第十三話 紀伊出撃〜思わぬ再開〜
連合軍反抗作戦、捷一号作戦は、ひとまず第一段階を終えた
グンナ、ウルタンク両国軍艦隊はルナツーへ撤収したため、まず最初に相手すべくはカルオス艦隊である
このカルオス艦隊、一つはアラス少将の第二巡洋艦隊だが、もう一つの第四艦隊に関しては指揮官不明である
前任はソンム中将ではあるが、彼は第二艦隊司令に就任した上、後任の指揮官に関しては詳細不明のためだ
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
日戦軍団兵士A「ニビリア第一護衛艦隊旗艦『エチゼン』より入電!『連合軍主力艦隊出航!目標はカルオス軍本隊!』」
松井元帥「そうか。ニビリア側には通達が来ておったか・・・」
日戦軍団兵士B「第一潜宙艦隊所属、潜宙艦『伊−8』より入電!『ウルタンク軍本隊を捕捉!前回の戦闘の後再編した第四巡洋艦隊及び、戦艦部隊、駆逐艦隊を発見!』」
松井元帥「ウルタンクは三個艦隊。伊−170が前回伝えた情報と同じだな」
ティーガー元帥「でも戦隊旗艦の伊−8が情報を出しているみたいですが・・・」
松井元帥「ああ、本日は戦隊全体で艦隊索敵を行っていた。浦塩の伊−168が付いてるから大丈夫だろうが」←浦塩:浦塩少佐。第十一話で登場。深度300まで潜り対潜ミサイルを回避したという実力がある
ティーガー元帥「そういえばニビリアの重巡・・・なんて名前でしたっけ?」
松井元帥「スフランじゃなかったか?」
ティーガー元帥「それじゃウルトラマンに出てくる植物の名前ですよ」←初代ウルトラマンの結構初期の話に出てきた。後に第二十六話で再登場を果たしている。だからなんだって感じだが
松井元帥「そうだな。シュフランだった」
ティーガー元帥「しょっぱなからマニアにしか分からないようなネタは止めてくださいよ」
松井元帥「だって、思いついたんだから仕方ないじゃないか」←最近のシリーズにギャグがないので、つい・・・
日戦軍団兵士A「まあ、大作戦の目前ですからね、こうやって笑わせるのもありですか」
ティーガー元帥「でもネタがマイナーすぎですよ」
松井元帥「まあいい、グンナ軍のザクス率いる主力艦隊もいるはずだ。一気に5個艦隊が来襲するわけだ。それ以前に二個艦隊来るわけだから・・・」
日戦軍団兵士B「しかし我が方はプロトン第二戦艦隊、同第一独立艦隊、Qシュタイン第二戦艦隊、同第四艦隊、Qタンク第一戦艦隊、Qレース第二戦艦隊、我々日戦軍団の第一特務艦隊と第四艦隊、そしてニビリア第一護衛艦隊。第一独立艦隊は駆逐艦二だから省くとしても、八個艦隊です」
松井元帥「だが、我々の艦隊はまだパレンバンへ到着してはいない。前回の戦闘で戦った連合軍艦隊はそろそろ我が艦隊とすれ違う頃だから・・・」
日戦軍団兵士C「前方、友軍艦艇探知!前衛艦隊です!」
松井元帥「来たな。よし、レオパルト中佐との回線開け」
レオパルト中佐(通信)「こちらQシュタイン第二巡洋艦隊司令、レオパルト中佐」
松井元帥「レオパルト中佐か。こちらは日戦軍団第一特務艦隊司令兼日戦軍団総帥、松井元帥。貴艦隊の奮戦に敬意を示す。あとは、我々に任せてくれ」
レオパルト中佐「了解しました」
松井元帥「敵の潜宙艦に注意して、サーロイへ向かわれたし。以上!」
捷一号作戦第二段階、すなわちパレンバン防衛作戦はプロトン合衆国軍第二戦艦隊と第一独立艦隊、Qシュタイン連邦軍第二戦艦隊とQレース民国第四艦隊、Qタンク王国第一戦艦隊と第二戦艦隊のパレンバン駐留艦隊と、日戦軍団第一特務艦隊と第四艦隊、ニビリア共和国第一護衛艦隊による作戦本隊を用いてパレンバン要塞を防衛するという作戦である
パレンバンに集結する連合艦艇、その数281隻。今までにない大規模な艦隊である
対するは帝国艦艇、309隻。そう、これは両陣営の主戦力を用いた大作戦である
プロトン第一独立艦隊 駆逐艦「フライシャー」
クラシス「よし、もう一度任務を確認する。本日の任務は、パレンバン攻撃のため来襲する帝国艦隊の攻撃だ。敵は相当数の戦力で攻め込んでくる。特に先鋒のカルオス艦隊は前哨戦において連合軍前衛艦隊の脇を突破、連合軍前衛艦隊に打撃を与えた実力を持っている」
カイト少尉(元駆逐艦「グロスター」座乗の艦橋員。現在は駆逐艦「フライシャー」の艦長。車種:フェアレディZ32)「なお、作戦本隊に当たる日戦軍団特務艦隊は到着が遅れる模様。しばらくは我々だけで戦う可能性もある」
プロトン兵士A「駆逐艦『ロングショー』より入電!『作戦開始時刻に到達!全艦、直ちに予定海域につけ!』」
クラシス「ようやくだな。よし、行くぞ!全速前進!」
プロトン第二戦艦隊 戦艦「オクラホマ」
ロドスシルト少佐「本日は艦船武官として乗艦することとなった。各員の奮戦に期待する!」
そう、今回、第二戦艦隊の巡洋戦艦「オクラホマ」にロドスシルト少佐が座乗しているのだ
プロトン兵士A「了解!」
プロトン兵士B「わがほうも戦局逆転のために大作戦です。頑張りましょう!」
プロトン兵士A「今回は頼もしい味方がいますからね」
さて、要塞正面を防衛するのはあの連邦艦隊である
フォート准将の第四艦隊のみならず、シュタイナー准将の第一戦艦隊も防衛に参加している
Qシュタイン第四艦隊 戦艦「シュレスヴィヒ・ホルスタイン」
フォート准将「よし、各艦へ打電、敵艦隊を捕捉、攻撃を開始せよ。以上!」
だが、第四艦隊の各員は、グンナ艦隊に恐るべき新兵器が搭載されているとは知らなかった
Qシュタイン兵士A「敵艦、発砲・・・えっ!?」
レイク中佐「何だ!?レーザーが拡散して・・・」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーン!
フォート准将「駆逐艦が一撃で・・・」
そう、これはニビリアの開発した秘匿兵器、拡散式レーザー砲であった
輸送船「ガンドルフ」が輸送していたが、「ガンドルフ」拿捕に伴いその情報がグンナに伝わり、重巡の主砲としてグンナ製強化型を搭載していたのだ
松井元帥(通信)「こちら第一特務艦隊司令松井元帥、今入った情報によると敵はニビリア製新兵器を搭載している!」
フォート准将「くっ・・・いつぞやかの輸送船の奴か・・・」
レイク中佐「戦力的にも向こうのほうが有利ですね・・・」
Qシュタイン主力艦隊は苦戦していた。今までにない戦いである
Qシュタイン第二戦艦隊 戦艦「ポツダム」
シュタイナー准将(第二戦艦隊司令。車種:パンターG型)「敵の拡散レーザーはニビリアの秘匿兵器だと?!全く、何でこんなことに・・・」
ヒンデンブルグ大佐(ポツダム艦長。車種:W号戦車G型)「敵艦、発砲!」
ボゴーーーーーーーーン!
これでも、巡洋艦数隻を撃沈するという戦果は挙げていたのだ
中央方面はしばらく防衛戦となっていた
一方、要塞左翼を防衛するのはプロトン、Qレース艦隊である
このうちプロトンはあの第一独立艦隊であった
前方に展開する敵の大艦隊、駆逐艦「フライシャー」と「ロングショー」で編成された第一独立艦隊は、面舵一杯で敵艦隊の側面を突破した
レーザーを次々と回避しながら、二隻の駆逐艦は突き進む
プロトン第一独立艦隊 駆逐艦「フライシャー」
クラシス「強行突破だ!なんとしてでも敵の背後に回りこめ!」
その間、主砲やミサイルは敵艦を次々と狙っていった
カイト少尉「敵巡洋艦、撃沈!」
クラシス「よし、そのまま敵の背後に回りこむぞ!」
カルオス第二巡洋艦隊 戦艦「イントレピッド」
アラス少将(第二巡洋艦隊司令。車種:チャレンジャーU)「何っ!?敵はどこからそんな砲撃を仕掛けてくるんだ!」
カルオス兵士A「『アイニーアス(アレキサンドリア級)』沈没!」
アラス少将「くそっ・・・前方には敵戦艦、背後からは駆逐艦隊・・・」
そう、Qレースの艦隊は戦艦二十を初めとする大艦隊である
いくら八十二隻もいる帝国艦隊といえど、戦艦二十をはじめとする大戦艦部隊にはかなわない
次々と追い込まれていった
これにより第一独立艦隊はわずかながら被弾していた
もっとも、損害はいまだ小破ではあるが
Qレース第二戦艦隊 戦艦「マクナルティ」
アリア准将(第二戦艦隊司令。車種:スカイラインR32)「よし、また一隻撃沈!」
フェイス中佐(マクナルティ艦長。車種:アルトワークス)「戦果上々ですね。さすがに戦艦二十もいますからね」
アリア准将「今までの分、全部返してやらないとな」
フェイス中佐「そうですね。しかし爽快ですね、これは」
そして要塞右翼を防衛するのはプロトン第二戦艦隊とQタンク第一戦艦隊である
だが、敵は強敵、カルオス帝国第四艦隊と付属のウルタンク第四巡洋艦隊と第三戦艦隊。特に司令官不明の第四艦隊の攻撃は熾烈であった
プロトン第二戦艦隊 戦艦「ミシシッピ」
タリア少将(第二戦艦隊司令。車種:M4A3シャーマン)「畜生!三個艦隊相手だとやはり無理か!」
ルックス中佐「第四艦隊はやはり強力ですね・・・」
タリア少将「Qタンク艦隊も苦戦しているようだな」
ルックス中佐「しかし、第四艦隊司令って・・・・」
Qタンク第一戦艦隊 戦艦「ロイヤル・サブリン」
ハリソン中将(第一戦艦隊司令。車種:コメット巡航戦車)「辛うじてカルオス軍巡洋艦を撃沈したが、我が方の損害も高いな」
エプスタイン大佐(ロイヤル・サブリン艦長。車種:セントー)「プロトン軍戦艦、大破!」
ハリソン中将「奴め、指揮能力が高いな」
エプスタイン大佐「よっぽどの切れ者のようですね」
しかしその戦い方にはどこか見覚えがある、とロドスシルト少佐が言った
プロトン第二戦艦隊 戦艦「オクラホマ」
プロトン兵士A「見覚えがある?少佐殿、それはどういうことですか?」
ロドスシルト少佐「第六次キュワール大戦時、航空機と魚雷だけで海戦に勝とうとしたとある将校がいた。日戦軍団の熱田中将殿だ。彼の戦い方は魚雷を装備した中型艦を用いて突撃戦法を行うという一風変わったやり方であった。船のスケールこそ違えど、彼は航空戦艦による突撃戦法も考えていたから・・・」
プロトン兵士B「まさか・・・ベータで戦死したはずの熱田中将殿が・・・」
ロドスシルト少佐「その可能性は低いがな。松井元帥殿が言っていたが、熱田中将殿はそう簡単に敵に身を売り渡すようなものじゃない」
プロトン兵士A「戦艦『フロリダ』沈没!」
プロトン兵士B「戦艦『ネブラスカ』沈没!」
ロドスシルト少佐「くっ・・・さすがに第四艦隊は強いか・・・」
プロトン兵士C「ウルタンク艦隊、本艦に主砲を向けています」
ロドスシルト少佐「次は本艦か・・・」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ロドスシルト少佐「何だ!?」
プロトン兵士C「ウルタンク艦、沈没していきます!」
なんと巡洋戦艦「オクラホマ」を狙っていた十数隻の駆逐艦、巡洋艦が次々と沈んでいったのだ
ウルタンク艦隊を壊滅させたのは、日本戦車軍団、第一特務艦隊であった
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「遅れたな、少佐。しかし、間に合ったみたいだな」
日戦軍団兵士A「敵駆逐艦、撃沈!」
松井元帥「こちら日本戦車軍団第一特務艦隊、これより貴艦隊を支援する」
次々と敵艦を撃沈していく日戦軍団艦隊。その一方で、ニビリア艦隊は転進していく
テレダイン元帥の指示で、ここは「紀伊」に任せておくとのことだ
当然「エチゼン」も撤退するわけだが・・・
ウルタンク第四巡洋艦隊 軽巡「マイアミ」
エンプレス大佐「見たこともない巨大戦艦・・・まさか、これがマル5艦なのか!?」
ウルタンク兵士A「敵艦、発砲!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーン!
エンプレス大佐「くそっ、大破したか!一時退却だ!」
そして、日戦軍団艦隊は遠くで微速航行中のカルオス第四艦隊へと接近した
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
日戦軍団兵士A「敵戦艦『ジェルフォー』より通信!」
松井元帥「回線開け。第四艦隊の司令が誰なのか、確かめなければ」
日戦軍団兵士B「準備完了です」
松井元帥「・・・カルオス第四艦隊の各艦に告ぐ。我日本戦車軍団第一特務艦隊。先の戦闘から分かったとおり、本艦の戦闘能力は尋常ではない。先に撤収したニビリア艦隊も同等の戦闘能力を持つ。ウルタンク艦隊の二の舞になりたくなければ、直ちに停船し降伏せよ」
日戦軍団兵士C「降伏勧告ですか?」
松井元帥「・・・これで、どんな返答が来るか」
第四艦隊司令(通信)「貴艦の戦闘能力は確かに恐ろしいが、我が指揮能力を持ってすれば撃破可能。決して、降伏はしない!」
松井元帥「(・・・・・・我が指揮能力・・・)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
CQ暦255年 Qトルック近海
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーン!
日戦軍団兵士「プロトン艦隊、壊滅!」
松井元帥「熱田、敵の戦闘能力は尋常じゃない!ここは引き下がるべきだ!」
熱田中将「いえ、司令!私は最後まで戦います!」
松井元帥「散っていった部下のためか!?まずは戦力再編をすべきだ!こんなところで死ぬわけにはいかんだろう!」
熱田中将「我が指揮能力を持ってすれば、強力な敵でも撃破可能です!」
松井元帥「・・・分かった、幸運を祈る」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
松井元帥「・・・・・・・まさか・・・・」
日戦軍団兵士C「どうしますか?」
松井元帥「・・・貴官に告ぐ。国籍、所属、名前、階級、順番に言ってくれ」
そのとき、カルオス第四艦隊司令から出た言葉は、信じられないものであった
第四艦隊司令(通信)「・・・カルオス帝国、第四艦隊司令、熱田、中将だ!」
松井元帥「何っ・・・熱田だと?!」
鳴神中将(通信)「熱田!これはどういうことだ!貴様が帝国の部下に成り下がるなど、何かの間違いではないのか!」
熱田中将(通信)「・・・・連合の馬鹿どもが」
松井元帥「鳴神、あれは熱田であって熱田ではない。良く考えてみろ。いくら帝国派閥だけでグンナ星に移住したとしても、カルオスは元来から対立が絶えない。それなのに内乱がないということは、何かあると思うんだが」
鳴神中将(通信)「まさか、浦塩が言っていた・・・」
松井元帥「・・・そうだろうな。多分、奇妙な音響を発する機械は何らかの妙なシステムなんだろう」
日戦軍団兵士B「グンナ艦隊、接近してきます!」
松井元帥「・・・熱田、話は後だ!まずは眼前の敵を撃破する!」
熱田中将(通信)「・・・・・・」
Qシュタイン艦隊を壊滅させたグンナ艦隊が日戦軍団艦隊に向かってきたのだ。Qシュタイン第二戦艦隊旗艦「ポツダム」は中破、第四艦隊旗艦「シュレスヴィヒ・ホルスタイン」は大破、退却していった
グンナ第一艦隊 戦艦「グンナ・ラフィーニU」
ザクス「あれがマル5艦か・・・やはり強いな・・・」
グンナ兵士A「戦艦『ガリバリディエツ』沈没!」
ザクス「・・・撤退だ。あんなバケモノ相手では勝てん」
グンナ兵士B「了解!」
こうして、捷一号作戦は、連合軍の大勝利に終わった
損害もわずかである
最終的に第一独立艦隊は2隻とも中破。戦艦「シュレスヴィヒ・ホルスタイン」で重傷を負ったフォート准将は軍事病院へ搬送、他、巡洋艦や駆逐艦が数隻ほど沈没した
残存艦艇、その数202隻。これでも79隻の損害が出たのだ
だが「紀伊」の活躍あってか、帝国側残存艦艇は172隻であった
圧倒的戦力の前に大勝したのだ
かくして全艦艇はパレンバンへ集結、補給と修理を済ませるのであった
だが、第四艦隊司令が熱田中将であることが判明、敵側に彼がついたともなると厄介な事態である
連合各国はしばらく戦力再編を行うこととなった。そして壮大な観艦式も開かれることとなった
第十三話 終わり

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