第三十九話 出航の時
第一独立艦隊は、ロドリグ軍サイファー基地に入港していた
クラシス「・・・しかし、大きいな。ここのチョロQは」
カイト大尉「はい、そうですね。前に、スカイラインを見ましたが、我々より大きかったですね」
クラシス「船も、デュミナスの船に似ているな」
カイト大尉「そうですね。しかし、デュミナスのそれより大きい。まるで軽巡洋艦ぐらい大きいですね」
基地司令「まあ、ここのチョロQはとにかく大きいからな。多分、君たちの1.5倍はあると思う」
クラシス「そうですか。しかし、ここまでデュミナスの船に似ているのは・・・」
基地司令「ああ、デュミナスと技術提携しているんだったな、確か。だが、戦艦以外の大型艦はうちの独自製作だ」
カイト大尉「それで、あれはなんと言う船なんですか?」
基地司令「あれはカリオス級と言って、デュミナスのアリア級を参考にして建造された船だ」
クラシス「確かに、アリア級に似ていますね」
基地司令「他にも、イファルナ級ベースのサーベ級、タウロス級を元にしたローレル級、そしてテレダイン級を大型化したヘイスト級などが存在する」
彼らは、ファントムのチョロQと同じく、普通のチョロQの1.5倍の大きさである
何故これほど大きいかは全くもって不明だ
どうやら、当初は亜空間ドライブ機能を搭載した船を用いてキュワール支援艦隊を送り込む予定だったらしい
だが、もしそれを行ったら、キュワール艦に攻撃を受ける可能性も否定できない
なぜなら、亜空間ドライブはラファリエスとロドリグのみが開発に成功しているからだ
ロドリグの存在は明らかにされていない。となると、敵側に当たるラファリエスのみと思われる
従って、もしロドリグ艦が亜空間ドライブで出現すると、シルグノーム級の改良型とみなされて攻撃されかねないのだ
そのため、キュワール支援艦隊派遣に関しては廃案になったのだ
駆逐艦たちは確かにデュミナスの艦艇に似ているが、大きい
その先陣を切って進む巡洋艦も大きい
最新鋭のフェンネル級と呼ばれるものはもはや戦艦サイズである
あれで「軽巡洋艦」なのだから恐ろしい
ちなみにAD兵器はズィーモスを用いているらしい
つまりは内惑星連合の星だ
考えてみれば、キュワール上でAD兵器の研究を行っているのはQシュタイン連邦と日本戦車軍団のみ。他はアマティスやデュミナスのAD兵器を流用しているのだ
そう考えると、Qシュタイン連邦や日本戦車軍団は凄まじい研究を行っていることになる
このサイファー基地は大規模なもので、ある程度の艦隊が配属されているようだ
そのために先の新型艦がいたようだ
この基地で補給を済ませ、それから、後のことについて考えることにした
一方で、ルナツー司令部では、ライトウォーター攻略作戦の敗因について話し合っていた
松井元帥「結局のところ戦力不足だろうな」
ドニゲッテル少将「自分は航空隊員の錬度にも問題があると思います」
ユゴス少佐「何よりもあれほどの優秀機がいるということがしばらく判明しなかったこともですな」
新竹大尉「自分はあの機体と交戦して思ったんですが、奴らは火力がありすぎます。三機そろっての戦闘も抜群でした。無数のニビリア機との空中戦も絶妙なものであり、さらにサッチウェーブも見事でした」
ドニゲッテル少将「敵ながらあっぱれ、かね?」
新竹大尉「その通りです」
京城大佐「何しろ今まで落とされたことの無い新竹を撃墜したんだからな。敵もすごい奴だ」
松井元帥「・・・・・・つまり、機体性能および搭乗員錬度、双方において敵のほうが優秀であった、ということか」
元山少将「早い話が、全てにおいて我々が劣っていたということです」
ハリヤー少佐「要塞とはいえ、防備が薄いと思った自分が馬鹿でした。よりによってガトランティス、いや大日本帝国の航空隊がいたとは・・・」
松井元帥「・・・新竹、そういえば機内の録音機、残っていたか?」
新竹大尉「はっ、しっかり、全部録音されてました」
松井元帥「・・・とりあえず、聞いてみるとするか」
実は空中戦において、敵が行った戦法等を知るために、日戦軍団の機体にはガンカメラやレコーダーが搭載されているのだ
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銃撃音が次々と響く
時たま響く無線報告
被害は甚大である
カメラからの映像も凄まじい
激しく動く機体。時たま見える、二重反転式プロペラの戦闘機
そして、突如新竹が叫んだ
新竹大尉「今までの機体の分だ!」
映像には銃撃と、二重反転プロペラの戦闘機が写った
だが、突如急旋回を始める機体
新竹大尉「何っ!?」
エンジン音、後ろ、そして上からである
新竹大尉「くそっ、サッチウェーブか!」
急旋回し、銃弾を回避する体勢に入るが、既に被弾音が頻発、ついには火を噴くような音まで響く
そして新竹の通信が続く
新竹大尉「こちらスカイシューター2、やられました・・・」
京城大佐「分かった。戦闘続行不能と認め、離脱を許可する」
そしてQシュタイン軍の無線連絡
Qシュタイン航空兵「シュトラール15および23が墜落!」
フォインツ中佐「くそっ、被害甚大だ。これより撤退する」
――――――――――――――――――――――――――
松井元帥「・・・空中戦に関する部分は、これだけだな」
新竹大尉「あっという間でした。もう一度、先のスペックデータを見せてください」
松井元帥「分かった」
画面上には先の映像で確認された「真空」の機影と、類似機として六式高速戦闘機および「電征」の写真が表示された
最新鋭戦闘機「真空」
最高速度:770km
馬力:2500hp
武装:20mm機関砲×9(機首固定×3、主翼固定×6)
爆弾最大250kgまたはロケット弾18発
大日本帝国最新鋭戦闘機。串型エンジンを使い、強力な馬力で最高速度770kmを発揮する高速重戦闘機。運動性は「鍾馗」
と同じくらいだが火力においてはこちらが凌駕している。
その火力は大型爆撃機でも普通に撃墜できる程。
松井元帥「現時点で確認できる搭乗員は、航空隊隊長の住田大尉、副隊長の岡山中尉、そして、栗原中尉の三両。いずれも、ガトランティス、いやアーク内での内戦において功績を上げた名パイロットだ」
ハリヤー少佐「一体、何故そんなことを知っているんですか?」
松井元帥「・・・本日諜報部からもたらされた情報と、アマティスからかっぱらってきた資料を照らし合わせて、断定したものだ」
フォインツ中佐「確かに、同族ならば潜入は容易、ですな」
松井元帥「もっとも、彼らもためらい無く新竹を撃墜した。同族が殺しあわねばならぬとは・・・」
ドニゲッテル少将「松井元帥、今は戦争なのです。そのようなことは、言っていられません」
松井元帥「そうだな、少将。本当に、戦争とは空しいものだな・・・さて、総員、この『真空』と呼ばれる新型戦闘機だが、最高速度においてこの機体に勝てるものは・・・こいつしかおらん」
といい、画面に表示させたのは、連合軍の最新鋭戦闘機群であった
最新鋭主力戦闘機F−80シューティングスター
最高速度980km
推力2500kg
武装12.7mm機銃×6(主翼固定×6)
爆弾最大1000kgまたはロケット弾14発
プロトン宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。主に対地攻撃任務に使われる。
最新鋭主力戦闘機F−84サンダージェット
最高速度1100km
推力3200kg
武装12.7mm機銃×6(主翼固定×6)
爆弾最大2000kgまたはロケット弾24発
プロトン宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。MIG−15と互角に渡り合える能力を持つ。
最新鋭主力戦闘機F−86セイバー
最高速度1180km
推力2800kg
武装12.7mm機銃×6(主翼固定×6)
爆弾最大1000kgまたはロケット弾14発
プロトン宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。全体的に高性能な優秀機。
最新鋭主力戦闘機MD450ウーラガン
最高速度980km
推力2500kg
武装20mm機関砲×4(主翼固定×4)
爆弾最大1000kgまたはロケット弾16発
ニビリア宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。まだ配備数は少ないがF−86と同等の性能を持つ高性能機として大量生産準備がされている。
最新鋭主力戦闘機ミステール
最高速度1200km(マッハ1.1)
推力4400kg
武装30mm機関砲×2(機首固定×2)
爆弾最大1000kgまたはロケット弾20発
ニビリア宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。性能的にはF−86を超えたがまだ小数機しか配備されていない。
最新鋭特殊戦闘機ミラージュIII
最高速度2400km(マッハ2.2)
推力6200kg
武装30mm機関砲×4(機首固定×4)
空対空ミサイル4発または爆弾最大4000kg
ニビリア宇宙軍最新鋭ジェット戦闘機。まだ先行試作機段階だがかなりの高性能を記録したため特殊戦闘機としてパレンバンのエリート部隊に配備されている。
新鋭主力ジェット戦闘機ハインケルHe162ザラマンダー
最高速度860km
推力800kg
武装20mm機関砲×4(機首固定×4)
Qシュタイン、ヴァイナーの新型ジェット戦闘機。主に迎撃用として使われるため航続距離は短いが、加速性能が高く、敵爆撃機迎撃に威力を発揮する。両軍で使用中。
最新鋭両用ジェット戦闘機メッサーシュミットMe262
最高速度880km
推力1800kg(900×2)
武装30mm機関砲×4(機首固定×4)
空対空ロケット弾×12
Qシュタイン、ヴァイナーの最新鋭ジェット戦闘機。旋回性能、火力、航続距離、防弾性能が優れている優秀機。艦上でも運用できる。両軍で使用中
最新鋭両用ジェット戦闘機ハインケルHe280
最高速度930km
推力1900kg(950×2)
武装20mm機関砲×10(機首固定×4、主翼固定×6)
空対空ロケット弾×10
Qシュタイン、ヴァイナーの最新鋭ジェット戦闘機。Me262にも勝る性能をもつ戦闘機だがまだ配備数が少ない。両軍で使用中
最新鋭両用ジェット戦闘機Me262改
最高速度1080km
推力2000kg(1000×2)
武装30mm機関砲×4(機首固定×4)
空対空ロケット弾×16
Qシュタイン、ヴァイナーの最新鋭戦闘機。プロトンのF−86に並ぶ性能をもつ。これから両軍で量産予定。
新鋭主力艦上戦闘機フォッケウルフTa152
最高速度780km
馬力2800hp
武装20mm機関砲×4(主翼固定×4)
30mm機関砲×2(機首固定×2)
空対空ロケット弾×4
Qシュタイン、ヴァイナーの新型艦上戦闘機。レシプロ機としては平均以上の性能を誇り、Mig−15とも渡り合うことができる。両軍で大量生産中
最新鋭主力艦上ジェット戦闘機フォッケウルフTa152改
最高速度1150km
推力1800kg
武装20mm機関砲×4(主翼固定×4)
30mm機関砲×4(機首固定×4)
空対空ロケット弾×8
Qシュタイン、ヴァイナーの最新鋭ジェット戦闘機。Qシュタイン、ヴァイナー軍の中で最高の性能を誇る飛行機だがいかんせん配備数が少ない。これから少しずつ生産される予定。
局地戦闘機「震電」改
最高速度:970km
武装:30mm機関砲四丁
空対空ロケット弾
解説:日本戦車軍団の局地戦闘機。震電にジェットエンジンを搭載し速度などを上げた
松井元帥「・・・残念だが、我が日本戦車軍団でも、速度800kmを超える機体はまだ震電改のみだ。だが、諸君らには新型機がまだたくさんおる」
ドニゲッテル少将「しかし、どの機体もこのルナツーはおろか、周辺の艦隊にすら配属されておりません!」
松井元帥「プロトン合衆国に関してはやむを得んな。まだデモは収まらない・・・」
連合軍では、新型戦闘機「真空」の対策に関して、色々と考えていたようだ
一方、ロドリグ軍サイファー基地
あれから数日ほどがたった
司令室に呼ばれたクラシスは基地司令官に今後の自分達の扱いについて質問した
クラシス「ところで基地司令、我々はキュワールに帰れるのでしょうか?」
基地司令「・・・ここからキュワールへは遠いからな。キュワールへはまだ無理だが、オルキスへ向けて防衛強化艦隊が送られることになった。その艦隊へ同行することが決定された。出航準備を、整えておいてくれ」
クラシス「・・・了解しました」
そういうと、クラシスは司令室を出た
クラシス「・・・未だキュワールへ帰れる時は、遠いな・・・」
それからさらに数日が経った
以下の艦隊が、ロドリグより出航することとなった
ロドリグ第1派遣艦隊(司令 ゼクス准将 車種:クロムウェル)
旗艦フェンネル級
軽巡洋艦フェンネル級1隻
軽巡洋艦アザレア級6隻
防空巡洋艦コロンバイン級6隻
駆逐艦カリオス級10隻
駆逐艦サーベ級10隻
計34隻 航空機104機(全て戦闘機)
プロトン第1独立艦隊(司令 クラシス大佐 車種:フェアレディZ33)
旗艦フォーラスR級(艦長 カイト大尉 車種:フェアレディZ32)
重巡洋艦フォーラス級1隻
軽巡洋艦アスラートR級2隻
駆逐艦コンスロート級6隻
計10隻 航空機22機
ロドリグ第1独立艦隊(司令 クロイツ大佐 車種:スカイラインR34)
旗艦フェンネル級
軽巡洋艦ストーク級1隻
軽巡洋艦アザレア級4隻
防空巡洋艦コロンバイン級4隻
駆逐艦ヘイスト級10隻
計20隻 航空機106機
オルキス派遣艦隊艦艇計64隻 航空機232機
なお、小規模なのは先遣艦隊という理由があるそうだ
そして、第一独立艦隊はサイファー基地を後にした
プロトン第一独立艦隊 重巡「フィンバック」
カイト大尉「・・・司令」
クラシス「何だ?」
カイト大尉「確か、ロドリグの基地の名前ってサイファーでしたよね?}
クラシス「ああ、確かにそうだが・・・」
カイト大尉「昔、ゲームでそういう名前の人物が出てきた記憶があるんですが・・・」
クラシス「・・・俺もそう思う」
ロドリグの艦隊と共に、第一独立艦隊はオルキスへと向かった
未だ、キュワールへの道は遠い・・・
第三十九話 終わり