第十二話 前哨戦
ついに帝国軍の大艦隊が接近した
連合軍は総力を決した防衛作戦「捷一号作戦」が発動された
捷一号作戦は、日本戦車軍団とニビリア共和国の連合特殊艦隊を用いて帝国艦隊を駆逐する作戦ではあるが、敵の進撃速度から、連合軍水雷戦隊を先遣隊として派遣するという作戦も入っている。この作戦名に恥じぬ、連合軍主力艦隊総動員の大作戦だ
なお、日本戦車軍団は本作戦に二個艦隊を派遣、ニビリア宇宙軍特務艦隊と共にサーロイを出航した
Qシュタイン第二巡洋艦隊 重巡「ファルツ(名前の元ネタは「紺碧の艦隊」の空母。ザクセンもいたし、まあいいか)」
レオパルト中佐「連合軍の再編もなり、敵の主力艦隊と再び戦火を交えることになろうとは・・・」
イルティス中尉(レオパルトが昇進したんならこいつも。第2巡洋艦隊参謀)「こんどこそ主力艦隊です!メサイア戦の仇を取りましょう!」
レオパルト中佐「うむ。いままで幾多もの戦場で多数の部下や同胞が散っていった。一気にその借りを返す、それが捷一号作戦だ!各員の奮励に期待する!」
ヘンス少佐(ファルツ艦長。車種:パンターA型)「司令!前方、敵艦隊捕捉!軽巡九、駆逐艦十八!」
レオパルト中佐「敵の先発隊だな。おそらく後方に戦艦部隊がいるだろう。我々はあくまで時間稼ぎ、防戦に徹する!」
ヘンス少佐「総員、戦闘配置!」
戦闘配置のブザー音が響く。今まで一部のものしかいなかった艦橋に大勢のチョロQが集まってくる
レオパルト中佐「よし、まずは巡洋艦を狙うぞ」
Qシュタイン兵士A「友軍艦、発砲を開始しました!」
レオパルト中佐「第一駆逐艦隊だ。そろそろ我々も動かねば。行くぞ!撃ち方始め!」
ガイル准将(第一駆逐艦隊司令。車種:W号戦車G型)(通信)「こちら第一駆逐艦隊。新たな敵艦隊探知!戦艦二十三、空母一、重巡十六、駆逐艦二十!」
レオパルト中佐「敵の本隊だな。グンナの精鋭、我が仇だ」
このとき来襲したのはグンナ第一艦隊、同第二艦隊。そう、トノス殲滅戦の大艦隊だ。連合軍の仇敵である
さらに先発はウルタンク第四巡洋艦隊。これまたウルタンクの前線部隊だ
今回はれっきとした大作戦だ。防衛戦とはいえしっかりと構築された作戦。防衛戦だ
かれらは日本戦車軍団の誇る大艦隊の到着まで敵戦力の撃破を行うのだ
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
日戦軍団兵士A「重巡『ファルツ』より入電!戦闘は開始せり。敵戦力多数。なるべく早く頼む。以上!」
松井元帥「レオパルト中佐の艦隊か。彼なら頑張ってくれるはずだ。よし、全速でパレンバンへ向かう!」
日戦軍団兵士B「司令、敵はかなりの数のようですね」
日戦軍団兵士C「軽巡『ラクレイス』より入電!『新たな敵艦隊探知!先の艦隊と陣容は同等!』」
松井元帥「おそらくグンナの主力艦隊だな。さすがに要塞強襲ならば主力を出してくるだろう」
ティーガー元帥「観艦式の目前に襲い掛かってくるとは・・・」
松井元帥「敵の侵攻がやんだところで出来るんだ。逆にかなりいいではないか」
ティーガー元帥「観艦式の最中に襲われるよりかはマシですね」
Qシュタイン第一駆逐艦隊 軽巡「ラクレイス」
ガイル准将「よし、更に各艦艇の攻撃を開始せよ!」
Qシュタイン兵士B「敵駆逐艦、撃沈!」
ガイル准将「これでまず一隻だな・・・レオパルトの艦隊もまたすごい戦力だ。しかし敵の精鋭艦隊もかなりのものだな」
グンナ第一艦隊 戦艦「グンナ・ラフィーニU」
ザクス「敵も何らかの作戦を考えたようだな」
グンナ兵士A「駆逐艦『トビリシ』沈没!」
グンナ兵士B「重巡『カガノヴィッチ』沈没!」
予想以上に被害は甚大であった
かつてトノス駐留艦隊を圧倒的な強さで撃破したグンナ第一、第二艦隊は、連合軍の組織的な作戦の前に一隻、また一隻と沈んでいった
駆逐艦「トビリシ」は軽巡「ラクレイス」の主砲攻撃を受け大爆発。重巡「カガノヴィッチ」は重巡「ファルツ」と重巡「ナッサウ」の攻撃を受け真っ二つになり爆沈した
さらにそれに続いたのは重巡「カリーニン」だった
グンナ第一艦隊 重巡「カリーニン」
ハーヴェイ大佐(カリーニン艦長(注:第四艦隊の重巡「オスラビア(メサイア戦で沈没)」より転属))「連合軍め、あんな少ない船でどれだけ・・・」
グンナ兵士C「敵重巡、ミサイル発射!」
ハーヴェイ大佐「迎撃開始!」
グンナ兵士D「2発撃墜!さらに第2派接近!」
ハーヴェイ大佐「チャフ攻撃初め!機銃迎撃始め!」
グンナ兵士C「間に合いません!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ハーヴェイ大佐「総員、退艦!」
プロトン第二駆逐艦隊 軽巡「シンシナティ」
シリア大佐(第二駆逐艦隊司令。車種:M4A3シャーマン)「さすがQシュタイン。見事な戦いだな」
ファラデー中佐(シンシナティ艦長。車種:M4A1シャーマン)「前方より敵艦艇!」
シリア大佐「よし、全艦攻撃準備!」
ファラデー中佐「撃ち方始め!」
Qシュタイン第二巡洋艦隊 重巡「ナッサウ」
ゲルティング中佐(ナッサウ艦長。(「ガルスター」より転属))「よし、一隻仕留めたな。プロトン艦隊も頑張っているようだな」
Qシュタイン兵士C「敵巡洋艦、撃沈!」
ゲルティング中佐「これで三隻目だな」
「ナッサウ」が仕留めたのは、ウルタンク軍の軽巡「バレーオ」だった
ウルタンク第四巡洋艦隊 軽巡「マイアミ」
ウルタンク兵士A「『バレーオ』被弾、沈没!」
エンプレス大佐(第四巡洋艦隊司令。車種:M4A2シャーマン)「何っ!?」
ウルタンク兵士B「『ゲーリー』沈没!」
エンプレス大佐「くそっ、これで3隻か!」
ウルタンク艦隊は帝国側艦隊でもっとも先頭部に立っていたため、被害はかなりのものであった
既に軽巡「バレーオ」「ゲーリー」、駆逐艦「クルベ」を失い、「チャタヌーガ」「ダルース」が大破している
プロトン第二駆逐艦隊 軽巡「シンシナティ」
ファラデー中佐「敵駆逐艦撃沈!」
シリア大佐「やはり今までとは違い、組織的な大作戦ともなると、小規模の艦隊でも、大艦隊にかなりの打撃を与えることが出来るのか」
艦隊上空
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
Qシュタイン航空兵A(Bf−109T搭乗)「一番機、敵機捕捉!」
Qシュタイン航空兵B(Bf−109T搭乗)「こちら二番機、あれはグンナのヤコブレフだな。よし、すぐに攻撃にかかる」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
Qシュタイン航空兵A「よし、ヤコブレフは脆い、いけるぞ!」
Qシュタイン軍は日戦軍団とは違い、二機一組での作戦を得意とする
一番機、二番機が共同で、一機のYak−9を狙った
Yak−9は若干旧式化が目立つが、数の上では主力の戦闘機だ
おそらく今までの戦闘でミグが大量に撃墜されたために補充で入ってきたのだろう
一番機の攻撃を受け退避するヤコブレフ、しかし二番機が再び襲い掛かった
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
Qシュタイン航空兵B「よし!」
Qシュタイン航空兵A「今のは共同だな」
Qシュタイン航空兵B「俺の単独じゃないのか?」
Qシュタイン航空兵A「その前に何十発も俺が当てただろうが」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
Qシュタイン航空兵C(Ju−87C搭乗)「こちら急降下爆撃隊、支援感謝する!」
Qシュタイン航空兵D(Ju−87C搭乗)「これより本隊は敵空母の攻撃にかかる!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
急降下爆撃隊はザクス級空母「ポルタワ」を攻撃した
対空火器が次々と攻撃を開始する
何機かが撃墜された
Qシュタイン航空兵C「投下!」
Qシュタイン航空兵D「投下!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
サイレン音とエンジン音、対空火器の音にそして爆弾の投下音が次々と響く
そして爆弾が飛行甲板に命中した
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
空母「ポルタワ」は小破の損害を受けた
他にも空母攻撃隊の攻撃が行われた。もう一隻も小破の損害を受けた
そのとき、グンナ級戦艦「マラート」が爆発した
ミサイル攻撃を受け炎上、大爆発を起こし右舷に傾斜
そして弾薬庫に誘爆。沈没した
グンナ第一艦隊 戦艦「グンナ・ラフィーニU」
グンナ兵士A「戦艦『マラート』沈没!」
ザクス「くっ、戦艦までやられたか・・・」
だが、その一方で、増援の艦隊が接近していた
戦艦「ジェルフォー」以下カルオス第四艦隊、そして戦艦「イントレピッド」以下カルオス第二巡洋艦隊であった
いまだ連合軍はその存在に気づいていなかった
何しろ艦隊から遠く離れたところを迂回していたからだ
そして、激戦は続いた・・・
ウルタンク第四巡洋艦隊 軽巡「マイアミ」
エンプレス大佐「状況はどうか!?」
ウルタンク兵士A「軽巡『チャタヌーガ』、ミサイル被弾により、沈没!」
ウルタンク兵士B「駆逐艦『ドゥゼ』、砲撃を受け沈没!」
エンプレス大佐「くそっ、そんなにやられたのか?!」
ウルタンク兵士C「軽巡『ダルース』にミサイルが向かっていきます!」
エンプレス大佐「何とかならんのか!?」
ウルタンク兵士C「迎撃体制をとり・・・あっ、被弾!爆沈!」
エンプレス大佐「畜生、一時撤退だ!」
ウルタンク兵士A「友軍、カルオス帝国軍戦艦『ジェルフォー』より通信が入っています」
????(車種不明)(通信)「こちらカルオス帝国軍第四艦隊。之より帝国艦隊を支援する。各員の奮励に期待する」
エンプレス大佐「・・・古風な将校だな。カルオスにこんな者おったのか」
ウルタンク兵士A「・・・わかりません」
Qシュタイン第二巡洋艦隊 重巡「ファルツ」
イルティス中尉「敵艦隊、撤退していきます!」
レオパルト中佐「あんなに撃沈したんだ。撤退しても無理もないな」
Qシュタイン兵士A「司令!大変です!」
レオパルト中佐「どうした!?」
Qシュタイン兵士A「左舷後部より敵艦隊、数、戦艦十一、重巡二十、軽巡十二、駆逐艦四十以上!」
ヘンス少佐「なんだって!?そんな艦隊が潜んでいたのか!?」
Qシュタイン兵士B「たった今、友軍潜宙艦『U−970』より入電が入りました!」
レオパルト中佐「索敵網に引っかかったのか・・・」
Qシュタイン兵士B「『U−970』は直ちに退避しました。爆雷攻撃を無事凌ぎきったようです」
レオパルト中佐「・・・で、敵はどこの艦隊だ?」
Qシュタイン兵士B「カルオス軍です。おそらく日戦軍団の『伊−168』が捕捉した物と同じでしょう」
レオパルト中佐「謎の第四艦隊か・・・」
イルティス中尉「敵艦、発砲!」
ボゴーーーーーーーーーーーーーン!
イルティス中尉「プロトン軍駆逐艦、沈没しました!」
レオパルト中佐「奇襲か!?」
ヘンス少佐「くそっ、早くプロトン艦隊に打電していれば・・・」
プロトン第二駆逐艦隊 軽巡「シンシナティ」
ファラデー中佐「『ノーマン・スコット』、沈没!」
シリア大佐「奇襲攻撃だと!?」
ファラデー中佐「あれはカルオスの戦艦ではないか!」
シリア大佐「くそっ・・・やられたな・・・」
ボゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
プロトン兵士A「被弾しました!火災発生!このままではやられます!」
ボゴーーーーーーーーーーーーン!
プロトン兵士B「機関故障、航行不能です!」
ファラデー中佐「総員、退艦!」
かくして、プロトン軍第二駆逐艦隊旗艦「シンシナティ」は、ファラガット級駆逐艦「エイルウィン」のミサイルにより自沈処分された
プロトン第四巡洋艦隊も旗艦轟沈、残存艦船はわずか12隻であった
重巡「ファルツ」中破、重巡「ナッサウ」小破
軽巡「ラクレイス」中破・・・
だが、これまでにない大戦果も挙げたのだ
ウルタンク艦隊の戦力の大半を削り、グンナ主力艦隊も戦艦六、重巡七、駆逐艦十二を失った
更に空母二小破を始めとする大量の艦艇の損害。これにより損害のないカルオス艦隊以外の艦隊は、全てルナツーへと撤退した
グンナ軍主力艦隊も撤退したため、莫大な戦力がパレンバンから離れることになったのだ
かくして「捷一号作戦」の第一段階が完了したのであった
日本戦車軍団第一特務艦隊 戦艦「紀伊」
松井元帥「もうすぐパレンバンに到着するな。だが休む暇もなくカルオス艦隊との戦闘に突入する」
ティーガー元帥「まあ、初陣ですからな。観艦式には間に合いそうですね」
松井元帥「しかし、今までとしてはかなりの戦果だったな。戦艦六、重巡七、軽巡四、駆逐艦二十を撃沈した。更に敵艦隊を撤退させるに至ったからな」
日戦軍団兵士A「司令!潜宙艦『U−970』より入電!敵艦の通信を傍受せり。通信内容は『こちらカルオス帝国軍第四艦隊。之より帝国艦隊を支援する。各員の奮励に期待する』。以上!」
松井元帥「・・・・『各員の奮励に期待する』?」
ティーガー元帥「いままで、カルオスの提督にそんなことを言うものがいましたかね?」
松井元帥「カイオグル元帥あたりしか知らんぞ」
ティーガー元帥「カイオグル元帥はリゾニア本国軍所属ですからね・・・」
松井元帥「・・・・・・あとは連合軍の指揮官ぐらいだろうな。主に我々日戦軍団・・・」
ティーガー元帥「日戦軍団・・・」
松井元帥「・・・まさか・・・熱田か?いや、そんなはずはないだろうな・・・」
ティーガー元帥「とにかく、第四艦隊の司令はいまだ謎ですね。第四艦隊の謎を解くには我々が行くしかありません」
松井元帥「そうだな」
日戦軍団兵士B「日戦軍団第四艦隊旗艦、常陸より通信です」
鳴神中将(通信)「もうすぐパレンバンですね。そろそろ我々の戦いも近いようです」
松井元帥「うむ。あんたとしては熱田の敵討ちになりそうだな」
鳴神中将(通信)「そうですね。敵はカルオス軍二個艦隊です。存分に暴れまわりましょう!」
松井元帥「そうだな。これまでのお返しと行こうではないか」
日戦軍団兵士C「潜宙艦『伊−170』より入電、ウルタンク軍の別働二個艦隊とウルタンク軍第四巡洋艦隊、及びカルオス軍主力艦隊が合流、パレンバンへ向かっているとのことです!」
松井元帥「ほう、敵は多いほうがいいな。第一哨戒艦隊の件も、グンナ上層部に伝わっている頃だろう」
日戦軍団兵士A「これであいては7個艦隊ですか・・・」
松井元帥「敵はかなりのものだが、連合軍の艦隊はどうなっている?」
日戦軍団兵士B「サーロイに撤退していくようです」
松井元帥「まあ、そうだろうな。カルオス軍にかなりの戦力をやられたんだからな」
ティーガー元帥「そういえばクリークはまだ宣戦布告してないんですね」
松井元帥「・・・南方同盟に従うならばそろそろ宣戦布告してもおかしくないんだがな」
かくして、日本戦車軍団第一特務艦隊、同第四艦隊、ニビリア軍第一特殊艦隊は、パレンバンへと向かっていった・・・
第十二話 終わり

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