第二十四話 デュミナスとの同盟
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「そうか、無事撃退したか」
チリ元帥(通信)「しかし、敵特務艦隊は突如キュワールに出現、帝国艦隊と共に瞬く間に消滅しました」
松井元帥「・・・・亜空間移動だろうな。そんな機能を持っているのはラファリエスぐらいしかないだろう」
チリ元帥(通信)「ラファリエスですか・・・」
松井元帥「・・・・・・・そろそろ反攻作戦も行われる頃だろう。通商破壊も潮時だろうな・・・」
日本戦車軍団では突如発見された亜空間移動に関してさまざまな議論を交わしていた
こんな機能を持つ船を大量生産されたらたまったものではない
まあ、とにかく敵の特務艦隊は脱出したのだ。プロトン合衆国を叩き潰した後に
連合の盟主、プロトン合衆国壊滅後は、Qシュタイン連邦やQタンク王国がキュワールを牽引している
だが、それですらさまざまな問題が発生している
そんな中、内惑星連合との同盟を結んだ
追い込まれたからにはやむを得ないことだ
日戦軍団通信兵「司令、伊−132より入電、『輸送船団多数を撃沈、艦隊護衛艦の手配を頼む』以上です」
松井元帥「そうか。132潜はパナイ少佐だったな。彼も良く頑張っておるな」
パナイ少佐ののる伊−132はマル四計画で補充された海大六型である
ちなみに、伊−101から伊−124までは従来の優秀型や海大七型が用いている。海大六型は伊−125から伊−140までだ
現在は伊−133や巡潜乙型改の伊−61などと組んで艦隊行動を行っている
潜宙空母こと潜特型の就役後はあまり目立たないが、とにかく活躍していることは確かだ
松井元帥「・・・・すまんな、パナイ・・・」
既に松井元帥は、彼がいずれ敵の前に散るであろう事は予感していたのだ
日本戦車軍団第一特務潜宙艦隊 潜宙艦「伊−400」
大宮大佐「しばらく我々の出航は控えたほうがよさそうだ」
大鳥少佐「どういうことですか?」
大宮大佐「・・・総帥の指示だ」
大鳥少佐「・・・・・・」
倉橋大尉(伊−400砲術長。車種:一式砲戦車)「ほとんど出番が無いのに、もっと出番がなくなっちまったなぁ・・・」
大宮大佐「だが、自分の命のほうが、大事だろう」
倉橋大尉「・・・CPUさえ残りゃぁな。生きて帰れるんだが・・・」
大鳥少佐「宇宙じゃ、無理でしょう・・・」
そして、司令官の立つ「お立ち台」にはPCのようなものがおかれている。「紀伊」の総司令室にあるものと同じだ
すなわち、データベースシステムだ
画面上には、グンナ軍の最新鋭艦のデータが書かれている

主力駆逐艦ナスカR級・・・170隻
全長:160m
武装:70cm超射程レーザー砲1基1門(艦首1基)
   12.7cm連装レーザー砲3基6門(艦体上部2基、艦体下部1基)
   25mm連装レーザー機銃6基12門(艦体上部左右舷2基ずつ、艦体左右側面部1基ずつ)
補助兵装:低出力電磁シールド搭載
解説:グンナ旧式駆逐艦。連合軍大型艦艇に対抗するために作られたがグンナ軍戦艦の方が強力であったため大量に生産されていたものの指揮艦艇等の護衛に使われ旧式化していった。そして一番艦「ナスカ」が竣工してから3年近くたったCQ暦363年(当時は同盟軍がQW星に攻め込んでいた)、外惑星連合に正式に加盟しラファリエスから技術を給与される事になったのだ。
そこで大量に生産されていたナスカ級の80cm大型レーザー砲も搭載できる駆逐艦としては稀な大きな容積能力に目を付け、低速で低性能な80cmレーザー砲(波動砲のベースとなったもの)を取り外し、代わりにラファリエス製の70cmロングレーザー砲「RLG700」を搭載した。このRLG700Lと呼ばれるロングレーザー砲は従来の大型レーザー砲より砲身は細いが長砲身で貫通性が高く、ロックオン出来る距離が従来砲の5倍等の高性能を持つ。その際船体が30m程大型化した。かくして、ナスカ級は旧式艦から高性能艦に生まれ変わり、前線で配備される事になっている。
現在200番艦まで建造中

用語解説
・外惑星連合
デトロワ連邦を盟主とし、グンナやラファリエスなどが同盟を結ぶ。技術力は非常に高い。グンナを除きラファリエスから外側の星が同盟を結んでいるので「外惑星連合」とよばれる。ちなみに、谷甲州氏の「航空宇宙軍史」に登場する同名の連合との関係は全く無い
・RLG700
「R」
は「Raphalies(ラファリエス)」、「LG」は「Laser Gun(レーザーガン)」の略、「700」は口径をミリメートル単位で記したもの。すなわち、ラファリエス軍700mmレーザー砲ということだ

大宮大佐「・・・グンナも強くなってきたものだ・・・パナイが心配だ」
大鳥少佐「パナイ少佐は潜宙艦隊司令兼艦長なんですよね、そういえば」
大宮大佐「彼のような兼任職の士官はよくやられるものでな・・・」
以前、指揮官兼艦長であったQトルックのスウィッグ大尉は、乗艦もろとも軍団に拿捕されたのである
倉橋大尉「あいつも、もっと火力のある船に乗ってりゃぁな・・・」
倉橋は大宮のかつてからの部下だ。もともとは航空戦艦「米利蘭土(戦艦メリーランドをベースに改装した航空戦艦)」の砲術長を務めていた。彼の砲撃は百発百中であった
だが、「乗せられる艦隊が無い」ということで第一特務潜宙艦隊に配属され、脇役に転じたが、意外にも浮上砲戦の機会が多かったのだ
ちなみに、第八艦隊司令となったレンネル中将だが、いまだに出撃のときはない
まあ、第五艦隊の赤城中将も出番は無かったが
第三艦隊、第六艦隊、第七艦隊も出撃のときは未だに無い
まあ、いずれは全艦隊がパレンバンとその周辺に展開する予定のようだが
大宮大佐「・・・・確かに、浮上砲戦が楽に出来るからな、現在は。だが、軍団総司令部では『深く潜ってもかわせないなら浮上せよ』って指示が出ているぞ」
無論、これは撃沈確実と見た場合である。急速浮上し、なるべく多くの乗員を生還させるという意味である
鳴神中将による「潜水艦訓練」はとにかくすごい
ほとんどの魚雷は深度290で消滅する。それを用いたのが「危なくなったら深度300まで潜れ」
波動砲搭載艦対策として「波動砲搭載艦はほとんどが爆雷を搭載していないため潜望鏡深度から攻撃せよ」など、対艦戦闘に関してはかなりの知識がある
何しろ鳴神自身、かつて敵の大艦隊のど真ん中を突破した名提督なのだ
大宮大佐「・・・しばらく、潜宙艦隊の出撃は無い、ということだな」

さて、そろそろ内惑星連合の内容を公開しよう
まずは盟主、オルキスだ
第八惑星であるオルキスは、キュワールと同じく多数の国々から成り立っている
やはりこの国にも連合が存在し、軍部は連合が一括で担当している
したがって軍も「オルキス統合軍」となっている
そういった組織だから、艦艇も単艦での性能を重視した船を生産している。だからといって通信装備が無いわけではないが
現在は以下のとおりの特務艦隊を派遣している

オルキス統合軍特務艦隊(司令:ロレック准将 車種:スーパー・パットン)
旗艦:バーナント級超戦艦
その他戦力:超戦艦バーナント級1隻
      高速戦艦エルガウィンR級2隻
      高速戦艦エルガウィン級6隻
      主力戦艦トリニダート級8隻
      重巡洋艦ガストーニュ級10隻
      駆逐艦ガートヴァル級20隻
計:48隻 航空機:不明

すなわち戦艦十七、重巡十(ただし、ガストーニュ級重巡はもともと軽巡として設計されていたという説もある)、駆逐艦二十である。航空母艦は存在しないが最近の戦艦には航空機を搭載出来るため航空機も存在すると思われる
「超戦艦」は無論、単艦性能を重視したオルキスならではである

続いてはアマティスだ
アマティスは宇宙大戦において初めてキュワールに艦隊を派遣した「第三国(今では連合側だが)」系の星である
第六惑星で、正式には「アマティス公国」。公国だけに船も赤い(おい)
Qタンク王国やQレース民国と同盟を結んでおり、技術提携を行っている
その技術は日戦軍団をないがしろにするほどであった
「派遣艦隊」を二個艦隊分派遣した
アマティス公国第1派遣艦隊(司令:ヘイワード大将 車種:チャレンジャー)
旗艦:アマティス級超戦艦(艦長:バウアー大佐 車種:チーフテン)
その他戦力:超戦艦アマティス級1隻
      双胴戦艦ダグレント級4隻
      航空戦艦グレイジャス級2隻
      重巡洋艦ビッズワール級2隻
      重巡洋艦フォーラスR級8隻
      重巡洋艦フォーラス級10隻
      駆逐艦コンスロート級20隻
      駆逐艦ヘラート級30隻
計:78隻 航空機:448機

アマティス公国第2派遣艦隊(司令:ベッケン中将 車種:コメット)
旗艦:バミリオン級双胴大型空母
その他戦力:双胴大型空母バミリオン級1隻
      超戦艦アマティス級2隻
      重巡洋艦フォーラスR級20隻
      駆逐艦ヘラート級40隻
      駆逐艦コンスロート級30隻
計:94隻 航空機:1500機

さすがに大国だけあり、双胴艦が非常に多い
日本戦車軍団もこの影響を受けて超紀伊、通称「播磨」計画を再始動させたほどであった
この「播磨」計画に関しては後に語るとしよう
続いては第七惑星、デュミナスである
正式には「デュミナス王国」。軍も「王立○○軍(たとえば宇宙軍なら「王立宇宙軍」)」とされている
デュミナス軍も双胴艦を多く有しており、主に防御を重視した艦艇を建造している
彼らは通常艦隊と潜宙艦隊を派遣した

デュミナス王国第1派遣艦隊(司令:ジェガン准将 車種:ルクレール)
旗艦:オルテウス級超戦艦
その他戦力:超戦艦オルテウス級3隻
      3胴戦艦アレギウス級12隻
      主力戦艦ダーウィン級20隻
      双胴戦艦ウィンダム級40隻
      巡洋戦艦ブレナント級18隻
      軽巡洋艦コーバック級10隻
      駆逐艦イファルナ級40隻
      駆逐艦タウロス級20隻
計:164隻 航空機:1736機

デュミナス王国第2派遣艦隊(司令:スカール少将 車種:ルクレール)
旗艦:ガイア級巨大潜宙艦
その他戦力:大型潜宙艦デストロイ級5隻
      主力潜宙艦カラカス級10隻
計:16隻 

このガイア級巨大潜宙艦は以下の通りのスペックを持つ巨大潜宙艦である

最新鋭弩級潜宙艦ガイア級・・・3隻
全長:480m
武装:61cm誘導魚雷発射管20基20門80発搭載(艦首12基、艦尾8基)
   ミサイルVLS8連装発射管3基24門(艦体上部3基)
   36cm連装レーザー砲4基8門(艦体上部4基)
   75mm連装速射レーザー砲14基28門(艦体上部左右舷7基ずつ)
   艦載機6機搭載(機種問わず)
デュミナス弩級潜宙艦。大型潜宙艦デストロイ級を率いて敵艦隊を中から撃破するという思想の元に建造された。潜宙艦としてはとてつもない巨体、火力、防御力を誇り、浮上しても巡洋戦艦並みの火力を誇る。これも派遣艦隊として派遣され特潜型に自信を持っていた日戦軍団の将校達を大変驚かせた。
現在8番艦まで建造中

すなわち潜特型をも超える巨大潜宙艦だ。ちなみに潜特型の全長は175m。かなりの差だ
ちなみに、Qタンク王国では更なる巨大潜宙艦を建造しているという噂があるが定かではない
もともとQタンク王国は潜宙艦技術を有していない国であったのだが
この三カ国がキュワールを支援するために艦隊を派遣したのである

ちなみに、この内惑星連合と対立する、デトロワ連邦を初めとする外惑星連合も存在する

第十惑星、デトロワ連邦は大量の艦艇を生産する大国である。ただし、艦艇単艦での性能は低い
第九惑星、ラファリエスは亜空間ドライブ機能を持った艦艇を生産している。前回、カルオス艦隊ともども消失したのはこの亜空間ドライブによるものである
第十一惑星、ファントムは体格(?)の大きいチョロQの住む大国である。高性能で巨大な艦艇を生産している

ちなみに、いずれにもまだいくつか、連合加盟星が存在するようだが詳細は不明である

Qシュタイン連邦第一艦隊 戦艦「ビスマルク」
サウラー中将「・・・これでは、我々の出番はなくなったも同然だな」
パラオ大佐「そうですな、しかし、それもまたいいものではないのですかね?」
サウラー中将「・・・・・・・・・・・内惑星連合か・・・」
パラオ大佐「全く、訳のわからない戦争になってしまいましたなぁ・・・」
サウラー中将「・・・新型VTOL機も開発しなければならんな。ハイドロサブジェネレートロケットとか」
パラオ大佐「そんなネタがあるとは思いませんでしたよ」
サウラー中将「いずれにせよ、この戦争が拡大したのは確かだな」
メーヴェ少将(通信)「こちら第三艦隊、哨戒を終了、これより帰還します」
サウラー中将「了解」
パラオ大佐「・・・司令、もしかしたら・・・」
サウラー中将「ああ、グンナの進撃が無いのは、もしかしたら裏でとある国と技術提携を行っているのかもしれんな・・・」
こうして、キュワール、グンナ間の戦争は、そのままエレミア星系規模へと発展していったのであった・・・
第二十四話 終わり

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