第二十五話 潜宙艦隊壊滅
日本戦車軍団、その主戦力は言うまでもなく艦艇である
もともと島国であるグリシネの国防のために結成されたため、艦艇を主力としているのだ
そして、大型艦を主力とした艦隊を保有している
宇宙でもそれは変わらず、戦艦「紀伊」を主軸とした第一特務艦隊は今でもキュワールの守りとして配置されている
戦闘はパレンバン近辺のみだが
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「・・・外惑星連合が正式にグンナと同盟を結んだそうだ」
ティーガー元帥「そろそろ、帝国の進撃も来るでしょうね」
松井元帥「・・・・・・今まで対潜火力がほぼ無かった奴らだが・・・」
ティーガー元帥「・・・・通商破壊、そろそろ潮時ですな」
松井元帥「ああ、そろそろルナツーも奪回せねばならんしな」
日戦軍団兵士A「現時点では戦果多数とのことですが」
松井元帥「今のところはな。いずれどうなるかは分からない」
既に松井元帥は何らかの予感があったようだ
この日も、大量の潜宙艦が通商破壊に出かけていた・・・
輸送船団上空
哨戒機「東海」機内
操縦手「機長、敵船団です!」
機長「・・・かなりの数だ、護衛もいない」
音探手「潜宙艦もいないようです」
機長「よし、潜宙母艦に打電!『敵輸送船団を発見、位置、ルナツー近海150浬(浬=海里:果たして宇宙でこの言葉が通用するかどうかは疑問である)!』」
数分後、三個潜宙艦隊が到着した。普段とは違い指揮艦も参加している
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−168」
音探手「目標を探知、大型船多数!」
浦塩少佐「輸送船団だな。そろそろ潮時だと思っていたが・・・」
水雷長「どうしますか?」
浦塩少佐「通常魚雷を装填、雷撃準備にかかる!」
二十一隻の潜宙艦は戦闘体勢に入った
狼群戦法、すなわち、一隻が船団の注意を引き、その間に他の船が輸送船団の中央に突入、魚雷攻撃でさまざまな方角に襲い掛かるという戦法であった
このときは普段通り「伊−170」「伊−61」「伊−54」「伊−12」が囮となり各船団を狙うというものであった
わざわざ大軍を持ち込んだのは「もし敵の襲撃を受けた場合は乗員の『質』と艦船の『量』で対抗する」という戦法からである
普段は三隻一組なのだが・・・
音探手「艦長!目標多数接近!まだこちらに気づいていません!」
水雷長「雷撃準備完了!」
浦塩少佐「よし、行くぞ!撃て!」
無数の魚雷が発射された。他艦も続く
輸送船団 輸送船「T−195(注:T=TroopShipの略、輸送船)」
乗組員A「船長!敵の潜宙艦です!」
船長「何っ!?気づかれただと!?ラファリエスの潜宙艦隊はどこに行ったんだ!?」
乗組員B「少し前から発見できません!」
乗組員C「魚雷接近!」
船長「くそっ!なんてこった!」
直後、輸送船T−195は大爆発を起こしたのであった・・・
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−168」
音探手「敵輸送船撃沈!」
浦塩少佐「まずは一隻・・・」
輸送船団 輸送船「T−153」
乗組員A「T−195沈没!」
船長「奴らの襲撃か!?」
乗組員B「分かりません、しかしこの音響は海大型です!」
船長「畜生、厄介な相手に出会ってしまった!」
乗組員A「右舷に魚雷接近!」
船長「取り舵一杯!」
何とか魚雷を回避したが、次とばかりはどうしようもなかった
乗組員C「艦首方向に魚雷!」
船長「面舵一杯!」
無論、回避運動も無駄であった
かくして、T−153は沈没したのであった
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−58」
彼南少佐「よし、こっちも沈めた!」
水雷長「見事な戦果です!」
彼南少佐「無誘導魚雷でも、まだいけるようだな」
水雷長「さあ、次を狙いましょう!」
輸送船団 輸送船「T−187」
乗組員A「船長!T−153がやられました!」
船長「何だと!?」
乗組員B「そういえばラファリエスは護衛をよこすとか言ってましたが・・・」
船長「全く護衛が無かったではないか!あの詐欺師帝国め!今度あったら・・・」
乗組員C「魚雷接近!」
船長「面舵一杯!」
そして、輸送船T−187も続いた
一隻、また一隻と輸送船が沈んでいった
その中には燃料補給艦の姿もあった
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
音探手「敵輸送船撃沈!」
パナイ少佐「よくやった!」
水雷手「艦長、このまま行けば殲滅できますよ!」
パナイ少佐「そうだな。今までどおり行けばの話だがな」
パナイ少佐は鳴神の部下ではなかった。グリシネ海軍出で日戦軍団に転属してきたのだ
そのため浦塩や彼南と比べると経験が浅いのだ
だが、パナイも自分なりに頑張っているのだ
そして、ついに艦長兼戦隊司令という浦塩達ですら達成できなかった快挙を達成したのであった
無論、ただの人材不足であったのだが、パナイとしてはうれしい事実であった
このとき彼が撃沈した輸送船は「T−197」であった
パナイ少佐「しかし見事だな。今まで、こんなに船を沈めたことは無いぞ」
水雷長「自分もです。艦隊あわせて三十隻は沈めてますよ」
パナイ少佐「ただ、今回気になるのは護衛艦がいなかったことだな」
音探手「確かに、疑問ですね・・・」
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−168」
浦塩少佐「浮上!浮上後は砲戦および漂流兵の救助を行う!」
砲術長「了解!」
普段どおり、彼らは輸送船団掃討の任務についた
ただ一つ、気になることがあったのだが・・・
浦塩少佐「・・・先任、どう思う?」
副長(先任将校)「・・・自分も、この状況は奇妙だと思います。何故、今まで何十回も攻撃を受けてきたのに、護衛がいないんでしょうか・・・」
無論、これはグンナの囮船団であった。だが、船団の乗組員はそれを全く知らなかったのだ
浦塩少佐「おい、漂流兵がいるぞ!救助しろ!」
通信手「了解!」
そして漂流兵多数を救出する結果となった(以後、各輸送船の乗組員は船名を表記する)
T−197乗組員「自分は何もわからないまま、護衛も無しにこの海域に船を進めました」
T−187乗組員A「自分もです。ただ軍部に『重要物資を搬送する』との指示を受けて・・・」
T−195乗組員A「私も、ただ『重要物資を輸送する。護衛はラファリエスが担当する』と・・・」
T−195船長「結局のところここであなた方の船に撃沈された次第です。何も、この作戦の意図がわからないんです」
おまけに、彼らの運んでいた「重要物資」の入ったはずの箱は、何も入っていなかったのだ
そして、三個潜宙艦隊はバラバラに帰還することとなった
何故バラバラかというと浮上時の襲撃を避けるためである
単艦ならばそう襲ってくることも無いだろう
だが、このときとばかりは襲撃を受けたのである
襲われたのは、パナイ少佐の「伊−132」以下六隻であった・・・
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
水雷長「今回は大戦果でしたね」
パナイ少佐「うむ。やはり潜宙艦隊にも戦果はあるものだ」
掌砲長「では今回の戦果を祝って乾杯でもしますか」
そのとき、ブザーが鳴り響いた」
パナイ少佐「総員戦闘配置!」
音探手「敵の輸送船団です」
パナイ少佐「まだいるのか、珍しいな」
だがこの輸送船団、なんと護衛がいないのである
普段とは違う状況、しかもそれが2回も連続して起こったのである
これはさすがにパナイも怪しんだ
だが、せっかくの獲物を見捨てるわけには行かない、攻撃を開始した
輸送船団 輸送船「T−205」
船長「敵の潜宙艦が六隻・・・かなりの数だな」
乗組員A「おそらく、先ほど壊滅した船団を攻撃した部隊でしょうな」
船長「あれは二十一隻もいただろう」
乗組員B「散開して行動を開始しております!」
そして次々と魚雷を放った。普段と同じだ
ただ一つ違うのは、その船団に護衛がいないことであった
そのとき普段どおり、魚雷が輸送船に向かっていった
攻撃を受けたのは「T−135」であった
乗組員C「『T−135』沈没!」
続いて「T−149」
乗組員B「『T−149』沈没!」
そして「T−127」
乗組員A「『T−127』沈没!」
最後に「T−189」
乗組員D「『T−189』沈没!」
普段どおり、まずは4隻である
船長「・・・4隻もやられたか・・・」
同じ頃、これをモニターしていた「紀伊」がパレンバンにいた
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「・・・それで、パナイの部隊が船団を攻撃したのか」
ティーガー元帥「そうなっております」
松井元帥「・・・・グリシネ海大の教育ってそういうものだったのか・・・」
ティーガー元帥「どういうことです?」
松井元帥「護衛のいない船団は囮の確率が高い。一つ潰したら後は無視しろ、これがうち(=軍団)の教育だ」
ティーガー元帥「え?!パナイ少佐って・・・」
松井元帥「あいつは転属組だ。特務士官として派遣されてきた。ろくな奴来ないんだよな、こういう時って」
ティーガー元帥「・・・・・・・」
松井元帥「だが、パナイは結構有能なやつだ。使えると思って戦隊司令兼艦長にしたが・・・」
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
音探手「四隻撃沈です!」
パナイ少佐「よし、次を狙うぞ!」
そして、彼らは更に6隻を狙った
「T−183」、「T−192」、「T−125」、「T−155」、「T−177」、「OT−81(OT=OilTanker、すなわち燃料補給艦)」の6隻であった
輸送船団 輸送船「T−205」
乗組員A「『T−183』、魚雷二発命中、沈没!」
乗組員B「『T−192』、魚雷四発命中、沈没!」
乗組員C「『T−125』、魚雷三発命中、沈没!」
乗組員D「『T−155』、魚雷七発命中、沈没!」
乗組員E「『T−177』、魚雷十発命中、沈没!」
乗組員F「『OT−81』、魚雷一発命中、爆沈!」
船長「・・・・もう6隻もやられたか・・・」
乗組員D「船長!ラファリエス特務潜宙艦隊、到着しました!」
船長「・・・禍転じて福と為す、か・・・」
ラファリエス特務潜宙艦隊 潜宙艦「ルアンガ」
レオハン大佐(ラファリエス特務潜宙艦隊司令。車種:レオパルト1A4)「よし、内惑星連合でもっとも恐ろしいとされる、軍団の潜宙艦隊を殲滅し、わがラファリエスの力を見せ付けるのだ!」
艦長「全速前進!」
副長「全速前進!」
「ルアンガ」以下10隻の潜宙艦隊が、一斉に行動を開始した
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
パナイ少佐「何っ!?敵の潜宙艦だと!?」
音探手「超巨大潜宙艦一、巨大潜宙艦四、大型潜宙艦五・・・」
パナイ少佐「よし、攻撃を開始する。誘導魚雷だ!」
かくして、六隻の潜宙艦は誘導魚雷を装填した
水雷長「装填完了!」
パナイ少佐「撃てっ!」
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「・・・そこで撃ったか・・・」
ティーガー元帥「何か、問題でも?」
松井元帥「彼の船には積んでなかったのだが、既に司令部から話が出ているのだよ、こいつらが出没する可能性がある、と・・・」
そう言って、松井元帥はスクリーンに潜宙艦の資料を浮かび上がらせた

最新鋭主力大型潜宙艦ワルグラ級・・・60隻(低出力電磁シールド搭載)
全長:160m
武装:53cm魚雷発射管8基8門(艦首6基、艦尾2基)
   14cm単装レーザー砲3基3門(艦体上部3基)
   20mm連装機銃10基20門(艦体上部左右舷5基ずつ)
最大潜行深度:350m
解説:ラファリエス最新鋭主力大型潜宙艦。各国主力潜宙艦より大型で潜行深度も深い。大きさは潜特型とほぼ同等だが艦載機は無い模様
現在130番艦まで建造中

最新鋭主力巨大潜宙艦カナンガ級・・・15隻(低出力電磁シールド搭載)
全長:180m
武装:61cm魚雷発射管8基8門(艦首6基、艦尾2基)
   15cm連装レーザー砲1基2門(艦体上部格納式1基)
   14cm単装レーザー砲3基3門(艦体上部格納式3基)
   20mm連装レーザー機銃12基24門(艦体上部6基ずつ)
最大潜行深度:400m
解説:ラファリエス最新鋭主力巨大潜宙艦。ワルグラ級の拡大発展型で全長が180m、魚雷発射管は61cmに強化された。最大潜行深度は400mに達し、火力も高い 
現在70番艦まで建造中

最新鋭主力超巨大潜宙艦ルアンガ級・・・1隻(中出力電磁シールド搭載)
全長:220m
武装:61cm魚雷発射管10基10門(艦首6基、艦尾4基)
   15cm連装レーザー砲4基8門(艦体上部格納式4基)
   25mm連装レーザー機銃14基28門(艦体上部左右舷7基ずつ)
最大潜行深度:420m
解説:ラファリエス最新鋭超巨大潜宙艦。61cm魚雷(誘導魚雷搭載説あり)を十門と15cm連装レーザー砲4基を装備しており総合火力は重巡洋艦に勝る。最大潜行深度は400mを超え、ファントム以外では星系第1位の深さを誇る。同型艦も建造されているようだ

松井元帥「・・・私の推測では、パナイたちが出会ったのはこいつだ・・・」
ティーガー元帥「そんな・・・・」
松井元帥「うちの船は、こんな感じだな」

潜宙艦海大六型・・・八隻
全長:150m
武装:53cm魚雷発射管八基(艦首六、艦尾二)
   10cm単装レーザー砲二基(後期型は12cm単装レーザー砲)
   12.7mm単装レーザー機銃二基
解説:日本戦車軍団の潜宙艦。速力と航続力が高くなっている。後期型からは主砲が12cmに戻った

潜宙艦巡潜乙型・・・50隻
全長:150m
武装:53cm魚雷発射管八基(艦首六、艦尾二)
   14cm単装レーザー砲一基
   25mm連装レーザー機銃二基
   艦載機一機(偵察機)
解説:日本戦車軍団の標準型潜宙艦。「伊−40」から「伊−45」までの6隻は機関を変更し速力が上がっている。「伊−54」、「伊−56」、「伊−58」は航続力が上がっている

ティーガー元帥「司令!でしたら、早急に帰還命令を!」
松井元帥「それは彼が魚雷を撃つ前に言うべきだった!私の判断ミスだ!畜生、私のミスでまた有能な部下を失ってしまった・・・・熱田に続いて二回目だ!」
ティーガー元帥「いや、まだ間に合います!」
松井元帥「ティーガー君!ルアンガ級の放つ魚雷をかわす事は不可能に近い!まして、わが隊の司令はグリシネ海大出のパナイだぞ!」
ティーガー元帥「さっき、彼は有能だと・・・」
松井元帥「ああ、確かにパナイは有能だ!だが、鳴神ほどではない!」
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
通信長「艦長!『紀伊』より入電です!」
パナイ少佐「読め!」
通信長「『パナイ少佐、敵艦は強い、超弩級戦艦の力を用いない限り撃退は不可能、帰還されたし。生きて帰って来い』!」
そして、魚雷は敵艦に命中した
普通なら、撃沈できる四発である
音探手「命中!撃沈です!・・・いや!敵艦健在!」
そして、潜宙艦「伊−134」は狙われていた
ラファリエス特務潜宙艦隊 潜宙艦「ルアンガ」
レオハン大佐「四発か・・・普通の船ならこれぐらいで沈むだろうが・・・残念だったな、軍団の諸君。あの船の艦長の顔が、見てみたかったな・・・」
艦長「撃て!」
そして、無数の魚雷が放たれた
伊−134は必死に回避運動を取る
しかし、相手は誘導魚雷であった
深度300まで潜れば何とかなるはずだが、グリシネ海大出の伊−134の艦長はそれを知らなかった
そして、ついに沈んでいった・・・
限界深度を超えて・・・
日本戦車軍団潜宙艦の歴史、いや潜水艦の歴史にすらなかった、轟沈であった・・・
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「・・・無駄だったか・・・」
ティーガー元帥「司令!」
松井元帥「・・・パナイ、すまない。また私のミスで、部下を死なせてしまった・・・」
ティーガー元帥「司令、やむを得ません、我が艦隊を出航させるのみです!」
松井元帥「今第一特務艦隊を出しても、相手はルアンガ、どこに出るかわからないぞ!」
日本戦車軍団 潜宙艦「伊−132」
音探手「艦長!艦尾方向から更に十隻!先の艦隊と戦力は同じです!」
パナイ少佐「何っ!?」
松井元帥(通信)「パナイ!もう無理だ!撤退しろ!」
パナイ少佐「そんな・・・我が日戦軍団が・・・」
松井元帥(通信)「私のミスだ。すまない。君たちだけでも生き残ってくれ。深度0まで急速浮上しろ!そうすれば、生還の糸口がつかめる!」
パナイ少佐「・・・・・」
松井元帥(通信)「急げ!もう魚雷は発射されんとしている!」
音探手「魚雷発射管の注空音!」←注空:潜水艦の場合「魚雷発射管の注水音」なんだが、宇宙だったら真空を入れるのだろう。ちなみにルアンガ級はスイムアウト式と思われる。なぜなら深度400で魚雷が発射できるからだ
松井元帥(通信)「早くしろ!魚雷が来るぞ!私は、せめて君だけは生かしたい!」
パナイ少佐「・・・・急速浮上!なるべく早くだ!」
そして、伊−132は急速浮上した
水測長「深度、250!」
音探手「敵艦、魚雷発射!」
水測長「深度240!」
発射された魚雷は二本、海大型を撃沈するのには妥当な数であった 水測長「深度230!」
パナイ少佐「・・・・・・」
伊−132は浮上していく。深度400から放たれた魚雷はそれに迫る
水測長「深度200!」
松井元帥(通信)「緊急浮上システム使用を許可する。急げ!今は一刻も早く乗員を救い出さなければならない!」
パナイ少佐「・・・緊急浮上システム、起動!」
緊急浮上システム、敵艦の魚雷が接近し、沈没確実の際に急速浮上させ乗組員を脱出させる装置である
何故緊急時でないと使用できないかというと、艦尾発射管に魚雷を集中させなければならないからだ
一斉に艦尾から魚雷を打ち出し、かなり離れたところで爆破、爆圧で前進するというものである 既に艦首の魚雷は使い果たしていた そして艦尾から残りの魚雷が発射された 数秒後、大爆発を起こした。その勢いで伊−132は急速浮上する 速度計を見ると既に50Qktは超えていた 水測長「深度100!」
そしてありえない速力で、伊−132は浮上した パナイ少佐「総員退艦!」
松井元帥(通信)「よくやった!」
そして、全員が退艦した数秒後、伊−132に誘導魚雷が命中。伊−132は沈没した・・・
既に、僚艦の姿は無かった・・・
ラファリエス特務潜宙艦隊 潜宙艦「ルアンガ」
レオハン大佐「・・・これで、殲滅だな・・・」
艦長「最後、敵旗艦が艦尾から魚雷を打ち出したときにはもうダメかと思いましたよ」
レオハン大佐「・・・確かに、本艦は中破している。もしこれ以上魚雷を喰らったら大変なことになっていただろう」
艦長「・・・しかし、あんな速度で浮上しておいて全く動かなかったとは・・・」
レオハン大佐「ハッチが開く音がした。おそらく、乗組員全員を生還させるための術であろう」
艦長「・・・・・・・さすが軍団、といったところですかな」
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「・・・全滅だ。たとえ伊−132の乗員が生還していようと、全滅は全滅だ・・・」
ティーガー元帥「・・・・・・・・」
松井元帥「ティーガー元帥、既に連邦潜宙艦隊は現場海域に急行中だな?」
ティーガー元帥「無論です。U−40を初めとする主力潜宙艦隊を派遣しております」
目標海域、既に輸送船団はいなかった・・・
Qシュタイン第一潜宙艦隊 潜宙艦「U−100」
ミュンデ少佐「酷いな・・・一隻も残っていないぞ・・・」
通信長「艦長、伊−132の生存車です!」
ミュンデ少佐「よし、救出する」
各潜宙艦はパナイ少佐以下、伊−132生存車の救助に当たった
一方で、先の巨大潜宙艦の姿も見えた
各艦は救助後、直ちに魚雷を放ったが・・・
音探手「艦長!敵艦急速前進!」
ミュンデ少佐「何っ!?」
音探手「敵艦、レーダーより消失!」
ミュンデ少佐「・・・亜空間移動能力か!?」
キュワール連合軍最強の戦闘集団、日本戦車軍団初の全滅であった
そして、ラファリエスの潜宙艦は、これからも猛威を振るうのであった
第二十五話 終わり
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