第五話 智将再び
連合軍は最終防衛戦に駐留艦隊を進めた
当初の予定では日戦軍団第二艦隊も出撃する予定だったが、連合軍主力艦隊の救援に向かったのである
だが、智将は未だに存在する
プロトン軍所属クラシス大佐と、Qシュタイン軍所属メーヴェ大佐である
正面をクラシス大佐の所属する第十哨戒艦隊、それに加え同じプロトン軍の第九哨戒艦隊、Qタンク軍の第七駆逐艦隊が防衛する。本来、ここに日戦軍団第二艦隊が入る予定だった。もし追加されていたら多大な戦力だったであろう
右翼側を防衛するのはQシュタイン連邦第三艦隊。壊滅した第二巡洋艦隊の戦力も併合されている
左翼側はQレース民国第五艦隊。ガンドルフにおいて一部戦力を本土から派遣、水増しした
プロトン第十哨戒艦隊 旗艦「グロスター」
プロトン兵士A「司令!前方に敵艦探知!戦艦二十九、重巡十四!」
クラシス「誰が見ても、敗北が明らかじゃないか!」
プロトン兵士B「しかし、任務はあくまで死守です!」
クラシス「・・・最後まで奮戦する!ガンドルフをやられてたまるか!」
第十哨戒艦隊、所属艦艇、「グロスター」「ベンナー」、そして、新たに追加された「ミリッジビル」の三隻である
第九哨戒艦隊の「サン・ペドロ」「シトカ」「シュリーブポート」を含めても六隻、「シグニット」以下第七駆逐艦隊を含めても十三隻だ
こんな戦力に対し、戦艦二十九、重巡十四、あわせて四十四隻の大艦隊、勝ち目は全く無い
無謀だった。あまりにも、一方的だった
クラシス「第九哨戒艦隊は前進、我々も続く!」
だが、既に敵艦はレーザー照射を開始していたのだ
轟音とともに、「シュリーブポート」が沈んだ。一発だった
プロトン兵士A「『シュリーブポート』沈没!」
プロトン兵士B「敵艦発砲!『ベンナー』を狙っているようです!」
続いて、「ベンナー」が沈んだ
もはや、当たれば即、轟沈である
クラシス「射撃開始!重巡を狙え!」
轟音とともに放たれるレーザー、だが、敵艦の数が多すぎた
辛うじてアレキサンドリア級重巡に損傷を与えたが、「ミリッジビル」「シトカ」が沈んだ
プロトン兵士C「『ミリッジビル』『シトカ』沈没!残存艦艇は本艦と『サン・ペドロ』だけです!」
クラシス「・・・だめだ、このままでは持たない・・・」
プロトン兵士A「敵艦、発砲!」
クラシス「総員、衝撃に備えろ!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
重巡の20.3cmレーザー砲の命中により、遂に「グロスター」も沈まんとしていた
クラシス「・・・生存車は総員退艦!急げ!」
舷側に命中したレーザー、生存車はクラシスを始め、ほんのわずかだった・・・
その後、「サン・ペドロ」の沈没が確認された・・・
プロトン軍哨戒艦隊、全滅・・・
Qタンク軍も辛うじて敵艦艇に損害を与えたが、損害を負っていた
クラシス達残存プロトン兵は近辺にいた「シグニット」に救助された
Qタンク第七駆逐艦隊 駆逐艦「シグニット」
クラシス「・・・退避したほうがよろしいでしょうね・・・」
フェデラル大佐(第七駆逐艦隊司令。車種:ブラック・プリンス戦車)「そうだな・・・残存艦艇はベータへ撤退せよ!」
とはいえ、残存艦艇は「シグニット」と「アロー」の2隻のみだった
Qシュタイン第三艦隊 重巡「シュタインブリンク」
メーヴェ大佐「しょっぱなから正面がやられただと!?」
スハーフェン大尉「一瞬だったようです。正面防衛艦隊、残存艦二隻は撤退しました」
メーヴェ大佐「・・・13隻の駆逐艦に対し、29隻の戦艦と14隻の重巡だ、無理も無い」
その一方で、Qレース第5艦隊は善戦していた Qレース第五艦隊 戦艦「コンカラー」
ケビール大佐「第2艦隊は損傷している!撤退した連合軍の各員のためにも、多くの敵艦を撃沈する!」
なんとQレース軍、大奮戦したのである
さすがに、戦艦が入ると違うのだ
Qグリーン第二艦隊 戦艦「ツェザレヴィッチ」
グノーム中将「ちっ・・・小国だと思って甘く見たのがたたったか・・・」
ロジェスト大佐「予想外に強い!なんてこった!」
グノーム中将「次々と沈んでいくぞ・・・」
Qシュタイン第三艦隊 重巡「シュタインブリンク」
メーヴェ大佐「よし、こっちにもグンナがやってきたぞ!急げ!メサイア戦の戦友の分だ!」
敵艦隊の先頭を行くのはデーベルン級巡洋戦艦「アドミラル・グラフ・シュペー」である
ベルゲン少佐「撃ち方始め!」
次々とレーザー砲が発射された。「アドミラル・グラフ・シュペー」もかなりの損害を負っていたが、第三艦隊の損害も甚大なものであった
駆逐艦が次々と沈んでいった
損害、多数
ガンドルフ要塞
ギヤード少将「敵艦隊が接近しているようだな・・・」
プロトン兵士D「敵駆逐艦、射程圏内に接近!」
ギヤード少将「撃ち方始め!」
このとき、第六巡洋艦隊は要塞砲の射程圏は狭いと考えていたのだ
実はガンドルフ要塞には超射程砲が配備されていたのだ
ボゴーーーーーーーーーーン!
プロトン兵士D「命中!轟沈です!」
ギヤード少将「よし、次を狙え!」
次に狙ったのは巡洋艦だ。アドミラル・ヒッパー級である
ボゴーーーーーーーーン!
プロトン兵士D「命中!炎上しています!」
Qシュタイン第三艦隊 重巡「シュタインブリンク」
メーヴェ大佐「援護射撃が始まったようだ!我々も攻撃を続行するぞ!」
艦隊上空(?)
ブオオオオオオオオオオオオオオオ!
Qレース航空兵A「目標、敵爆撃機、攻撃開始!」
Qレース軍はようやく配置されたBf−109を用いて攻撃にかかった
Qレース航空兵B「よし、敵機捕捉!行くぞ!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
二機はIl−2シュトルモビクを狙い急降下、機銃掃射した
見事撃墜、さらに他の機体を狙った
少量ながら、巡洋艦には航空機が搭載出来るものがある
この戦闘には空母は参加していないが、それでも航空戦が行われた
一方、Qタンク軍もモスキートを用いて攻撃を開始した
Qタンク航空兵A「よし、こちら第231航空隊、攻撃を開始する!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
先ほどの戦闘ではフューリアスに艦載されていたニビリア第262航空隊という精鋭がいたが、フューリアスが撤退したため苦しい戦いになると予想された。第262航空隊は臨時でフューリアスに搭載されていたのだ
だが、向こうも空母艦隊を撤退させたため、ほぼ互角になったのである
ヴェント航空兵「敵機捕捉!攻撃を開始する!」
ブオオオオオオオオオオオオオオ!
ヴェント機は前方に見えるシュトルモビクを狙った
敵艦が対空ミサイルを発射した
だが、そもそもロックオンしてもモスキートは半木製機である、ほとんど反応しない。そもそもミサイルは対ジェット機用の武装なのだ
真上からの機銃掃射、シュトルモビクは墜落した
すると、グンナ側もヤコブレフを射出した
ヴェント航空兵「ヤコブレフか、単発機だから向こうのほうが機動性に勝る。厄介だな」
ブオオオオオオオオオオオオオオオ!
ヴェント航空兵「だが、火力では勝る!」
すばやく背後に回りこみ、攻撃を行うヤコブレフ、だが、ヴェント機は回避
そのまま、急旋回して敵機を狙った
多数の機銃が一斉に射撃を開始、ヤコブレフは爆発した
ヴェント航空兵「よし、次はあいつだな」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
次は再びシュトルモビクだ
もはやシュトルモビクが相手なら楽勝である
次々と対空ミサイルが発射されるが、辛うじて誘導されるものもフレアで回避可能
だが、目下で友軍艦が炎上するところが見えた
ヴェント航空兵「ちっ、さすがにダメだったか・・・」
ヴェント機、爆弾を搭載して急降下、狙うは敵駆逐艦
ヴェント航空兵「投下!」
ボゴーーーーーーーーーーン!
見事、命中
対空火器が次々咆哮する。フレアを投下して撤収
Qタンク航空兵B「さすがヴェント、ものすごいな」
ヴェント航空兵「敵さん、対空戦闘が苦手なようだな」
空戦はかなりの時間に及んだ
一方、その直下、Qレース第5艦隊は・・・
Qレース第五艦隊 戦艦「コンカラー」
ケビール大佐「Qグリーン艦隊は壊滅的打撃を受けたようだ」
Qレース兵士A「では、もう少しやりますか」
ケビール大佐「そうだな、なるべく敵を倒しておきたい」
ロンボク少佐(「コンカラー」
艦長。車種:コンカラー)「全速前進!」
だが、この無謀に近い行動が、Qレース艦隊を破滅へと導いてしまった
Qグリーン第二艦隊 戦艦「ツェザレヴィッチ」
Qグリーン兵士A「敵艦隊、突入してきます!」
ロジェスト大佐「まずい!このままでは壊滅する!」
グノーム中将「全艦撤退!あとはグンナに任せろ!」
だが、Qグリーン艦隊は最後まで攻撃を受けつづけた
最後に残った船、「ツェザレヴィッチ」以下八隻のみであった
しかも、「ツェザレヴィッチ」までもが爆発を起こし、辛うじて浮いている程度であった
グリーン級戦艦1も航行不能、曳航されていった
だが、その一方で、序盤でプロトン、Qタンク艦隊を蹴散らしたカルオス第一艦隊が駆けつけたのだ
Qレース第五艦隊 戦艦「コンカラー」
Qレース兵士A「あっ!後方より敵艦を探知!あの大艦隊です!」
ロンボク少佐「何っ!?」
ケビール大佐「まさかここまでやってくるとは・・・」
Qレース兵士B「敵艦、発砲!」
Qレース将校「なんだあれは!?」
Qレース兵士C「特殊粒子を探知!波動砲です!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ケビール大佐「・・・・全員、無事か?!」
Qレース将校「・・・自分は、大丈夫ですが・・・艦長が・・・」
ケビール大佐「ロンボク少佐!」
ロンボク少佐「・・・自分は、動けそうにありません・・・総員、退艦、なるべく多くの兵員を、生かしておいてください・・・」
ケビール大佐「少佐、あんたも助けるぞ!」
ロンボク少佐「無理です・・・とても・・・」
ケビール大佐「馬鹿野郎!貴様はまだ任務が残っている!」
ロンボク少佐「・・・・しかし・・・」
ケビール大佐「・・・まずい!2度目の爆発が来る!弾薬庫が!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
Qレース将校「司令!」
Qレース兵士D「艦長ーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ロンボク少佐、戦死
ケビール大佐は辛うじて生存、脱出に成功した
これにより、Qグリーン第二艦隊が反撃を開始した
旗艦は再び「クラップ」に移った。だが、ロンボク少佐の戦死は大きかった。彼は副官としても活躍していたのだ
Qグリーン第二艦隊 戦艦「ツェザレヴィッチ」
グノーム中将「危なかったな、よし、これならいける、反撃開始だ!」
ロジェスト大佐「取り舵一杯、攻撃にかかれ!」
被害は、甚大であった・・・
旗艦「クラップ」小破、その他残存戦力、駆逐艦2・・・
囮となって奮戦したサラミス級重巡は敵艦隊の前に降伏した
Qシュタイン第三艦隊 重巡「シュタインブリンク」
メーヴェ大佐「友軍は壊滅しただと?!」
スハーフェン大尉「たった今、Qレース第五艦隊旗艦『コンカラー』が沈没、ケビール大佐は脱出しましたが、ロンボク少佐は戦死したとのことです!」
ベルゲン少佐「・・・・・・こちらだけが善戦している、ということですか・・・」
Qシュタイン兵士A「司令、ガンドルフより入電、『発 ガンドルフ要塞司令ギヤード少将 宛 Qシュタイン第三艦隊司令メーヴェ大佐 ガンドルフ防衛作戦は失敗、之より我々は撤収する、貴艦隊も直ちに撤退せよ』以上です・・・」
メーヴェ大佐「くっ・・・・」
かくして、第三艦隊が撤退、ガンドルフ攻防戦は終結した
その後、基地航空隊は撤収する巡洋艦に搭載されベータへ撤退(重爆は直でベータに向かった)した
敵の攻撃目標はトノスとなった。ここを守るはQターレットとニビリアである
日本戦車軍団総司令部
松井元帥「ガンドルフ、陥落・・・」
チリ元帥「・・・A−150の状況はどうなっているんですか?」
セリ大佐(日本戦車軍団兵器工廠長 車種:力作戦車セリ)「はっ、完成に近づいている、との事です」
松井元帥「ほう、駆逐艦に関しても随時竣工中、巡洋艦もまもなく竣工、ともなれば、連合軍の反撃も近いな」
チリ元帥「トノス基地はどうなるんですか?」
松井元帥「Qターレットとニビリアか、まあ、持たないだろうな・・・残念だが」
チリ元帥「そうですか・・・」
チト元帥「しかし、連合各国が生産急務なのに対し、敵側は一体どうやって・・・」
松井元帥「ああ、それは謎だな。いくらなんでも、あそこまで技術が進むのは早いな。だが、我々も、負けてはいられないな・・・」
チヌ元帥「諜報長から連絡が入りました!トノス襲撃艦隊司令は、あのザクスです!」
松井元帥「なんだって!?ザクス航空艦隊司令だと!?あいつは空戦のプロじゃないか!」
トノス襲撃艦隊司令は、かつて第七次キュワール大戦で活躍したザクスであった。そう、智将クラシスの旧友である
松井元帥「・・・あいつか、あいつがいては、勝ち目は無に等しいな・・・」
かくして、帝国艦隊は、トノスへと進撃しているのであった・・・
第五話 終わり
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