」
ロッキード元帥「ガンドルフ、及びトノス要塞。要塞と名がついているとおり、メサイアよりは防御が固い」
ロドスシルト少佐「空軍のエースパイロットも臨時艦隊司令として一部が派遣されていますからね」
ロッキード元帥「・・・いずれは、空母艦隊の艦載機部隊隊長として、活躍して欲しいものだがな」
リピーレド元帥(車種:マウス)「・・・ロッキード、敵の状況はどうなってるんだ?」
ロッキード元帥「戦艦、空母多数、このままでは、連合に勝ち目無し・・・あんたの割には、とんだ負け戦だ」
リピーレド元帥「敵の位置がわからなければ、奇襲も出来ないだろ」
ロッキード元帥「ごもっとも、だな。さて、次に来るのはガンドルフ要塞と推定される。トノスも否定できないが、敵側からの戦略的価値からすればガンドルフだな」
Qタンク王国 軍事会議所
Qタンク大使(車種:グラント)「ほう、視察に来たら、結構頑張っているようではないか」
Qタンク元帥(車種:M1A1エイブラムス)「はっ!戦略研究が第一となっております」
Qタンク大使「隣国、Qシュタイン連邦の見込みからすれば、ガンドルフとトノスが敵の次の攻撃目標であろうということだ」
Qタンク元帥「はっ、すぐにでも艦隊を差し向けることは無理でも、やってみせます!」
Qタンク大使「・・・ディラット君たちはどうしている?」
Qタンク元帥「現状では、宇宙艦隊の指揮に向かわせることは出来ませんが・・・」
Qタンク大使「そうか・・・まあいい、彼らは陸戦の兵士だ、そういえば、ドレッド君はどこにいる?」
Qタンク元帥「ドレッド中将はオイポン空軍基地にいますが」
Qタンク大使「そうか、彼もまだ空軍か・・・プロトンでは空軍のエースパイロットを宇宙艦隊の指揮官として前線に送っているらしい。前にクラシス・コスナーというエースパイロットがガンドルフ所属の哨戒艦隊に転属になった」
Qタンク元帥「クラシス大佐ですか。そういえば彼のF−16Cは今でもバチェリット戦争博物館に展示されているそうですね」
Qタンク大使「・・・ロドスシルト君は本部だろ、あとで回線を繋いでおいてくれ」
ニビリア共和国 軍事総司令部
ボアン大尉「・・・祖国の現状は悪化しているようですね」
テレダイン元帥「・・・仕方ないだろう、連合軍としては珍しい負け戦だ。前線に出られる戦艦が一隻しかいないんだ」
ボアン大尉「・・・・・」
テレダイン元帥「まあ、ガンドルフでどこまで敵戦力を削れるか、だな・・・」
舞台は連合軍の宇宙要塞へと移る
名はガンドルフ、連合軍の前線基地だ
ギヤード少将(ガンドルフ要塞司令。車種:M4A6シャーマン)「・・・では、艦隊派遣が急務となりますね」
ロッキード元帥(通信)「そういうことだ。まあ、Qシュタイン連邦は艦隊再編で無理だとしても、我々とQタンク王国はまだ主力艦隊が残っている。直ちに、出撃させる予定だ」
ギヤード少将「そういえばファルケ大将はどこの基地司令になるんですかね?」
ロッキード元帥(通信)「・・・ベータ基地司令になるらしい。前任が艦隊司令になったからな」
一方で一機の偵察機がガンドルフへと着陸していった
乗っていたのは連合軍の誇る智将である。名はクラシス・コスナー、階級は中佐、元プロトン空軍のエースパイロットだ
上層部の事情に伴い、宇宙軍第十哨戒艦隊へ転属になったのである
というのも、哨戒艦隊所属なのは単に空戦の経験はありながら、宇宙戦の経験が無いため、哨戒艦隊所属となっているだけなのである。いずれは艦載機搭乗パイロットとして復帰する予定である
残り2ヵ月で竣工する駆逐艦「フライシャー」へと転属する予定だが、現在は「グロスター」へ座乗している
艦隊は出航した。定期哨戒任務につくために・・・
第十哨戒艦隊 駆逐艦「グロスター」
クラシス(車種:フェアレディZ33)「・・・何故つまらない索敵をやらなければいけないのですか?」
ギヤード少将(通信)「・・・空軍の戦闘機パイロットだった中佐には、索敵しかやらせてもらえないのだろう」
プロトン兵士A「司令!敵索敵艦隊捕捉!数、駆逐艦3!」
クラシス「噂をすればなんとやら、か。さて、各機、攻撃態勢!急げ!」
交戦したのはQグリーン宇宙軍、第四偵察艦隊である
旗艦の名は「グロームキー」、連合軍公式記録でもその名が記されている
グロームキーはグーデフ級駆逐艦の1隻であり、このときは同じグーデフ級の「レヴォノストヌイ」、ドライザ級の「ビストロイ」とともに第四哨戒艦隊を編成していた
第四偵察艦隊 駆逐艦「グロームキー」
ヤルヌイ大佐(第四偵察艦隊司令。車種:SU−85)「連合軍の駆逐艦3を捕捉、攻撃を開始する。念のためビストロイは下げろ」
Qグリーン兵士A「総員、戦闘配置!」
第十哨戒艦隊 駆逐艦「グロスター」
プロトン兵士B「敵艦、戦闘体勢に入りました!ドライザ級が反転、『グロームキー』以下二隻は前進しています!」
クラシス「・・・射撃開始!偏差射撃だ!敵艦の前方を狙え!無理なら対艦ミサイルだ!」
プロトン兵士A「3対2、数の上では有利ですが・・・」
第四偵察艦隊 駆逐艦「グロームキー」
Qグリーン兵士B「敵艦、射撃を開始しました!」
ヤルヌイ大佐「敵三番艦を狙う、『レヴォノストヌイ』にそれを連絡せよ!」
第十哨戒艦隊 駆逐艦「グロスター」
プロトン兵士A「命中!敵2番艦、被弾しました!」
クラシス「よし、1番艦を狙え!」
ボゴーーーーーーーーーン!
プロトン兵士B「司令!『プラット』が被弾しました!」
クラシス「くっ・・・引き続き、敵艦を狙え!」
ボゴーーーーーーーーーーーン!
プロトン兵士C「『ベンナー』被弾!本艦も被弾、小破!」
戦闘は至って小規模だった
グンナ名物集中砲火で、駆逐艦「プラット」が沈没、旗艦「グロスター」及び「ベンナー」が小破の損害を受け、Qグリーンは「グロームキー」が小破、「レヴォノストヌイ」が中破の損害を受けたのみであった。ちなみに「ビストロイ」は無傷であった
だが、この戦闘は前哨戦でしかなかった・・・
日戦軍団第二艦隊 重巡「衣笠」
熱田中将「こちら日戦軍団第二艦隊、無事ガンドルフへ寄港!」
松井元帥(通信)「よし、そのまま、別命あるまで待機!敵艦隊の襲撃に備えろ!」
熱田中将「了解!」
日戦軍団第二艦隊がガンドルフ要塞へ寄港、さらに連合軍の主力が次々と集結した
Qタンク第四駆逐艦隊 軽巡「アキリーズ」
クライド大佐(アキリーズ艦長。車種:クルセイダーMkT)「こちらアキリーズ、第四駆逐艦隊、全艦ガンドルフに到着!」
デヴォン少将(第四駆逐艦隊司令。車種:クルセイダーMkU)「ここまでそろうと、やっと連合軍の総力戦が始まった、って感じだな」
クライド大佐「そうですね。我がQタンク王国は本隊以外にも第九巡洋艦隊と第八艦隊が出撃しています」
デヴォン少将「プロトン合衆国第五巡洋艦隊及び第四駆逐艦隊もいる。これは今までで最大の規模だ。日戦軍団第二艦隊も含めれば、の話だが」
Qタンク第八艦隊 戦艦「ウォースパイト」
トライト大佐(ウォースパイト艦長。車種:クロムウェル)「連合軍の誇る主力戦艦が、まさかこんな張子の虎だとは・・・」
カラブリア中将(第八艦隊司令。車種:セントー)「旧式とはいえ、なめてはいかん、腐っても鯛という言葉がある。ならば、腐っても戦艦ではないのかね?実際、日戦軍団の松井元帥は駆逐艦でBTSに挑んで大苦戦したというではないか」←BTS:帝国軍旧式戦艦の通称。どれも似たような形だったためそう呼ばれる。語源はQトルック軍の初期の戦艦の計画名称から
トライト大佐「しかし、相手は戦艦部隊、勝ち目は・・・」
カラブリア中将「任務は死守だ、最後まで守り抜くぞ!」
Qタンク王国軍事会議所
Qタンク大使「現状では第八艦隊が唯一、前線にいる戦艦部隊だ。この艦隊の行動によって勝敗が決するようなものだ」
Qタンク元帥「・・・旧式の戦艦がただ1隻、ですか・・・」
Qタンク大使「『バーラム』『ヴァリアント』など、我が軍には旧式の戦艦ぐらいしかないのではないかね?」
Qタンク元帥「・・・たしかに、『リヴェンジ』級は竣工さえしましたが、ガンドルフ要塞へ到達できるものではありません。『レナウン』級も同じく、となると、建造中の『フッド』級に任せるしか・・・」
Qタンク大使「仕方ないだろう・・・」
日本戦車軍団総司令部
松井元帥「・・・第二艦隊は戦闘には参加しない。あくまで救援が任務だ。なんとしてでも、友軍残存艦艇を守り抜く!」
チリ元帥「新型艦竣工までの辛抱ですね・・・」
第三話 終わり